ChatGPTは経費になる?生成AIツールの勘定科目・按分・インボイス
最終更新日:2026/11/01
生成AIツールの利用料とは、ChatGPTやGitHub Copilotなど、インターネット経由で提供されるAIサービスへの対価です。事業に使う分は必要経費になりますが、勘定科目の選び方・家事按分・海外事業者への支払いに伴う消費税で判断が分かれます。フリーランスエンジニアが迷わず処理できる基準を整理しました。
先に結論
事業の売上につながる使い方をしているAIツール代は、必要経費になります
勘定科目に唯一の正解はありません。通信費・支払手数料・消耗品費などから選び、毎年同じ科目を使い続けることのほうが重要です
私用と兼用しているなら家事按分が必要です。AIツールは利用ログやワークスペースで業務分を切り分けられるため、家賃より按分根拠をつくりやすい支出です
海外事業者のサービスでも、日本国内の事業者が使う場合は国内取引として消費税の課税対象になります
仕入税額控除を受けるには適格請求書が必要です。登録状況は国税庁の公表サイトで番号を照合して確認します
リバースチャージの申告が実際に必要になるフリーランスは、ごく一部にとどまります
この記事でわかること
ChatGPT・GitHub Copilot・Cursor・各種APIの利用料を経費にできる条件と、認められにくいケース
AIツール支出を4類型に分けた勘定科目の選び方と、青色申告決算書への落とし込み方
私用兼用時の按分の考え方と、税務署に説明できる根拠の残し方
国外事業者への支払いで発生する消費税・インボイス・リバースチャージの扱い
専業・副業・客先常駐・クライアント実費請求という状況別の判断
対象読者は、個人事業主として開業しているフリーランスエンジニアと、副業で開発案件を受けている会社員エンジニアです。法人の経理処理は扱いません。
本記事は2026年11月時点の法令・国税庁の公表情報をもとに整理しています。 インボイス制度・電子帳簿保存法・プラットフォーム課税は改正や経過措置の期限がある領域のため、実際の処理前に一次情報で最新の取り扱いを確認してください。
目次
生成AIツールの利用料は経費になるのか
AIツール支出の4類型と勘定科目の選び方
私用と兼用なら家事按分する
生成AIツール代の消費税・インボイスの扱い
領収書・請求書の取り方と電子取引の保存義務
ケース別の判断(専業・副業・客先常駐・実費請求)
よくある失敗と対策
AIツール経費の年間チェックリスト
まとめ
よくある質問
生成AIツールの利用料は経費になるのか
結論から言えば、事業の遂行に必要な支出であれば必要経費になります。AIツールだからという理由で特別な制限がかかることはありません。
必要経費の判断軸は、国税庁が示すとおり「総収入金額を得るために直接要した費用」か「業務上必要な販売費・一般管理費」かどうかです(国税庁 No.2210 必要経費の知識)。
判断の軸は「その支出が売上につながっているか」
エンジニアの実務に引き直すと、次のような使い方は事業との関連を説明しやすい支出です。
受託案件のコード生成・レビュー・リファクタリングに使っている
設計書や仕様書のドラフト作成、英語ドキュメントの読解に使っている
提案書・見積書・ポートフォリオの作成に使っている
自分が納品するプロダクトにAPIを組み込んでいる
案件獲得のための技術検証・学習に使っている
このうち、最後の「学習目的」はグレーになりやすい論点です。すでに受注している案件や、案件獲得に直結する技術の習得であれば説明が立ちます。一方で、業務と関係のない分野を趣味的に学んでいる場合は、必要経費として認められにくくなります。
経費として認められにくいケース
事業と無関係な用途にしか使っていない(献立の相談、家族旅行の計画など)
開業前に個人として契約し、そのまま私用で使い続けている
事業収入がほとんど立っていない状態で、支出だけが積み上がっている
家族名義のアカウントを、本人が使っていないのに計上している
3番目は見落とされがちです。売上に対して経費が極端に大きい申告は説明を求められやすくなります。経費率の考え方はフリーランス経費率の目安|エンジニアの妥当水準と税務署の見方【令和8年分】で整理しています。
Q. 開業前に契約したChatGPT Plusは経費にできますか
開業準備のために支出したものであれば、開業費として繰延資産に計上する方法があります。扱いは開業費とは|フリーランスエンジニアが独立前の経費を計上する範囲と償却を参照してください。
Q. 無料プランから有料プランに切り替えた月の扱いは
切り替えた月の課金分から経費になります。無料期間に対価は発生していないため、計上するものがありません。
