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VBファミリー(VB, VB.NET, VBA)とは?特徴・用途から年収・将来性まで解説

スキル

最終更新日:2025/05/02

VBファミリー(VB, VB.NET, VBA)とは?特徴・用途から年収・将来性まで解説

この記事では、「VBファミリーとは何か?」という問いに対し、プログラミングの初心者の方から、かつてVBに触れた経験のある方、現在VB.NETやVBAを使っている開発者やビジネスユーザー、そして技術選定に関わる方々まで、幅広い読者の皆様に向けて、その歴史的な背景から現代における役割まで、包括的に解説していきます。VBと一口に言っても、その歴史の中で大きな変化があり、現在主流の「VB.NET」、一時代を築いた「クラシックVB(VB6以前)」、そしてOfficeに組み込まれた「VBA」は、それぞれ異なる特性を持つことを理解することが重要です。

目次

  • はじめに

  • VB/VBAとは?

  • VB/VBAの特徴

  • VB/VBAスキルを学ぶメリット

  • VB/VBAの学習・利用における留意点:デメリットと注意点

  • VB/VBAはどこで使われているか?

  • VB/VBAエンジニアのキャリア:年収と将来性

  • まとめ

はじめに

PCが普及し、Windowsがその標準的なOSとしての地位を確立し始めた時代。

多くの人々が、もっと手軽に、もっと速く、自分たちのためのアプリケーションを作りたいと願っていました。

その願いに応えるかのように登場し、Windowsアプリケーション開発の世界に革命をもたらしたプログラミング言語と開発環境がありました。

それがMicrosoftの「Visual Basic (VB)」です。

そして、その思想は、私たちが日常的に使うMicrosoft Officeアプリケーションの自動化を実現する「Visual Basic for Applications (VBA)」へと受け継がれ、今なお多くの現場で活用されています。

VBファミリーの根底にあるのは、プログラミングをより身近なものにし、特にRAD (Rapid Application Development - 高速アプリケーション開発) を実現するという思想、そしてOfficeアプリケーションの定型作業を自動化し、業務効率を飛躍的に向上させるという実用的な目的です。

この記事を通して、それぞれのVB/VBAがどのように生まれ、どのような特徴を持ち、どのようなメリットとデメリットがあるのか、そして現代においてどのような分野で使われ、どのような将来性を持っているのか、さらには関連するキャリアや年収についても、深く掘り下げていきます。

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VB/VBAとは?

まず、Visual Basic (VB) と Visual Basic for Applications (VBA) がどのようなもので、どのような関係にあるのか、基本的な知識から整理していきましょう。

これらの名前は似ていますが、その歴史と目的、そして現在の状況は異なります。

VB (Visual Basic) ファミリーの概要

「Visual Basic」という名前は、単一の言語を指すのではなく、Microsoftによって開発された、BASIC(Beginner's All-purpose Symbolic Instruction Code)言語を祖先に持つ、一連のプログラミング言語および開発環境の総称と捉えるのが適切です。

その歴史の中で、大きく分けて三つの主要な存在があります。

クラシックVB

1991年に登場したVisual Basic 1.0から、1998年のVisual Basic 6.0まで続くバージョン系列を指します。

これは、Windowsのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を持つアプリケーション開発に革命をもたらした存在です。

最大の特徴は、RAD (Rapid Application Development) を実現したことです。

開発者は、画面上にボタンやテキストボックスといった部品をドラッグ&ドロップで配置し、それらの部品がユーザーによって操作されたときに実行されるコードを記述するという、直感的で視覚的な開発スタイルを可能にしました。

これにより、従来は専門的な知識が必要だったWindows GUIアプリケーション開発のハードルが劇的に下がり、多くのプログラマや、場合によってはパワーユーザーまでもが、比較的容易にアプリケーションを作成できるようになりました。

クラシックVBは、コンポーネント指向も推進し、一時代を築きましたが、Microsoftによる公式サポートは既に終了しており、現在は主に既存システムの保守のために存在しています。

VB.NET (Visual Basic .NET)

2002年に、Microsoftの新しい開発プラットフォームである .NET Frameworkの登場と共にリリースされた、現在の主流となるVisual Basicです。

重要な点は、 VB.NETはクラシックVB(特にVB6)の後継言語と位置づけられているものの、 .NET Framework上で動作するように完全に再設計された、全く新しい言語であるということです。

クラシックVBのコードとの直接的な互換性はほとんどありません。

VB.NETは、完全なオブジェクト指向プログラミング言語へと進化し、クラス、継承、インターフェース、ポリモーフィズムなどをフルサポートします。

また、 .NETプラットフォームの中核であるCLR (Common Language Runtime) 上で動作するため、ガベージコレクションによる自動メモリ管理、タイプセーフティ、例外処理といったモダンな言語機能の恩恵を受けることができます。

同じ .NETプラットフォーム上で動作するC#とは兄弟言語の関係にあり、機能的にはほぼ同等ですが、構文が異なります。

現在「Visual Basic」と言った場合、通常はこのVB.NETを指します。

VBA (Visual Basic for Applications)

これは、Microsoft Officeスイートのアプリケーション内部に組み込まれたプログラミング言語であり、マクロ言語です。

その主な目的は、Officeアプリケーションの定型的な作業を自動化したり、機能を拡張したりすることです。

例えば、Excelで複雑なデータ集計やレポート作成を自動化したり、Accessでカスタムのデータベースアプリケーションを構築したり、Wordで定型文書を自動生成したりすることができます。

VBAの言語仕様は、クラシックVBに非常に近いものとなっており、VB6の経験者にとっては馴染みやすいものです。

しかし、VB.NETとは互換性がなく、また、あくまでOfficeアプリケーションの内部で動作するため、スタンドアロンのアプリケーションを作成することはできません。

これらの関係性を整理すると、クラシックVBとVB.NETは「Visual Basic」の名前を冠していますが、互換性のない別の言語であり、VB.NETが現在のバージョンです。

VBAは、クラシックVBに近い言語仕様を持ちつつ、Officeアプリケーションの自動化という特定の目的のために組み込まれた言語です。

この三者の違いを明確に理解することが、VB/VBAを語る上での第一歩となります。

開発の背景と歴史

VBの誕生

VBファミリーのルーツは、1964年にダートマス大学で教育用に開発されたBASIC言語にあります。

BASICは「初心者のための万能記号命令コード」という名の通り、プログラミングを学びやすくすることを目的としたシンプルな言語であり、1970年代から80年代にかけてパーソナルコンピュータの普及と共に広く使われました。

