Vertex AIとは|主要モデル・料金とGoogle Cloud LLM開発案件
最終更新日:2026/09/08
Vertex AIは、Google Cloud上でGemini・Imagen・各種サードパーティモデルを統一的に扱える企業向けのAI/MLプラットフォームです。モデル呼び出しだけでなく、モデルの評価・チューニング・デプロイ・監視までを1つのコンソールに集約し、Google Cloudの認証・ネットワーク・監査基盤にそのまま載せられるのが特徴です。この記事は、企業のLLM導入や生成AI案件でVertex AIを触る/触る予定のフリーランスエンジニアに向けて、主要モデル・料金・機能・案件動向をまとめて把握できるようにするためのガイドです。
先に結論
Vertex AIはGoogle Cloudアカウントの中でGeminiや外部モデルを切り替えて使えるフルマネージドのAI/MLプラットフォームで、モデルの学習・評価・デプロイ・監視まで一気通貫で扱える
料金は「モデル別のトークン課金」を中心に、Model Garden上のセルフデプロイ型モデルは推論エンドポイントの時間課金という2軸で整理される
Vertex AIが選ばれる理由は、既存のGoogle Cloud基盤(VPC Service Controls・IAM・Cloud Audit Logs・Cloud KMS)に載せられること、Google Cloud公式では送信データを基盤モデルの学習に使わない方針が案内されていること(利用機能や契約条件ごとの差分確認は必須)、社内統制やコンプライアンス要件を通しやすいこと
案件は「PoC・要件定義」「RAG構築」「Agent Builder/Search実装」「MLOps・チューニング」の4類型が中心。単価は他のGoogle Cloud案件と同水準〜やや上乗せの傾向
Vertex AI単体の学習だけでは価値が薄い。BigQuery・Cloud Run・Cloud Storage・IAM・VPC-SCといった周辺サービスと合わせて設計できる人が重宝される
この記事でわかること
Vertex AIが「マネージドAI/ML基盤」として何を提供しているか
Geminiシリーズ・Model Gardenのサードパーティモデルの位置づけと選び方
モデル別トークン課金とセルフデプロイ型(Model Garden)の料金構造の違い
Amazon Bedrock・Azure OpenAI Service・OpenAI直叩きとの実務上の違い
フリーランスエンジニアがVertex AI案件で求められるスキルと単価の目安
目次
Vertex AIとは何か(サービスの位置づけ)
主要モデルと選び方
料金体系(トークン課金とエンドポイント課金)
主要機能(Studio・Model Garden・Pipelines・Agent Builder)
Bedrock/Azure OpenAI/OpenAI直叩きとの違い
Google CloudでのAI/機械学習案件と単価
Vertex AIを本番で使う前に押さえておくべき勘所
Vertex AIを学ぶ順序(実務ロードマップ)
Vertex AI案件でよく組み合わせるGoogle Cloudサービス
まとめ
よくある質問
Vertex AIとは何か(サービスの位置づけ)
Vertex AIは、Google CloudのAI/MLプラットフォームとして提供されているマネージドサービス群です。Googleが自社で開発する基盤モデル(Gemini・Imagen・Chirp・Veoなど)だけでなく、Meta Llama・Anthropic Claude・Mistralなどのサードパーティモデルも、Model Gardenを通じて同じコンソールから扱えます。モデル呼び出しのAPIだけでなく、モデル評価・チューニング・エンドポイントの管理・パイプライン・エージェント構築の各機能が同居しているのが特徴です。
Vertex AIの立ち位置を一言でいうと、「Google Cloud版のマネージドAI/LLM基盤」です。AWSで同じレイヤーを担うのがAmazon Bedrock、Azure OpenAIモデルをAzureからマネージドに提供するのがAzure OpenAI Service、Google CloudでGemini・Imagen・Model Gardenなどを扱うのがVertex AI、と対応させると位置がつかみやすいはずです。
Google Cloudサービスとしての特徴
統一プラットフォーム:モデルの評価・チューニング・デプロイ・監視・パイプライン・エージェント構築が同じコンソールにまとまっている
統一API:generateContent/streamGenerateContent/Vertex AI Prediction APIなどで、多くのマネージドモデルを共通に近い呼び出しパターンで扱える(入力形式や対応機能はモデルごとに差があるため、正式には各モデルのリファレンスで確認)
Google Cloud基盤に統合:IAM・VPC Service Controls・Cloud KMS・Cloud Audit Logs・Cloud Loggingなど既存のGoogle Cloudサービスとネイティブに連携する
