フロントエンドエンジニアとは?仕事内容や必要なスキル、年収、やりがいを解説
最終更新日:2025/02/20

「フロントエンドエンジニア」という言葉は聞き馴染みのある方がほとんどだと思います。 一方で、彼らが一体どんな業務を行い、どんなスキルを持っているのか、どのくらいの年収なのかを詳細に理解している方は少ないと思います。そこでこの記事では、ある程度知っているという人から、聞いたこともないという人まで、全ての人に向けて「フロントエンドエンジニア」について具体例を用いてわかりやすく解説していきます。
目次
フロントエンドエンジニアとは
フロントエンドエンジニアとその他の職種との違い
フロントエンドエンジニア仕事内容
フロントエンドエンジニアが使用するスキル
フロントエンドエンジニアの年収、案件例
フロントエンドエンジニアのキャリアパス
フロントエンドエンジニアに向いている人
フロントエンドエンジニアのやりがい
フロントエンドエンジニアは「つらい」と言われる理由
フロントエンドエンジニアになるには
フロントエンドエンジニアは「オワコン」と言われる理由
まとめ
フロントエンドエンジニアとは
まず、フロントエンドエンジニアとはどのようなエンジニアのことを指すのかを見ていきましょう。
それにはまず、そもそも「フロントエンド」とはどういう意味なのかを知っておく必要があります。「フロントエンドとは?」を簡単に説明すると、ユーザーが直接目にする部分や、操作する部分のことを指します。
「フロントエンド」とはどのようなものなのか具体的に見ていき、フロントエンドエンジニアとはどのようなエンジニアなのか理解を深めていきましょう。
私たちが普段、PCやスマートフォンを使ってアクセスするwebアプリケーションは、主にクライアントサイドとサーバーサイドという2つの要素から構成されています。
webアプリケーションにおいて、クライアントサイドでは、利用者がwebページを閲覧・操作します。利用者がwebページを操作すると、サーバーサイドに要求が送られます。そして、サーバーサイドは送られてきた要求に対し、必要なデータを取得したり、保存・処理を行ったりします。
Amazonや楽天市場などのECサイトの例を用いて説明すると、ユーザーがクライアントサイドで「カバン」と検索すると、この検索内容はサーバーサイドに送られ、サーバーサイドはデータベースから「カバン」の商品情報を探して、適切なデータをクライアントサイドに返します。そして、クライアントサイドがそのデータを画面に表示します。
クライアントサイドはユーザーが触る窓口であり、サーバーサイドは裏で動く頭脳という役割を果たしていると言うことがわかると思います。
そして、このクライアントサイドこそが、「フロントエンド」と呼ばれている領域です。
フロントは「向き合う」という意味ですが、フロントエンドエンジニアはユーザーが直接向き合う画面を設計するエンジニアです。
フロントエンドエンジニアとその他の職種との違い
フロントエンドエンジニアとはどのような職種なのか理解できましたでしょうか?
では、フロントエンドエンジニアとその他のエンジニアは何が違うのでしょうか?