Microsoftも初期からMS-BASICやGW-BASICといったBASIC処理系を提供していました。

1990年代に入り、Windows 3.0が登場し、GUIがPCの標準的なインターフェースとなると、従来のテキストベースのプログラミング言語ではGUIアプリケーションの開発が非常に煩雑であるという課題が顕在化しました。

この課題に応える形で、Microsoftは1991年にVisual Basic 1.0をリリースしました。

これは、BASIC言語のシンプルさを維持しつつ、視覚的なフォームデザイナイベント駆動型プログラミングモデルを導入した画期的な開発環境でした。

開発者は、画面部品を配置し、そのイベントに対応するBASICコードを書くだけで、Windowsアプリケーションが作成できたのです。

これはRAD (Rapid Application Development) という概念を広く普及させ、VBは瞬く間に人気を博しました。

バージョンアップごとに機能が強化され、データベースアクセス機能や、ActiveX/COM技術によるコンポーネント指向開発もサポートされ、Visual Basic 6.0 (VB6) は、Windowsアプリケーション開発におけるデファクトスタンダードの一つとなりました。

VB.NETの誕生

2000年代に入ると、インターネットの普及やソフトウェアの大規模化・複雑化に伴い、クラシックVBの持つ限界も指摘されるようになりました。

そこでMicrosoftは、次世代の開発プラットフォームとして .NET Frameworkを発表します。

これは、CLR (Common Language Runtime) という共通の実行基盤の上で、複数の言語が動作し、豊富なクラスライブラリを利用できるという野心的な構想でした。

この.NET Frameworkの主要言語の一つとして、2002年に登場したのが VB.NETです。VB.NETは、クラシックVBの構文の親しみやすさを一部維持しつつも、.NET Frameworkのアーキテクチャに合わせて完全に再設計されました。

完全なオブジェクト指向言語となり、CLRの恩恵を受けるモダンな言語へと生まれ変わったのです。

しかし、この変更はクラシックVBとの互換性を失わせるものであり、既存のVB6開発者コミュニティからは大きな反発もありました。

VB.NETは、同じく新言語として登場したC#と共に、.NETプラットフォームの中核言語として発展していくことになります。

VBAの誕生

一方、VBA (Visual Basic for Applications) は、1993年のExcel 5.0から導入され、その後Word, Accessなど他のOfficeアプリケーションにも搭載されていきました。

これは、高度な専門知識を持たないユーザーでも、日常的に使うOfficeアプリケーションの作業を自動化し、生産性を向上させたいという強いニーズに応えるものでした。

言語仕様は当時のVBをベースにしており、Officeの各アプリケーションが持つ機能をプログラムから操作できるように設計されています。

VBAは、その手軽さと実用性から、特にビジネスの現場で広く普及し、現在に至るまで多くのマクロや小規模な業務システムで利用され続けています。


このように、VBファミリーは、時代の要求に合わせて姿を変えながら、Windowsアプリケーション開発とOffice業務自動化の歴史と共に歩んできたのです。

設計思想と目標

VBファミリーの各言語は、それぞれ異なる時代背景と目的を持って設計されましたが、共通して流れる思想も存在します。

生産性の重視 / RAD (Rapid Application Development)

これは、特にクラシックVBが目指した中核的な目標でした。

プログラミングの専門家でなくても、視覚的なツールを使って迅速にアプリケーションを開発できるようにすること。

アイデアを素早く形にし、試行錯誤を繰り返せるようにすること。

このRADの思想は、Visual Studioを用いたVB.NET開発にも受け継がれていますし、VBAが目指す「手軽な自動化」にも通じるものがあります。

イベント駆動型プログラミング

ユーザーインターフェースを持つアプリケーションの自然な動作モデルとして、イベントの発生を待ち受け、それに対応するコードを実行するというイベント駆動型のスタイルが採用されました。

これはクラシックVB、VB.NET、VBAに共通する基本的なプログラミングモデルです。

コンポーネント指向 (クラシックVB)

VB6以前では、ActiveX/COM技術を用いて、再利用可能なソフトウェア部品を容易に組み合わせてアプリケーションを構築できることが重視されました。

これにより、開発者は車輪の再発明を避け、より高度な機能を迅速に実装できました。

.NETプラットフォームとの統合 (VB.NET)

VB.NETの設計目標は、.NET Frameworkという強力なプラットフォームの能力を最大限に引き出すことにありました。

CLRによるメモリ管理や型安全性、セキュリティといった基盤の上に、豊富なクラスライブラリを活用し、C#など他の.NET言語とシームレスに連携できる、モダンなオブジェクト指向言語となることが目指されました。

クラシックVBからの移行という側面も考慮されましたが、最終的には .NETアーキテクチャへの最適化が優先されました。

Officeアプリケーションとの連携 (VBA)

VBAの唯一無二の目標は、Microsoft Officeアプリケーションの機能をプログラムから制御し、自動化・拡張することです。

Excelのセル、Wordの段落、Accessのテーブルといった、各アプリケーション固有の「オブジェクト」を操作するためのインターフェースを提供し、ユーザーが定型作業から解放され、より創造的な作業に集中できるようにすることが目指されました。


これらの設計思想や目標を理解することで、なぜそれぞれのVB/VBAが特定分野で強みを発揮し、またどのような限界を持っているのかが見えてきます。

特に、VB.NETとクラシックVB/VBAの間には、目指す方向性に大きな違いがあることを認識することが重要です。

VB/VBAの特徴

VBファミリーの各言語、すなわちVB.NET、クラシックVB、そしてVBAは、共通の祖先を持ちながらも、それぞれ異なる特徴と能力を持っています。

ここでは、それぞれの言語が持つ核心的な特徴について、詳しく掘り下げていきましょう。

VB.NETの特徴

VB.NETは、現代のソフトウェア開発に対応するために設計された、パワフルで多機能なプログラミング言語であり、 .NETプラットフォームの中核を担う存在の一つです。