データ保護:Google Cloud公式ドキュメントでは、Vertex AIに送信された顧客データは基盤モデルの学習に使われない方針が案内されている。ただし機能や契約条件ごとに扱いが変わる場合があるため、案件着手前にVertex AI Generative AI のデータガバナンスで最新仕様を確認し、契約書と突き合わせる
モデルの切り替え:Google純正のGeminiに加え、Model Garden経由でClaude・Llama・Mistralなどのモデルも扱える
使い始めの流れ
Google Cloudコンソールで「Vertex AI」を有効化し、必要なAPI(aiplatform.googleapis.com など)を有効にする
IAMで実行ユーザー/サービスアカウントに roles/aiplatform.user などの必要ロールを付与する
Vertex AI Studioで対話的にモデルを試すか、SDK(google-cloud-aiplatform / google-genai)から generateContent を呼び出す
認証はGoogle Cloudの標準(アプリケーションデフォルト認証/サービスアカウントキー/Workload Identity)で完結し、追加のAPIキー発行は必須ではない
数分〜数十分で有効化されることが多いですが、組織ポリシーでプロジェクトのAPI有効化を制限している場合は、情シスや基盤チームとの調整が入ることがあります。
ミニFAQ:サービスの位置づけ
Q. 「Google AI Studio」と「Vertex AI」は何が違いますか?
A. どちらもGeminiを呼び出せますが、Google AI Studioは個人開発者向けの実験環境で、Vertex AIは企業向けのAI/MLプラットフォームです。VPC制御・IAM・監査ログ・SLAといった企業要件を通したいならVertex AI、まず個人で試したいならGoogle AI Studioと使い分けるのが一般的です。詳細はGemini APIの使い方でも整理しています。
主要モデルと選び方
Vertex AIで扱えるモデルは、大きく分けてGoogle純正のGeminiシリーズ・Google純正のマルチモーダル/音声/動画モデル・Model Garden経由のサードパーティ/オープンモデルの3系統です。代表的なモデルとユースケースを整理します。
主要モデルの一覧
提供元 | 代表モデル | 得意分野 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
Gemini(Pro / Flash / Flash-Lite) | 長文推論・マルチモーダル・エージェント | 業務RAG、要件抽出、コード支援 | |
Imagen | 画像生成・編集 | 商品画像、モックアップ、広告素材 | |
Chirp/Chirp 3 | 音声認識・音声生成 | 議事録、コールセンター、TTS | |
Veo | 動画生成 | プロモーション動画、映像プロト | |
text-embedding系 | 埋め込み(ベクトル化) | RAG、類似検索 | |
Anthropic(Model Garden) | Claude系 | 長文推論・コード生成 | 業務RAG、エージェント |
Meta(Model Garden) | Llama系 | オープンウェイトの汎用テキスト | セルフホスティング前提の本番運用 |
Mistral AI(Model Garden) | Mistral Large ほか | 多言語・関数呼び出し | 欧州言語対応、コスト重視 |
上記は代表例です。提供モデル・名称・世代・リージョン・提供終了状況は更新が速いため、正式にはVertex AI 生成AIのモデル一覧で最新版を確認してください。同じモデルでも「東京リージョン(asia-northeast1)」で使えるものと、米国リージョン(us-central1)でしか使えないものがあるため、要件定義時に必ずリージョンを確認します。
用途別のモデル選定
社内RAG(社内文書のQ&A):Gemini Pro+text-embedding系、または Gemini Flash+text-embedding系の組み合わせ
コード生成・レビュー支援:Gemini Pro、または Model Garden経由のClaude
軽量チャット(大量トラフィック):Gemini Flash / Flash-Lite
セルフホスティング前提のオンプレ連携:Model Gardenで Llama系をVertex AI Endpointsにデプロイ
音声・動画を含むマルチモーダル:Gemini(マルチモーダル対応モデル)+Chirp/Veo
判断軸としては、「まずGemini Proで精度検証 → コストが合わないところをFlashやFlash-Liteに落とす」という順序が実務では多く見られます。Google AI Studioで軽く試したプロンプトを、そのままVertex AI側で本番相当の認証・ネットワーク条件で検証していく流れです。