混同しやすい「コーダー」と「システムエンジニア(SE)」との違いをみていきましょう。
フロントエンドエンジニアとコーダーの違い
上述したようにフロントエンドエンジニアは、Webアプリケーションの、ユーザーが直接触れる部分を設計・実装するエンジニアです。
デザイナーが作成したデザインデータをもとに、実際のWebサイトやアプリケーションとして動作する形に落とし込みます。
しかし、ただデザイナーが作成した見た目の設計図どおりにWebページを作成するだけでは、「フロントエンドエンジニア」とは呼ばず「コーダー」と呼ばれる職種になります。
「コーダー」と呼ばれる役割では、デザイナーが作成した設計図(デザインカンプ)を忠実にHTMLやCSSといったコードを使用して、静的なWebページを作成します。
それに対し「フロントエンドエンジニア」は、デザインを再現するだけでなく、動的要素やインタラクションを実装します。
要するに2次元的な実装のみをするのが「コーダー」、2次元的な実装に加えて3次元的な動きを実装するのが「フロントエンドエンジニア」です。
他にも、データのやりとりができるようにバックエンドと連携したり、バグを修正したり、デバイスごとに最適なデザインになるようなレスポンシブデザインと呼ばれるものを実装したりと、コーダーよりも複雑で頭を使う作業をおこないます。
コーダーはプログラミング的思考があまり必要ありませんが、フロントエンドエンジニアはプログラミング的思考力が重要になってきます。
このように、フロントエンドエンジニアとコーダーは似て非なるものであると言えます。
フロントエンドエンジニアとシステムエンジニア(SE)との違い
フロントエンドエンジニアとシステムエンジニア(SE)は、IT業界における重要な役割を果たしていますが、それぞれの業務内容やスキル、視点には明確な違いがあります。
「フロントエンドエンジニア」は、Webサイトやアプリケーションの「見た目」や「ユーザーが直接触れる部分」の開発を担当します。HTML、CSS、JavaScriptといった技術を駆使し、デザインやユーザーインターフェース(UI)を具現化します。
また、効率的にインタラクティブな機能を実装します。フロントエンドエンジニアは、ユーザーエクスペリエンス(UX)を重視し、視覚的な美しさや操作性の向上を目指す役割を担っています。
一方、「システムエンジニア(SE)」は、システム全体を設計・管理する職種であり、フロントエンドやバックエンドを含むシステム全体の構造を考えます。
クライアントの要求をヒアリングし、それをもとにシステムの要件定義や設計、仕様書作成を行います。
プロジェクトの進行管理や、テスト工程、納品後の運用サポートもSEの重要な業務です。SEは、フロントエンドの技術だけでなく、バックエンドやインフラに関する知識も持ち、プロジェクト全体を俯瞰する視点が求められます。
両者は異なる役割を持ちながらも、システムやサービスを成功させるために密接に協力する必要があります。フロントエンドエンジニアがユーザー体験を最適化し、SEがその基盤を支えることで、全体として機能する高品質なシステムが構築されます。
フロントエンドエンジニア仕事内容
ここまで、「フロントエンドエンジニアはどのような職種なのか」に焦点を当てて説明してきました。
次に、フロントエンドエンジニアの仕事内容をより詳しく解説していきます。
フロントエンドエンジニアの仕事内容は、上述したように主にWebサイトやWebアプリケーションの「見た目」や「ユーザーが操作する部分」を作成することです。
ユーザー体験(UX)やインターフェース(UI)を重視し、デザインをコードに落とし込みながら、使いやすく魅力的なフロントエンドを実現します。以下に具体的な仕事内容を挙げて説明していきます。
UI/UXの実装
フロントエンドエンジニアの基本的な業務は、HTMLやCSSを用いてWebページの構造やスタイルを構築し、JavaScriptを使ってインタラクティブな動作を実現することです。
デザイナーが作成したワイヤーフレームやデザインカンプをもとに、視覚的なデザインを実際のWebページへと変換します。
これにより、ユーザーが見て触れる部分を形にする重要な役割を果たしています。
レスポンシブデザイン対応
現代のWebサイトやアプリケーションは、多様なデバイスでの利用が求められます。
フロントエンドエンジニアは、スマートフォンやタブレット、デスクトップなど異なる画面サイズに対応できるように、レスポンシブデザインを採用します。
メディアクエリやフレキシブルなレイアウト設計を活用し、どのデバイスでも快適に閲覧・操作ができる環境を提供するのがこの業務の目的です。
APIの連携
Webアプリケーションでは、バックエンドが提供するデータを利用するためにAPIとの連携が不可欠です。