.NETプラットフォームの一部

VB.NETの最大の特徴は、それが .NETプラットフォームの上で動作することです。

これは、 VB.NETがCLR(Common Language Runtime)という共通の実行基盤を利用することを意味します。

CLRは、ガベージコレクション(GC)による自動メモリ管理を提供するため、開発者は手動でのメモリ解放作業から解放され、メモリリークなどのリスクが低減されます。

また、CLRはタイプセーフティを保証し、不正なメモリアクセスなどを防ぎ、アプリケーションの安定性を高めます。

さらに、プラットフォームに依存しない中間言語(IL)にコンパイルされるため、原理的にはクロスプラットフォームでの実行も可能です。

完全なオブジェクト指向言語

クラシックVBとは異なり、 VB.NETは完全なオブジェクト指向プログラミング(OOP)言語として設計されています。

クラスの定義、実装継承を含む継承、インターフェース、ポリモーフィズム、カプセル化といったOOPの主要な概念をすべてサポートしています。

これにより、大規模で複雑なアプリケーションを構造化し、再利用可能で保守しやすい形で設計・開発することが可能です。

C#との比較と共存

VB.NETは、同じ .NETプラットフォーム上で動作するC#とは兄弟のような関係にあります。

どちらもCLR上で動作し、同じ .NETクラスライブラリを利用でき、機能的にはほぼ同等レベルの能力を持っています。

最大の違いは構文にあり、VB.NETはより英語に近く、キーワードも冗長になる傾向があるのに対し、C#はC言語由来の波括弧やセミコロンを多用する、より簡潔な構文を持ちます。

どちらの言語を選ぶかは、開発者の好み、チームのスキルセット、あるいはプロジェクトの歴史的経緯によるところが大きいです。

重要なのは、 VB.NETとC#の間では高い相互運用性があり、同じプロジェクト内で両方の言語のコードを混在させることも可能である点です。

強力なIDEサポート

VB.NET開発の生産性を飛躍的に高めているのが、Microsoftの統合開発環境(IDE)であるVisual Studioの存在です。

Visual Studioは、 VB.NETに対して極めて強力なサポートを提供します。

  • GUIデザイナ: Windows FormsやWPFを用いたデスクトップアプリケーション開発において、コントロールをドラッグ&ドロップで配置し、プロパティを設定する視覚的なデザインが可能。

  • IntelliSense: 高度なコード補完、パラメータ情報表示、クイックヒントなどにより、コーディングを強力に支援。

  • デバッグ機能: ブレークポイント、ステップ実行、変数監視、呼び出し履歴など、高度なデバッグツールにより、バグの発見と修正を効率化。

リファクタリング支援、コード分析、バージョン管理統合など、開発プロセス全体をサポートする機能が満載です。

豊富な.NETクラスライブラリ

VB.NET開発者は、 .NETプラットフォームが提供する膨大な基本クラスライブラリを利用できます。

ファイルシステム操作、ネットワーク通信、データベースアクセス、XMLやJSONの処理、文字列操作、日付時刻処理、コレクション、セキュリティ、並行処理など、考えられるほとんどの基本的な機能が標準で提供されており、開発の効率を大幅に向上させます。

LINQ (Language Integrated Query)

C#と同様に、VB.NETもLINQをサポートしています。

これにより、メモリ上のコレクション、データベース、XMLなど、様々なデータソースに対する問い合わせを、SQLライクな統一された構文で言語に統合された形で記述できます。

これにより、データ操作コードの可読性と簡潔性が向上します。

非同期プログラミング (Async/Await)

C#と同様に、Async および Await キーワードを用いた非同期プログラミングモデルをサポートしています。

これにより、時間のかかる処理をバックグラウンドで実行しつつ、UIの応答性を維持するようなコードを、同期処理のように直感的に記述できます。

Windows開発における強み

VB.NETは、特にWindows向けデスクトップアプリケーション開発において依然として強力な選択肢です。

Windows Formsは、シンプルで迅速なGUI開発に適しており、多くの業務アプリケーションで利用されています。

WPF (Windows Presentation Foundation) は、よりリッチで柔軟なUIデザインを可能にします。

UWP (Universal Windows Platform) 開発もサポートされています。

これらのWindowsネイティブな技術との親和性の高さが、VB.NETがWindows開発で使われ続ける理由の一つです。

VB.NETは、クラシックVBの使いやすさの思想を受け継ぎつつ、 .NETプラットフォームのパワーとモダンなプログラミング機能を備えた、現代でも十分に通用する強力な開発言語です。

クラシックVB (VB6以前) の特徴

クラシックVB、特にその最終バージョンであるVisual Basic 6.0 (VB6) は、かつてWindowsアプリケーション開発の世界を席巻した、歴史的に非常に重要な存在です。

現代の開発においては推奨されませんが、その特徴を知ることはVBファミリーの歴史を理解する上で役立ちます。

RAD (Rapid Application Development) の具現化

VB6の最大の功績は、RADを誰にでも手の届くものにしたことです。

Visual Studioの前身となる開発環境では、ツールボックスからボタン、テキストボックス、ラベルなどのコントロールをフォーム上にドラッグ&ドロップするだけで、GUIの基本的な骨格を作成できました。

そして、各コントロールのプロパティをプロパティウィンドウで簡単に設定し、ユーザーのアクションに対応するイベントプロシージャ内にBASICコードを記述するだけで、アプリケーションが動作しました。

これにより、開発者はUIデザインとイベント処理ロジックに集中でき、開発時間を劇的に短縮できました。

イベント駆動型プログラミング

ユーザーの操作やシステムの出来事を「イベント」として捉え、そのイベントが発生したときに特定のコードを実行するという、GUIアプリケーションに適したイベント駆動型モデルを直感的に実装できました。

シンプルなBASIC構文

祖先であるBASIC言語のシンプルさを受け継いでおり、英語に近いキーワードと比較的緩やかな文法規則により、プログラミング初心者でも学びやすいとされていました。

コンポーネント指向 (ActiveX/COM)

MicrosoftのCOM (Component Object Model) 技術をベースにしたActiveXコントロールという形で、サードパーティ製の豊富なGUI部品やビジネスロジック部品を利用できました。