ミニFAQ:モデル選定
Q. Vertex AIで OpenAIのGPTシリーズは使えますか?
A. 2026年時点では、Vertex AIの提供モデルにOpenAIのGPTシリーズは含まれていません。GPT系を使いたい場合はAzure OpenAI ServiceかOpenAI APIを直接呼ぶ構成になります。
料金体系(トークン課金とエンドポイント課金)
Vertex AIの料金は、モデル種別ごとに公式ページ(Vertex AI 料金)で公開されていますが、課金の軸は次の2つに整理できます。
2つの課金モデル
課金モデル | 単位 | 向いているケース |
|---|---|---|
トークン課金(Generative AI on Vertex AI) | 入力トークン/出力トークンごとの単価 | Gemini・Imagenなどの純正モデル、Model Garden上でマネージドAPI提供されているモデル |
エンドポイント課金(Vertex AI Prediction) | マシンタイプ×時間+ノード数 | Model Gardenでセルフデプロイしたモデル(Llamaなど)、カスタム学習モデルの推論 |
Geminiのようなマネージド提供のモデルはトークン単価で課金され、入力トークンと出力トークンで別単価が設定され、出力側が高めに設定されるのが一般的です。マルチモーダル入力(画像・動画・音声)は入力トークン換算のロジックが用途ごとに異なるため、実際の単価は公式料金ページで最新値を確認します。
一方、Model GardenでLlamaなどのオープンモデルをセルフデプロイして使う場合は、Vertex AI Endpointsに割り当てたマシンタイプ(例:n1-highmem-8+GPU)とノード数、稼働時間で課金されます。トークン数と直接連動しない代わりに、リクエストの有無に関わらず稼働時間分の料金が発生する点が最大の違いです。
どちらを選ぶかの判断軸
月間トークン数がまだ読めない → トークン課金(Gemini・マネージド提供モデル)
本番稼働で1日中トラフィックが張り付く → セルフデプロイ型を選ぶかどうか要検討
応答レイテンシを厳しくSLA化したい/モデルをカスタム学習したい → エンドポイント課金(セルフデプロイ)
社内評価用の一時的な負荷 → トークン課金
Geminiのマネージド提供モデルの一部には、まとまったトークンをまとめて処理するバッチAPI(Batch Prediction)があり、対話用の同期呼び出しよりも単価を抑えられるケースがあります。夜間バッチで大量のドキュメント要約や分類を回す用途では、同期呼び出しよりコストを抑えやすい選択肢として検討する価値があります(実際の削減幅はモデル・ワークロードで大きく振れるため、公式料金ページの単価で試算します)。
ミニFAQ:料金の勘所
Q. 想定より請求が跳ねやすいポイントは?
A. 実務でよく指摘されるのは、①Model Gardenのセルフデプロイでリクエストが無くてもエンドポイントが常時稼働している②長文プロンプトが毎回入力トークンとして課金される③マルチモーダル入力(動画)で入力トークン換算が想定より大きい、の3点です。エンドポイントは検証後に停止する、システムプロンプトはコンテキストキャッシュ機能で使い回す、動画・画像は必要な部分に絞る、という運用ルールで抑えます。詳細な削減設計はLLMコスト最適化案件の単価相場でも整理しています。
主要機能(Studio・Model Garden・Pipelines・Agent Builder)
Vertex AIには、モデル呼び出し以外にも本番運用を意識した機能が揃っています。案件で名前が挙がる主要機能を整理します。
Vertex AI Studio
役割:プロンプトを対話的に試し、社内で共有できるプレイグラウンド
主な用途:業務担当者と一緒にプロンプトの候補を作り、動作を確認する
勘所:Studioで動いたプロンプトは、そのままSDKからも呼び出せる。プロンプト履歴の共有・比較機能が付いているため、非エンジニアとの検証に便利
Model Garden
役割:Google純正・パートナー・オープンモデルを1か所に集めたカタログ
主な用途:Claude・Llama・Mistralなど非Googleモデルの発見/有効化/デプロイ
勘所:モデルによって「マネージドAPIで呼べる」「セルフデプロイ限定」「Vertex AI Studioで試せる」など提供形態が異なる。案件のRFPで「マルチモデル対応」と書かれている場合、Model Gardenの有効化条件と提供形態を先に確認する
Vertex AI Pipelines
