フリーランスになるときにやること!必要な準備15個を徹底解説
最終更新日:2026/07/13
フリーランスになるときにやることとは、開業届などの行政手続きに加え、独立前の資金準備、事業用口座や会計ソフトといった事業インフラ、仕事環境の整備を、独立の前後で漏れなく進めることです。「何から手をつければいいのかわからない」という方に向けて、準備すべき15個を優先順と期限つきで整理しました。読み終えるころには、自分がいつ何をすべきかが具体的に見えているはずです。
先に結論
やることは大きく「独立前の準備」「行政手続き」「事業インフラ」「仕事環境」の4グループに分かれます
まず優先して期限を押さえたいのは行政手続き。開業届は原則として事業開始から1ヶ月以内、青色申告承認申請書は原則2ヶ月以内、年金・保険の切り替えは退職の翌日から14日以内が目安です
独立前にしかできないのは賃貸契約・クレジットカードの審査。会社員の信用があるうちに済ませておくと有利です
お金まわりは「事業用口座」「事業用クレカ」「会計ソフト」の3点セットを最初に固めると、確定申告がぐっと楽になります
準備と同じくらい大事なのが仕事の確保。人脈や過去の取引先に加え、エージェント登録で案件の間口を広げておくと収入が安定しやすくなります
この記事でわかること
フリーランスになる前・なるとき・なった後にやること15個の全体像
開業届や青色申告など、期限のある手続きの締め切りと提出先
会計ソフトや保険など、事業を回すための実務的な準備
独立後に仕事を切らさないための集客の考え方
目次
フリーランスになる前にやると良いこと
フリーランスになるときに必要な手続き
フリーランスのための準備としてやるべきこと
成果を出すフリーランスの仕事環境の整え方
仕事を安定させるには、エージェントへの登録がオススメ
【一覧】フリーランス準備15個チェックリスト
まとめ
よくある質問
フリーランスになる前にやると良いこと
会社を辞めてからでは間に合わない準備があります。会社員という信用を使えるうちに動いておくのが得策です。
貯金をしておく
独立直後は入金が安定しません。案件を受注しても、報酬の入金は稼働の1〜2ヶ月後になるのが一般的です。
目安として、生活費の6ヶ月分は確保しておきたいところです。開業初期は経費の支出も重なります。フリーランス協会の「フリーランス白書2026」(2025年度調査・副業を除く独立系1,426名が対象)によると、フリーランス全体の年収は200〜400万円未満が27.7%で最多、400万円以上が49.5%でした。この数字はエンジニアに限ったものではありませんが、独立当初は年収の振れ幅が大きいと考えて準備するのが現実的です。
【任意】賃貸やクレジットカードの契約は在職中に済ませる
賃貸契約やクレジットカードの審査は、安定収入のある会社員のうちが通りやすくなります。フリーランスになった直後は、収入証明が出せず審査に時間がかかることがあります。
引っ越しの予定があるなら退職前に。事業用に使うクレジットカードも、在職中に作っておくと後の手続きがスムーズです。
フリーランスとしての独立そのものの進め方は、フリーランスになるには?5つのステップで始め方をわかりやすく解説でも整理しています。
フリーランスになるときに必要な手続き
ここが唯一「期限」のあるパートです。まず全体像を早見表で押さえておきましょう。
手続き | 期限の目安 | 提出先 |
|---|---|---|
開業届の提出 | 事業開始から1ヶ月以内 | 所轄の税務署 |
青色申告承認申請書 | 原則、開業から2ヶ月以内(適用したい年の3月15日まで) | 所轄の税務署 |
国民年金への切り替え | 退職日の翌日から14日以内 | 市区町村の窓口 |
国民健康保険への加入 | 退職日の翌日から14日以内 | 市区町村の窓口 |
期限を過ぎても手続き自体はできますが、青色申告は申請が遅れるとその年は適用できません。早めに動くほど有利です。
開業届を出す
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は、事業を始めたことを税務署に知らせる書類です。国税庁は、事業開始等の事実があった日から1ヶ月以内の提出を求めています(国税庁:個人事業の開業届出・廃業届出等手続)。