これにより、開発者は既製の高機能な部品を組み合わせて、迅速にアプリケーションを構築できました。

また、自身でActiveXコントロールを作成することも可能でした。

限定的なオブジェクト指向

VB6にもクラスモジュールを使ったオブジェクト指向の概念はありましたが、 VB.NETのような完全なものではありませんでした。

特に実装継承はサポートされておらず、インターフェース継承のみが可能でした。

これは、大規模で複雑なアプリケーションの設計においては制約となることがありました。

ネイティブコードコンパイル

VB5以降では、コードをネイティブコードにコンパイルするオプションが提供され、それ以前のPコード実行と比較して実行速度が向上しました。

現在

VB6は2008年にMicrosoftによる延長サポートも終了しており、セキュリティアップデートも提供されません。

最新のWindows OSでの動作も保証されていません。

そのため、新規開発での利用は絶対に避け、既存システムの延命措置としてのみ考えるべきです。

しかし、世界中にはいまだにVB6で書かれた重要なシステムが稼働しており、その保守案件は存在します。


クラシックVBは、その手軽さと生産性の高さで一時代を築き、多くの開発者を生み出しましたが、現代の要求に応えるには限界があり、その役割を終えた技術と言えます。

VBA (Visual Basic for Applications) の特徴

VBAは、他のVBとは異なり、特定のアプリケーション、すなわちMicrosoft Officeスイートに組み込まれ、その機能を自動化・拡張するためのマクロ言語としての役割に特化しています。

Officeアプリケーションへの統合

VBAはOfficeアプリケーションの一部として提供されており、追加のインストールは不要です。

各アプリケーションの中からVisual Basic Editor (VBE) という開発環境を起動し、コードを記述・実行できます。

Officeオブジェクトモデルの操作

VBAの最大の目的は、各Officeアプリケーションが公開しているオブジェクトモデルをプログラムから操作することです。

これにより、手作業で行っていた定型的な操作を自動化できます。

例えば、「Excelの特定のシートからデータを読み取り、集計して別のシートにレポートを作成し、グラフを挿入する」といった一連の作業を、ボタン一つで実行するマクロを作成できます。

業務効率の劇的な向上

VBAを活用することで、特にExcelやAccessを多用する部署において、繰り返し作業や定型業務にかかる時間を大幅に削減し、生産性を劇的に向上させることができます。

エラーが発生しやすい手作業を減らし、作業の正確性を高める効果もあります。

VB6に近い言語仕様

VBAの文法や基本的な考え方は、クラシックVB(特にVB6)に非常に似ています

そのため、VB6の経験があればVBAの習得は容易ですし、逆にVBAからプログラミングに入門した人が、基本的な概念を掴みやすいという側面もあります。

変数宣言、制御構造、基本的なデータ型、関数やサブルーチンの定義などは共通しています。

ユーザー定義関数 (UDF)

特にExcelにおいて、組み込み関数と同じように、セル内から呼び出して使える自作の関数 をVBAで作成できます。

複雑なカスタム計算ロジックを関数としてカプセル化し、シート上で手軽に利用できます。

フォーム作成機能

VBE内で、ユーザーフォームと呼ばれる簡単なGUI画面を作成し、ボタン、テキストボックス、リストボックスなどを配置して、マクロの実行に必要な情報をユーザーに入力させたり、結果を表示したりすることができます。

これにより、より対話的なマクロを作成できます。

用途の限定性

VBAはあくまでOfficeアプリケーションの拡張機能であり、それ自体で独立したアプリケーションを作成することはできません。

その用途はOfficeドキュメント内の自動化や機能追加に限定されます。

セキュリティリスク

VBAマクロは、ウイルスの感染経路として悪用されてきた歴史があるため、セキュリティ上のリスクが常に伴います。

そのため、Officeアプリケーションにはマクロの実行を制御するためのセキュリティ設定があり、不明なソースからのマクロ付きファイルを開く際には細心の注意が必要です。

企業によってはマクロの使用が制限されている場合もあります。


VBAは、プログラミングの専門家でなくても、日々のOffice業務を効率化したいという強いニーズに応える、非常に実用的で強力なツールです。

その手軽さと効果の大きさから、今なお多くのビジネス現場で不可欠なスキルとして活用されています。

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VB/VBAスキルを学ぶメリット

技術のトレンドが目まぐるしく変化する現代において、VB.NETやVBAといった、比較的歴史の長い技術を新たに学ぶことに価値はあるのでしょうか? 

全ての開発者にとって必須とは言えないかもしれませんが、特定の状況や目的においては、VB/VBAスキルを学ぶことには依然として明確なメリットが存在します。

既存資産の保守・運用における需要

これが、VB/VBAスキルが今なお求められる最大の理由の一つです。

過去数十年にわたり、世界中の多くの企業や組織で、 VB.NET、クラシックVB、あるいはVBAを用いて構築された業務システムや自動化ツールが数多く開発され、現在も現役で稼働しています。


これらのシステムは、多くの場合、特定の業務プロセスに深く根ざしており、簡単に新しい技術に置き換えることはできません。

システムの安定稼働を維持し、必要に応じて改修や機能追加を行うためには、これらの言語を理解し、保守・運用できるエンジニアが不可欠です。


特に、VB6で書かれた古いシステムや、複雑なVBAマクロが組み込まれたExcel/Accessファイルなどは、ドキュメントが不足していたり、当時の開発者が既に退職していたりするケースも少なくありません。

このような状況で、既存のコードを読み解き、問題を解決できるスキルは、特定の企業やプロジェクトにおいて非常に重宝されます。

新規開発の華やかさはありませんが、ビジネスの継続性を支える重要な役割であり、安定した需要が見込める分野です。

Windowsデスクトップアプリケーション開発

新規のデスクトップアプリケーション開発において、Web技術やクロスプラットフォーム技術が注目を集める一方で、依然としてWindowsネイティブなデスクトップアプリケーションが必要とされる場面は数多く存在します。

特に、企業内の業務システムや、特定のハードウェアと連携する制御・計測ソフトウェア、あるいはオフライン環境での利用が前提となるツールなどです。


このようなWindowsデスクトップアプリケーションを開発する上で、 VB.NETは依然として非常に生産性の高い選択肢です。

Microsoftの強力なIDEであるVisual Studioとの緊密な連携により、Windows FormsWPFを用いたGUI開発を視覚的かつ迅速に行うことができます。

