SAP FI案件の単価と参入難易度|FI/CO・MM/SD・PS・BASISをモジュール別比較
最終更新日:2026/09/02
SAP FI案件は、財務会計領域の導入・保守・改修を担うフリーランス案件です。公開案件ベースでは首都圏中心・週4〜5日・準委任案件で月90〜160万円が目安で、会計実務やFI/CO経験がある人ほど参入しやすい傾向があります。FI/CO・MM/SD・PS・BASISなどSAPは機能単位で市場が分かれ、単価と参入難易度がモジュールごとに大きく違います。本記事はFI案件を軸に、主要モジュール別の案件動向・単価目安・参入ルートを整理します。
先に結論
SAP FI案件の単価目安は、公開案件ベースで月90〜160万円。経理・会計知識やFI/CO経験がある人ほど参入しやすい傾向があります
SAP案件はモジュール単位で市場が分かれており、単価と参入難易度は横並びで比べられません
高単価帯はFI/CO(会計)・PS(プロジェクト管理)・BASIS(基盤運用)の3系統に集まる傾向
MM/SD(購買販売)は公開案件が見つけやすい部類で、業務知識が浅いと単価が伸びにくい傾向
BASIS(基盤)は経験者が比較的少なく、S/4HANA移行案件では単価が高めに出る傾向が見られます
探し方はまず主要フリーランスエージェント数社にモジュール名(FI/CO/MM/SD/PS/BASIS)で登録し、S/4HANA案件かECC保守案件かを区別して絞り込むのが現実的です
この記事でわかること
SAP主要モジュール(FI/CO・MM/SD・PS・BASIS・HR・PP等)の役割と担当領域
モジュール別のフリーランス案件動向と単価目安(観測ベース)
モジュール別の参入難易度と、経験の棚卸しからの入り方
モジュール選定のケース別フロー(会計経験/開発経験/インフラ経験/未経験)
案件探しの実務ステップとよくある失敗
目次
SAPのモジュール構成と全体像
SAPモジュール別 案件・単価マップ
モジュール別の単価相場・参入難易度
モジュール別の必要スキル・経験
モジュール選定フロー(ケース別解説)
案件探しの実務ステップ
よくある失敗と対策
まとめ
よくある質問
SAPのモジュール構成と全体像
SAP ERP(S/4HANAやECC)は、業務領域ごとにモジュールと呼ばれる機能群に分かれています。フリーランス案件はモジュール単位で募集されるのが基本で、「SAP案件」を一括りで語ると単価も難易度もぼやけます。まずモジュールの見取り図から押さえてください。FI案件だけを先に見たい方は「FI/CO(会計・管理会計)」の節から確認してください。
モジュール一覧の見取り図
主要モジュールと担当領域は次のとおりです。案件募集で頻繁に名前が出るものだけを絞りました。
分類 | モジュール名 | 担当領域 |
|---|---|---|
会計・管理会計 | FI(財務会計) | 総勘定元帳・買掛売掛・固定資産・連結 |
会計・管理会計 | CO(管理会計) | 原価計算・製品原価・収益性分析 |
販売・調達 | SD(販売管理) | 受注・出荷・請求 |
販売・調達 | MM(購買・在庫管理) | 発注・入荷・在庫・仕入 |
プロジェクト | PS(プロジェクト管理) | プロジェクト構造・進捗・実績原価 |
生産・品質 | PP(生産計画) | 生産計画・BOM・製造指図 |
生産・品質 | QM(品質管理) | 検査・不適合管理 |
人事 | HR/HCM(人事・給与) | 人事マスタ・給与・勤怠 |
基盤・運用 | BASIS | インストール・パッチ・監視・DB管理 |
開発 | ABAP/FIORI/CAP | 拡張開発・UI・拡張プラットフォーム |
FI/COは会計、MM/SDは購買販売、PSはプロジェクト管理、BASISは基盤運用。この4系統がフリーランス案件で名前を見る頻度が特に高い領域です。PP/QM・HRは業界特化色が強く、案件はあるものの経験者に寄って探索コストが上がります。
案件が動くレイヤー(S/4HANA と ECC)
同じFIモジュールでも、S/4HANA(新世代)とECC(旧世代・R/3後継)では実装・単価・案件フェーズが違います。S/4HANAは新規導入・移行の要件定義/設計フェーズが厚く、ECCは残存保守と改修フェーズが中心です。募集要項で必ず「S/4HANAかECCか」を確認してください。関連する市場動向はフリコンのERP刷新のフリーランスエンジニア案件動向|SAP・Oracleの需要と単価やSAP 2027年問題とは|フリーランス案件の単価・参入方法と対策でも整理しています。ECC保守の期限論はそちらに委譲し、本記事はモジュール別の案件・単価に絞ります。
