AWS S3とは|オブジェクトストレージの仕組み・料金・案件単価をフリーランスエンジニア視点で解説
最終更新日:2026/05/30
AWS S3とは、Amazon Web Servicesが提供する容量無制限のオブジェクトストレージで、ファイルを「バケット」に保存し、API・SDK・公開設定を介して取得できるサービスです。料金体系とストレージクラスの選び方でコストが大きく変わるため、案件で扱う際の判断軸をフリーランスエンジニア向けに整理しました。
先に結論
S3は容量無制限・耐久性11ナイン(99.999999999%)を掲げるオブジェクトストレージで、ファイル単位の保存と取得に特化している
料金は「ストレージ容量+リクエスト数+外向きデータ転送量」の3軸で決まり、ストレージクラスの選択で月額が大きく動く
主な用途は静的サイトホスティング、データレイク、バックアップ、ログ集約、画像・動画配信、機械学習データ保管
セキュリティはIAM・バケットポリシー・ブロックパブリックアクセス・暗号化の4点セットで守る
フリーランス案件ではS3単独より、Lambda・CloudFront・Athena等と組み合わせた基盤構築や移行案件で求められる
この記事でわかること
S3の基本構造(バケット・オブジェクト・キー)と他ストレージとの違い
主要ストレージクラスの違いと使い分けの考え方
料金体系と見落としやすいコストの正体
静的サイト・データレイク等の代表的な活用パターン
案件で求められるスキル感と単価レンジの目安
目次
AWS S3の基本構造
主要ストレージクラスと使い分け
S3の料金体系を読み解く
セキュリティと権限設計
知っておきたい主要機能
代表的な活用パターン
フリーランス案件におけるS3スキルの位置づけ
よくある失敗と対策
S3導入・案件参画前の実践チェックリスト
まとめ
よくある質問
AWS S3の基本構造
S3を理解するうえで最初に押さえたいのは、ファイルシステムではなく「キーと値のストア」だという点です。ディレクトリ階層は実体としては存在せず、キー名のプレフィックスで擬似的にフォルダーを表現しています。
バケットとオブジェクト
S3の最小単位は「オブジェクト」、その入れ物が「バケット」です。バケット名は全世界で一意で、リージョン単位に作成します。1つのオブジェクトは最大5TB、1バケットあたりのオブジェクト数とストレージ容量は無制限です。
用語 | 役割 | 補足 |
|---|---|---|
バケット | オブジェクトの入れ物 | 名前は全世界で一意。リージョン単位 |
オブジェクト | 保存される実体(ファイル+メタデータ) | 最大5TB。任意のバイナリ可 |
キー | オブジェクトを識別する文字列 | 「images/2026/05/logo.png」のようにプレフィックスで階層を表現 |
プレフィックス | キー名の先頭部分 | 擬似フォルダーとして使う。ListObjects時のフィルタにも使える |
キーとプレフィックスの考え方
S3にはフォルダーという実体はありません。コンソール上で「フォルダー」と見えるものは、キー名の中のスラッシュを区切り文字として表示しているだけです。大量オブジェクト運用では、プレフィックス設計が一覧取得や運用管理のしやすさ、LIST系リクエストの組み立て方に影響することがあります。
EBS・EFS・S3の役割の違い
AWSのストレージはブロック・ファイル・オブジェクトの3層で整理されます。S3は最後のオブジェクトストレージで、用途が他のサービスと明確に分かれます。
サービス | 種類 | 主な用途 |
|---|---|---|
EBS | ブロックストレージ | EC2の仮想ディスク。OSやDBデータの置き場 |
EFS | 共有ファイルストレージ(NFS) | 複数EC2から同時マウントしたい共有ボリューム |
S3 | オブジェクトストレージ | アプリ外部のファイル保管、静的配信、データレイク |
EC2を起点に学習している人はEBSと混同しやすいですが、S3は基本的にSDKやREST API経由で扱うオブジェクトストレージで、OSにマウントしてファイルシステムとして使う形は標準的な使い方ではありません。EC2側の役割は AWS EC2とは|仮想サーバの仕組み・料金・案件単価をフリーランスエンジニア視点で解説 を参照してください。