AIツール支出の4類型と勘定科目の選び方
AIツールへの支出は、契約形態によって処理が変わります。ひとまとめに「サブスク代」と扱うと、年またぎの処理やクライアント請求で詰まります。4つに分けて考えると迷いが減ります。
類型 | 代表例 | よく使われる勘定科目 | 按分 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
A 月額サブスク | ChatGPT Plus、GitHub Copilot、Cursor Pro | 通信費/支払手数料/消耗品費 | 私用兼用なら必要 | 科目を毎年揃える |
B API従量課金 | OpenAI API、Anthropic API、クラウドのAI基盤 | 通信費/外注費/売上原価 | 案件専用なら不要 | 案件の原価になることがある |
C 年額一括前払い | 年払いプラン、クレジット一括購入 | 同上(前払費用の論点あり) | 同上 | 年をまたぐ分の処理 |
D 案件専用・実費請求 | クライアント負担前提の契約 | 立替金/外注費 | 不要 | 契約書への明記が必須 |
類型A:月額サブスクは「継続して同じ科目」を優先する
月額サブスクの勘定科目には、通信費・支払手数料・消耗品費のいずれでも説明が立ちます。インターネット経由で受けるサービスなので通信費、外部サービスへの対価なので支払手数料、業務用ツールなので消耗品費という整理です。
どれを選んでも税額は変わりません。問題になるのは途中で科目を変えることです。前年と違う科目に入れると、年次比較ができなくなり、調査の場面でも説明が増えます。
青色申告決算書の書き方|フリーランスエンジニアの記入例と勘定科目で触れているとおり、青色申告決算書の経費欄には空欄があります。ここに「ソフトウェア利用料」や「AIツール利用料」といった科目を自分で設定しておくと、AI関連支出をまとめて把握できます。年の途中で増えても管理が崩れません。
金額感も押さえておきます。執筆時点(2026年11月)の各社公表価格では、個人向けプランがChatGPT Plusで月20ドル、GitHub Copilot Proで月10ドル、Cursor Proで月20ドルです。3つ併用した場合、1ドル150円で換算すると年間9万円前後になります。為替とプラン改定で変動するため、あくまで換算例として見てください。1件あたりは小さくても、積み上がれば無視できない水準です。
類型B:API従量課金は「案件の原価」になることがある
受託案件のプロダクトにAPIを組み込み、その利用量に応じて課金されている場合、その支出はその案件の原価としての性格を持ちます。単なる自分用のツール代とは意味が違います。
この場合は売上原価や外注費として処理し、どの案件に紐づく支出かを摘要に残しておきます。案件別の利益率が見えるようになるため、次回の見積精度も上がります。
実務上の勘所は、APIキーを案件ごとに分けることです。キーが分かれていれば利用明細も分かれ、按分という作業自体が不要になります。開発用と検証用を同じキーで回していると、あとから切り分けられません。
類型C:年額一括前払いは翌年分の扱いに注意する
年払いプランを選ぶと、支払った年のうちに提供を受けていない役務が含まれます。原則としては前払費用として、期間に応じて配分します。
ただし、支払った日から1年以内に提供を受ける役務について、継続して支払った年の必要経費に算入する処理が認められる場合があります(短期前払費用、所得税基本通達37-30の2)。毎年同じ時期に同じ処理を続けることが前提で、節税目的で単年だけ使うといった運用は認められません。
12月に年払いへ切り替えて、その年の経費を膨らませるやり方は否認リスクがあります。切り替えるなら期首に近い時期を選ぶのが無難です。
Q. ドル建て決済の円換算はどうしますか
カード会社が確定させた円貨額で計上する処理が実務では一般的です。カード明細をそのまま証憑として扱えるため、記帳との突き合わせも楽になります。
私用と兼用なら家事按分する
事業にもプライベートにも使っているAIツールは、業務に必要な部分を明らかに区分できる場合に、その部分だけが必要経費になります。これは家事関連費の扱いで、家賃や通信費と同じ考え方です(国税庁 No.2210)。
按分そのものの基本は家事按分の計算式と按分例|フリーランスエンジニアの自宅兼事務所の経費判断ガイドにまとめています。ここではAIツール特有の部分だけを扱います。
AIツールは「ログ」で按分根拠をつくれる
家賃の按分では、面積という静的な指標を使わざるを得ません。AIツールは違います。何をいつ聞いたかが履歴として残るため、業務利用の実態を具体的に示せます。