役割:機械学習のワークフロー(前処理→学習→評価→デプロイ)をパイプラインとして定義・実行するMLOps基盤
主な用途:モデル再学習・データパイプライン・LLMの評価バッチ
勘所:Kubeflow Pipelines DSL または TensorFlow Extended(TFX)をベースにしており、既存のMLOps知識がそのまま使える。詳細はMLOpsとはを参照
Vertex AI Endpoints(Prediction)
役割:モデルをRESTエンドポイントとしてホスティングする推論基盤
主な用途:Model Gardenでセルフデプロイしたモデル、独自学習モデルのオンライン推論
勘所:オートスケーリング設定を誤ると、リクエストが少なくてもGPUノードが常時稼働してコストが跳ねる。最小・最大レプリカ数やスケーリング条件を事前に確認し、アイドル時のコストが膨らまない設定にする
Vertex AI Search/Agent Builder
役割:RAGとエージェントの実装を高水準APIでまとめたサービス
主な用途:社内ドキュメント検索、業務エージェント、カスタマーサポート
勘所:BigQueryやCloud Storage内のドキュメントをコネクタで取り込み、埋め込み・検索・回答生成を自前実装せずに構築できる。細かい制御が要る場合はLlamaIndexなどのフレームワークと組み合わせるパターンもある
Model Monitoring/Model Evaluation
役割:デプロイしたモデルの入力データ分布のドリフト検知、生成AIモデルの品質評価
主な用途:本番運用後の品質担保、モデル更新前のオフライン評価
勘所:生成AI向けにはLLM-as-a-Judgeベースの評価もサポートしており、要件定義の段階で評価指標を先に決めておくと後戻りが減る
Bedrock/Azure OpenAI/OpenAI直叩きとの違い
Vertex AIを検討するときによく比較されるのが、Amazon Bedrock・Azure OpenAI Service・OpenAI API 直叩きの3つです。同じ「マネージドLLM/マネージドAI基盤」でも、実務上は違いがあります。
比較表
観点 | Vertex AI | Amazon Bedrock | Azure OpenAI | OpenAI API直 |
|---|---|---|---|---|
主なモデル | Gemini・Imagen+Model Garden(Claude・Llama等) | Claude・Nova・Llama・Mistral等 | GPT系・Embedding等 | GPT系・Embedding等 |
認証基盤 | Google Cloud IAM/Workload Identity | AWS IAM/Signature v4 | Microsoft Entra ID/APIキー | OpenAIのAPIキー |
ネットワーク統制 | VPC Service Controls・Private Google Access | VPC・PrivateLink | プライベートエンドポイント | ベンダー統合の閉域制御は限定的で、プロキシ・監査・鍵管理の自前設計比重が大きい |
データ取り扱い | 顧客データは基盤モデルの学習に使われない扱い(要件確認は必須) | 同じく学習に使われない扱い | 同じく学習に使われない扱い | 学習利用のOpt-out設定あり |
主な既存資産との相性 | BigQuery・GCS・GKE・Anthos | S3・Lambda・OpenSearch | Azure Storage・AKS・Fabric | 依存インフラなし |
セルフデプロイ | Model Garden+Vertex AI Endpoints | インポートモデル/Custom Model Import | Fine-tuning/Provisioned | 独自ホスティング不可 |
選び分けの実務ルール
既存インフラがGoogle Cloud中心:BigQueryやGCSのデータを頻繁に扱うならVertex AIが最短。データ移動を伴うマルチクラウド構成を避けやすい
既存インフラがAWS中心:AWSアカウント内でIAM統制を効かせたいならBedrock
既存インフラがMicrosoft中心:Microsoft Entra IDとM365連携が前提ならAzure OpenAI
モデルはGPT一択で、インフラ依存を最小化したい:OpenAI API直叩き。ただし監査ログ・VPC統制は自前で組む
マルチクラウド前提:Bedrock/Vertex AI/Azure OpenAIを併用するケースもあるが、認証・ネットワーク・モデル評価基盤が3系統に分かれるため運用負荷が上がる点は最初に見積もる