ミニFAQ
Q. どのモジュールから覚えるべき?
A. 現業の経験を軸に選ぶのが最短ルートです。経理・財務経験があるならFI/CO、購買・営業事務ならMM/SD、建設や受託ビジネスに関わっていたならPS、インフラ・DB運用ならBASISが入り口になります。
SAPモジュール別 案件・単価マップ
ここが本記事の中心です。モジュールごとに、案件の中身・単価目安・参入難易度・観測される特徴を並べます。単価は首都圏中心の主要フリーランスエージェント数社の公開案件と、面談時に提示される非公開案件の傾向をもとにした2026年時点の観測目安です(週4〜5日・準委任案件を中心に見た数字)。公開案件数がまだ多くない領域は「観測ベースの目安として読んでください」というのが率直な立て付けです。
FI/CO(会計・管理会計)
FIは総勘定元帳・買掛売掛・固定資産、COは原価計算・収益性分析を担う会計モジュールです。案件は導入・追加設定・決算対応・IFRS対応など会計イベントに紐付きます。実務では、勘定科目設定、伝票・支払・債権債務まわりの要件整理、固定資産管理、決算対応、他モジュール連携の調整などを担当する案件が中心です。
単価目安:まずは公開案件ベースで月90〜160万円が目安です。月90万円前後はFI保守・改修や単一領域中心、月140万円超はFI/CO横断、原価計算設計、IFRS対応、連結やグローバル案件経験者が対象になりやすいです。非公開案件はグローバル連結・IFRS対応など個別条件で上振れするケースがあります。
参入難易度:中〜難。会計・簿記の実務知識(仕訳・原価計算・連結)が前提です。会計士・経理経験者がSAP側の設定と用語を覚えて参入するケースと、SAPコンサル経験者が会計知識を上積みするケースがあります。
観測される特徴:CO(管理会計)は原価計算・製品原価の設計経験者が薄く、募集要件で「原価計算プロジェクト経験」を明示する案件が目立ちます。FI単体よりFI/COセット、さらにIFRS対応や連結(EC-CS/SAP S/4HANA for group reporting)まで扱えると単価が上がりやすい傾向です。
MM/SD(購買管理・販売管理)
MMは購買・在庫、SDは受注・出荷・請求を担います。会計モジュールと隣接する業務系の中心で、主要フリーランスエージェントの公開案件を見る限り、MM/SDは比較的案件数を見つけやすい領域です。
単価目安:まずは公開案件ベースで月80〜140万円が目安です。単一モジュールでの参画が中心で、上振れは業界固有の商流(商社の複雑な三国間貿易、製造業の受注生産)を経験している場合に見られます。
参入難易度:中。案件数が多く、SIer出身者がフリーランスに移る際の受け皿になりやすい一方、業務知識が浅いと単価が伸びません。購買や販売の実務経験、または類似システム(受発注・在庫)の要件定義経験があると強いです。