チャット履歴のプロジェクト分け(業務用プロジェクトと私用を分ける)
ワークスペースやチーム機能で業務用の領域を分離する
APIのトークン使用量をキー別・用途別に集計する
IDE連携の利用が業務リポジトリに限られていることを示す
税務調査の場面で説明を求められたとき、「だいたい7割くらい業務です」と答えるのと、業務用プロジェクトの件数比を示すのとでは説得力が違います。
いちばん確実なのは「そもそも按分しない」設計
按分は手間がかかるうえ、説明責任も残ります。事業用アカウントと私用アカウントを最初から分けてしまえば、按分の論点は消えます。
事業用のメールアドレスで契約し、支払いは事業用のクレジットカードに寄せる
私用で使いたいツールは別アカウント・別カードにする
APIは案件ごとにキーを発行する
AIツールは契約単価が低く、アカウントを分けても負担が小さい支出です。月20ドルの契約を分割するために按分計算を毎月続けるより、割り切って分けたほうが早いという判断は十分に成り立ちます。
按分率の「相場」を鵜呑みにしない
「AIツールは8割が業務利用」といった数字が出回ることがありますが、公式な基準ではありません。合理的に説明できる根拠を自分で持つことが求められます。
按分率は一度決めたら固定ではなく、働き方が変わったタイミングで見直します。四半期に1度、利用履歴を眺めて実態とずれていないか確認する程度の頻度で十分です。
生成AIツール代の消費税・インボイスの扱い
ここがAIツール特有の論点で、経費全般の解説ではあまり踏み込まれない部分です。課税事業者であれば必ず押さえてください。免税事業者は消費税の申告自体がないため、支払額をそのまま経費に計上します。
海外のサービスでも国内取引として課税される
ChatGPTやCursorのように、インターネット経由で提供される役務は「電気通信利用役務の提供」にあたります。国税庁は、この取引について内外判定の基準を「役務の提供を受ける者の住所等」としており、国外から行われるものも国内取引として消費税が課税されるとしています(国税庁 No.6118 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係)。
「海外企業への支払いだから消費税はかからない」という理解は誤りです。日本在住の事業者が使う限り、課税対象になります。
仕入税額控除には適格請求書が要る
令和5年10月1日以後、仕入税額控除の要件は帳簿と適格請求書の保存です。それ以前にあった登録国外事業者制度は、令和5年9月30日で廃止されました。
つまり、海外のAIサービスであっても、提供事業者が適格請求書発行事業者として登録していなければ、支払った消費税分を控除できません。
確認手順はシンプルです。
サービスの請求書・領収書をダウンロードする
Tから始まる13桁の登録番号と、消費税額の記載があるか確認する
その番号を国税庁 適格請求書発行事業者公表サイトで検索し、事業者名と有効性を照合する
執筆時点では、OpenAIやGitHubは日本の適格請求書発行事業者として登録されており、請求書に登録番号と消費税額が表示されます。ただし登録状況は変わりうるため、公表サイトでの照合を習慣にしてください。番号だけを記憶して使い回すのは危険です。
登録がないサービスについては、消費税の仕入税額控除ができないというだけで、所得税の必要経費にできるかどうかは別の話です。事業に使っていれば必要経費になります。ただし帳簿上の金額は経理方式で変わります。税込経理なら支払総額をそのまま経費に計上し、税抜経理なら控除できない消費税相当額の扱いを分けて処理します。免税事業者はそもそも消費税の申告がないため、税込金額で計上します。
消費税の全体像はフリーランスエンジニアの消費税|インボイス・課税事業者判定・簡易課税まで解説にまとめてあります。
リバースチャージが必要になる人は限られる
役務の性質や取引条件から利用者が通常事業者に限られるものは「事業者向け電気通信利用役務の提供」にあたり、提供を受けた国内事業者が特定課税仕入れとして申告・納税します。これがリバースチャージ方式です。
ただし国税庁は、一般課税かつ課税売上割合が95%以上である課税期間、または簡易課税制度・小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(いわゆる2割特例)が適用される課税期間については、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされるとしています。