案件別の選定順序については、クラウド案件の参入順序でも整理しているので、クラウド未経験者はあわせて参照してください。
Google CloudでのAI/機械学習案件と単価
ここではフリーランス案件としてのVertex AI/Google Cloud AI関連案件の傾向を整理します。
案件の4類型
Vertex AI関連の案件は、実務では以下の4つに分かれる傾向があります。
PoC・要件定義フェーズ:Vertex AI Studioでプロンプトを試作し、ユースケース別に精度・コスト・レイテンシを検証する
RAG構築:BigQuery/Cloud StorageのドキュメントをVertex AI Search/Agent Builder、またはLlamaIndexなどのフレームワークと組み合わせて実装する
Agent Builder/エージェント実装:業務ツール連携(Google Workspace、Salesforce、社内API)を伴うエージェントを設計する
MLOps・チューニング:Vertex AI Pipelinesでの再学習フロー、Model Registryでのバージョン管理、Model Monitoringのドリフト検知設定
案件別の詳細はRAG構築案件の実情やLLMファインチューニング案件の全体像、社内LLM導入案件とはにも整理があります。
案件単価の目安
まずは公開案件ベースでの単価目安を示します。以下の数字は、2026年9月時点で確認した首都圏中心の主要フリーランスエージェント数社(数社)の公開案件ページと、面談で提示された条件(週4〜5日準委任案件)を観測した目安です。公開案件数がまだ多くない領域のため、あくまで観測ベースの目安として読んでください。非公開案件は個別条件で上振れするケースがあります。
※以下の表は 2026年9月時点、首都圏中心・週4〜5日準委任の公開案件観測ベースの目安です。
役割 | 案件単価の目安(月額) | 想定される経歴・スキル |
|---|---|---|
Vertex AI PoC支援・要件定義 | 80〜120万円 | 生成AI/機械学習の実務経験2〜3年、Google Cloud基本サービスの理解 |
RAG構築(Vertex AI Search/Agent Builder) | 90〜140万円 | RAG実装経験、埋め込み・チャンク設計、BigQuery/GCSの実務 |
Agent Builder/エージェント実装 | 100〜150万円 | エージェントフレームワーク経験、業務システム連携経験 |
MLOps基盤設計(Vertex AI Pipelines/Model Registry) | 100〜160万円 | MLOps実務経験3年以上、Kubeflow/TFX、CI/CDの設計 |
Google Cloud AI基盤リード | 130万円前後から上振れ例あり | Google Cloud AI/MLの全体設計、複数プロジェクトのリード経験 |
上振れは、Google Cloud認定資格(Google Cloud認定資格おすすめ一覧も参照)や、金融・製造・医療などのドメイン知識、英語での要件定義対応が入ると見られます。特に、複数部門をまたぐ要件定義やセキュリティレビューを主導できる人ほど上振れしやすい傾向があります。単価を体系的に上げる考え方はフリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方で整理しています。
自分がどのくらいの単価を狙えるか気になる方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で現在の市場単価の目安を確認できます。実際にVertex AI案件を探すときは、フリーランスエンジニアの案件一覧でGoogle Cloud/生成AI関連の募集条件と単価レンジを比較しておくと、面談時の交渉材料が揃います。
求められるスキルセット
案件情報を見る限りでは、以下のスキルセットが揃っている人が呼ばれやすい傾向があります。
Google Cloud基盤:IAM、VPC、VPC Service Controls、Cloud Storage、BigQuery、Cloud Run の実務
LLMアプリの実装:Python+google-genai/google-cloud-aiplatform SDK、RAG/エージェントの設計経験
周辺サービス:BigQuery(構造化データの取り込み・特徴量化)、Cloud Composer(バッチ)、Dataflow(ストリーミング前処理)