ミニFAQ
Q. S3はOSにマウントして使えますか?
A. 標準ではマウントしません。s3fs等のサードパーティ製ツールで擬似的に可能ですが、レイテンシや整合性の制約があり業務利用では推奨されません。共有ファイルとして使うなら EFS のほうが向くケースが多くなります。
主要ストレージクラスと使い分け
S3のコスト最適化はストレージクラス選定でほぼ決まります。クラスごとに保存単価・取り出しコスト・最低保存期間が異なる点が判断のキモです。
アクセス頻度で選ぶ
クラス | 想定アクセス頻度 | 最低保存期間 | 取り出しコスト | 代表用途 |
|---|---|---|---|---|
Standard | 高頻度 | なし | なし | アプリのアクティブデータ、静的サイト |
Intelligent-Tiering | 不定(自動最適化) | なし | なし | アクセスパターンが読めないデータ |
Standard-IA | 月数回 | 30日 | あり(GBあたり) | バックアップ、災害復旧データ |
One Zone-IA | 月数回・再生成可 | 30日 | あり | サムネイル等の二次的データ |
Glacier Instant Retrieval | 四半期に数回 | 90日 | 高め | 低頻度だが即時取り出しが必要なアーカイブデータ |
Glacier Flexible Retrieval | 年数回 | 90日 | 高め(時間指定) | アーカイブ、コンプライアンス保管 |
Glacier Deep Archive | 年1〜2回 | 180日 | 最も高い | 長期保管・規制対応 |
具体的な単価は公式ページで変動するため、ここでは相対関係を押さえることが重要です。執筆時点の公式料金(東京リージョン等)を基準にすると、Standard-IAは保存単価が下がり、Glacier系はさらに大きく下がる一方で、取り出し料金と最低保存期間の制約が強くなります。最新の単価と適用条件は S3料金ページ と ストレージクラス比較ページ で必ず確認してください。
選び方のフロー
ストレージクラスの選択は、次の順で判断すると迷いにくくなります。
「いつ・どれくらいアクセスするか」が読めるかを確認する
読めないならIntelligent-Tieringで自動最適化に任せる
月に何度もアクセスするならStandard
数か月に1回程度ならStandard-IAかOne Zone-IA(再生成可ならOne Zone-IA)
ほぼ取り出さないがいつか必要、ならGlacier系で取り出しSLAから逆算
実装では[ライフサイクルポリシー]を併用し、たとえば「90日経過したStandardのログをStandard-IAに移行、1年で Glacier Deep Archive に移動」のような自動移動を組むのが定石です。
ミニFAQ
Q. Standard-IA と One Zone-IA の違いは何ですか?
A. 保存先のアベイラビリティゾーン数です。Standard-IAは複数AZに分散保存しますが、One Zone-IAは単一AZのみ。AZ障害でデータが失われる可能性がある分、保存単価が安く設定されています。失われても再生成できるデータ(サムネイル、二次成果物)に向きます。
S3の料金体系を読み解く
S3の請求は「ストレージ・リクエスト・データ転送・管理機能」の4軸で発生します。新規導入時にコスト見積もりを誤りやすいのは、ストレージ単価ばかりに目が行き、リクエスト料金と外向きデータ転送料金を見落とすパターンです。
4つの課金軸
課金軸 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
ストレージ | 保存しているGBあたりの月額 | クラス・リージョンで単価が異なる |
リクエスト | PUT/COPY/POST/LIST と GET/SELECTで別単価 | 大量の小ファイル運用で意外に効く |
データ転送 | S3からインターネット向けへの「下り」 | 同一リージョン内でも接続先サービスや経路によって扱いが異なる |
管理機能 | レプリケーション・S3 Storage Lens等 | 使う機能だけ別建てで課金される |
無料利用枠を超えた商用利用では、リクエスト料金とインターネット下り転送が想定の倍以上になるケースがあります。たとえば数百万件の小ファイルをLISTする処理を頻繁に走らせると、ストレージ単価より管理処理のコストが上回ることもあります。なお、同一リージョン内のサービス間通信もVPCエンドポイントの有無や経路によって課金条件が変わるため、詳細は S3料金ページ を確認してください。
見落としやすいコスト
