フリーランスエンジニアのリモート案件の実際|フルリモート・一部リモート・常駐の割合と条件の違い
最終更新日:2026/09/10
フリーランスエンジニアのリモート案件とは、業務委託契約のうち出社を伴わない、または出社頻度を限定した働き方の案件です。「リモート案件は少ない」と言われますが、形態ごとに件数も条件も大きく違います。リモートで働きたいフリーランス・独立検討中のエンジニアに向け、掲載案件の実データで形態別の割合・単価・確認すべき条件を整理します。
先に結論
リモート案件は一枚岩ではない。フルリモート/一部リモート/基本リモート/常駐で条件がまるごと変わる
フリコン掲載62,934件のうち、特徴タグにフルリモートが15,805件(25.1%)、一部リモートが21,105件(33.5%)
フルリモートの平均単価81万円・中央値の帯は月90万円で、全掲載(平均80万円・中央値の帯80万円)を下回らない。「リモートだと単価が下がる」は掲載データでは確認できない
企業側の環境は逆方向に動いている。テレワーク導入企業は47.3%で令和4年から減少傾向(総務省・令和6年調査)
応募前に効くのは形態の名前ではなく、出社頻度・出社理由・稼働時間帯・情報管理の4点を条件として確認すること
この記事でわかること
リモート案件の4形態の違いと、募集要項での見分け方
形態別の掲載件数・比率・単価帯(フリコン掲載データ)
企業のテレワーク導入率と、案件側の実態がずれている理由
リモート案件のメリットと、形態ごとに違う注意点
応募前に確認すべき就業条件のチェック項目
目次
リモート案件は4つの形態に分かれる|言葉の定義から整える
形態別の掲載件数と単価|フリコン掲載62,934件の内訳
リモート案件を取り巻く外部環境|企業のテレワーク導入率は減少傾向
リモート案件のメリット
形態ごとに違う注意点
応募前に確認する就業条件チェック
リモート案件の実例|単価帯別に3件
参画後に効くこと|報連相と情報管理
リモート案件をどこから探すか
まとめ
よくある質問
リモート案件は4つの形態に分かれる|言葉の定義から整える
「リモート案件」という一語で探すと、条件がまったく違う案件が同じ検索結果に並びます。募集要項で使われる表現は、実務上は次の4つに分けて読むと精度が上がります。
形態 | 出社頻度 | 募集要項での典型表現 | 居住地の制約 |
|---|---|---|---|
フルリモート | 原則ゼロ | 「フルリモート」「完全リモート」 | 案件によるが緩い |
基本リモート | 打ち合わせ・立ち上げ時のみ | 「基本リモート」「リモート(一部出社あり)」 | 出社日に通える範囲が望ましい |
一部リモート | 週1〜月数回 | 「一部リモート」「リモート併用」「週2出社」 | 通勤圏内 |
常駐 | 週4〜5日 | 「常駐」「オンサイト」 | 通勤圏内 |
フルリモート(出社ゼロ)
出社を前提としない形態です。契約期間中に一度も出社しないケースもありますが、キックオフや年1回の全体会議など例外が設定される案件もあります。
基本リモート(打ち合わせ・キャッチアップ時のみ出社)
実務で最も判断を誤りやすい形態です。「基本リモート」と書かれていても、参画直後の1〜2か月は毎日出社という条件が付くことがあります。掲載タイトルが「(基本リモート)」でも、特徴タグはフルリモートに分類されている案件があるため、タグと本文の両方を読む必要があります。
一部リモート(週1〜月数回の出社)
出社日が固定されている案件と、チームの都合で変動する案件があります。変動型は「月2回程度」の記載でも、繁忙期に増えることがあります。
常駐(出社前提)
出社が業務要件になっている形態です。金融・公共系や、検証機・実機を触る案件で残りやすい傾向があります。常駐で働く場合の立ち回りは常駐型フリーランスエンジニアのメリット・デメリットと成功するコツで扱っています。
形態別の掲載件数と単価|フリコン掲載62,934件の内訳
先に集計の性質を明示します。以下はフリコンが掲載時に付与している特徴タグ別に、募集レンジの上限を集計した平均・分布です。成約単価の実績ではありません。時点は2026年9月10日です。
表の「中央値の帯」は、件数を単価の低い帯から積み上げて全体の50%に達する帯を指します(最も件数が多い帯とは一致しない場合があります)。集計対象は各タグが付与された案件のみで、リモート関連タグが付いていない案件は含みません。フルリモートと一部リモートは併存しないタグで、確認した掲載100件でも両方が付いた案件はありませんでした。
特徴タグ | 掲載件数 | 全掲載62,934件に対する比率 | 平均単価 | 中央値の帯 |
|---|---|---|---|---|
一部リモート | 21,105件 | 33.5% | 76万円 | ~80万円 |
フルリモート | 15,805件 | 25.1% | 81万円 | ~90万円 |