観測される特徴:MMとSDは境界が曖昧で、両方に触るハイブリッド案件が募集要件で頻出します。「MM/SD経験3年以上」と併記される募集は「両方触れる人歓迎」の意図が多く、片方だけの経験でも面談で相談する価値があります。
PS(プロジェクト管理)
PSは工事・受託ビジネス・大型プロジェクトの進捗と実績原価を管理するモジュールです。他モジュールに比べると案件数は少ないですが、経験者が特に薄く単価が締まる傾向があります。
単価目安:まずは公開案件ベースで月100〜180万円が目安です。建設・重工・エンジニアリング企業の基幹刷新プロジェクトで名前が出るモジュールで、要件定義・設計フェーズの入り口が高単価帯です。
参入難易度:難。PS特有のプロジェクト構造(WBS・ネットワーク・実績確定フロー)の理解が必要で、他モジュール経験者が独学で入るには時間がかかります。プロジェクト管理会計・工事進行基準の会計知識、または受託系の実務経験があると橋渡ししやすい領域です。
観測される特徴:PSは「PSモジュール経験者」が採用サイトでも人材データベースでも数が少なく、面談で名前を出すだけで話が進むことがあります。ただし単一のPS案件だけで生きていけるわけではなく、FI/COや原価計算とセットで動くケースが実務では多数です。
BASIS(基盤・運用)
BASISはSAP環境そのものを支える基盤運用の領域です。OS・DB・パラメータ設計・パッチ適用・パフォーマンスチューニング・ユーザ管理を担います。
単価目安:まずは公開案件ベースで月100〜170万円が目安です。BASISは経験者が比較的少なく、S/4HANA移行案件では単価が高めに出る傾向が見られます。公開案件数はまだ多くありませんが、面談で提示される非公開案件はさらに上振れするケースがあります。
参入難易度:難。SAP固有の基盤知識に加え、Linux・HANA DB・ネットワーク・監視設計といったインフラ全般の実務経験が必要です。インフラエンジニアからのSAP基盤側への横展開ルートが現実的です。
観測される特徴:BASIS経験者の供給は比較的薄く、募集要件では「BASIS実務3年以上」「HANA DB管理経験」「S/4HANA移行プロジェクト経験」が並びます。案件数はモジュールの中では中程度ですが、経験者が少ないぶん単価が高めに出る傾向のある領域です。
PP/QM・HR(軽く言及)
PP(生産計画)とQM(品質管理)は製造業の基幹刷新で名前が出るモジュール、HR/HCMは人事・給与モジュールです。いずれも業界特化色が強く、案件は継続的に出るものの経験者に寄りやすい構造です。PPは製造業の実務、HRは人事・給与実務との掛け合わせで単価が伸びます。詳細な参入戦略は本記事のスコープ外なので、経験がある方は主要エージェントに個別相談するのが実務的です。
