【2026年施行】下請法が「取適法」に改正|フリーランス・SESが契約前に確認すべき変更点
最終更新日:2026/08/04
2026年1月1日施行の改正により、下請法は「取適法(中小受託取引適正化法)」へ改められました。正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」です。フリーランスやSES案件に関わる受託者も、取引内容や当事者の要件を満たせば保護の対象になり得ます。一方的な代金決定の禁止や支払期日の考え方など、取引ルールが整理されました。何がどう変わり、契約前に何を確認すればよいかを、公正取引委員会の資料をもとに解説します(最新の施行状況は公正取引委員会の資料をご確認ください)。
先に結論
下請法は2026年1月1日に「取適法(中小受託取引適正化法)」へ改正・施行済みです。名称・適用対象・禁止事項が見直されました。
フリーランス・個人事業主も、取引内容と相手の事業規模の条件を満たせば「中小受託事業者」として保護対象になります。
判断基準に従業員数が加わり、資本金基準だけでは対象外だった取引もカバーされるようになりました。
新たに「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」「手形払いの禁止」「振込手数料を受託側に負担させることの禁止」などが規定されました。
フリーランスがすべきは難しい対応ではなく、契約前に「単価が協議で決まるか」「支払は短期か」「契約期間・終了条件が明示されているか」を確認することです。
この記事でわかること
下請法と取適法の違い(名称・適用対象・禁止事項が何がどう変わったか)
フリーランス・SESエンジニアが取適法の対象になる条件
取適法で新設・強化された禁止事項の具体的な中身
契約前にチェックすべき3つのポイント(単価・支払期日・契約期間)
なお本記事は、実務経験のあるエンジニア向けというより、業務委託・SESで働くフリーランス全般に向けた内容です。「自分の契約は取適法の考え方から見て問題ないのか」を判断する視点を持ち帰ることを目的にしています。
目次
取適法とは?下請法との違いを一言で
そもそも下請法とは?
下請法から取適法への変更点
取適法でフリーランスが知っておくべきポイント
取適法への改正にあたって必要な準備・対策
契約前チェックリスト
フリコンでの取り組み
まとめ
よくある質問
取適法とは?下請法との違いを一言で
取適法(中小受託取引適正化法)とは、2026年1月1日施行の改正により下請法を改めた法律で、フリーランスを含む中小受託事業者との取引を適正化するためのルールです。下請法との最大の違いは、適用対象を判断する基準に従業員数が加わり、資本金基準だけでは対象外だった取引まで対象が広がった点にあります。あわせて、協議に応じない一方的な代金決定や手形払いなどが新たに禁止されました。
比較軸 | 下請法(旧) | 取適法(現行・2026年1月施行) |
|---|---|---|
名称の考え方 | 「下請」を前提 | 「委託/受託」で中立化 |
適用の判断基準 | 資本金のみ | 資本金+従業員数 |
主な対象取引 | 製造・修理・情報成果物・役務提供 | 左記+特定運送委託 |
代金の決め方 | 買いたたきを禁止 | 協議に応じない一方的な決定も禁止 |
支払手段 | 割引困難な手形等を規制 | 手形払いを禁止・振込手数料の一方的負担も禁止 |
フリーランスにとっては、この改正で「契約前に確認すべき判断軸が整理された」ことが最大のポイントです。以下では、旧法の考え方から順に、何がどう変わったのかを具体的に見ていきます。
そもそも下請法とは?