フレックス | 416件 | 0.7% | 76万円 | ~80万円 |
常駐 | 496件 | 0.8% | 70万円 | ~70万円 |
フルフレックス | 137件 | 0.2% | 80万円 | ~90万円 |
「リモート案件は少ない」という前提は、掲載状況には当てはまらない
フルリモートだけで15,805件、一部リモートと合わせて36,910件(58.6%)です。少なくとも、リモートで働ける案件が例外的に少ないという状況ではありません。
ただし読み方に条件があります。特徴タグが付いている案件の合計は37,406件で、全掲載の約6割です。 残りの約4割はリモート関連のタグが付与されていないため、「常駐は0.8%しかない」とは読めません。タグなし案件の出社条件は、個別の募集要項を読む必要があります。
単価は下がるどころか、フルリモートのほうが帯は上に寄る
フルリモートの平均81万円・中央値の帯90万円は、全掲載の平均80万円・中央値の帯80万円を下回りません。一部リモート(平均76万円・中央値の帯80万円)や常駐タグ(平均70万円・中央値の帯70万円)よりも上に位置します。
もっとも、これを「リモートにすれば単価が上がる」と読むことはできません。フルリモートで募集される案件はWeb系・SaaS系に寄りやすく、常駐が残る案件は業務系・検証系に寄ります。帯の差には、案件の領域や求められる経験の違いが含まれます。 単価そのものの決まり方はエンジニアの単価を上げる5つの方法、相場の全体像はフリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方で整理しています。
自分がどの帯を狙えるか気になる方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で市場単価の目安を確認できます。
ミニFAQ:形態別データの読み方
Q. フルリモートの件数は増えているのですか?
本記事の集計は2026年9月10日時点の断面で、推移は含みません。時系列の傾向はこの数字からは言えません。掲載中の件数はフルリモートのフリーランス案件一覧で随時確認できます。
リモート案件を取り巻く外部環境|企業のテレワーク導入率は減少傾向
案件側とは逆に、企業全体のテレワーク導入は縮小しています。総務省の令和6年通信利用動向調査(令和7年5月30日公表・調査時点は令和6年8月末)によると、テレワークを導入している企業の割合は47.3%で、令和4年から減少傾向にあります。個人側で過去1年にテレワークを実施した経験がある人は28.2%でした(調査のポイント)。
導入目的の重心も動いています。「新型コロナウイルス感染症への対応」は前年より減り、「勤務者のワークライフバランスの向上」「業務の効率性(生産性)の向上」が増えています。つまり感染対策として一時的に導入した企業が戻る一方、生産性を理由に残す企業が残ったという構図です。
この2つを合わせると、リモート案件の実務的な意味はこうなります。全体の企業数では出社回帰が起きている。それでも、リモート前提で開発を回す会社が業務委託の募集を出し続けているため、掲載案件では1万5千件規模のフルリモートが成立している。探す側にとって重要なのは市場全体の平均ではなく、その1万5千件にどう当たるかです。
リモート案件のメリット
日本全国どこでも働ける
常駐案件は東京・大阪・名古屋・福岡などの主要都市に集中します。フルリモートであれば、居住地の条件は緩くなります。ただし立ち上げ時の出社や、時差のない時間帯での稼働を求める案件もあるため、居住地を問わないとまでは言えません。
一点、実務上の注意があります。フルリモート案件でも募集要項には勤務地が記載されます。 本記事の後半で挙げる実例3件も、勤務地は豊洲・六本木一丁目・五反田といずれも東京都表記ですが、特徴タグはフルリモートです。勤務地欄を出社必須と読むと、応募できる案件を自分で狭めてしまいます。地方在住での探し方は地方フリーランスエンジニアの単価相場|東京との差とフルリモート案件の探し方にまとめました。
働く時間の融通がききやすい
通勤時間がなくなる分、始業・終業の調整幅が広がります。コアタイムを外した時間の使い方も可能です。
08:00-11:00:仕事
11:00-14:00:私用(通院・家事・育児など)
14:00-17:00:仕事
17:00-20:00:私用
20:00-22:00:仕事
ただし、この自由度は案件の条件次第です。フルリモートでもコアタイムが指定されている案件は珍しくありません。時間の裁量を重視するなら、フルリモートかどうかではなくフレックス条項があるかを見ます。掲載データではフルフレックスが137件、フレックスが416件で、時間の裁量が明示された案件は件数としては限られます。
人間関係のストレスが減りやすい