フロントエンドエンジニアは、データを取得し、Webページやアプリケーション内に表示します。このデータ通信の実装により、リアルタイムで動作するインタラクティブなアプリケーションを構築します。
パフォーマンスの最適化
ユーザーが快適にWebページを利用できるよう、ページの読み込み速度を向上させるためのパフォーマンス最適化も重要な業務です。
画像ファイルの軽量化やコードの最適化を行い、ユーザーのストレスを軽減し、よりスムーズな操作感を実現します。
テストとデバッグ
Webサイトやアプリケーションの品質を保証するため、テストとデバッグも欠かせません。
フロントエンドエンジニアは、複数のブラウザやデバイスで互換性を確認し、コードの品質を検証します。
また、ユーザーに不具合が発生しないように細部まで確認し、必要に応じて修正を加えます。
ユーザー体験の向上
Webサイトやアプリケーションの品質を高めるため、Google AnalyticsやHotjarなどの分析ツールを活用し、ユーザーの行動データをもとに改善を行います。
また、アクセシビリティへの配慮も重要で、ARIA属性やキーボード操作への対応を行うことで、誰もが快適に利用できるUI/UXの提供を目指します。
このように、フロントエンドエンジニアは、Webサイトやアプリケーションの表層部分を中心に、視覚的なデザインからパフォーマンス、データ連携、ユーザー体験まで幅広い業務を担当します。
多様なスキルを駆使し、ユーザーに価値を提供する重要な役割を担っています。
フロントエンドエンジニアが使用するスキル
フロントエンドエンジニアが使用するスキルは、言語、フレームワーク、ライブラリで切り分けられます。
言語、フレームワーク、ライブラリは、フェーズや作るものによっても変わってきます。
また、web開発での言語は次々と新しいものが出てきたり、流行が変化したりします。
ここでは、最近のトレンドを添えながら、現在フロントエンド開発で使われることの多い一般的な言語やフレームワーク、ライブラリを簡単にご紹介します。
フロントエンドエンジニアが使用する言語
プログラミングにおける「言語」とは、コンピュータに指示を出して動作させるために使う言語のことで、何を目的に使うかによって、使用する言語が変わります。
フロントエンド開発でよく使われている言語は、以下の4つが代表的です。
HTML(HyperText Markup Language)
HTMLはWebページの基本構造を記述する言語で、見出しや段落、画像などを表示させるための言語です。
HTMLで文書の構造を指定し、CSSで色やサイズなどの装飾を指定します。現在の主流はHTML5です。
CSS
CSSは、Webページの色、フォント、レイアウトなどのスタイルを定義する言語です。
さまざまなデバイスで最適な表示になるようにするレスポンシブデザインを実現するためにも活用されます。
最近は、CSSグリッドやFlexboxによる高度なレイアウトや、CSSをより効率的に記述するためのメタ言語として開発されたSass(サス)がトレンドになっています。
JavaScript
JavaScriptは、フロントエンドの動的な機能を実装するためのスクリプト言語です。
CSSやHTMLでは表現できない、ユーザーの操作に合わせた機能を与えることができます。
例えば、ユーザーがメールアドレスを入力した際、送信前に正しい形式か確認し、正しい場合は送信、誤りがあればエラーメッセージを表示します(リアルタイムバリデーション)。
また、チャット形式のwebアプリで、新しいメッセージをサーバーから取得して、画面に即座に表示させるのにも、JavaScriptが使われています。
例を挙げるとキリがないですが、ユーザーがボタンクリックやスクロールなどの操作を行なうことで何かしら動きが現れる部分には、JavaScriptが使われています。
web開発をしっかり行っている企業のほとんどではJavaScriptが使われており、最近のフロントエンド開発はほぼ、CSSとHTMLとJavaScriptのセットで行われています。
名前がよく似ている言語に「Java」がありますが、これは主にバックエンド開発に使用されるもので、JavaScriptとは全くの別物です。
TypeScript
TypeScriptは、2014年頃に発表された、JavaScriptを拡張して作られたプログラミング言語です。
JavaScriptと互換性があるため、JavaScriptが実行できる環境ならすぐに使えて、Java ScriptライブラリもTypeScriptから使用できます。
TypeScriptはエラーが防ぎやすく、コードが読みやすいという特徴があり、大規模開発に向いています。
JavaScriptの知識がある開発者にとってはTypeScriptの学習はそれほど難しくはありませんが、JavaScriptより柔軟性に劣り、複雑になる場合があります。
