フリーランスエンジニアのトラブル事例とその対策方法 〜契約途中での解約〜
最終更新日:2025/08/14

フリーランスとして案件に参画中、契約が急遽途中解約となることは珍しくありません。 近年多く見られる準委任契約(SES)でも、契約期間が定められているからといって安心できるとは限りません。 現場の状況やクライアント都合で急に契約終了を告げられることもあり、その結果予期せぬ損害を被る可能性もあります。 本記事では、フリーランスエンジニアが実際に遭遇した契約途中解約の事例をもとに、発生原因・未然に防ぐ対策・万が一の対処法までを網羅的に解説します。 これからフリーランスとして活動を考えている方や既にフリーランスとして案件を受けている方にとって、安心して働くための参考になれば幸いです。
目次
実際に起きたフリーランスの途中解約事例3選
途中解約が起きる原因
途中解約となった場合のリスク
実際に途中解約が起きた際の対応
トラブルを未然に防ぐ方法
まとめ
実際に起きたフリーランスの途中解約事例3選
準委任契約の途中解約には、発注側の都合やフリーランス自身の問題など、様々なケースがあります。
ここでは、実際にあった3つの契約解除事例をご紹介します。
現場側の予算都合による途中解約
まずは、当初は3ヶ月の契約で進めていましたが、2ヶ月目で突然契約終了を告げられた事例です。
当時は、最終的にそのまま2ヶ月目の末日で契約が終了し、3ヶ月目の金額が支払われることはありませんでした。
契約解除理由としては、クライアント企業の予算が急遽縮小され、開発範囲が見直されることになったことでした。
当初の要件定義が大幅にカットされ、外注の人員を減らすしかなかったため業務委託で参画している方から優先的に解除となりました。
このような発注元の経営判断や予算の見直しは、フリーランス個人の力ではどうすることもできません。
フリーランスの勤怠不良やスキル不足による途中解約
一方でフリーランス側に原因があるとされるケースも存在します。
過去事例として、面談時には「AWS環境での設計構築経験がある」と話したフリーランスエンジニアが案件を受注し参画しましたが、実際には周辺知識に乏しく現場での課題を一人で解決できなかったケースがありました。
更にこのケースにおいては勤怠不良も重なっており、稼働の初月に遅刻や急な休みが続いたこともあり、信頼を失い途中解約になりました。
当時は、業界の商慣習である1ヶ月前ルール(※)も守られず、契約解除を告げられた約2週間後には契約終了となりました。
(※)1ヶ月前ルールとは、SES業界にて一般的とされている商慣習になります。
法律で定められているわけではありませんが、契約解除は1ヶ月前に伝えることが望ましいとされており、これを相互間が守ることで良好な信頼関係の構築を築いて行くことができます。
仮にフリーランスエンジニア本人にも自覚があり、継続が困難であると判断した場合は早期解決も可能です。
しかし、フリーランス側が事実とは異なるという主張をした場合にはトラブルが長期化し、法的措置に発展する可能性もあります。
このようなスキルマッチの確認不足や勤怠不良は、最も多い解約要因の一つです。
フリーランスの諸事情により業務継続が困難となり途中解約
過去にフリーランス自身が抱えていた持病があるきっかけで再発し、業務の継続が困難となり契約途中解約となったケースもありました。
当時は、それまでの数ヶ月間はトラブルも一切なく安定稼働をしていました。
しかし、突如持病が再発し業務をすることが難しくなってしまい、そのまま即日解約となってしまいました。
当時は稼働分での支払いのみで双方合意をし、円満に終了となりましたが、場合によってはフリーランス側の一方的な契約解除として報酬の減額を打診されるケースもあるため、こうした場合は慎重な対応が必要です。
また上記の他にも、親族に不幸があったため急遽帰省をし、諸手続き等が必要のため業務の遂行ができなくなり解約となったケースや、他社から他の案件の紹介がありフリーランス本人がそちらの案件を受注したいと考えたため、途中解約の話を出したケース等があります。
このようなフリーランス自身の都合で途中解約となる場合にも、リスクが伴うため注意が必要です。
途中解約が起きる原因
上記のような事例が発生する背景には、いくつか原因があります。
ここでは代表的な要因を整理しておきます。
PJのスケジュール遅延や発注元企業からの契約打ち切り