RADの思想は健在であり、特に複雑なUIよりも機能性が重視される業務アプリケーションなどを、比較的短期間で開発することが可能です。

C#が主流となりつつあるとはいえ、VB.NETにも豊富なライブラリと実績があり、既存のVB資産を持つ企業などでは、依然として有力な開発言語です。

Office業務の圧倒的な効率化

おそらく、現在最も多くの人々にとって「学ぶ価値」を実感しやすいのがVBAでしょう。

Microsoft Office、特にExcelやAccessは、世界中のあらゆるオフィスで日常的に使われています。

そして、そこには必ずと言っていいほど、定型的な繰り返し作業や、手作業では時間のかかる複雑なデータ処理が存在します。

VBAを使えば、これらの作業をボタン一つで実行できるマクロとして自動化することが可能です。

例えば、毎月複数のExcelファイルからデータを集計してレポートを作成する、Accessのデータを特定の条件で抽出してWord文書に差し込む、Outlookで受信したメールの内容に応じて特定の処理を行う、といった作業を自動化できます。


VBAの学習は、プログラミング言語の中では比較的容易であり、非IT部門の担当者であっても、基本的な操作を習得すれば、自身の業務を劇的に効率化できる可能性があります。

「面倒な作業を自動化したい」という具体的な目的があれば、VBAを学ぶことは非常に実用的で費用対効果の高いスキル投資となり得ます。

この「現場レベルでの業務改善力」は、多くの職種で高く評価されるでしょう。

学習のしやすさ

VBファミリー、特にVBAとクラシックVBは、その祖先であるBASIC言語の思想を受け継ぎ、シンプルな構文直感的な概念で設計されています。

英語に近いキーワードが多く、プログラミングの基本的な考え方を理解する上で、初心者にとって比較的ハードルが低い言語とされています。


特にVBAは、Excelなどの使い慣れたアプリケーション上で、具体的な目的を持って学習を始められるため、プログラミングの最初のステップとして適している場合があります。

「マクロの記録」機能を使って自動生成されたコードを読み解くことから始めることも可能です。

VB.NETはより本格的なオブジェクト指向言語ですが、それでもC++やRustのような言語と比較すれば、習得しやすい部類に入ると言えるでしょう。

.NETエコシステムの活用

VB.NETを選択するメリットとして、それが強力な .NETエコシステムの一部であることが挙げられます。

これにより、開発者はMicrosoftやコミュニティによって提供される膨大なクラスライブラリや、NuGetを通じて入手可能なサードパーティ製のライブラリを活用できます。

データベースアクセス、ネットワーク通信、ファイル操作、高度なUIコンポーネントなど、必要な機能の多くが既に用意されており、開発者はそれらを組み合わせて効率的にアプリケーションを構築できます。

また、Azureをはじめとするクラウドサービスとの連携も容易であり、現代的なアプリケーション開発に必要な基盤が整っています。

C#で利用できる機能のほとんどはVB.NETでも利用可能です。

特定業界・企業での根強い利用

技術選定は、必ずしも最新技術が最適とは限りません。

特定の業界や、長年にわたりVB/VBAを標準的な開発ツールとして利用してきた企業や官公庁などでは、既存資産との互換性や、社内エンジニアのスキルセット、保守体制といった理由から、依然としてVB/VBAが利用され続けているケースがあります。

このような特定の環境下においては、VB/VBAスキルは必須であり、その専門性が評価されることになります。


これらのメリットを考慮すると、VB/VBAスキルは、最先端の技術トレンドを追い求める開発者にとっては魅力が薄いかもしれませんが、既存システムの維持、特定の業務効率化、あるいはWindowsデスクトップ開発といった特定の文脈においては、依然として実用的で価値のあるスキルセットであると言えます。

VB/VBAの学習・利用における留意点:デメリットと注意点

VB/VBAが特定の場面で依然として価値を持つ一方で、現代のソフトウェア開発の視点から見ると、いくつかの重要な留意点や明確なデメリットも存在します。

これらの点を理解しておくことは、技術選定を誤らないため、また自身のキャリアプランを考える上で不可欠です。

クラシックVB (VB6以前) のサポート終了とリスク

まず最も強調すべき点は、クラシックVB(Visual Basic 6.0およびそれ以前のバージョン)は、Microsoftによる公式サポートが完全に終了しているということです。

これは、セキュリティアップデートが提供されず、新たな脆弱性が発見されても修正されないことを意味します。

また、最新のWindows OSでの動作も保証されていません。


したがって、クラシックVBを用いて新規にアプリケーションを開発することは絶対に避けるべきです。

既存のVB6アプリケーションを保守・運用する場合であっても、セキュリティリスクや将来的な動作不能リスクを常に抱えることになります。

VB6スキルは、極めて限定的なレガシー保守案件以外では、もはや市場価値を持つとは言い難く、積極的に新しいスキルへ移行することが強く推奨されます。

VBAの限界と将来性への懸念

VBAはOffice業務の自動化において非常に強力ですが、いくつかの限界と将来に対する懸念があります。

Office依存と機能の限界

VBAはMicrosoft Officeアプリケーションの内部でしか動作せず、その機能はOfficeのバージョンや環境に依存します。

スタンドアロンアプリケーションは作成できず、Web連携や最新技術との連携も得意ではありません。

言語仕様自体もVB6ベースであり、現代的なプログラミング機能はほとんど追加されていません。

Office Scriptsの登場

Microsoftは、Office Scriptsという新しいOffice自動化の仕組みを提供・推進しています。

これはTypeScript/JavaScriptをベースとし、クラウドで動作することを前提としています。

Office Scriptsは、モダンな言語機能、より優れた開発ツール連携、セキュリティ面での利点などを持ち、将来的にはVBAの役割を部分的に、あるいは徐々に代替していく可能性があります。