提出は税務署の窓口・郵送・e-Taxのいずれでも可能です。提出が遅れても開業そのものが無効になるわけではありませんが、青色申告とあわせて早めに出しておくと安心です。手続きの詳細やメリット・デメリットはフリーランスエンジニアのための開業届ガイドでまとめています。
なお、開業にあたってはインボイス制度への登録を検討するかという論点も出てきます。登録は任意ですが、取引先の方針や契約条件によっては、登録を求められることがあります。白書2026ではフリーランスの47.3%がインボイス登録を申請済みと回答しました。判断のポイントは【インボイスとは?】フリーランスエンジニアが知るべきポイントと対策を参照してください。
国民年金へ切り替える
会社員が加入していた厚生年金から、国民年金(第1号被保険者)への切り替えが必要です。退職日の翌日から14日以内に、市区町村の窓口で手続きします。
令和8年度(2026年度)の国民年金保険料は月額17,920円です(日本年金機構:国民年金保険料)。保険料は年度ごとに改定されるため、最新の金額は年金機構の案内で確認してください。将来の受給額を厚くしたい場合は、iDeCoや国民年金基金の併用も選択肢になります。詳しくはフリーランスエンジニアの年金対策で解説しています。
国民健康保険に加入する
健康保険も、退職日の翌日から14日以内に国民健康保険へ切り替えます。保険料は前年の所得や自治体によって大きく変わるため、金額は住んでいる市区町村で確認してください(厚生労働省:後期高齢者医療制度等の医療保険)。
会社の健康保険を最長2年間続ける「任意継続」という選択肢もあります。退職直後は前年の所得が高く国保料が上がりやすいため、両者を比較して安い方を選ぶと負担を抑えられます。
【推奨】青色申告承認申請書を提出する
青色申告を選ぶと、最大65万円の青色申告特別控除(e-Taxでの申告など一定の要件を満たした場合)や赤字の繰り越しといった節税メリットを受けられます。新たに事業を始める場合は、通常、開業届とあわせて青色申告承認申請書を提出します(国税庁:所得税の青色申告承認申請手続)。
節税効果や帳簿づけの手間を考えると、エンジニアは青色申告を選ぶケースが多くなります。白色申告との違いは青色申告と白色申告の違いで比較しています。
【任意】バーチャルオフィスを契約する
開業届には住所の記載が必要です。自宅で開業する場合、請求書や契約書、インボイス登録の公表情報などで、自宅住所を取引先に伝える場面が出てきます。プライバシーを守りたいなら、バーチャルオフィスの契約も検討する価値があります。
月額数千円から利用でき、住所貸しに加えて郵便物の転送などに対応するサービスもあります。
フリーランスのための準備としてやるべきこと
お金まわりの土台を整えるパートです。ここを最初に固めておくと、確定申告の負担が大きく減ります。
事業用の銀行口座を開設する
プライベートと事業のお金を分けると、収支の管理が一気に楽になります。確定申告のときに、どれが経費でどれが生活費かを仕分けする手間も省けます。
屋号付きの口座を作れる銀行もあります。ネット銀行なら開設が早く、会計ソフトとの連携もしやすい傾向があります。
事業用のクレジットカードを作成する
経費の支払いを事業用カードにまとめると、利用明細がそのまま経費台帳の役割を果たします。会計ソフトと連携すれば、明細が自動で取り込まれ、記帳の手間がさらに減ります。
前述のとおり、審査は会社員のうちに通しておくとスムーズです。
会計ソフトを準備する or 税理士と顧問契約を結ぶ
日々の記帳と確定申告をどう回すか決めておきます。選択肢は大きく2つ。会計ソフトを使って自分で処理するか、税理士に依頼するかです。
簿記が苦手なら操作のわかりやすいfreee、銀行・カード連携を重視するならマネーフォワード クラウド、定番志向なら弥生、といった選び方が目安になります。売上が伸びてきたら税理士への依頼も視野に入ります。税理士費用は地域・売上規模・業務範囲により大きく異なります。複数社を比較する際は、記帳代行の有無・確定申告のみか顧問契約か・面談頻度を確認すると判断しやすくなります。
経費にできるものの判断基準はフリーランスエンジニアが経費にできるもの一覧で、確定申告の全体の流れはフリーランスエンジニアの確定申告でまとめています。