ミニFAQ
Q. PSモジュールは経験者しか無理?
A. PSのプロジェクト構造(WBS・ネットワーク)を扱った経験は必須に近いですが、FI/CO経験者がプロジェクト会計の延長でPS案件に入るルートは実在します。「PS単体で参入する」ではなく「FI/COセットでPS要素のある案件から入る」のが現実的です。
モジュール別の単価相場・参入難易度
前節の単価目安と参入難易度を、比較用に横並びで整理します。以下の目安は2026年時点の首都圏フルリモート含む公開案件を確認した数字で、実務経験3年以上を想定しています。主要フリーランスエージェント数社の公開案件を中心に、週4〜5日・準委任案件ベースで整理しています。
単価目安の一覧表
モジュール | 単価目安(月額) | 案件数の体感 | 参入難易度 |
|---|---|---|---|
FI/CO | 90〜160万円 | 多い | 中〜難 |
MM/SD | 80〜140万円 | 最多 | 中 |
PS | 100〜180万円 | 少なめ | 難 |
BASIS | 100〜170万円 | 中程度 | 難 |
ABAP/FIORI開発 | 80〜130万円 | 多い | 中 |
PP/QM | 90〜150万円 | 中程度 | 難(業界特化) |
HR/HCM | 80〜140万円 | 中程度 | 難(人事実務要件) |
数字だけを見ると「PSとBASISに寄せるべき」に見えますが、モジュールを選ぶ軸は単価だけではありません。経験の棚卸しと、次節の参入ルートで判断してください。ABAP開発案件の実情はフリコンの【ABAP完全ガイド】SAPエンジニア必須の言語とは?年収・将来性・キャリアパスを徹底解説で扱っています。
参入難易度と経験の橋渡し
参入難易度は、実務経験3年以上を持つエンジニアが「そのモジュールに移動するのにどれくらい時間と学習が要るか」の目安です。
FI/CO:会計・簿記の理解が土台。SAP側の設定用語(伝票タイプ・勘定コード表・原価センタ)を覚えるのに時間がかかる
MM/SD:業務プロセス(受発注・出荷・在庫)の理解が土台。案件数が多く、SIer時代の関連経験を活かして入りやすい
PS:プロジェクト構造(WBS・ネットワーク・実績確定)と工事進行基準の会計知識が土台。FI/COからの横展開が現実的
BASIS:Linux・HANA DB・監視設計のインフラ実務が土台。インフラ/DB出身者にとって、SAP側へ乗り換えやすい代表的な入口
ミニFAQ
Q. 認定資格(SAP Certified Application Associate等)は案件獲得に効きますか?
A. 資格単独では単価に大きく効きません。募集要件で「実務経験〇年以上」が優先され、資格は同条件の候補が並んだときの補強材料になる位置づけです。ただしパートナー企業の入札条件で「SAP認定者数」を求めるケースはあり、間接的に案件アサインの優先度に効くことはあります。
モジュール別の必要スキル・経験
面談・スキルシートで実際に確認される項目を、モジュール別に整理します。
FI/COで求められる会計知識
仕訳・伝票・元帳の実務理解(簿記2級以上相当の知識があると強い)
原価計算(実際原価/標準原価/製品原価)の設計経験
IFRS対応・連結決算の経験(あれば上振れ)
決算プロジェクト(月次・四半期・年次)でのSAP要件対応経験
FIとCOはセットで扱える人が優遇されます。会計知識と業務経験が土台で、SAP側の設定知識は実務で補強していく形になりやすい構成です。
MM/SDで求められる業務知識
購買(発注・入荷・仕入)または販売(受注・出荷・請求)の実務プロセス理解
マスタ設計(品目・仕入先・得意先・条件マスタ)の経験
業界固有商流(三国間貿易・受注生産・OEM取引)への理解
SIerでの受発注・在庫システム構築経験
案件数が多いぶん要件は幅広く、業界特化の商流を扱えると単価が上がります。
PSで求められるPM経験
PSモジュールのプロジェクト構造(WBS・ネットワーク・アクティビティ)設計経験
工事進行基準・工事完成基準の会計処理理解
FI/COとの連携(原価計算・実績原価の集計)設計経験
建設・重工・受託ビジネスなど大型プロジェクト業務の実務経験
PS単独よりFI/COセットで動くケースが実務では多く、両方の経験が揃うと参画先の選択肢が大きく広がります。
BASISで求められるインフラ・DB知識
Linux/UNIXの実務経験(OSレベルのトラブル対応まで)
HANA DBの管理・チューニング経験、または旧世代DB(Oracle/DB2)でのSAP運用経験
SAPパッチ適用・アップグレード対応の実務経験
監視設計(Solution Manager・外部監視ツール)の実務経験
BASISは「SAPを触れるインフラエンジニア」がそのまま案件に乗る領域です。インフラ側のキャリアの棚卸しはフリコンのフリーランスエンジニアのスキルシートの書き方を徹底解説!記入例や今すぐ使えるフォーマットも紹介!を参考にしてください。