現時点ではVBAの方が機能的に豊富な面もありますが、この新しい技術の動向には注意が必要です。

セキュリティリスク

VBAマクロは、依然としてマクロウイルスの感染経路として悪用されるリスクがあります。

多くの企業ではセキュリティポリシーによってマクロの利用が制限されていたり、ユーザーがマクロ付きファイルを開く際に警告が表示されたりします。

安全なマクロを作成・運用するための知識と配慮が常に必要です。

大規模開発への不向き

VBAは元々、小規模な自動化スクリプトを想定しており、大規模で複雑なアプリケーションを開発するには、言語機能や開発環境が貧弱です。

保守性の低いコードになりやすく、バージョン管理なども困難です。


VBAは当面使われ続けるでしょうが、その役割が将来的に縮小していく可能性は十分に考慮すべきです。

VB.NETの需要動向とC#との比較

VB.NETは、.NETプラットフォームの一部としてサポートが継続されている現役の言語ですが、市場における需要動向には注意が必要です。

C#の優勢

新規の .NETプロジェクト、特にWeb開発やクロスプラットフォーム開発、クラウドネイティブ開発においては、C#がVB.NETよりも圧倒的に主流となっています。

技術ブログ、コミュニティ、学習リソース、求人数など、あらゆる面でC#の方が活発です。

求人の偏り

VB.NETエンジニアの求人は存在しますが、C#と比較すると数が少なく、既存の業務システムの保守・改修や、特定のWindowsデスクトップアプリ開発案件に偏る傾向があります。

最新技術を用いたプロジェクトに関わる機会は、C#エンジニアに比べて少なくなる可能性があります。

クロスプラットフォーム対応の遅れ

.NET自体はクロスプラットフォーム対応を進めていますが、主要なクロスプラットフォームUIフレームワークである .NET MAUIは、現時点で公式にはC#のみをサポートしており、 VB.NETでの開発はサポートされていません。

これにより、VB.NETが活躍できる分野は、実質的にWindows中心に限定されがちです。

キャリアの選択肢

VB.NETのスキルだけを専門としている場合、C#エンジニアと比較して、将来的なキャリアの選択肢が狭まるリスクがあります。

多くの企業が .NET開発においてC#を標準としているため、転職市場などでも不利になる可能性があります。


VB.NET自体は優れた言語ですが、市場全体のトレンドとしてはC#への移行・集約が進んでいることを認識し、自身のスキルセットについて戦略的に考える必要があります。

言語仕様の古さ

クラシックVBとVBAの言語仕様は、現代のプログラミング言語と比較すると、明らかに古く、見劣りします。

例えば、エラーハンドリング、限定的なデータ構造、弱い型システム、現代的な並行処理機能の欠如などは、コードの品質や開発効率、保守性に悪影響を与える可能性があります。


VB.NETは大幅に改善されましたが、それでも歴史的な経緯から、一部に古いBASICの思想を引きずっている部分がないとは言えません。

これらの古いパラダイムに慣れ親しむことが、逆に他のモダンな言語の学習や考え方への適応を妨げる可能性も考慮すべきです。

コードの品質と保守性

特にクラシックVBやVBAでは、言語仕様の制約や、RADツールによる「手軽さ」の副作用として、構造化されていない、読みにくく保守しにくいコードが生まれやすい傾向がありました。

エラー処理の不備、グローバル変数の多用、巨大なイベントプロシージャなどがその典型です。

VB.NETではオブジェクト指向の導入などにより改善されましたが、それでも規律のない開発を行えば保守性の低いコードになるリスクはどの言語にもあります。

既存のVB/VBAコードを扱う際には、その品質にばらつきが大きいことを覚悟する必要があるでしょう。


これらの留意点を踏まえ、VB/VBAを学習・利用する際には、その適用範囲と限界を正しく理解し、特にキャリア形成においては、他のモダンな技術とのバランスを考慮することが賢明と言えます。

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VB/VBAはどこで使われているか?

VBファミリーの言語は、それぞれ異なる得意分野を持ち、特定の領域で今なお重要な役割を果たしています。

ここでは、VB.NET、VBA、そして歴史的な文脈でのクラシックVBが、具体的にどのような分野で使われているのか、その主要な応用事例を見ていきましょう。

Windowsデスクトップアプリケーション開発 (VB.NET)

VB.NETが最もその力を発揮し、現在も活発に利用されている分野の一つが、Windowsネイティブのデスクトップアプリケーション開発です。

業務アプリケーション

これは、VB.NETの主戦場と言えるでしょう。

企業の基幹業務システム顧客管理システム (CRM)部門特化型の業務ツールなど、多くの企業、特に中小企業において、VB.NETで開発された業務アプリケーションが日々のオペレーションを支えています。

Visual Studioを用いたRADの能力は、複雑なビジネスロジックを持つ画面を効率的に作成するのに適しています。

業務支援ツール

特定の部署や担当者が利用する、日常業務を効率化するためのユーティリティツールや、データ入力支援、帳票印刷、簡易的なデータ分析ツールなども、VB.NETで手軽に開発されることがあります。

制御・計測システム

製造業におけるFAシステムで、生産ラインの機械を制御したり、センサーからのデータを収集・表示したりするHMI (Human Machine Interface) ソフトウェアや、研究開発分野での計測機器制御ソフトウェアなどに、VB.NETが利用されることがあります。

ハードウェアとの連携には、専用のライブラリやActiveXコンポーネントが使われることもあります。

VB.NETは、これらのフレームワークとVisual Studioの強力なサポートにより、Windowsデスクトップという特定のプラットフォームにおいては、依然として高い生産性を誇る開発環境を提供します。

Officeアプリケーションの自動化と拡張 (VBA)

VBAの応用分野は、その名の通りMicrosoft Officeアプリケーションに限定されますが、その範囲内での活用度は非常に高く、多岐にわたります。

VBAは、Officeを使った定型業務の自動化や、標準機能だけでは実現できない高度な処理を実現するための強力なツールです。

Excel

VBAが最も広く、かつ深く活用されているのがExcelです。

  • データ集計・分析の自動化: 複数のシートやファイルからデータを収集し、複雑な計算や集計を行い、結果を整形してレポートを作成する、といった一連の流れを自動化します。ピボットテーブルの操作やグラフの自動生成も可能です。

  • 定型レポート作成: 毎月・毎週作成するような定型の報告書や請求書などを、ボタン一つで自動生成します。

  • 外部データ連携: データベースや他のシステムからデータを取得してExcelシートに取り込んだり、逆にExcelのデータを外部システムに書き出したりします。

  • 入力フォーム作成: ユーザーフォームを使って、データ入力専用の画面を作成し、入力ミスを防いだり、入力作業を効率化したりします。

  • ユーザー定義関数 (UDF): 組み込み関数だけでは実現できない複雑なカスタム計算ロジックを関数化し、シート上で手軽に利用できるようにします。

Access

Excelに次いでVBAがよく使われるのがAccessです。

  • データベースアプリケーション構築: Accessを単なるデータ格納庫としてだけでなく、フォームやレポート、VBAによるロジックを組み合わせて、本格的な(小〜中規模の)業務アプリケーションとして構築します。