【任意】生命保険や医療保険の見直しをする
会社員のときの団体保険は使えなくなることが多く、傷病手当金も退職後は原則として新たな対象外になります(継続給付を受けられるかは条件によります)。働けなくなったときの備えを自分で用意する必要が出てきます。
所得補償保険や就業不能保険のほか、小規模企業共済で退職金を積み立てる方法もあります。手取りと税負担のバランスを見ながら検討しましょう。年収別の手取りイメージはフリーランスエンジニアの手取りはどれくらい?が参考になります。
成果を出すフリーランスの仕事環境の整え方
生産性は環境で決まります。自宅で働くなら、なおさら意識して整えたいところです。
仕事専用の部屋を用意する
仕事とプライベートの空間を分けると、集中しやすくなります。専用の部屋が難しければ、間仕切りやデスク周りだけでも区切ると効果があります。
自宅の一部を事業に使う場合、家賃や光熱費の一部を経費にできることがあります。按分は業務実態に応じた合理的な割合が必要で、面積や使用時間を根拠として説明できるようにしておきましょう。
仕事に最適なスペックのパソコンを準備する
エンジニアにとってパソコンは商売道具です。開発内容に合ったスペックを選びましょう。取得価額が少額であれば一括で必要経費にできる場合があり、一定額以上は原則として減価償却で処理します。金額の基準や少額減価償却資産の特例が使えるかは会計処理の条件によるため、会計ソフトの案内や税理士に確認すると安心です。
プリンターなど事務用品を準備する
契約書や請求書の対応で、プリンターやスキャナがあると便利です。電子契約が増えているとはいえ、紙が必要な場面はまだ残ります。ただし完全オンライン中心の働き方なら、後回しでも問題ありません。
名刺を作成する
対面での商談やイベントでは名刺が信頼につながります。屋号・氏名・連絡先・スキルがひと目でわかるデザインにしておくと、案件獲得のきっかけになります。こちらも対面営業が少なければ優先度は下がります。
仕事を安定させるには、エージェントへの登録がオススメ
準備が整っても、仕事がなければ収入は生まれません。ここが独立でいちばんつまずきやすいポイントです。
白書2026では、最も収入を得た仕事の獲得経路は人脈が32.3%、過去・現在の取引先が29.3%、エージェント経由が14.9%で3位でした(いずれもフリーランス全体の数値)。職種によって傾向は異なり、エンジニアはエージェント経由の比率が相対的に高くなるケースもあります。人脈が強い一方で、独立直後で人脈が薄い人にとってはエージェントが有力な選択肢になります。
あわせて、職務経歴書・スキルシートや、実績がわかるGitHubやポートフォリオを整えておくと、案件紹介の精度が上がります。書き分けは職務経歴書とスキルシートの違い、見せ方はGitHubポートフォリオの作り方を参考にしてください。
エージェントは案件紹介だけでなく、単価交渉や契約面のサポートもしてくれます。複数登録して比較するのが一般的です。面談の流れや準備はフリーランスエージェントとの面談とは?で解説しています。
自分がどのくらいの単価を狙えるか気になる方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で現在の市場単価の目安を確認できます。単価を体系的に上げる考え方はフリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方で整理しています。
【一覧】フリーランス準備15個チェックリスト
やることを15個にまとめました。独立前→退職直後→開業後の順で、時期が決まっているものから優先して確認すると漏れがありません。
# | やること | タイミング | 区分 |
|---|---|---|---|
1 | 貯金をしておく(生活費6ヶ月分が目安) | 独立前 | 準備 |
2 | 賃貸・クレジットカードの契約 | 独立前(在職中) | 準備 |
3 | 開業届を出す | 事業開始から1ヶ月以内 | 手続き |
4 | 国民年金へ切り替える | 退職翌日から14日以内 | 手続き |
5 | 国民健康保険に加入する | 退職翌日から14日以内 | 手続き |
6 | 青色申告承認申請書を提出する | 原則、開業から2ヶ月以内 | 手続き |