Glacier系の取り出し料金:保存単価は安いが、取り出し時に「GBあたりの取り出し料金」と「リクエスト料金」が別途発生する
クラス変更(ライフサイクル遷移)リクエスト:オブジェクト1件ごとに遷移リクエスト料金がかかる。小ファイル大量遷移では遷移料が保存削減を上回ることもある
マルチパートアップロードの未完了パーツ:完了されなかったアップロードのパーツがバケットに残り、課金対象になる。ライフサイクルで自動削除設定が推奨
CloudFront経由か直接配信か:S3直リンクで広域配信するとデータ転送量が積み上がりやすい。配信前提なら、キャッシュ効率や転送コスト最適化の観点で CloudFront 経由を検討する
コスト試算の考え方
簡易見積もりでは、まず代表的なオブジェクトサイズと月間アクセス数を仮置きし、(保存GB × クラス単価) + (月間GETリクエスト × リクエスト単価) + (月間下り転送GB × 転送単価)で算出します。AWSの公式ツールである AWS Pricing Calculator で月単位の試算が可能です。
セキュリティと権限設計
S3で繰り返し報告される事故として、意図せずパブリック公開してしまうケースが目立ちます。現在は新規バケットで ブロックパブリックアクセス がデフォルト有効になっていますが、既存バケットや明示的に解除した運用では引き続き注意が必要です。
IAM・バケットポリシー・ACLの3層
権限設計は次の3層で整理すると見通しが良くなります。
仕組み | 適用範囲 | 主な用途 |
|---|---|---|
IAMポリシー | ユーザー・ロール側 | 「誰が」何のS3操作を許可されるか |
バケットポリシー | バケット側(JSON) | 「このバケットに」誰がアクセスできるか |
ACL(アクセスコントロールリスト) | バケット・オブジェクト個別 | 旧来の権限制御。現在は使用非推奨 |
新規構築ではIAM+バケットポリシーで設計し、ACLは原則オフにする運用が標準になっています。AWSも Object Ownership の設定で「ACLを無効化」を推奨しています。
ブロックパブリックアクセス
バケット単位で4種類のスイッチがあり、デフォルトでは4つすべてが有効です。公開配信が必要な場合は、S3を直接公開せず CloudFront のOAC(Origin Access Control)経由で非公開オリジン構成にするのが現在の推奨パターンで、やむを得ずS3を公開する場合のみ公開範囲を最小化します。
暗号化
サーバーサイド暗号化(SSE)は現在、すべての新規オブジェクトでデフォルト有効です。鍵管理の主体に応じて以下を使い分けます。
SSE-S3:AWSが鍵を完全管理。最も手間が少ない
SSE-KMS:AWS KMSの鍵を使う。鍵のローテーション・監査ログが必要なら選択
SSE-C:顧客側で鍵を渡す。鍵管理の責任は利用者側
クライアントサイド暗号化を併用すれば、AWS側に平文を渡さない構成も可能です。金融・医療など規制業界の案件で要件化されることがあります。
ミニFAQ
Q. バケットを誤って公開してしまった場合、どう確認しますか?
A. AWSコンソールでバケット一覧の「アクセス」列に「公開」と表示されます。 S3 Storage Lens や IAM Access Analyzer も併用すると、パブリック化・外部アカウントへの共有を継続的に検知できます。
知っておきたい主要機能
S3は単なる保管庫ではなく、運用機能が分厚いのが特徴です。案件で頻出する機能を押さえておくと提案の幅が広がります。
バージョニングとライフサイクル
バージョニングを有効にすると、上書き・削除時に旧バージョンが保持されます。誤操作からの復元や、コンプライアンス対応に有効です。一方で旧バージョンも課金対象になるため、ライフサイクルポリシーで「30日経過した旧バージョンは削除」など期限を必ず設定します。
レプリケーション(CRR/SRR)
CRR(Cross-Region Replication):別リージョンへ自動コピー。災害復旧・コンプライアンス
SRR(Same-Region Replication):同一リージョンの別バケットへコピー。アカウント分離やログ集約
レプリケーションは設定後に追加されたオブジェクトが対象になるため、既存データをコピーしたい場合は S3 Batch Replication を別途使います。
Object Lockとコンプライアンス対応
Object Lockは「指定期間中、削除も上書きもさせない」を強制する機能です。WORM(Write Once Read Many)モデルが求められる金融・医療・公共系の案件で必須要件になることがあります。ガバナンスモードとコンプライアンスモードの2種があり、後者は root ユーザーでも解除できません。