  • 複雑なデータ処理・バリデーション: フォーム入力時のチェック処理、テーブル更新時の複雑な連動処理、バッチ処理などをVBAで実装します。

  • レポートの自動生成とカスタマイズ: 定型レポートの自動印刷や、複雑な条件に基づくレポートの動的な生成を行います。

  • 外部システム連携: 他のデータベースやExcelファイルとのデータ連携を自動化します。

Word

定型的な文書作成業務でVBAが役立ちます。

  • 文書テンプレートの自動生成: 契約書、報告書、送付状など、定型の文書テンプレートにデータを差し込んで自動生成します。

  • 書式設定の自動化: 文書全体のスタイル統一や、特定のパターンの文字列に対する書式設定などを自動で行います。

  • 差し込み印刷の高度な制御: 標準の差し込み印刷機能では対応できない複雑な条件分岐などをVBAで実現します。

Outlook

メールの送受信や予定表管理に関する作業を自動化します。

  • メールの自動処理: 受信メールの内容に基づいて自動でフォルダに振り分けたり、特定のメールに自動返信したり、添付ファイルを自動保存したりします。

  • 定型メールの自動作成・送信: 宛先や本文の一部を自動生成してメールを送信します。

  • 予定表の自動登録: 他のアプリケーションの情報に基づいて予定表にアイテムを登録します。

PowerPoint

プレゼンテーション資料作成の効率化に使われます。

  • 定型スライドの自動生成: Excelのデータなどからグラフや表を含むスライドを自動生成します。

  • 図形や書式の一括操作: 多数のスライドにわたる図形の整列や、書式の統一などを自動で行います。



これらに加え、複数のOfficeアプリケーション間でデータを連携させるようなマクロもVBAで作成可能です。

VBAは、まさにOfficeスイートの能力を最大限に引き出し、日々の業務を効率化するための「縁の下の力持ち」として、多くの現場で活躍しています。

Webアプリケーション開発

歴史的には、VB.NETはMicrosoftのWebアプリケーションフレームワークである ASP.NETの一部として、Web Formsというモデルを用いたWeb開発にも利用されていました。

Web Formsは、クラシックVBのRADの考え方をWeb開発に持ち込もうとしたもので、サーバー側で状態を保持し、ドラッグ&ドロップでUI部品を配置するような開発スタイルを提供しました。


しかし、Web Formsは現代的なWeb開発のパラダイムとは相性が悪く、パフォーマンスやスケーラビリティの面でも課題がありました。

現在ではレガシーな技術と見なされており、Microsoft自身も後継の ASP.NET MVCASP.NET Coreへの移行を推奨しています。


ASP.NET Coreでは VB.NETも利用可能ですが、C#が圧倒的に主流です。

したがって、新規のWebアプリケーション開発でVB.NET(特にWeb Forms)が採用されることは極めて稀であり、主に既存の古いASP.NET Web Formsアプリケーションの保守が中心となります。

既存システムの保守・改修

これは特定の応用分野というよりは、VB/VBAスキルが現在求められる主要な「状況」と言えます。

前述の通り、過去にVB6、 VB.NET、VBAで開発されたシステムやツールは膨大な数が存在し、今も動き続けています。


これらのレガシーシステムの維持管理は、多くの企業にとって重要な課題です。

OSのバージョンアップへの対応、セキュリティ問題への対処、ビジネス要件の変化に伴う機能追加や修正、あるいは将来的なシステム移行に向けた調査や準備など、既存のVB/VBAコードを理解し、適切に対応できるエンジニアのスキルは、これらのシステムが存在し続ける限り必要とされます。


まとめると、現代においてVB.NETは主にWindowsデスクトップの業務アプリケーション開発と保守、VBAはOfficeアプリケーションの自動化と拡張、そしてクラシックVBはレガシーシステムの保守という領域で、それぞれの役割を果たしていると言えます。

VB/VBAエンジニアのキャリア:年収と将来性

VB.NETやVBAのスキルを持つエンジニアは、現代のソフトウェア開発市場においてどのようなキャリアを歩むことができ、どの程度の報酬が期待でき、そしてその技術の将来性はどうなのでしょうか?

ここでは、VB/VBAエンジニアのキャリアに関する現実的な側面を探っていきます。

VB/VBAエンジニアに求められるスキル

VB/VBAを扱うエンジニアに求められるスキルは、主に担当する言語と、その応用分野によって異なります。

VB.NETエンジニアの場合

  • VB.NET言語の深い理解: オブジェクト指向、LINQ、Async/Await、.NETクラスライブラリなどの機能を習熟していること。

  • Windowsアプリケーション開発経験: Windows FormsまたはWPFを用いたUI開発、イベント駆動プログラミング、コンポーネント利用の経験。

  • データベース連携スキル: SQL ServerやOracle、あるいはAccessなどのデータベースと連携し、ADO.NETやEntity Frameworkなどを用いてデータ操作を行うスキル。SQLの知識は必須。

  • 業務分析・設計能力: 担当する業務システムの要件を理解し、それをソフトウェアの設計に落とし込む能力。ドメイン知識が重要になることも。

  • .NETプラットフォームの知識: .NET Frameworkや.NET Core/.NET 5+の基本的な仕組み、CLR、アセンブリなどに関する理解。

  • テスト: 単体テストや結合テストの基本的な知識と実践経験。

  • バージョン管理: Gitなどのバージョン管理システムの利用経験。

  • C#への理解: .NETプラットフォームの主流であるC#を理解していると、技術情報の収集や将来的なスキルチェンジに有利。

VBAエンジニアの場合

  • VBA言語の基礎: 変数、制御構造、関数・サブルーチン、エラーハンドリングなど、VBAの基本的な文法とプログラミングの概念。

  • 対象Officeアプリケーションの高度な知識: 特にExcelAccessについて、その機能、オブジェクトモデルを深く理解し、VBAから効果的に操作できること。Word, Outlook, PowerPointについても同様。