準委任契約の場合、エンジニアは「成果物を納品する」契約ではなく「業務の遂行」が契約条件になります。
そのため、プロジェクト自体がスケジュール変更や仕様変更により不要となれば、契約終了となる可能性があります。
また、開発ベンダーの一員として参画していた場合、エンドユーザーとベンダー間の契約が打ち切りとなり急遽ベンダーが総撤退となることもあります。
また企業の規模によっても背景は異なります。
大手企業では、親会社の方針変更や予算の見直しにより、フリーランスが予測できない理由で突然契約が終了するケースもあります。
小規模企業の場合は、急遽メンバーの一名がいなくなってしまったことでPJが炎上(=高稼働化)し、予算が厳しくなり企業ごと撤退するようなことがあります。
フリーランスのスキルと現場側が求めるスキルのミスマッチ
フリーランスが自己申告したスキルと、現場が期待するレベルに乖離があると、双方が損をする結果となる可能性があります。
SESの場合、契約の前に一度企業とフリーランスとで打ち合わせをし、業務内容のすり合わせやスキルについての確認をすることが一般的ですが、企業によっては簡易的に行うこともあります。
特に要件が流動的な案件では、当初のスキルセット以外の対応を求められることもあり、柔軟に対応できないと「役割を果たせない」と判断され、途中解約になる場合もあります。
面談での質問に嘘偽りなく答えることは勿論ですが、相手が誤った解釈をしないような言葉を選ぶことが重要です。
フリーランスや現場の企業の、法律に関するリテラシー不足
発注側企業・受注側フリーランス双方の法律リテラシーの不足が安易な契約解除に繋がることもあります。
特にSESは雇用契約ではないため、法律上の扱いが曖昧になりやすく、解約条項や契約解除の通知義務、報酬の精算方法などを十分に理解していないまま契約解除を告げてしまうケースが見られます。
現場側に関しては、法務やコンプライアンスの専門部署がなく現場任せの判断になっている場合、抽象的な情報を元に途中解約の決断をしトラブルに発展してしまうことがあります。
一方で、フリーランス自身も「自分とスキルが合っていない」や「他に良い案件が見つかったので」と安易に契約解除を告げてしまい、場合によっては後から不利な状況に陥る可能性があります。
途中解約となった場合のリスク
契約途中解約は、単純に仕事がなくなるだけでなく、さまざまなリスクを伴います。
報酬の減額・未払い
途中解約でも、すでに稼働した分の報酬は原則として支払われるべきです。
しかし、稀に「パフォーマンスが期待以下だった」「一方的に契約解除したのだから報酬を減額する」など、発注側の顧客が支払いを渋るケースも見受けられます。
契約書に報酬精算のルールが具体的に明記されていない場合、フリーランス側が不利になることもあります。
こうした未払いリスクを防ぐためにも、契約時に精算条件を必ず確認し、できればメールなどで証拠を残しておきましょう。
次の仕事探しの猶予がなくなる
突然の解約は、次の案件を探す時間的余裕を奪います。
予定していた収入が途切れ、経済的に不安定になるだけでなく、案件探しの焦りから条件の悪い案件を選ばざるを得ないこともあります。
損害賠償請求のリスク
稀ですが、契約違反が発生しクライアントに大きな損害を与えたと判断された場合は、違約金や損害賠償を請求されることもあります。
万が一、重大な契約違反とみなされると、過失の程度にかかわらず、損害賠償が求められることもあります。
ただし、通常は明らかな過失がない限り発生しづらいため、冷静に対応しましょう。
実際に途中解約が起きた際の対応
では、万が一トラブルが起きた時に、フリーランスはどのように備え、対応すべきでしょうか。
ここでは、途中解約などのトラブルが発生した際に取るべき具体的な行動を紹介します。
エージェントへの相談
途中解約などのトラブルが起こった場合、まず頼るべきは契約を仲介したエージェントです。
フリコン等のエージェントには、フリーランスとクライアントの間に入り、報酬や契約条件の交渉を代行する役割があります。
信頼できるエージェントは、クライアント側と冷静に調整し、必要に応じて法的なアドバイスを提供してくれることもあります。
独立してすべてを一人で抱え込むのではなく、信頼できるエージェントとパートナーシップを築いておくことが、最大のリスクヘッジになります。
契約書の内容や事前に合意した条件面の見直し
締結した契約書の中身を確認し、想定されるリスクを確認しましょう。