下請法とは、正式名称を「下請代金支払遅延等防止法」といい、親事業者と下請事業者の間で起こりやすい不公正な取引を防止するための法律でした。取適法は、この下請法をベースに名称・適用基準・禁止行為などを見直した改正法です。まずは土台となる下請法の考え方を押さえておきましょう。
取引において立場の強い発注者側(親事業者)が、立場の弱い受注側(下請事業者)に対して、
報酬を一方的に減額する
支払いを遅らせる
正当な理由なくやり直しを求める
といった行為を防ぐことを目的としています。
日本の産業構造では「多重下請」や「系列取引」が多く、中小企業や個人事業主が不利な条件を受け入れざるを得ない状況が長年問題視されてきました。下請法は、こうした状況を是正するために制定され、違反した場合には公正取引委員会による指導・勧告・企業名公表などの措置が取られます。この基本的な枠組みは、取適法にも引き継がれています。
下請法の適用範囲
下請法が適用されるかどうかは、主に次の2点によって判断されていました。
取引当事者の規模要件(資本金区分)
取引内容
この「資本金だけで線を引く」考え方が、後述する課題につながっていきます。
取引当事者の規模要件(資本金区分)
下請法の適用対象となる取引かどうかは、まず委託者と受託者の資本金の額によって決まっていました。委託者の資本金が一定額以上で、受注者の資本金がそれより小さい場合に適用対象となる、という考え方です。
物品の製造・修理委託の場合は、委託者の資本金が3億円超かつ受託者が3億円以下、または委託者が1千万円超3億円以下かつ受託者が1千万円以下。情報成果物作成・役務提供委託の場合は、委託者が5千万円超かつ受託者が5千万円以下、または委託者が1千万円超5千万円以下かつ受託者が1千万円以下、という区分でした。
取引内容
下請法では、以下の取引類型が対象とされていました。この考え方は取適法にも基本的に引き継がれています。
製造委託:物品の製造を他の事業者に委託する取引(部品製造、オリジナル商品の製造など)
修理委託:物品の修理を外部事業者に依頼する取引(機械の修理、精密機器のメンテナンスなど)
情報成果物作成委託:情報成果物の作成の全部または一部を委託する取引(システム、アプリ、Webサイト、動画、イラスト、記事・原稿など)
役務提供委託:作業そのものを提供する取引。業務遂行そのものが契約内容となる(カスタマーサポート、常駐型の開発支援など)
エンジニアの多くは、この「情報成果物作成委託」や「役務提供委託」に該当します。イメージとしては、成果物の納品型の開発は情報成果物作成委託、常駐支援や運用補助は役務提供委託に当たりやすい類型です。なお、契約が請負なのか準委任なのかで責任範囲やリスクが変わる点は、準委任契約と請負契約の違い|フリーランスエンジニアが知るべきリスクと注意点で整理しています。
下請法での禁止事項
下請法では、取引上の立場が強い親事業者が、その立場を利用して下請事業者に不利益を与える行為を禁止していました。以下は、実務上とくに問題になりやすい禁止行為です。
買いたたき
親事業者が、通常支払われるべき相場や、下請事業者に発生するコストを考慮せず、著しく低い報酬を一方的に設定することは禁止されています。
形式上は金額について話し合いが行われていたとしても、実質的に交渉の余地がなく、提示された条件を受け入れるしかない状況であれば、買いたたきと判断される可能性があります。たとえば、業務内容や想定工数、相場を十分に考慮せず、「この金額で対応できる人のみ」として著しく低い報酬を一方的に提示するケースです。
自分の想定単価が相場から見て妥当かどうかが気になる方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で現在の市場単価の目安を確認できます。単価を体系的に上げていく考え方は【2026年最新版】フリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方とは?で整理しています。
下請代金の減額
発注後に、委託事業者の都合で下請代金を減額することは、原則として認められていません。たとえば、協力金や調整費といった名目での差し引き、受託側との合意なしに振込手数料の負担を一方的に求めること、消費税相当額を支払わないことなどは、下請代金の減額と判断される可能性があります。
報酬額を事前に決めて業務を開始した後、発注側の都合で「調整費」「振込手数料」などの名目で報酬の一部を差し引いて支払うケースが典型例です。検収や請求のタイミングと入金の実務は検収・請求のタイミングと入金トラブル回避|フリーランスエンジニアの実務ガイド【2026年版】で詳しく解説しています。
その他にも注意すべき禁止行為
このほかにも、以下の行為が禁止されています。
正当な理由のない受領拒否や返品
下請代金の支払い遅延
無償での仕様変更や作業のやり直し
取引と無関係な物品・サービスの購入強制
不当な利益提供の要請
申告や相談を行ったことを理由とする報復措置
これらの禁止行為の考え方も、取適法に引き継がれています。(参考:公正取引委員会ポイント解説 下請法)
下請法の限界と課題
下請法は長年にわたり中小事業者の取引環境を支えてきた一方で、次のような課題も明らかになっていました。