フロントエンドエンジニアが使用するフレームワーク
フレームワークとは、「枠組み」という意味です。
プログラミングにおける「フレームワーク」とは、特定のジャンルのアプリケーションを効率よく作るために必要な部品があらかじめ用意された、工作キットのようなものです。
言語ごとに異なるフレームワークがあり、それぞれのフレームワークに名前がついています。
以下は、最近使われることが多いフロントエンド開発における代表的なフレームワークです。
React
Reactは、Facebook(現meta)が開発したJavaScriptライブラリですが、実質的にはフレームワーク的に使用されています。
動的でユーザーインタラクションが多いwebアプリケーションに使われることが多く、具体的には、SNSサイトにおいてユーザーの投稿やフィードがリアルタイムで更新される動的UI(見た目のデザイン)を構築したり、ECサイトで商品の画像ギャラリーやカートの動作をスムーズに制御したりできます。
Angular
Angularは、Googleが開発したJavaScriptのフレームワークです。
Angularには、webアプリケーションの開発に必要なすべての機能が揃っていて、JavaScriptフレームワークの中でも特に人気のあるフレームワークです。
複雑なデータや機能を持つ大規模アプリケーションの開発に向いています。
企業向けダッシュボードや、eラーニングプラットフォームなどに使われることがあります。
Vue.js
Vue.jsはJavaScriptのフレームワークで、シンプルな設計で手軽に使い始めることができ、学習コストを抑えられることが特徴です。
小規模~中規模アプリケーションの開発や、既存アプリへの拡張に向いていて、日本では特に人気のフレームワークです。
フロントエンドエンジニアが使用するライブラリ
プログラミングにおける「ライブラリ」とは、特定の機能やタスクを実現するためのコードが集められたファイルのことです。
ある機能を実装したいというときに、一からプログラミングを書く手間が省けるため、プログラマーの負担が軽減されます。
フレームワークが工作キットであれば、ライブラリはその材料と例えることができるでしょう。
ライブラリも、言語によって異なるライブラリがあります。フロントエンド開発でよく用いられるライブラリには、次のようなものがあります。
jQuery
jQueryは、JavaScriptのライブラリの中で最も多く使用されていると言われています。
jQueryを使うことで、DOM操作やイベント処理、アニメーション、AJAX通信などをシンプルなコードで実現できるようになります。
わかりやすいところで言うと、スクロールやクリックしたときのwebサイトのエフェクトやアニメーションを簡単に組み込めたり、フォームのテキスト入力内容を簡単に取得・検証してエラーメッセージを表示させたりすることができたりします。
Lodash
LodashはJavaScriptのライブラリで、配列操作やオブジェクト操作、数値操作を簡単にするためのユーティリティライブラリです。
データ処理を頻繁に行うwebアプリケーションやAPI開発で広く使われ、日常的なデータ操作を簡潔に行いたい場面で非常に役立つツールとなっています。
フロントエンドエンジニアの年収、案件例
次に誰もが気になっているであろうフロントエンドエンジニアの年収はどのくらいか、どのような案件が存在しているのかについて解説していきます。
フロントエンドエンジニアの年収
フロントエンドエンジニアの年収は、雇用形態やスキル感、勤務地で変わるため、一概には言えませんが、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag 職業情報提供サイト」によると、557.6万円となっています。(フロントエンドエンジニアを含むWebサイト開発に携わるITエンジニアの平均年収)
こちらは基本的に正社員としてのフロントエンドエンジニアの平均年収となっています。
一方、フリコンに掲載されているフリーランス向けのインフラエンジニアの平均年収は、約900万円となっています。
経験を加味してみてみると、20〜24歳の若手正社員で300-500万円と言われています。
流行のフレームワークを使いこなせる、ある程度経験を経たエンジニアになると1000万円近い年収となることもあります。
また、上流工程を担当するPMやリードエンジニアになると、開発経験を持っているとより高い年収が期待できます。
流行言語やフレームワークをキャッチアップして、バックエンドの知識もある程度身につけ、上流工程から手がけられるフロントエンドエンジニアになれば、高額な年収が期待できます。
フロントエンドエンジニアの案件例
Reactエンジニア SaaSサービスのリプレース