S3 Selectとデータ分析連携
S3 Selectは、オブジェクト内のCSV・JSON・Parquetから必要なレコードだけを抽出する軽量なクエリ機能です。アプリ側で全件ダウンロードして絞り込むより、ネットワーク転送と計算量を抑えたい限定的な用途で使えます。本格的なクエリ要件にはAthenaが中心で、データレイク構成では Glue・Athena・Redshift Spectrum との連携が主流になります。
代表的な活用パターン
案件で出会いやすいS3の使われ方を整理します。それぞれ周辺サービスとセットで設計されるのがポイントです。
静的ウェブサイトホスティング+CloudFront
S3に静的ファイル(HTML/CSS/JS/画像)を置き、CloudFrontで配信する構成は、コーポレートサイト・LP・SPAで採用例の多いパターンです。S3単体でも静的ホスティングは可能ですが、HTTPS配信・キャッシュ制御・配信最適化の観点で CloudFront 経由を選ぶ案件が多くなります。
データレイク基盤
ログやIoTデータをS3に集約し、Athena・Glue・EMRで分析する構成です。スキーマを後付けで定義する「スキーマオンリード」が前提で、データの型を意識せず投入できる柔軟性が魅力です。
バックアップ・アーカイブ
オンプレやEC2のスナップショット保管先として、S3+Glacierを使うパターンです。Storage Gateway を介して既存システムからNFS/SMB感覚で書き込む構成も実装されています。
ログ集約・分析基盤
ALB・CloudFront・VPCフローログ等の出力先として S3 を指定し、Athena でアドホック分析、もしくは CloudWatch Logs Insights や Lambda で加工する流れが多く採用されています。サーバーレス基盤との相性については AWS Lambdaとは?特徴・できること・料金・フリーランス案件の単価をエンジニア視点で解説 や GCP Cloud Runとは|サーバレスの仕組み・AWS Lambdaとの違い・案件単価をフリーランス視点で解説 も参考になります。
機械学習データセット保管
SageMakerの学習データやモデル成果物を S3 に置く構成は、AWSでAI基盤を組む際の代表的なパターンとして採用されることが多くなっています。データの版数管理にバージョニングを使い、推論時は S3 から直接読み出すパイプラインが組まれます。
フリーランス案件におけるS3スキルの位置づけ
ここからは案件視点でS3の扱われ方を整理します。
求められるスキルの分布
S3単独のスキルが評価対象になることは少なく、周辺サービスを含めた設計力・運用知識として問われるケースが目立ちます。フリーランス案件の募集要件で見かける代表的なスキルセットは次の通りです。
IAM・バケットポリシーで権限設計を書ける
ライフサイクル・ストレージクラスでコスト最適化を提案できる
CloudFront・Lambda・Athena等の周辺サービスと連携できる
Terraform / CloudFormation でインフラをコード化できる
セキュリティ要件(暗号化・Object Lock・監査ログ)に対応できる
IaCの基本は Terraformとは?IaCの仕組み・できること・フリーランス案件の単価をエンジニア視点で解説 で補完できます。
よくある参画パターン
既存システムのAWS移行プロジェクトで、ファイル保管基盤として S3 を設計
データ分析基盤の構築で、S3+Athena+Glueのデータレイクを担当
既存EC2構成のコスト最適化で、ログ・バックアップを S3 Glacier 系に移行
セキュリティ強化案件で、ブロックパブリックアクセス・暗号化・監査の見直し
単価レンジの目安
主要フリーランスエージェントの公開案件(執筆時点・週5想定・首都圏/フルリモート中心のAWSインフラ系ポジション)を確認すると、AWS インフラ設計・構築の案件は 月額60万〜100万円前後で募集されているケースが目立ちます。S3 単独スキルというより、AWS全般のアーキテクト級スキルや IaC・セキュリティ要件への対応力が単価を押し上げる傾向があります。インフラ職全体の相場感は フリーランスエンジニアの単価相場と単価を上げるのに重要なこと や クラウドエンジニアとは?仕事内容や必要なスキル、年収について解説 にもまとまっています。
なお、上記レンジはあくまで公開案件ベースの目安です。実稼働時間・参画形態(週5/週3)・首都圏以外のフルリモート案件かによって変動するため、提示額をそのまま期待値にしないことが大切です。