現代の取引実態との乖離
まず、「下請」「親事業者」といった用語が、現代の多様な取引実態にそぐわなくなっていました。業務委託やフリーランスとの取引が一般化した現在では、「下請」という言葉自体が実体と合わず、法律の趣旨が伝わりにくいという指摘がありました。「下請」という語感が、発注者と受注者を対等でない関係として印象づける面もあります。
次に、資本金基準が中心で、実際の取引関係を十分に反映できていませんでした。事業規模は大きいものの当初の資本金が少額である事業者や、減資によって対象から外れる例があります。なかには、下請法の適用を逃れるために受注者へ増資を求める発注者も存在しました。
さらに、原材料費や人件費の上昇に対する価格転嫁の問題にも十分対応できていませんでした。コストが上昇しているにもかかわらず、十分な協議を行わないまま価格を据え置く取引が見られ、適切な価格転嫁が行われる取引環境の整備が求められていました。
こうした背景を受けて、下請法は2026年1月1日に「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(略称:中小受託取引適正化法、通称:取適法)へと改正・施行されました。名称だけでなく、考え方や適用範囲、規制内容も見直され、より幅広い委託取引を対象とする法律へと変わっています。
下請法から取適法への変更点
ここからは、下請法から取適法への改正で実際にどの点が変わったのかを見ていきます。大きく分けると「用語の変更」「適用対象の拡大」「禁止事項の追加」の3つです。
用語の変更
取適法では、従来の下請法で使われていた用語が見直されました。
下請法(旧) | 取適法(現行) |
|---|---|
親事業者 | 委託事業者 |
下請事業者 | 中小受託事業者 |
下請代金 | 製造委託等代金 |
これにより、取引関係をより中立的・実態に即した形で捉えることが意図されています。「下請」という上下関係を思わせる呼び方が改められた点は、取引現場の意識にも影響していく変化といえます。
適用対象の拡大
取適法では、資本金基準に加えて従業員数などの要素も考慮されるようになり、より幅広い取引が対象になりました。また、これまで明確に対象とされていなかった運送委託なども適用範囲に含まれます。
適用の判断基準に「従業員数」の追加
これまでの制度では資本金のみが適用対象の判断基準とされており、実体としては大規模な事業者が適用対象から外れてしまうケースがありました。そこで取適法では、資本金に加えて従業員数も考慮することで、実質的に交渉力の強い委託事業者についても適切に規制できる仕組みへと見直されています。
以下が適用される区分です(委託事業者=委託者、中小受託事業者=受託者)。
(1) 製造委託・修理委託、情報成果物作成委託・役務提供委託(プログラムの作成、運送、物品の倉庫保管、情報処理に係るもの)、特定運送委託の場合
判断基準 | 委託者 | 受託者 |
|---|---|---|
資本金① | 3億円超 | 3億円以下 |
資本金② | 1,000万円超〜3億円以下 | 1,000万円以下 |
従業員数 | 300人超 | 300人以下 |
(2) (1)に該当しない情報成果物作成委託・役務提供委託の場合
判断基準 | 委託者 | 受託者 |
|---|---|---|
資本金① | 5,000万円超 | 5,000万円以下 |
資本金② | 1,000万円超〜5,000万円以下 | 1,000万円以下 |
従業員数 | 100人超 | 100人以下 |
いずれか1つの区分に該当すれば、取適法の適用対象となります。個人事業主でも、相手方がこの区分に当てはまる規模であれば「中小受託事業者」として保護の対象になり得る、という点が実務上のポイントです。
対象取引への「特定運送委託」の追加
物流業界で問題となっていた不公正取引に対応するため、特定運送委託が明確に対象取引として追加されました。エンジニアの業務とは直接関係しにくい部分ですが、対象取引の幅が広がった一例として押さえておくとよいでしょう。
禁止事項の追加
取適法では、改正により以下の新たな禁止行為が明確に規定されました。フリーランスの取引に関わりが深いものが多いため、内容を具体的に確認しておきます。
協議に応じない一方的な代金決定の禁止
中小受託事業者から価格協議の要請があったにもかかわらず、回答しなかったり必要な説明を行わなかったりして、一方的に代金を決定することが禁止されました。明示的に協議を拒む場合だけでなく、協議の求めを無視したり、繰り返し先延ばしにして協議を困難にさせた場合も対象になります。
手形払いや現金受け取りが困難な支払い手段の禁止
支払手段として手形払いが禁止されました。電子記録債権やファクタリングについても、支払期日までに代金相当額を得ることが困難な場合は禁止されます。受託側が実質的に「すぐ現金化できないお金」で支払われることを防ぐ趣旨です。
振込手数料を負担させることの禁止
代金の支払いにあたり、振込手数料を中小受託事業者に負担させることが禁止されました。これまで慣行として受託側が負担しているケースもありましたが、取適法ではこれを一方的に負わせることが問題とされます。(参考:公正取引委員会下請法・下請振興法改正法の概要)