セキュリティ/統制:VPC-SC、Cloud KMS、Cloud Audit Logs、Cloud DLPでの機微情報マスキング
MLOps:Vertex AI Pipelines、Model Registry、Cloud Build/Cloud DeployでのCI/CD
ミニFAQ:案件参入
Q. Google Cloudの実務経験がなくてもVertex AI案件に入れますか?
A. 参入自体は不可能ではありませんが、実務案件ではGCPの基礎(IAM/VPC/BigQuery/Cloud Storage)を触った経験を条件にしているケースが目立ちます。まったくの未経験なら、まずCloud RunやBigQueryで小さくGoogle Cloudの実務を経験した上で、Vertex AI Studioで生成AI側のPoCを積むルートが現実的です。
Vertex AIを本番で使う前に押さえておくべき勘所
PoCが動いた後、本番で運用する段階でつまずきやすいポイントを整理します。案件でも面談で必ず聞かれる観点です。
認証・IAM設計
roles/aiplatform.user だけでは不足する操作(モデル一覧取得・チューニング・エンドポイント管理など)が出やすいため、実行者・管理者・監査担当ごとに必要権限をVertex AI IAM 権限リファレンスで確認して設計します
Workload Identityを使うと、GKE Pod/Cloud Runサービスから鍵ファイルなしで安全にVertex AIを呼べます
個人開発者アカウントを本番で使い回さない。監査ログでの追跡性を担保するためにも、サービスアカウントを目的別に分ける
ネットワーク統制
顧客データを扱う場合は、VPC Service Controls でVertex AI APIの境界を切り、想定外プロジェクトへのデータ持ち出しを防ぐ
Private Google AccessでVPC内から外部IP無しでVertex AIを呼び出せる。多くの大企業案件で必須条件になる
リージョン制約(データ所在地)が要件にある場合、モデルの提供リージョンが限定されている点を早めに確認する
コスト管理
Model Gardenのセルフデプロイエンドポイントは、放置するとリクエストが無くてもGPU課金が発生する。PoC終了時は必ずエンドポイントを停止/削除する
対応モデル・APIでは、コンテキストキャッシュ(Context caching)を使うと、長い共通プロンプトの再送コストを抑えられる場合がある。適用条件・料金体系はモデルとAPIごとに異なるため公式仕様を確認する
BigQueryやCloud Storageからのデータ転送料金も見落としがち。同じリージョンに揃えるのが基本
プロンプトインジェクション対策
外部データを埋め込むRAGでは、埋め込み対象の文書に「これまでの指示を無視して〜」と書かれているとエージェントが誤動作する。詳細な対策はプロンプトインジェクション対策 を参照
Vertex AIのSafety Settings(有害コンテンツフィルタ)は、業務ドメインによって過剰にフィルタリングされる場合があるため、閾値設定を要件確認する
契約・情報管理
業務委託で顧客データを扱う場合は、機密情報の取り扱い・成果物の帰属・データ返却/削除の条項をあらかじめ整理しておく。詳しくは業務委託で生成AIを使うときの契約・機密情報の注意点 を参照
Vertex AIを学ぶ順序(実務ロードマップ)
Vertex AI単体の学習だけでは案件参入はしにくく、周辺のGoogle Cloudサービスと合わせて段階的に触るのが現実的です。以下は、生成AI案件を目指す場合の実務ロードマップの一例です。
ステップ1:Google Cloud基礎(1〜2週間)
IAMロール、VPC、Cloud Storage、BigQuery、Cloud Runの基本操作
参考:GCPとは|Google Cloud主要サービス・AWSとの違い・案件単価、BigQueryとは、GCP Cloud Runとは
ステップ2:Vertex AI Studio/Geminiの単体呼び出し(2〜3週間)
Google AI Studioでプロンプト検証 → Vertex AI Studioで同じことを試す
SDK(google-genai / google-cloud-aiplatform)でCLIから generateContent を呼ぶ
モデルごとのトークン消費とコストを実測する
ステップ3:RAG構築とエージェント(1〜2か月)
Cloud StorageまたはBigQuery上の社内文書をチャンク化し、埋め込みモデルでベクトル化
Vertex AI Search/Agent Builder、またはLlamaIndexなどのフレームワークでRAGを構築
Difyなどのノーコードプラットフォームで簡易的にRAGを試す方法はDifyとはを参照
ステップ4:MLOps・パイプライン(1〜2か月)
Vertex AI Pipelinesで再学習フローを組み、Model Registryでバージョン管理
Model MonitoringでData Drift/Prediction Driftを検知
CI/CDはCloud Build+Cloud Deploy、またはGitHub Actions+gcloudコマンドで整える
ステップ5:資格・案件応募(並行)
Google Cloud認定資格の Associate Cloud Engineer → Professional Machine Learning Engineer の順で受験するのが一般的
資格取得と並行して、GitHubなどにVertex AIを使った検証プロジェクトを公開しておくと面談で説明しやすい