単価 | 110~130 万円/月 |
---|---|
案件詳細 | ・Vue.js→React.jsへのリプレイス業務になります。 ・また、バックエンドはRuby→Goへ、インフラもAWS→GCPに移行する予定です。 ・0→1の立ち上げから設計/実装を中心にご担当して頂き、設計/実装に関しては一人称で担当して頂きます。 ・フロントエンドだけでなくバックエンド側も担当して頂き、UI/UXデザイン部分も一部携わって頂きます。 |
必須スキル | ・Reactを用いた0→1開発経験 ・React+TypeScriptの経験 ・何らかの言語においてのバックエンド開発経験 |
フロントエンドエンジニア 航空機関連サービスのフロントエンド開発
単価 | 90~100 万円/月 |
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案件詳細 | ・デザイナー、及びバックエンドエンジニアを巻き込んだUI/UXの設計 ・デザイナーが作成したデザインをベースにしたフロントエンドの機能実装 など |
必須スキル | ・Svelte、React、Vue.js、AngularなどのFWを用いたフロントエンド開発経験 ・プロダクトの技術選定を主体的に行った経験 など |
Vue.js/TypeScriptエンジニア CMSのフロントエンド開発
単価 | 90~100 万円/月 |
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案件詳細 | ・フロントエンド担当者としてユースケース、機能の要件、チケットと見積もりを確認しアジャイル開発でSPAを実装します ・バックエンド/設計を担当するリードエンジニア、プロジェクト管理/推進をするマネージャ(PMO)が開発の補助やディレクションをします。 |
必須スキル | ・Vue.jsを使ったフロントエンド開発の経験 ・TypeScriptでの実装 |
上記は、フリコンにてご紹介している案件のごく一部です。
フロントエンドエンジニアの案件をもっと見たいという方はこちらからご確認ください。
フロントエンドエンジニアのキャリアパス
ここからは、フロントエンドエンジニアのキャリアパスの一例を紹介していきます。
フロントエンドエンジニアは、他のエンジニアと協力しながら業務を進めることが多く、幅広い知識を身につけることができます。
そのため、キャリアパスは非常に多様で、専門性を深めてスペシャリストになったり、さまざまな分野に挑戦してゼネラリストとして活躍したりすることができます。
以下でご紹介するのはあくまで一例であり、自身の興味や目標に応じてスキルを積み上げていくことで、自分に合ったキャリアを築くことができます。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアとは、フロントエンドからバックエンド、インフラまで、一人でサービスやシステムの開発・運用ができるエンジニアのことです。
フロントエンドのスキルを基盤に、バックエンドやデータベース、インフラも扱えるようになると、スタートアップのプロダクトを一人で構築したり、社内ツールをフロントからバックエンドまで全て対応できるフルスタックエンジニアとして活躍できます。
フロントエンドスペシャリスト
フロントエンド技術を深く掘り下げ、UI/UX設計やパフォーマンスの最適化、大規模システムのアーキテクチャ設計に特化する道がフロントエンドのスペシャリストになることです。
深いJavaScriptの理解や、ツールへの精通、デザインの知識が必要になってきますが、大規模プロジェクトをリードしたり、高度な技術を用いて高い品質のwebアプリケーションを開発したりできるようになります。
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体を管理するポジションです。
開発技術に加え、顧客ニーズや競合調査といったビジネス的知識やステークホルダーとの調整のためのコミュニケーション能力、プロジェクト管理ツールや手法を身につける必要があります。
開発経験のあるPMは特に重宝され、フリーランスの場合は単価の高い案件が多いです。
UI/UXデザイナー
UI(ユーザーインターフェース)とは、ユーザーが直接目にしたり操作する部分、つまり、ボタンの配置や色、文字のフォントなど、「見た目や使い方の設計」を指します。
UX(ユーザーエクスペリエンス)は、検索がスムーズで購入手続きが簡単といった、ユーザーが実際に使用した時の体験全体を指します。
UI/UXデザイナーは、ユーザーが使いやすく、魅力的に感じるようにデザインを行う専門職です。HTMLやCSSの知識に加え、デザインの知識や、FigmaやAdobeを使ったデザイン作成のスキルが必要になります。