リモートにしても人間関係の課題がゼロになるわけではありません。むしろチャット中心になることで、意図が伝わりにくくなる面もあります。そのうえで、負荷が下がりやすいのは次の点です。
苦手な相手と毎日対面しなくてよい(オンライン会議で最小限に収まる)
作業中に不意に話しかけられて集中が切れることが減る
身なりの準備にかける時間が短くなる
形態ごとに違う注意点
リモートの注意点は「リモート全般」でまとめると実務で使えません。形態ごとに詰まりやすい箇所が違います。
形態 | つまずきやすい点 | 応募時に確認しておくこと |
|---|---|---|
フルリモート | オンボーディングが薄いと立ち上がりに時間がかかる | 参画初月の受け入れ体制、質問先の窓口 |
基本リモート | 参画直後だけ毎日出社の条件が隠れている | 「基本」の例外がいつ・何日発生するか |
一部リモート | 出社日が固定か変動か、繁忙期に増えるか | 直近3か月の実際の出社頻度 |
常駐 | リモートへの切り替えが後から通りにくい | 契約更新時に条件変更の相談が可能か |
常駐からリモートへ移りたい場合の手順は常駐からリモート案件への切り替え手順|交渉・実績づくり・3ヶ月ロードマップ、常駐とフルリモートを条件面で並べた比較は客先常駐とフルリモート案件の違い|単価・働き方・向いている人で選ぶで扱っています。
応募前に確認する就業条件チェック
形態名だけでは条件は決まりません。応募前に次の4カテゴリを埋めておくと、参画後の想定違いが減ります。
確認項目 | 具体的に聞くこと | 確認しないと起きること |
|---|---|---|
出社頻度 | 月あたり何日か。固定日か変動か | 「基本リモート」で週3出社になる |
出社の理由 | 定例会議・検証機の操作・セキュリティ要件のどれか | 理由が機器や規程なら後から解除できない |
稼働時間帯 | コアタイムの有無、会議が集中する時間 | 時間の裁量を期待して裏切られる |
情報管理 | 貸与端末の有無、私物端末(BYOD)可否、VPN・持ち出し制限 | 手元の環境で作業できず初週から止まる |
このうち情報管理は事前確認の抜けが多い項目です。総務省のテレワークにおけるセキュリティ確保では、テレワーク時に想定される脅威と対策の考え方が整理されています。発注側の規程がここに沿っている前提で条件が組まれることも多いため、目を通しておくと会話が早くなります。
リモート案件の実例|単価帯別に3件
フリコン掲載中の案件から、特徴タグがフルリモートのものを単価帯別に挙げます(2026年9月10日時点の掲載内容)。
帯 | 案件 | 月額単価 | 主な担当範囲 |
|---|---|---|---|
ボリュームゾーン | 60〜70万円 | 基幹システムのエンハンス開発、新機能の要件定義〜リリース | |
ミドル | 80〜90万円 | GoでのAPI設計・開発、AWS/GCPでのサーバ構築・運用 | |
上位 | 100〜110万円 | 要件定義から参画、FW選定、アーキテクチャ検討・設計・実装 |
担当範囲を並べると、上の帯へ行くほど「実装する」から「決める」へ重心が移っています。フルリモートかどうかは帯を決める要素ではなく、要件定義やアーキテクチャ選定にどこまで入るかで帯が変わっています。
掲載中の案件はフルリモートのフリーランス案件一覧、一部リモートのフリーランス案件一覧から確認できます。なお、フリコンで取り扱う案件のうち公開しているものは一部で、条件に合うものが見つからない場合は希望条件を伝えていただく形が確実です。
参画後に効くこと|報連相と情報管理
報連相の粒度を上げる
リモートでは、進捗が見えないこと自体がリスクとして扱われます。対面なら様子で伝わっていた情報を、意識的に文字にする必要があります。
区切りのよいところまで進んだら、結果を1〜2行で報告する
調べても判断がつかないことは、調べた範囲を添えて質問する
停滞しているときは、停滞していること自体を先に伝える
3つめが最も効きます。遅れの報告が遅れることが、リモートでの信頼低下の主因になりやすいためです。継続の判断は、成果だけでなくこの見通しの共有量で決まる面があります。
情報管理のルールを最初に握る
貸与端末なのか私物端末なのか、ソースコードの持ち出し可否、VPN接続の要否。ここは参画初日から効きます。規程が固い現場では、環境の受け取りに数日かかることもあります。
リモート案件をどこから探すか
探し方の要点は3つです。
エージェントに条件を登録し、フルリモートの新着を受け取る形にしておく
求人サイトやコミュニティは、条件の記載が粗いため募集要項の原文で確認する
スキルシートに、リモートでの稼働実績と自走できる範囲を明記する
3つめが差になります。発注側の懸念は「見えない場所で進むか」なので、フリーランスエンジニアのスキルシートの書き方を参考に、リモート下での担当範囲と成果を具体的に書いておくと通過率が変わります。