契約解除に関する条項や損害賠償の記載については、特に見ておくべきです。
確認してもわからない場合やどの点について確認すべきかわからない場合は、契約しているエージェントにまず相談してみましょう。
場合によっては、法律の専門家への相談も検討
仮に契約解除後にトラブルへと発展し、顧客側から報酬の減額や未払いを示唆されたり顧客側からの損害賠償の話が出たりした場合は、法律の専門家に相談することも検討しましょう。
最近ではフリーランス向けの法律相談サービスも増えており、初回相談が無料のところもあります。
下記、代表的なサービスになります。
トラブルを未然に防ぐ方法
すべてのトラブルを完全に回避することは難しいものの、日頃から一定の備えをしておくことで、途中解約などの大きな問題を未然に防ぐことは可能です。
ここでは、実際のトラブル事例を踏まえた上で、フリーランスエンジニアが取るべき予防策を紹介します。
信頼できるエージェントを見つけ、契約する
まず重要なのが、信頼できるエージェントを通じて案件に参画することです。
フリーランスエージェントには案件紹介以外にも、契約書の内容チェックやクライアントとの条件交渉、トラブル発生時の調整などを行う役割があります。
信頼性の高いエージェントは、契約書に不利益な条件がないかを事前にチェックしてくれたり、万が一途中解約が発生した場合にも、報酬精算や契約終了までの流れをスムーズにサポートしてくれます。
特にフリーランス活動に不慣れな方や、過去にトラブルを経験した方は、エージェントとの契約を通じてリスクヘッジを行うことが有効です。
事前に契約書の中身を確認し、リスクチェックを行う
契約を結ぶ際には、内容をよく読み、途中解約に関する取り決めや報酬の精算ルール、契約解除の通知期間などを必ずチェックしましょう。
特に、以下のポイントは重要です。
・解約予告期間が明記されているか
・損害賠償や違約金に関する条項があるか
・報酬の精算方法(途中解約時にどう支払われるか)
また、契約書の中には曖昧な表現や、業務範囲が不明確なものもあります。
必要に応じてエージェントや法律の専門家に相談し、自身の責任範囲を明確にしておくことが大切です。
参画した現場やエージェントとの信頼関係を構築する
実際のところ、これが一番重要かもしれません。
実際の稼働が始まった後も、現場の担当者やエージェントと良好な関係を築いておくことで、トラブルの早期発見や未然防止につながります。
例えば、定期的に業務の進捗を報告することや自身のスケジュールや体調の変化があれば早めに共有すること、困ったことがあれば一人で抱え込まず相談することといった、こまめなコミュニケーションを心がけるだけでも、信頼感は大きく高まります。
現場との関係性が良好であれば、万が一スキルのミスマッチやパフォーマンスの問題が起きても、早期に改善の機会を得られ、途中解約の事態を避けられる可能性が高まります。
また仮に途中解約となった場合でも、別案件の紹介をしてもらえる可能性もありますため、現場側が惜しいと感じる人材を目指すと良いです。
信頼関係の構築は、一朝一夕にはできません。日頃からの丁寧な対応や報連相を徹底することが、トラブル回避の第一歩です。
まとめ
本記事で取り上げた事例に関してはごく一部であり、ほとんどの契約は契約期間通りに終了しています。
しかし、フリーランスエンジニアとして働く以上、「契約途中での解約」というリスクは完全には避けられません。
しかし、事前の備えや契約時の確認、日々の信頼構築を意識することで、トラブルの発生確率を大きく下げることが可能です。
特に準委任契約では、成果物ではなく「稼働時間」を提供する形態であるため、プロジェクトの状況や企業側の都合によって契約が突然終了するケースも少なくありません。
そのため、契約書の内容確認や信頼できるエージェントの活用、そしてコミュニケーション力の強化が、リスク回避の鍵となります。
また、万が一トラブルが発生してしまった場合には、慌てずにエージェントや法律の専門家に相談することが重要です。報酬の未払い、損害賠償請求といった深刻な問題も、初期対応次第で大きな被害を防げる可能性があります。
フリコンでは、過去のトラブル事例のノウハウを活かしたトラブル時の相談対応やサポートも行っているため、万が一のリスクにも安心して備えることができます。
まずはフリコンのようなエージェントへの登録をし、相談先を増やすことをおすすめいたします。
フリコンへのご相談はこちらから!