取適法でフリーランスが知っておくべきポイント
制度の全体像を押さえたところで、フリーランス自身の取引に引き寄せて考えてみましょう。以下のような状況に心当たりがある場合は、取適法の考え方から見て確認しておきたいサインです。
契約条件が曖昧なまま参画する
業務内容や単価、契約期間が曖昧なまま参画すると、後から「聞いていない条件」でトラブルになりやすくなります。取適法では、代金額や支払期日などの取引条件を明確にし、不利益な一方的決定を防ぐことが重視されています。曖昧なまま進める状態は、そもそもフェアな取引の前提を欠いています。
稼働や役割が増えたのに条件が変わらない
当初の想定より稼働時間や役割が増えたのに、単価や契約条件が据え置かれている場合は要注意です。業務範囲が広がったなら、それに応じた協議が行われるべきです。範囲外の業務が増えたときの考え方は業務委託の範囲外業務への対応|スコープ管理と追加請求の実務で整理しています。
発注側に単価・条件を一方的に決められる
協議の余地なく単価や条件を一方的に決められる状況は、取適法が問題視する「一方的な代金決定」に近づきます。金額の妥当性を判断するためにも、市場相場を把握しておくことが有効です。
支払日が短期に設定されていない
報酬の支払いが必要以上に先延ばしにされている場合も、確認しておきたいポイントです。支払期日の考え方については、次章で具体的に解説します。
取適法への改正にあたって必要な準備・対策
取適法に改正されたからといって、フリーランス側が特別に難しい対応をする必要はありません。重要なのは、「契約前に確認する視点を持つこと」です。ここでは、とくに押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
ここだけは必ず押さえておきたい3つ
単価・支払期日・契約期間の3点です。いずれも、契約書や条件提示の段階で確認できる内容です。
金額は協議のもとで決定しているか
単価は、フリーランスの生活に直結する重要な要素です。取適法では、価格協議の求めに応じないまま一方的に代金を決定する行為が、禁止対象として整理されています。
たとえば「この金額でのご提示になりますが、問題なければ正式条件として発行します」といった相談形式であっても、実質的に協議の余地があるかどうかで評価は変わります。一方で「金額は◯◯円になりますので、ご承諾ください」と、交渉の余地なく一方的に提示される場合には、とくに状況を見極める必要があります。
双方合意のもとで金額が決まるか、その余地があるかが重要な判断ポイントです。発注側は一方的な金額通知のフローになっていないかを見直し、受注側は協議の余地があるかを確認しましょう。
支払日は短期に設定されているか
取適法では、支払期日についても明確な考え方が示されています。原則として、役務等を受領した日を基準に、60日以内・できる限り短い期間で支払期日を定める必要があります。たとえば1月分の稼働に対する報酬であれば、3月中までの支払いが目安になります。ただし、役務提供や締切方式では起算の整理に例外・要件があるため、書面の記載とあわせて確認が必要です。
60日を超える支払条件が提示されている場合は、その理由や運用について事前に確認しておくことが望ましいでしょう。締め支払いの仕組みや60日規制、資金繰りへの影響は支払サイトとは|フリーランスの締め支払・60日規制と資金繰りで詳しく解説しています。
なお、支払期日は「開始日起算」か「締切日起算」かによって判断が分かれます。締切日起算の扱いには要件があるため、少なくとも公正取引委員会のガイドブックの記載に沿って、次の事項が書面で明示されているかを発注側・受注側の双方で確認しましょう。
締切日および支払日が書面で明示されていること(例:支払期日欄に「毎月◯日締切、翌月(翌々月)◯日支払」と記載する)
当該期間の代金額、または算定方法が明示されていること
契約期間はどのように明示されているか
契約期間は、単に「何か月か」だけを確認すればよいわけではありません。取適法の観点では、いつ・どのような条件で契約が終了するのかが事前に分かっているかが重要です。とくにSESの場合、以下の点は確認しておきたいポイントです。
契約期間(1か月/3か月など)が明示されているか
更新の有無や判断タイミングはいつか
途中終了が発生する場合の条件や通知期間はどうなっているか
これらが明確になっていれば、「急に今月で終了します」といった一方的な判断はしづらくなり、事前の説明や相談を行う前提が整います。結果として、フリーランス・SES企業双方にとってフェアで納得感のある取引につながります。実際に途中解約を切り出された場合の対処はフリーランスエンジニアの途中解約トラブル事例と対策|原因・防ぎ方・対処法、円満に契約を終える手順は業務委託の中途解約|フリーランスエンジニアが案件を円満に辞める手順で解説しています。
SESという働き方そのものや、SESからフリーランスへ移る際の契約の考え方を整理したい方はSESエンジニアからフリーランスに転身する手順|準備・契約・独立タイミングを徹底解説もあわせてご覧ください。(参考:公正取引委員会中小受託取引適正化法ガイドブック「下請法」は「取適法」へ、新たなルールを確認!)