7 | バーチャルオフィスの契約を検討する | 開業時(任意) | 手続き |
8 | 事業用の銀行口座を開設する | 開業前後 | 事業インフラ |
9 | 事業用のクレジットカードを作成する | 在職中〜開業時 | 事業インフラ |
10 | 会計ソフトの準備 or 税理士契約 | 開業後すぐ | 事業インフラ |
11 | 生命保険・医療保険の見直し | 開業前後(任意) | 事業インフラ |
12 | 仕事専用の部屋を用意する | 開業時 | 仕事環境 |
13 | パソコンを準備する | 開業時 | 仕事環境 |
14 | プリンター等の事務用品を準備する | 開業時 | 仕事環境 |
15 | 名刺を作成する | 開業時 | 仕事環境 |
まとめ
フリーランスになるときにやることは、独立前の準備・行政手続き・事業インフラ・仕事環境の4グループ、合計15個に整理できます。
まず期限を押さえたいのは行政手続き。開業届は原則1ヶ月以内、青色申告承認申請は原則2ヶ月以内、年金・保険は14日以内
賃貸やクレジットカードの審査は、会社員の信用があるうちに済ませる
事業用口座・事業用クレカ・会計ソフトの3点セットで確定申告が楽になる
令和8年度の国民年金は月額17,920円。国保料は前年所得と自治体で変動する
準備が整ったら、エージェント登録などで仕事の間口を広げて収入を安定させる
まずは今日、在職中に済ませること(賃貸・カードの契約)と、退職後14日以内の年金・保険の手続き、開業届・青色申告承認申請書の提出予定日をカレンダーに書き込むところから始めてみてください。
税務や社会保険の取り扱いは個別の事情で変わることがあります。判断に迷う場合は、税理士など専門家への相談も検討してください。
参照した一次情報は以下のとおりです。
よくある質問
フリーランスになる前に必ずやっておくべきことは何ですか?
貯金と、在職中しか通りにくい審査(賃貸・クレジットカード)です。生活費の6ヶ月分を目安に確保し、引っ越しや事業用カードの契約は退職前に済ませておくと後がスムーズです。
フリーランスになったら、どのような手続きが必要ですか?
税務署への開業届と青色申告承認申請書、市区町村での国民年金・国民健康保険への切り替えが基本です。年金と保険は退職の翌日から14日以内、開業届は事業開始から1ヶ月以内が目安です。
「青色申告」とは何ですか?なぜ推奨されるのですか?
一定の帳簿づけを条件に節税メリットを受けられる申告方法です。最大65万円の特別控除(e-Taxでの申告など要件あり)や赤字の繰り越しが使えます。手間はかかりますが、節税効果を考えるとエンジニアは青色を選ぶケースが多くなります。
インボイス制度には登録すべきですか?
取引先が課税事業者で、消費税分の請求を求められる場合は登録を検討します。登録は任意ですが、白書2026ではフリーランスの47.3%が申請済みです。取引先の状況によって判断が変わるため、インボイスの記事で自分のケースを確認してください。
事業用の銀行口座やクレジットカードは分けたほうがいいですか?
分けることを強くおすすめします。プライベートと事業のお金が混ざると、確定申告のときに仕分けが大変になります。事業用カードを会計ソフトと連携させれば、記帳の手間も減らせます。
仕事用のパソコンはどう選べばいいですか?
開発内容に合ったスペックを基準に選びます。取得価額が少額なら一括で必要経費にできる場合があり、一定額以上は原則として減価償却で処理します。金額の基準や特例の適用可否は条件によるため、詳細は税理士や会計ソフトの案内で確認してください。商売道具なので、無理のない範囲で処理速度に投資する価値はあります。
準備にはどのくらいの費用がかかりますか?
パソコンや事務用品などの初期費用に加え、開業後は国民年金・国民健康保険の負担が発生します。国民年金は令和8年度で月額17,920円。国保料は前年所得と自治体で変わります。まとまった支出が続くため、貯金の確保が重要になります。
フリーランスとして仕事が安定するか不安です。どうすればいいですか?
収入源を1つに絞らないことです。人脈や過去の取引先に加え、エージェントに登録して案件の間口を広げると、契約が途切れたときのリスクを抑えられます。複数のエージェントを比較し、単価交渉も任せると効率的です。