ミニFAQ
Q. 開発(ABAP/FIORI)とモジュール(FI/CO等)どちらから入るべき?
A. 前職の役割で決めるのが現実的です。SIerで開発担当だったなら開発案件、業務部門やコンサル寄りだったならモジュール案件から入るのが最短です。両者の相場と役割はABAP完全ガイドとSAPコンサルタント解説を並べて読むと比較しやすくなります。
モジュール選定フロー(ケース別解説)
「自分はどのモジュールを狙うべきか」を経験別に整理します。
ケース1:会計・経理経験がある場合
第一候補:FI/CO
理由:会計知識と実務プロセスがそのまま活きる。SAP側の設定用語を覚える学習コストは残るが、業務理解の壁が低い
入り方:まずFI単体の保守/改修案件に入り、CO・IFRS・連結の経験を積む順序が現実的
補足:財務経理システム開発の経験があれば単価上振れの余地大
ケース2:業務系開発(Java/COBOL/ABAP)経験がある場合
第一候補:ABAP開発案件、または開発と近いMM/SD
理由:拡張開発経験がそのまま活きる。ABAP案件は数が多く、MM/SD拡張のカスタム開発は入り口として現実的
入り方:ABAP拡張開発から入り、業務モジュール(MM/SDまたはFI/CO)の要件理解を積んでコンサル寄りに移行するルートが定番
補足:ABAPと業務モジュール両方を扱えると、開発単価から業務単価へ移行しやすい
ケース3:インフラ・運用経験がある場合
第一候補:BASIS
理由:BASIS経験者が比較的薄く、インフラ実務経験を土台にしやすい領域ですが、SAP固有のBASIS運用やHANA関連知識は別途求められることが多いです
入り方:Linux・HANA DB・監視ツールの実務経験を棚卸ししてスキルシートに載せる。SAP認定BASIS(Technology Associate系)取得は補強材料
補足:S/4HANA移行局面で募集が集中しているタイミングで参入すると入りやすい
ケース4:未経験・SIer若手の場合
第一候補:SIerでのMM/SDまたはFI/COアシスタント案件からの積み上げ
理由:SAP案件は「実務経験3年以上」がフリーランス案件の入り口。未経験からいきなりフリーランスは現実的でない
入り方:まずSIerでSAPプロジェクトにアサインされる → 実務経験2〜3年 → フリーランスへ移行、が定番ルート
補足:独立の判断軸はフリコンのSESエンジニアからフリーランスに転身する手順|準備・契約・独立タイミングを徹底解説を参照
案件探しの実務ステップ
モジュールの当たりがついたら、探し方を絞り込みます。まず主要フリーランスエージェント数社にモジュール名で登録し、S/4HANA案件かECC保守案件かを区別して絞り込むのが現実的です。以下は登録から初参画までの流れの目安です。
エージェント経由の探し方
エージェント2〜3社に登録(登録から初稼働まで通常2〜4週間)
面談で扱えるモジュール名を具体化(例:「FI/CO実務3年」「BASIS実務5年(HANA含む)」)
募集要項でS/4HANAかECCかを確認(同じFI案件でも実装が違う)
フェーズ別に応募(要件定義/設計/開発/移行/保守)
契約前に業務委託契約書を確認(業務委託契約書の確認ポイント|フリーランスエンジニアが締結前に見る条項とチェックリストを参照)
案件一覧はフリコンの案件一覧ページから絞り込めます。案件数がまだ多くない領域は「観測ベースの目安」として読み、面談で提示される非公開案件も選択肢に入れてください。エージェント面談の進め方はフリーランスエージェントとの面談の内容と必要な準備で整理しています。
自分の市場単価が気になる方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で現在の目安を確認できます。単価を体系的に上げる考え方は【2026年最新版】フリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方とは?にまとめています。