契約前チェックリスト
取適法の考え方を、契約前に確認できる形に整理しました。参画前・更新前に一度目を通しておくと、条件の見落としを防げます。
確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
単価の決め方 | 一方的な通知ではなく、協議・説明の余地があるか |
単価の水準 | 業務範囲・工数に対して妥当か(相場と照らして確認) |
支払期日 | 受領日から短期に設定されているか。60日超なら理由を確認 |
起算日 | 開始日起算か締切日起算か。締切日起算なら書面明示があるか |
振込手数料 | 受託側の一方的な負担になっていないか |
支払手段 | 手形など現金化しにくい手段になっていないか |
契約期間 | 期間・更新条件・途中終了の通知期間が明示されているか |
業務範囲 | スコープが明確で、範囲外業務の扱いが決まっているか |
案件そのものを何を基準に選ぶかを整理したい場合は案件の選び方|フリーランスエンジニアが単価・稼働・スキルで決める優先順位も参考になります。
フリコンでの取り組み
以下は制度解説ではなく、当社(フリコン)の運用例です。フリコンでは、取適法の考え方を踏まえ、「双方合意に基づく代金決定」と「参画前に条件を明確にすること」の2点をとくに重視しています。エージェント経由の案件で、発注者・エージェント・フリーランスの契約関係がどう整理されるかはフリーランスエージェントの仕組み|登録から契約・支払いまでの流れと手数料で解説しています。
ご契約までのプロセス
参画までの流れは、以下のように整理しています。
事前条件の提示
条件内容の調整
口頭でのすり合わせ
合意内容を文面で正式発行
合意内容・エビデンスの記録
契約書締結
入場前MTG(契約条件の再確認/請求書等のご案内/入場後の注意事項共有)
参画開始
代金決定・契約書締結の考え方
金額設定については、一方的な通知とならないよう、まずは電話等で条件のすり合わせを行います。口頭での合意が取れた後に正式条件を文面で発行することで、認識のズレが生じにくい運用を心がけています。口頭合意のみで進めるのではなく、合意内容を文章として残すことで、フリーランス・SES企業双方の認識の齟齬を防いでいます。
まとめ
下請法は2026年1月1日に取適法(中小受託取引適正化法)へ改正・施行され、用語の見直しや適用対象の拡大、禁止事項の追加によって、委託取引全体をより実態に即して適正化する制度へと整理されました。フリーランス・個人事業主も、条件を満たせば「中小受託事業者」として保護の対象になります。
要点は次のとおりです。
名称が変わり、「親事業者→委託事業者」「下請事業者→中小受託事業者」と用語が中立化された
資本金に加えて従業員数が判断基準に加わり、対象取引が広がった
「協議に応じない一方的な代金決定」「手形払い」「振込手数料の受託側負担」などが新たに禁止された
支払期日は受領日から60日以内・できる限り短い期間が原則
フリーランスがすべきは、契約前に「単価の決め方」「支払期日」「契約期間・終了条件」を確認すること
とくにSES契約では、契約形態が分かりにくく、多重下請け構造の関係上「なんとなく条件を受け入れてしまう」リスクが顕在化しやすい領域です。取適法は、フリーランスが企業と対立するための法律ではなく、条件を説明し合意した前提で取引を進めるための共通ルールを整理した法律です。知っているだけで、条件提示の受け止め方や取引相手の姿勢を見極める判断基準が変わります。
契約前は、①単価が協議で決まるか、②支払期日と起算点は妥当か、③契約期間・更新・終了条件が書面で明示されているか、の3点を確認しましょう。 あわせて、提示された条件ややり取りを文面で残しておくと、後々のトラブル予防につながります。
フリコンでは、参画前に条件をできる限り言語化し、双方が納得した状態で契約を結ぶことを重視しています。取適法の内容が気になった方や、現在の契約条件に少しでも不安を感じている方は、相談ベースでも構いませんので一度ご連絡ください。自分の単価が相場に合っているかを確認したい方は、あわせてフリーランスエンジニア単価診断もご利用いただけます。
参考・出典
公正取引委員会「ポイント解説 下請法」(2024年9月):https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/pointkaisetsu.pdf
公正取引委員会「下請法・下請振興法改正法の概要」(2025年7月):https://www.jftc.go.jp/file/03_sankosiryo1_r7_1.pdf
公正取引委員会「中小受託取引適正化法ガイドブック 『下請法』は『取適法』へ」(2025年6月):https://www.jftc.go.jp/file/toriteki002.pdf
公正取引委員会「新たなルールを確認!」(2025年10月):https://www.jftc.go.jp/toriteki_pointleaflet2.pdf
よくある質問
下請法と取適法は、何が違うのですか?