Vertex AI案件でよく組み合わせるGoogle Cloudサービス
Vertex AI案件は単独では成立しにくく、下記のGoogle Cloudサービスと組み合わせて設計するのが実務です。案件情報を見るときは、これらのサービス経験も条件に入っているかを確認します。
サービス | 主な役割 | Vertex AIとの関わり |
|---|---|---|
データウェアハウス | 学習・評価データの格納、RAGの元データ、BigQuery MLとの連携 | |
Cloud Storage | オブジェクトストレージ | ドキュメント・モデル成果物の保管、Vertex AI Search/Agent Builderのソース |
サーバレスコンテナ | LLMアプリのバックエンド、Webhookレシーバ | |
Cloud Functions | イベント駆動関数 | ドキュメント更新をトリガにした埋め込み更新 |
Cloud Composer(Airflow) | ワークフロー | 定期バッチ、ETL、モデル再学習のオーケストレーション |
Cloud DLP | データマスキング | 個人情報を含むテキストのマスキング前処理 |
IAM/VPC-SC | 認証・境界制御 | Vertex AI APIのアクセス制御と境界防御 |
Cloud Audit Logs | 監査ログ | 「誰が」「いつ」「どのモデルを」呼んだかの追跡 |
Cloud KMS | 鍵管理 | 顧客管理暗号化キー(CMEK)でのVertex AI利用 |
GKE | Kubernetes | セルフホスト型LLM(Llama等)の推論基盤 |
案件のRFPに「Vertex AI+BigQuery+Cloud Run」といった組み合わせで書かれることが多いのは、この分業構造が背景にあります。
まとめ
Vertex AIは、Google Cloudの中で生成AI/機械学習のワークフロー全体をカバーするマネージドプラットフォームです。単なるLLM呼び出しではなく、モデル評価・チューニング・デプロイ・監視までを1つのコンソールで扱えるため、企業のAI基盤選定で有力な選択肢になっています。案件で価値を出すには、Vertex AI単体ではなく、IAM/VPC-SC/BigQuery/Cloud Storageなど周辺のGoogle Cloudサービスと合わせて設計できることが前提です。
要点を整理しておきます。
Vertex AIは Google Cloud版の統合AI/MLプラットフォーム。Gemini+Model Garden(Claude・Llama等)を扱える
料金は「モデル別トークン課金」と「セルフデプロイ時のエンドポイント時間課金」の2軸
選定はAWSならBedrock、AzureならAzure OpenAI、Google CloudならVertex AIが最短ルート
案件はPoC・RAG・Agent Builder・MLOpsの4類型が中心。単価は他のGoogle Cloud案件と同水準〜やや上乗せの傾向
学ぶ順序はGoogle Cloud基礎 → Vertex AI Studio → RAG/エージェント → MLOps → 資格・案件応募が現実的
Google Cloud全体の案件動向はGCPとは|Google Cloud主要サービス・AWSとの違い・案件単価、AWS/Azureとの参入順序はクラウド案件の参入順序でも整理しています。案件を具体的に探す段階に来たら、フリーランスエンジニアの案件一覧で募集条件と単価レンジを確認してみてください。
よくある質問
Vertex AIとGoogle AI Studioはどちらから触ればいいですか?
まず個人で手軽にGeminiのプロンプトを試したいならGoogle AI Studio、企業のAI基盤として本番運用を前提にするならVertex AIから触るのが現実的です。案件を意識するなら、Google AI Studioで動かしたプロンプトをVertex AI Studioにも移植し、認証・ネットワーク・IAMまわりの違いを一度は体験しておくと面談で説明しやすくなります。
Vertex AIの学習にはどれくらい期間がかかりますか?
Google Cloudの基本サービス(IAM/VPC/BigQuery/Cloud Storage)を触った経験がある人なら、Vertex AI Studioで生成AIを動かし始めるまでは1〜2週間、RAGやエージェントを実装できるまでは追加で1〜2か月が目安です。まったくの未経験者は、まずGoogle Cloud基礎に1〜2か月を確保した上でVertex AIに移るのが挫折しにくいルートです。
Vertex AIとAmazon Bedrockはどちらを学ぶべきですか?
案件母数はAWS側の方が広い傾向がありますが、既存の勤務先や副業先でBigQueryを使っているならVertex AIから始めた方が知識が繋がります。両方触るのが理想ですが、まずどちらか一方を軸にしてから、もう一方を「差分キャッチアップ」で覚えるのが効率的です。詳細な比較はAmazon Bedrockとはを参照してください。
Vertex AI案件の単価はどれくらいですか?
公開案件ベースの目安では、PoC支援で月80〜120万円、RAG構築で月90〜140万円、MLOps基盤設計で月100〜160万円のレンジで募集されるケースが見られます。首都圏中心の主要フリーランスエージェント数社の週4〜5日準委任案件を観測した数字で、Google Cloud認定資格やドメイン知識で上振れするケースもあります。自分の単価目安は単価診断で確認できます。
Vertex AIで顧客データが基盤モデルの学習に使われることはありますか?