フロントエンドエンジニアに向いている人
ここまで、フロントエンドエンジニアの業務内容やスキルについて述べてきましたが、実際、「自分はフロントエンドエンジニアに向いているの?」という不安を抱える方もいるかと思います。
ここでは、フロントエンドエンジニアに向いている人の特徴を紹介します。
デザインや見た目に興味がある人
フロントエンドエンジニアは、Webサイトやアプリケーションの見た目や操作性を形にする仕事であるため、美しいデザインや分かりやすいインターフェースを作ることに興味がある人が向いています。
配色やレイアウトに関心があり、ユーザーが心地よく使えるデザインを考えるのが好きな人は、特にこの分野で活躍できるでしょう。
コードを書くのが好きで細部にこだわる人
フロントエンド開発では、HTML、CSS、JavaScriptなどのコードを多用します。細かい設定や動きにこだわることができる人は、質の高いUI/UXを実現できます。
また、コードの美しさや効率性を追求できる人は、より生産的で再利用性の高いコードを書けるようになります。
ユーザー目線で考えられる人
フロントエンドエンジニアの仕事は、最終的にはユーザーにとって使いやすいWebサイトやアプリケーションを提供することです。
そのため、技術だけでなく、ユーザーの視点で「どのようなデザインや機能が便利か」を考えられる人が向いています。
たとえば、複雑な操作を分かりやすくする方法や、アクセスしやすいボタン配置を工夫するなど、利用者の行動を予測しながら設計する能力が求められます。
新しい技術に興味を持ち、学び続けられる人
フロントエンド技術は、進化のスピードが速い分野です。
新しいフレームワークやツール、ブラウザの機能が次々と登場するため、これらに興味を持ち、常に学び続ける意欲がある人が向いています。
自己学習やキャッチアップが苦にならず、成長を楽しめる人は、この分野で長く活躍できるでしょう。
コミュニケーションが得意な人
フロントエンドエンジニアは、デザイナーやバックエンドエンジニア、プロジェクトマネージャーなど、他の職種の人々と連携する場面が多いです。
そのため、相手の意図を理解し、自分の考えを的確に伝えるコミュニケーション能力が重要です。
チームで協力して課題を解決したり、デザインの意図を技術的に解釈して実現する力が求められます。
問題解決が得意でチャレンジ精神がある人
フロントエンド開発では、ブラウザ間の互換性やパフォーマンスの最適化、バグの修正など、多くの課題に直面します。
これらの問題に対して根気強く向き合い、解決策を見つけることができる人は、この仕事に向いています。
また、新しい技術や未経験の課題にも積極的に挑戦し、乗り越えていくチャレンジ精神を持つ人も適性があります。
クリエイティブと論理的思考のバランスが取れる人
フロントエンドエンジニアの仕事は、デザイン的なセンスと、コードを書くための論理的思考を両立させることが求められます。
美しいインターフェースを実現しつつ、効率的なコードで機能を実装する必要があるため、創造性と論理性をバランスよく発揮できる人に向いています。
これらの特徴を持つ人は、フロントエンドエンジニアとしてのポテンシャルが高いと言えます。
フロントエンドエンジニアは、技術的なスキルだけでなく、デザインやユーザー体験への関心、そして学び続ける姿勢が求められる職種です。
自身がどのようなタイプの人間かを見つめ直し、この分野に向いていると感じたら、ぜひ挑戦してみてください。
フロントエンドエンジニアのやりがい
フロントエンドエンジニアのやりがいは、もちろん人によって何にモチベーションを感じるかによって異なりますが、主に以下の要素にやりがいを感じる人が多いとされています。
成果が目に見える
前述の通り、フロントエンドエンジニアは、ユーザーが目にする画面を設計するエンジニアです。
そのため、自分が書いたコードが画面上で動きやデザインとして反映されるため、努力の結果を実感しやすく、やりがいにつながります。
また、ユーザー体験を考慮した独創的なデザインや動作を作り上げることで、自分のアイデアや工夫が、使いやすさやユニークな体験として形になる喜びを感じることができます。
ウェブアプリやサイトでは、ユーザーからのフィードバックをすぐに受け取ることができるため、「このサイトは使いやすい」「アプリのデザインが綺麗」といったユーザーの声を聞くことで、自分の仕事が役立っていることを実感できます。
自己成長が実感できる
フロントエンド開発に使われる言語やフレームワークは、流行の移り変わりが激しく、常に新しいものが出てくるため、学び続けることが必要です。
学び続けることで、自分のスキルが日々進化していることを実感でき、新しい技術を導入して業務の効率を上げられることが、フロントエンドエンジニアとして働くことの魅力の一つです。
問題の原因を突き止めて修正する達成感が得られる