フェーズ別の入り方
SAP案件はフェーズによって求められるスキルが変わります。
要件定義/設計フェーズ:業務知識・SAP設計経験が必要。単価は高いが、経験者に寄る
開発/カスタマイズフェーズ:ABAP開発中心。案件数が多く入りやすい
移行フェーズ:S/4HANA移行案件で募集集中。BASIS・データ移行経験が強い
保守/運用フェーズ:ECC案件がなお多い一方、S/4HANA運用保守も増えています。単価は中位だが継続性が高い
面談・スキルシートで聞かれるポイント
扱えるモジュール名と経験年数(FI/CO/MM/SD/PS/BASIS等)
プロジェクト規模(企業規模・ユーザ数・関わったモジュール数)
S/4HANAかECCかの実務経験
業界経験(製造・商社・金融・建設等)
認定資格の有無(SAP Certified各種)
SAPコンサルタント職としての案件全体像はSAPコンサルタントとは|仕事内容・年収・ABAPエンジニアとの違いを解説【2026年版】で扱っています。本記事はモジュール別の切り口に絞っているため、コンサル職としての総論はそちらに委譲します。
よくある失敗と対策
モジュール横断の要件を1人で背負う
複数モジュールにまたがる要件(例:FI/CO+MM/SD+PS)を1人で見積もると、単価は上がっても炎上リスクが跳ね上がります。募集要項の「〇〇と△△両方可」は「両方触れる人歓迎」の意図であって「1人で全部やってくれ」ではないケースが多く、面談で範囲を必ず確認してください。
バージョン(S/4HANA・ECC)を軽視する
同じFI案件でもS/4HANAとECCで実装・設定・追加機能が違います。「SAP経験3年」で括ってスキルシートを出すと、参画後にバージョン違いで詰まるリスクがあります。バージョン別(S/4HANA何年・ECC何年)を必ず分けて書くのが安全です。
業務知識ゼロで単価交渉する
SAP案件は業務知識と単価が比例します。「ABAP開発なら書ける」だけでは業務モジュール(FI/CO等)の高単価帯には届きません。開発から入る場合も、対象モジュールの業務プロセスを短期間で学ぶ姿勢を面談で示すことが重要です。
認定資格を過信する
SAP Certified資格は補強材料ですが、単独で単価を押し上げる要因にはなりにくいです。認定資格+実務経験のセットでスキルシートに載せる形が実務的です。資格取得だけを軸に参入戦略を組むと、面談で実務経験の薄さを突かれます。
まとめ
SAP案件はモジュール単位で市場が分かれ、単価・参入難易度・案件数が横並びで比較できないのが実務の現実です。要点を整理します。
高単価帯はFI/CO・PS・BASISに集まる傾向。月100〜180万円レンジが観測される
MM/SDは案件数最多で入りやすいが、業務知識の深さが単価に直結する
BASISはインフラ経験者にとって代表的なSAP側への乗り換え入口。経験者が比較的少なく単価が高めに出る傾向
会計・経理実務やFI/CO経験がある人は、まずFI保守・改修から入るのが現実的
参入は「経験の棚卸し → モジュール選定 → S/4HANA/ECC区別 → エージェント複数社登録」の順が実務的
認定資格は補強材料。単独では単価を押し上げないが、実務経験とセットで効く
自分の市場単価が気になる方は無料のフリーランスエンジニア単価診断で目安を確認できます。案件はフリコンの案件一覧からモジュール別・業界別に絞り込めます。
参考にした一次情報
製品仕様・モジュール定義はSAP公式情報を参照し、市場単価・案件動向は主要フリーランスエージェントの公開案件観測をもとに整理しています。
よくある質問
SAPフリーランスは何年目から始められますか?
実務経験3年以上が実質的な入り口です。SIerでSAPプロジェクトに2〜3年アサインされ、単一モジュールを一通り触れる状態になってから独立するルートが定番です。未経験からいきなりフリーランス参入は現実的ではありません。
週2〜3日稼働のSAP案件はありますか?