ミニFAQ
Q. S3だけ触れる人と、AWS全体を触れる人で単価はどれくらい変わりますか?
A. 主要エージェントの公開案件を観測した範囲では、単機能オペレーション中心のポジションと、設計から運用まで一気通貫で見るアーキテクト寄りのポジションでは差が見られるケースがあります。IaC化・セキュリティ要件・コスト最適化を提案できると単価が上がる傾向があり、具体額は媒体・時期で変動するため最新の公開案件で確認してください。
よくある失敗と対策
S3関連で繰り返し報告される典型的なトラブルと、その回避策を整理します。
パブリック公開の事故
ブロックパブリックアクセスを解除した状態でファイルをアップロードし、URLが外部に流出するケースです。バケット単位で「公開してよいもの」「絶対に公開しないもの」を分離し、配信が必要なオブジェクトはS3を直接公開せず、CloudFront 経由の非公開オリジン構成(OAC利用)にするのが安全です。
想定外のデータ転送料金
S3 → インターネット向けの下り転送が積み上がると請求が跳ねます。配信用途では CloudFront を必ず噛ませる、データ移行時は AWS DataSync や Snow ファミリーを検討する、で大きく緩和できます。
Glacier取り出しコストの見積もりミス
「Deep Archive に入れたから安心」と思っていたら、定期的な復元要件で取り出し料金が積み上がるパターンです。最低保存期間と取り出し単価を保存開始前に試算し、運用方針に合わせてクラスを選びます。
ライフサイクル誤設定によるデータ消失
「30日後に削除」のつもりが、対象プレフィックスを広く設定して本番データまで削除してしまう事故が起きやすい領域です。バージョニング併用で取り戻し可能にしておく、検証環境で必ずシミュレーションする、の2点を徹底します。
マルチパートアップロード残骸の蓄積
中断したアップロードのパーツがバケット内に残り、長期間気づかず課金対象になるケースです。ライフサイクルで「不完全なマルチパートアップロードを7日後に削除」を設定しておくのが基本対策です。
S3導入・案件参画前の実践チェックリスト
観点 | チェック項目 |
|---|---|
構造 | バケットの命名規則とリージョン方針が決まっているか |
権限 | IAM+バケットポリシーで最小権限になっているか/ACLは無効化したか |
公開設定 | ブロックパブリックアクセスは原則ON。例外パスは CloudFront 経由か |
暗号化 | サーバーサイド暗号化の方式(SSE-S3/SSE-KMS)を決めたか |
ライフサイクル | クラス遷移と不完全マルチパートの自動削除を設定したか |
バージョニング | 必要な範囲で有効化し、旧バージョンの削除期限を設定したか |
監視 | S3 Storage Lens・CloudTrail・IAM Access Analyzer のいずれかでアクセスを可視化したか |
コスト | 想定アクセスパターンで月額試算したか/CloudFront併用を検討したか |
障害対応 | レプリケーションやCRRが必要かを判断したか |
まとめ
AWS S3はAWS基盤の中でも汎用的に使われるサービスの代表格で、ファイル保管・配信・分析・バックアップを1つのストレージで支える役割を担います。
S3は容量無制限のオブジェクトストレージで、ファイルシステムとは異なるキー/バリューモデル
料金はストレージ・リクエスト・データ転送の3軸で決まり、クラス選定でコストが大きく動く
セキュリティはIAM・バケットポリシー・ブロックパブリックアクセス・暗号化の組み合わせで守る
案件では CloudFront・Lambda・Athena・IaC等とのセットで提案できると単価が伸びやすい
学習はハンズオン+公式ドキュメント+ AWS 資格学習の組み合わせが王道
次のステップとしては、無料利用枠で実際にバケットを作って静的サイトを公開し、CloudFront・Route 53 まで含めた構成を一通り触ることをおすすめします。AWSサービス群の全体像を押さえたい場合は、関連する AWS EC2とは|仮想サーバの仕組み・料金・案件単価をフリーランスエンジニア視点で解説 や Dockerとは?コンテナ技術の仕組み・できること・フリーランス案件の単価への影響を解説 も併せて確認してください。
参照元・一次情報
よくある質問
Q1. S3 と EC2 の EBS の違いは何ですか?
EBSは仮想ディスク(ブロックストレージ)でEC2にマウントして使い、S3はマウントせず API でファイル単位の出し入れを行うオブジェクトストレージです。EBSは1つのEC2にひも付き、S3は複数のサービスや外部からアクセスする共有ストアという位置づけです。
Q2. S3 の最小課金単位はどれくらいですか?