フロントエンド開発をしていると、バグが発生したり、パフォーマンスの問題など、解決すべき課題が多く出てきます。
そんなときに、その問題の原因を特定してコードを書き換えたり、別のツールを導入することで、問題が解決し、パフォーマンスが改善することができれば、大きな達成感を得ることができます。
そしてそれが直接、ユーザーのより良い体験につながるため、自分のやった業務が役に立っていると実感しやすく、やりがいにつながります。
フロントエンドエンジニアは「つらい」と言われる理由
「フロントエンドエンジニア」と検索するとよく「つらい」と出てくると思います。
ではなぜそのように言われているのでしょうか?色々と言われてはいるものの、ここでは2つのポイントをみてみましょう。
流行の移り変わりが激しい
まず、先ほどやりがいの部分で述べたことの裏返しでもありますが、フロントエンド開発で使われる言語やツールは、流行の移り変わりが激しいため、常に自分で学習していく姿勢が求められます。
それに加え、フロントエンドの知識だけでなく、データベースやバックエンドの知識もある程度有しておく必要があるため、学習は欠かせません。
特にフリーランスとして働く場合には、その辺りの流行も自分でアンテナを張ってキャッチアップしていき、積極的に新しい技術やツールを用いる案件を取りに行く必要があります。
納期に追われやすい
フロントエンドエンジニアは、上流を手がけるほど、デザイナーやバックエンドエンジニア、プロジェクトマネージャーとのコミュニケーションが必要になってきます。
そこで要件のすり合わせを行い、スケジュールを調整していく必要があります。
フロントエンド開発は、デザイナーやバックエンド側の進捗の影響を受けるため、納期のギリギリになってからのデザイン変更や設計変更があると、そこからまた作業が生まれるため、納期に追われやすいという大変さもあります。
以上の他にもフロントエンドエンジニアは「つらい」と言われている理由はいくつかあります。
しかし、どれもメリットとなり得る部分であったり、必ずしも発生するとは言えない部分が多いです。
また、フロントエンドエンジニアに限らずその他の職種でも発生し得るものばかりです。
そのためフロントエンドエンジニアが他の職種と比較して「つらい」ということはありません。
フロントエンドエンジニアになるには
ここまででフロントエンドエンジニアについての理解は深められましたでしょうか?
そこで、「未経験からフロントエンドエンジニアになることは可能か?」という疑問が浮かんだ方も少なくないと思います。
また、フロントエンドエンジニアになるにはどのようなスキルを身につけるべきかを知りたい方も多いかと思います。
そこで、フロントエンドエンジニアになるために必要なスキル、未経験からフロントエンドエンジニアになれるのかを解説していきます。
フロントエンドエンジニアになるために必要なスキル
フロントエンドエンジニアになるためには、技術的なスキルとソフトスキルの両方が必要になります。以下に順番に解説していきます。
技術的なスキル
まず、技術的なスキルでいうと、CSS、HTML、JavaScriptといった言語のスキルは必須と言えます。
また、それらの言語に伴い、ReactやVue.jsといったフレームワークやライブラリの知識も重要になってきます。
最新のスキルやツールは実際に業務をしながらキャッチアップすることも多いですが、最低限これらの3つの言語でのコードの書き方やAPIの理解、ソースコードをオンライン上で公開・共有できるプラットフォームであるGitHubの知識が必要です。
ソフトスキル
ソフトスキルで言うと、コミュニケーションスキル、プログラミング的思考力、学習意欲が必要になってきます。
フロントエンドエンジニアは前述した通り、デザイナーやバックエンドエンジニアとのやりとりが多く、正確なコミュニケーションを取ることで認識の齟齬による失敗や無駄な手間を省くことができます。
また、フロントエンドエンジニアはただコードを書くだけではなく、パフォーマンスの最適化やユーザーインタラクションの実装(「ボタンをクリックしたときに特定の表示が現れる」など)をする必要があります。
そのため、問題を整理し、手順を明確化し、効率よく解決策を実現すると言うプログラミング的思考力が欠かせません。
バグや問題が発生した時には、その原因を突き止めて改修するという、問題解決能力や根気強さも必要になってくるでしょう。
また、フロントエンド開発における技術の進歩は目まぐるしいため、それらをキャッチアップしていくための学習意欲も重要です。
未経験でもフロントエンドエンジニアになれるか
結論から言うと、未経験からでも学習意欲さえあれば、フロントエンドエンジニアになることは十分可能といえます。