公開案件では少数ですが、保守フェーズや部分参画案件で週2〜3日案件が見つかることがあります。要件定義・設計フェーズは週4〜5日フル稼働が中心で、低稼働で入るなら保守・改修フェーズを優先するのが現実的です。低稼働案件の探し方はフリコンの週3日で働くフリーランスエンジニアの始め方|単価相場・案件の探し方・向いている人を解説も参考になります。
リモートワークは可能ですか?
S/4HANA移行フェーズや設計フェーズではリモート可の案件も見られますが、企業や業界による差が大きいです。金融・公共系などセキュリティ要件が厳しいプロジェクトは常駐指定が残ります。フルリモート希望なら募集要項の勤務地条件を必ず確認してください。
モジュール横断で案件を取ると単価は上がりますか?
上がるケースと下がるケースがあります。FI/CO+MM/SDのように業務上セットで扱う組み合わせは単価が上がりやすい一方、無関係なモジュール横断(例:BASIS+SD)は「器用貧乏」と評価されて逆効果になることがあります。業務上の連続性がある組み合わせに絞るのが安全です。
SAP認定資格は取っておくべきですか?
「単独で単価を押し上げる」ではなく「同条件の候補が並んだときの補強材料」の位置づけで取るのが現実的です。取得順は、扱っているモジュールの Application Associate → Application Professional の順がよくあるルートです。BASIS職なら Technology Associate 系を優先します。
S/4HANAの経験がなくてもフリーランスで通用しますか?
ECC保守案件は現時点でも見られるため、ECC経験のみでも応募できる案件はあります。ただしECCの標準保守終了をめぐる「2027年問題」の議論が案件募集にも影響し始めており、実際の保守条件は契約や製品構成によって異なるため個別確認が必要です。S/4HANA経験を積む機会を意識的に取りに行くのが安全です。詳細はSAP 2027年問題とは|フリーランス案件の単価・参入方法と対策を参照してください。
ABAP開発とモジュール案件で単価はどちらが高いですか?
平均的にはモジュール案件(特にFI/CO・PS・BASIS)のほうが高い傾向です。ABAP開発は月80〜130万円が中心、業務モジュールは90〜160万円、PS・BASISは100〜180万円というのが2026年時点の観測目安です。ただしABAPでも上位ロール(アーキテクト・技術リード)はモジュール案件と同等以上のレンジになるケースがあります。
面談で必ず聞かれることは何ですか?
「扱えるモジュール名と経験年数」「関わったプロジェクトの規模と役割」「S/4HANAかECCか」「業界経験」の4点はほぼ確実に確認されます。スキルシートにはモジュール別・バージョン別に経験年数を分けて書くのがおすすめです。
未経験からSAP案件に入る現実的なルートは?
SIerや事業会社の情シスでSAPプロジェクトにアサインしてもらうのが最短です。求人サイトで「SAP FI経験不問(アシスタント)」の案件を探し、2〜3年で単独モジュールを扱える状態になってからフリーランスに移行する流れが定番です。
どのエージェントに登録すべきですか?
SAP案件を継続的に扱っている大手2〜3社に登録するのが現実的です。エージェントごとに得意モジュール・業界に偏りがあるため、複数登録で案件の幅を比較するのが安全です。フリコンでも案件一覧ページからSAP関連の募集を確認できます。
独立初年度の単価はどれくらいを想定すべきですか?
SIer時代のポジションと同等〜1.2倍が現実的なラインです。フリーランス移行直後は「単価を跳ね上げるより、モジュール実務経験を積み上げる」の優先度を上げると、翌年以降の伸びしろが確保できます。
契約は業務委託(準委任)と請負どちらが多いですか?
SAP案件は準委任契約が中心です。要件定義・設計・保守は準委任、開発の一部やデータ移行は請負というのが多い構成です。契約前チェックは業務委託契約書の確認ポイント|フリーランスエンジニアが締結前に見る条項とチェックリストを必ず確認してください。