ストレージはGB単位(実際は秒単位で按分)、リクエストは1リクエスト単位、データ転送はGB単位で課金されます。Standard-IA以下のクラスでは「最小オブジェクトサイズ」と「最低保存期間」の制約があり、それより小さいオブジェクトや短期保存でも一定サイズ・期間で課金される点に注意が必要です。
Q3. 静的サイト公開は S3 だけで完結しますか?
技術的には可能ですが、本番運用では CloudFront を併用するのが一般的です。S3単独構成は HTTPS 対応や配信最適化、キャッシュ制御の面で不利になりやすく、独自ドメインのSSL証明書管理も別途検討が必要になります。社内ステージングやごく小規模な配信であれば、S3 単独構成も選択肢になります。
Q4. 1ファイルの最大サイズと、マルチパートアップロードの目安は?
1オブジェクトの上限は5TBです。100MB以上のファイルでは マルチパートアップロード が推奨され、単一PUTのサイズ上限が5GBであるため、5GBを超えるオブジェクトではマルチパートが必須になります。並列でパートを送れるためアップロード高速化にも効きます。
Q5. サーバーサイド暗号化はデフォルトで有効ですか?
新規アップロードについては、現在すべてのバケットでSSE-S3が既定で有効になっています。鍵管理や監査要件があるならSSE-KMSへ切り替え、外部に鍵管理責任を持つならSSE-Cやクライアントサイド暗号化を検討します。
Q6. S3 Standard と Intelligent-Tiering はどう選び分けますか?
明確にアクセス頻度が高いと分かっているならStandard、読みづらいならIntelligent-Tieringが基本です。Intelligent-Tieringは小さなモニタリング手数料が乗りますが、アクセスパターンの変動に追従して自動で安いクラスへ移してくれるため、長期運用でコスト最適化したいケースで有効です。
Q7. S3 でWebアプリのバックエンドは作れますか?
S3は静的ファイルの保管・配信に特化しており、API的な処理は実行できません。アプリのバックエンドにはAPI Gateway+Lambda、ECS、EC2などを組み合わせ、ファイル保管部分だけ S3 に切り出す構成が一般的です。
Q8. S3 の SLA はどれくらいですか?
S3 Standard の可用性SLAは99.9%(月間ベース)で、目標可用性は99.99%として設計されています。耐久性は99.999999999%(11ナイン)と公表されており、複数AZにまたがる冗長化で実現されています。詳細条件は Amazon S3 SLA を参照してください。
Q9. 削除したオブジェクトを復元する方法はありますか?
バージョニングを有効にしているバケットなら、削除マーカーを取り除くか旧バージョンを参照することで復元可能です。バージョニング無効の状態で削除されたオブジェクトは原則として復元できないため、重要データの保管バケットではバージョニング有効化を優先的に検討します。コスト面では旧バージョンも課金対象になるため、ライフサイクルで保持期間を設定するのが定石です。
Q10. S3関連の案件単価はどれくらいですか?
主要フリーランスエージェントの公開案件(執筆時点・週5想定・首都圏/フルリモート中心)を見ると、S3 を含む AWS インフラ設計・構築案件は月額60万〜100万円前後で募集されているケースが目立ちます。大規模AWS設計、IaC、セキュリティ統制、複数サービス横断の設計経験があるアーキテクト級の人材に対しては、月額110万円超の案件が募集されることもあります。条件・媒体・時期で変動するため、最新の公開案件で確認してください。
Q11. 学習はどう始めるのが良いですか?
無料利用枠で実際にバケットを作り、静的サイトを CloudFront 経由で公開するハンズオンが入口として手堅いです。並行して AWS公式の S3 ユーザーガイド と AWS Skill Builder の無料コースを進めると、料金体系とセキュリティ設計の理解が早まります。AWS資格を取りたいなら AWS認定資格おすすめ一覧|難易度・受験料・キャリア戦略をエンジニア視点で解説 で全体像を確認してください。
Q12. オンプレからS3への大規模移行はどう進めますか?
データ量・回線帯域・停止可能時間で選択肢が変わります。数TB規模ならネットワーク経由(DataSync)、数十TB〜PB規模なら物理デバイス(Snowball・Snowball Edge)、超大規模なら Snowmobile という選択肢があります。停止許容時間を最初に整理することで進め方が決めやすくなります。