まずは、HTML、CSS、JavaScriptといった基本的なweb技術を学び、自分で実際に成果物を作ってみることが大切です。
最近は、オンライン学習プラットフォームも充実しており、自分の好きな時間に好きな場所で授業を受けてスキルを身につけていく方法もあります。
他には、オンライン/オフラインのプログラミングスクールに通うという方法もあります。IT企業の中には、中途で未経験の人材を採用しているところもあります。
このような企業では、最初の数ヶ月で研修を行なってくれるところもあるため、そこでスキルを磨いたり成果物を作って実際のプロジェクトにアサインされるということもできます。
ただ、転職活動の面接で有利に進むためにも、自己学習を行い、自分で作ったWebページなどをポートフォリオとして提出できる状態になるのが望ましいといえます。
フロントエンドエンジニアは「オワコン」と言われる理由
「フロントエンドエンジニア」と検索すると、「フロントエンドエンジニア オワコン」という検索候補が出てくることがあります。結論から言うと、オワコンではありません。
フロントエンドエンジニアが「オワコン」と言われることがあるのは、業界の変化や技術の進化に伴う誤解や偏見が原因です。
ただし、実際にはフロントエンドエンジニアの需要は依然として高く、これらの理由を正しく理解することでその誤解を解消することができます。以下に、「オワコン」と言われる主な理由とその背景を詳しく説明します。
ノーコード/ローコードツールの普及
近年、コーディングを必要としないノーコード/ローコードツールが普及し、プログラミングの知識がなくてもWebサイトを構築できるようになりました。
このため、「フロントエンドエンジニアが必要なくなるのではないか」と考える人が増えています。
しかし、これらのツールは主に小規模なサイトやテンプレートベースの開発に適しており、大規模で複雑なカスタマイズが必要なプロジェクトでは依然として専門的なスキルが求められます。
フレームワークやライブラリの進化
ReactやVue.js、Angularなどのフロントエンドフレームワークが成熟し、開発効率が向上したことで、フロントエンドの敷居が下がったという見方があります。
さらに、これらのフレームワークの公式ドキュメントやチュートリアルが充実しているため、初心者でも比較的簡単に学べるようになっています。
その結果、「フロントエンドは誰でもできる」という誤解が生まれることがあります。
しかし、実際には設計力やパフォーマンス最適化など、深い専門知識が必要です。
AI技術の進化
AIがコード生成を自動化するようになり、フロントエンドエンジニアの仕事が減るのではないかという懸念もあります。
例えば、GitHub CopilotやChatGPTなどのツールを使うと、簡単なコードやテンプレートをすぐに生成できます。
ただし、これらのツールはあくまで補助的なものであり、最終的なコードの精査や最適化、独自仕様への対応はエンジニアに委ねられます。
誤解や偏見
一部の人々は、フロントエンド開発を「簡単」「軽視されがちな仕事」と見なす傾向があります。
これは、フロントエンドエンジニアが担当する部分がユーザーに直接見える一方で、バックエンドなどの「裏側の作業」と比較されがちなためです。
しかし、実際にはブラウザ間の互換性の問題や、高度なパフォーマンスチューニング、アクセシビリティ対応など、専門的な知識が求められる課題が多く存在します。
「オワコン」と言われる理由には、技術や業界の変化、誤解や偏見が関与しています。
しかし、フロントエンドエンジニアはWeb開発の最前線に位置し、ユーザー体験を形作る重要な役割を担っています。
高度なスキルや専門知識を持ち、進化する技術に対応できるエンジニアは、これからも需要が高いままでしょう。特に、UI/UXの改善やパフォーマンスの最適化、アクセシビリティ対応といった分野でのスキルは、今後ますます重要になると考えられます。
ただ、学習意欲が皆無で、新しいスキルを全くキャッチアップせず、古い手法ばかり使っているフロントエンジニアは、オワコンと呼ばれてしまっても仕方ないかもしれません…。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、フロントエンドエンジニアとは?というところから、必要なスキルやキャリアパスなどについて述べてきました。
フロントエンドエンジニアは成果が目に見えて分かるということから、やりがいを感じやすく、ユーザーが実際に自分の作ったwebアプリケーションを使用してくれることで達成感を得られます。
未経験からエンジニアを目指す人にとっては入りやすいポジションではあるものの、極めればフリーランスとして活躍することもできるので、可能性に溢れた職業だと言えるでしょう。
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