フルリモートに絞った探し方・向いている職種・職種別の単価レンジはフルリモート フリーランスエンジニアの案件事情|探し方・単価相場・向いている職種で詳しく扱っています。在宅ワークとしての働き方の実際はフリーランスエンジニアの在宅案件の実際と必要なスキル・メリットデメリット、複数案件の条件をどう比べるかは案件の選び方|フリーランスエンジニアが単価・稼働・スキルで決める優先順位を参照してください。
まとめ
リモート案件を探すうえで実務的に効くのは、「リモートかどうか」ではなく「出社頻度と出社理由がどう決まっているか」を条件として確認することです。
要点をまとめます。
リモート案件は4形態(フルリモート/基本リモート/一部リモート/常駐)に分かれ、条件が別物
フリコン掲載62,934件のうちフルリモート15,805件(25.1%)・一部リモート21,105件(33.5%)。リモートで働ける案件が例外的に少ない状況ではない(2026年9月10日時点・募集レンジ上限の集計)
ただしリモート関連タグの付与は全掲載の約6割にとどまり、残り4割は募集要項で個別に読む必要がある
フルリモートの平均81万円・中央値の帯90万円で、単価が下がる傾向は掲載データでは確認できない
企業全体ではテレワーク導入率47.3%で減少傾向(総務省・令和6年調査)。それでもリモート前提で開発する会社の募集は残っている
応募前に確認するのは出社頻度・出社の理由・稼働時間帯・情報管理の4点
次のステップとして以下が候補になります。
自分が許容できる出社頻度を月あたりの日数で決める
フルリモートのフリーランス案件一覧で実際の募集条件を見る
スキルシートにリモートでの担当範囲と自走できる範囲を書き足す
狙う単価帯が決まっていなければフリーランスエンジニア単価診断で目安を出す
参照リソースは次のとおりです。
総務省|通信利用動向調査 報道発表資料(企業・個人のテレワーク実施状況)
総務省|令和6年通信利用動向調査のポイント(導入率47.3%・実施経験28.2%の出典)
総務省|テレワークにおけるセキュリティ確保(想定される脅威と対策の考え方)
よくある質問
「基本リモート」と「フルリモート」は同じ意味ですか?
募集要項の表記としては別ですが、掲載側の分類では同じ扱いになることがあります。実例として、タイトルが「(基本リモート)」の案件で特徴タグがフルリモートになっているものがあります。タイトルの表現だけで判断せず、出社日数を条件として確認してください。
リモート案件は単価が下がりますか?
フリコン掲載の集計では下がっていません。フルリモートの平均は81万円・中央値の帯は月90万円で、全掲載(平均80万円・中央値の帯80万円)を上回ります。ただしタグ付き案件のみの募集レンジ上限の集計であり、成約単価の実績ではありません。
フルリモートなのに勤務地が書かれているのはなぜですか?
発注元の所在地や案件の管理拠点が記載されているためです。特徴タグがフルリモートであれば、その勤務地への常時出社は前提になっていません。判断に迷う場合は出社頻度を確認してください。
地方在住でもフルリモート案件に参画できますか?
参画している方はいます。ただし立ち上げ時のみ出社を求める案件や、出社可能な範囲の居住を条件にする案件もあるため、初月の条件と居住地条件を先に確認してください。
経験年数が浅いとリモート案件は難しいですか?
難しくなる傾向はあります。リモートは仕様の曖昧さを自分で詰める前提になりやすく、発注側が実務経験3年以上を条件に置くケースが多いためです。実務が浅い段階では、一部リモートで受け入れ体制がある案件から入る選択肢もあります。
フルリモートの案件はすぐ埋まりますか?
条件の良い案件は問い合わせが集中しやすく、募集が早期に終了することがあります。ただし件数自体は1万5千件規模で掲載されているため、1件を追いかけるより条件を登録して新着を受け取る形のほうが現実的です。
私物のPCで作業できますか?
案件によります。貸与端末での作業を必須とする案件、VPN経由のみ許可する案件、私物端末を条件付きで認める案件があります。契約前に確認する項目です。
稼働時間を自由に決められますか?
形態とは別の条件です。フルリモートでもコアタイム指定がある案件は多く、時間の裁量が明示された案件(フルフレックス137件・フレックス416件)は件数としては限られます。時間を優先するなら、フレックス条項の有無で絞ってください。
リモートだと契約を切られやすいのでしょうか?
形態そのものが理由になるケースは多くありません。切られやすいのは進捗や課題の共有が薄い場合です。報告の頻度と、遅れを早く出すことで下げられるリスクです。
常駐で参画したあとにリモートへ変更できますか?
契約更新のタイミングで相談する形になります。ただし出社理由が検証機の操作やセキュリティ規程にある場合は、実績を積んでも変更が通りにくくなります。応募時点で出社の理由を確認しておくことが分岐点です。