Google Cloudの公式ドキュメントでは、Vertex AIに送信された顧客データは基盤モデルの学習に使われないと案内されています。ただし、機能ごとに扱いが変わる場合があるため、案件着手前にVertex AI Generative AI のデータガバナンスで最新の仕様を確認し、契約書や情報取扱ルールと突き合わせるのが安全です。
Vertex AI Search/Agent Builderは自前実装のRAGと何が違いますか?
Vertex AI Search/Agent Builderは、埋め込み・チャンク化・検索・回答生成をGoogle側が高水準APIで隠蔽しているため、少ないコードで動き始めるのが特長です。反面、リランキングやカスタム前処理の細かい制御は制限されるため、RAGの精度を突き詰めたい案件ではLlamaIndexなどのフレームワークと組み合わせるパターンもあります。要件次第で使い分ける前提です。
Model Gardenでセルフデプロイしたモデルはコストが高いですか?
セルフデプロイ型はリクエスト量に関わらずGPUノードの稼働時間で課金されるため、アイドル時のコストが乗るのが最大の違いです。トラフィックが少ない用途や検証中はマネージドAPI提供のモデル(Gemini・マネージド提供のClaude等)を使い、常時高負荷が読める本番用途で初めてセルフデプロイを検討するのが定石です。
Vertex AI関連で取っておくと有利な資格はありますか?
Google Cloud認定資格の Associate Cloud Engineer で基礎を固め、Professional Machine Learning Engineer でVertex AI関連の設計知識を証明するルートが実務でよく見られます。案件応募時に必須ではありませんが、Google Cloudのプロジェクト経験が浅い段階では書類通過率を上げやすい要素です。詳細はGoogle Cloud認定資格おすすめ一覧を参照してください。
Vertex AIとBigQueryはどう連携させますか?
BigQueryにあるテーブルをVertex AIのRAG/エージェントのソースにする方法、逆にBigQuery MLからVertex AIの生成AI関数(ML.GENERATE_TEXT など)を呼ぶ方法の2方向があります。データ量が多い前処理はBigQueryで済ませてから埋め込みに渡す、という分業がコスト面でも実行時間の面でも安定します。BigQueryの基礎はBigQueryとはを参照してください。
Vertex AIをGoogle Cloud以外(オンプレやAWS)と連携できますか?
可能です。VPN/Interconnect経由でオンプレやAWSからVertex AIのAPIを呼ぶ構成は実務でも見られます。ただし、レイテンシ・データ転送料金・監査要件が増えるため、単純な「別クラウドから呼ぶ」設計にせず、境界(プロキシ・API Gateway)を設けて認証・ロギングを集約するのが安全です。マルチクラウドを前提にする場合は運用負荷が上がる点を最初に見積もっておきます。
Vertex AIとGemini APIの直叩きはどちらを選ぶべきですか?
企業要件(VPC制御・監査ログ・SLA・データ所在地)があるならVertex AI、個人開発や検証ならGemini APIの直叩き(Google AI Studio)で十分です。両者の細かい違い(認証・料金・データ取り扱い)はGemini APIの使い方でも比較しています。
Vertex AI案件はリモートで対応可能ですか?
案件情報を見る限りでは、完全リモートまたは週1〜2回出社の準委任案件が多い部類に入ります。ただし、金融・公共・製造の大企業案件では機密情報を扱うため、常駐や指定端末の使用が条件になるケースもあります。募集要項の稼働条件を必ず確認してください。
生成AIのコストを下げる案件も別枠でありますか?
はい、LLMコスト最適化に特化した案件も一定数見られます。プロンプト圧縮、コンテキストキャッシュ活用、モデルサイズのダウンサイジング、バッチAPIへの切り替えなどを提案・実装する案件です。詳細はLLMコスト最適化案件の単価相場を参照してください。
Vertex AI関連の副業案件はありますか?
公開案件ベースでは、週1〜2日稼働の副業向け案件も一定数見られます。副業ならPoC支援やプロンプトエンジニアリング、RAGの部分実装などが対象になりやすい傾向があります。単価は正社員案件より低めですが、稼働時間あたりの単価では大きく変わらないケースもあります。
Vertex AI関連の案件はどこで探せますか?
主要なフリーランスエージェント各社の公開案件ページに「Vertex AI」「Google Cloud AI」「生成AI/Gemini」といったタグで募集が出ています。まずはフリーランスエンジニアの案件一覧で募集条件と単価レンジを確認し、面談時に自分のGoogle Cloud実務経験と生成AI実装経験を具体的に説明できるようにしておくと通過率が上がります。