下請法と取適法の違いは、対象とする取引の考え方と範囲にあります。下請法は主に製造業を前提とし、資本金基準を中心に適用対象を判断していました。そのため業務委託やSES、フリーランスとの取引では、実態として立場の差があっても対象外となるケースがありました。取適法では、こうした課題を踏まえ、フリーランスを含む中小受託事業者との取引実態に即した整理が行われています。資本金に加えて従業員数も判断基準に含まれ、役務提供委託など現代的な取引がより明確に対象となりました。契約前に確認すべき判断軸が整理された点が、フリーランスにとって最も大きな変化です。
法人ではなく個人事業主でも、取適法の「中小受託事業者」に該当しますか?
はい、該当します。取適法では、法人か個人事業主かにかかわらず、取引内容や相手方の事業規模などの条件を満たす場合に「中小受託事業者」に該当します。そのため、フリーランスとして業務を受託している場合でも、条件を満たせば取適法の対象となります。
エージェント経由の案件でも、取適法は関係しますか?
はい、関係します。ただし、エージェントがどの立場で取引に関与しているかによって整理が異なります。発注者・エージェント・フリーランスの契約関係や委託構造によって適用関係が判断されるため、取引の当事者が誰になるのかを確認することが重要です。
協議のうえで決めるなら、取適法があればSESの単価は必ず上がりますか?
いいえ、単価が自動的に上がるわけではありません。取適法が求めているのは、必ず値上げすることではなく、一方的な条件決定を避けて協議や説明を行うことです。その結果として条件が見直される可能性はありますが、単価アップが保証される制度ではありません。
取適法はSESにも適用されますか?
SESという名称だけでは判断できません。取引内容や契約類型、当事者の規模要件を満たす場合に適用されます。契約書の名称ではなく、実際にどのような業務委託になっているかが判断のポイントです。
SESで「今月で契約終了」と急に言われるのは、取適法上違法ですか?
すべてが直ちに違法になるわけではありません。ただし、契約期間や終了条件が曖昧なまま、事前説明なく終了を告げられる場合は、取適法の考え方から見て問題となる可能性があります。
契約期間が書いていないSES契約は問題ありますか?
直ちに違法になるとは限りません。しかし契約期間が明確でないと、更新・終了の判断が一方的になりやすいというリスクがあります。フリーランス側としては、期間や更新条件を確認しておくことが重要です。
取適法上、SESの支払サイトが60日超でも問題ありませんか?
原則として、60日を超える支払サイトは注意が必要です。取適法では、支払期日は受領日を基準に60日以内・できる限り短い期間とされているためです。60日を超える条件が提示された場合は、理由や運用を一度確認しておきましょう。また、60日以内であっても、起算日(開始日起算か締切日起算か)を確認しておくと安心です。
契約書がなく、メールだけのSES契約でも大丈夫ですか?
すぐに違法になるわけではありませんが、条件が整理されていない状態はトラブルにつながりやすくなります。業務内容・単価・契約期間などは、文面で残しておくことが重要です。
取適法や契約内容について、誰に相談すればいいですか?
契約内容を一人で判断するのは難しいケースも多くあります。フリコンでは、参画前・更新前の条件確認や、「この条件は一般的か?」といった相談も受け付けています。不安を感じた段階で、相談先の一つとして活用してください。