  • 業務改善・自動化のスキル: どのような作業を自動化すれば効果が大きいかを見極め、それをVBAマクロとして実現する能力。業務プロセスの分析力。

  • データベースの基礎知識: リレーショナルデータベースの概念、SQLの基本的な知識。

  • デバッグとトラブルシューティング: 作成したマクロが正しく動作しない場合に、原因を特定し修正する能力。

  • ユーザーとのコミュニケーション能力: 現場の担当者の要望を正確にヒアリングし、作成したツールの使い方を説明する能力。

クラシックVB (VB6) 保守エンジニアの場合

  • VB6言語と開発環境への深い知識: VB6固有の構文、ActiveX/COMコンポーネント、古いデータベース接続方法に関する知識。

  • レガシーコードの読解・デバッグ能力: ドキュメントが少ない、あるいは構造化されていない古いコードを読み解き、問題を特定・修正する能力。

  • Windows OSの古いバージョンに関する知識: VB6が動作していた時代のOS環境に関する知識が役立つ場合も。

  • 移行計画に関する知識: VB6システムをVB.NETや他のモダンな技術へ移行するための知識や経験。

求められるスキルは、どのVB/VBAを扱うかによって大きく異なる点に注意が必要です。

VB/VBAエンジニアの年収

VB/VBAエンジニアの年収水準は、他のモダンなプログラミング言語を専門とするエンジニアと比較した場合、一般的には同等か、やや低い傾向が見られます。

これは主に、新規開発案件の減少や、言語自体の市場価値の相対的な低下を反映しています。

しかし、一概に低いとは言えません。

年収は、扱う言語、経験年数、スキルレベル、専門性、そして勤務先の企業や業界によって大きく左右されます。

VBAスキル

VBAスキル単体で非常に高い年収を得るのは難しいことが多いです。多くの場合、特定の業務知識と組み合わせて「業務改善ができる人材」として評価されます。

年収レンジとしては350万円~600万円程度が一般的ですが、高度な自動化によって大きなコスト削減を実現できる場合などは、それ以上の評価を得る可能性もあります。

ただし、プログラミング専門職としてのキャリアパスとしては限界があります。

VB.NETスキル

Windows業務アプリケーション開発の経験を持つVB.NETエンジニアの場合、年収レンジは450万円~800万円程度が目安となります。

経験豊富で、大規模システムの開発・保守経験や、特定の業務ドメイン知識を持つシニアエンジニアであれば、これ以上の年収を得ることも可能です。

ただし、同等の経験を持つC#エンジニアと比較すると、やや低い水準になる傾向が見られます。

クラシックVB (VB6) 保守スキル

これは非常にニッチな市場です。求人数は極めて少ないですが、特定のレガシーシステムを維持するために不可欠なスキルを持つベテランエンジニアの場合、その希少性から高単価で雇用されるケースも存在します(例: 年収800万円以上)。

しかし、これはあくまで例外的な状況であり、スキルとしての将来性は極めて低いと考えられます。


VB/VBAスキル単体での高年収維持は難しくなりつつありますが、他のスキルと組み合わせることでキャリアの可能性を広げることができます。

VB/VBAの将来性

VB/VBAファミリーの将来性については、言語ごとに見通しが大きく異なります。

クラシックVB (VB6以前)

はっきり言及してしまうと、将来性はないでしょう。

Microsoftのサポートは完全に終了しており、技術的にも時代遅れです。

スキルとしての価値はレガシーシステムの保守に限定され、それも徐々に減少していくでしょう。

VB6からの移行は喫緊の課題です。

VBA

Officeアプリケーションがビジネスシーンで広く使われ続ける限り、VBAによる自動化の需要は当面の間、存続すると考えられます。

特にExcelやAccessの現場では、手軽で効果的な業務改善ツールとして根強い人気があります。

しかし、Office Scriptsの登場と進化、RPAやPythonなど他の自動化技術の普及、そしてセキュリティリスクへの懸念から、長期的に見ればその役割は徐々に縮小していく可能性が高いです。

VBAスキルだけに依存するのは将来的なリスクが伴います。

VB.NET

.NETプラットフォームの一部として、Microsoftによるサポートは今後も継続されます。

VB.NETで書かれた既存の業務システムは膨大であり、これらの保守・運用需要は当面続くでしょう。

Windowsデスクトップアプリケーション開発においても、一定の需要は維持されると考えられます。

しかし、新規開発においてはC#が圧倒的に主流となっており、VB.NETのシェアは今後も縮小していく可能性が高いです。特にクロスプラットフォーム開発のトレンドにおいては、 VB.NETは取り残されつつあります。

VB.NETスキルはまだ有効ですが、将来のキャリアを考えると、C#や他のより需要の高い言語・技術への関心や学習を進めることが賢明と言えるでしょう。

結論

結論として、VB/VBAスキルは、特定の状況下では依然として価値を持ちますが、技術トレンド全体から見ると、その将来性は限定的と言わざるを得ません。

特にこれからプログラミングを学ぶ若い世代が、メインスキルとして積極的に選択するにはリスクが高い状況です。

既存のVB/VBAスキルを持つエンジニアは、そのスキルを活かしつつも、市場価値の高い他の技術へのシフトやスキルの掛け合わせを視野に入れることが、長期的なキャリア安定のために重要となります。

フリーランスエンジニアの皆様

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まとめ

この記事では、「VB/VBAとは何か?」という問いを起点に、Microsoftが生み出したBASIC言語ファミリーの歴史、それぞれの言語(クラシックVB、VB.NET、VBA)の特徴と関係性、メリットとデメリット、応用分野、そしてエンジニアとしてのキャリアと将来性について、包括的に解説してきました。

VB/VBAスキルは、既存システムの保守特定の業務効率化といった文脈においては、依然として需要が存在します。

特に経験豊富なエンジニアは、ニッチな市場で評価される可能性もあります。

しかし、技術トレンド全体から見れば、これらの言語の将来性は限定的であり、新規開発の主役となることは稀です。

この記事が、VB/VBAという歴史ある言語ファミリーに対する理解を深め、その価値と限界を正しく認識し、今後の学習や技術選択、キャリアプランニングを考える上での一助となれば幸いです。

技術は常に移り変わりますが、それぞれの技術が果たしてきた役割と、そこで培われた問題解決の考え方を学ぶことは、未来を考える上でもきっと役立つはずです。