受託開発が中心のフリーランスエンジニアは、課税売上のほとんどが報酬収入になるため、課税売上割合が95%以上になるケースが多く、インボイス2割特例とは|対象・計算方法・いつまで使えるかを解説で扱った2割特例や簡易課税を選んでいる人も少なくありません。この経過措置に当てはまる課税期間であれば、特定課税仕入れを申告に含める必要はないという整理になります。
ただし、当てはまるかどうかは自分の課税方式(一般課税か簡易課税か、2割特例を使うか)と、その課税期間の課税売上割合を確認してから判断してください。非課税売上がある年や、課税方式を切り替えた年は結論が変わることがあります。
加えて、個人が自由に購入できる一般的なサブスクは「消費者向け」に分類されるのが通常で、その場合はそもそもリバースチャージの対象になりません。契約条件で利用者が事業者に限定されているプランを使っている場合に、取引区分の判定が必要になります。
2025年4月からのプラットフォーム課税
令和7年4月1日以後、国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行う消費者向けの電気通信利用役務の提供のうち、特定プラットフォーム事業者を介して対価を収受するものは、そのプラットフォーム事業者が役務提供を行ったものとみなされます(国税庁 No.6568 プラットフォーム課税)。
実務への影響は、アプリストア経由で課金している場合に、適格請求書の発行者がプラットフォーム側になるという点です。同じChatGPT Plusでも、ブラウザから直接契約した場合とアプリ内課金で契約した場合で、領収書の発行元が変わりえます。控除を受けたいなら、どちらの経路で契約しているかを把握しておく必要があります。
Q. 課税事業者ですが、インボイスのないAIツールは使わないほうがいいですか
控除できないぶん実質的なコストは上がりますが、2割特例や簡易課税を選んでいる場合は仕入税額控除を個別に計算しないため、影響はありません。自分の計算方式を確認してから判断してください。
領収書・請求書の取り方と電子取引の保存義務
AIツールの領収書は、ほぼすべてがWeb上のダッシュボードからダウンロードする形式です。紙は届きません。
契約から30日以内に初回の領収書を取りに行く
サービス側の請求履歴は遡れる期間が決まっていることがあり、解約するとアクセスできなくなるものもあります。契約したら最初の請求確定後、30日以内に領収書を取得する習慣をつけておくと取り逃しません。
宛名の設定が必要な場合は、課金設定の画面で事業者名を先に登録しておきます。あとから過去分の宛名を変更できないサービスもあります。
電子取引のデータは、データのまま保存する
Webからダウンロードした領収書は電子取引に該当します。印刷して紙で保管するだけでは要件を満たしません。データのまま保存し、日付・金額・取引先で検索できる状態にしておく必要があります(国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト)。
ファイル名を「20260131_OpenAI_3200」のように「日付_取引先_金額」で統一しておくと、検索要件を比較的簡単に満たしやすくなります。
なお、検索要件には売上規模に応じた緩和や、相当の理由があると認められる場合の猶予措置が設けられています。適用できるかどうかは個々の状況で変わるため、要件の詳細は特設サイトで確認してください。保存期間も書類の種類や所得の状況によって5年または7年と異なります。
保存書類の全体像は確定申告の必要書類一覧|フリーランスエンジニア向け提出・保存書類完全ガイド【2026年版】で確認できます。
ケース別の判断(専業・副業・客先常駐・実費請求)
同じツールでも、立場によって答えが変わります。
立場 | 経費計上 | 按分 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
専業フリーランス | 可 | 私用兼用なら必要 | 事業用アカウントに寄せれば按分不要 |
副業エンジニア | 可(副業所得から) | ほぼ必須 | 本業の業務に使う分は対象外 |
客先常駐・ツール支給あり | 必要性を説明できれば可 | 私用兼用なら必要 | 支給分と重複する理由を整理しておく |
クライアント実費請求 | 立替処理 | 不要 | 契約書への明記が前提 |
副業エンジニアは「本業の分」を混ぜない
会社員として働きながら副業で開発案件を受けている場合、AIツール代は副業の所得を計算するうえでの経費です。勤務先の業務を効率化するために使った分は、副業の経費になりません。
ここを曖昧にすると按分の説明が崩れます。副業案件のプロジェクトだけを業務分としてカウントするのが筋です。申告全体の進め方は副業エンジニアの確定申告|20万円ルール・経費・住民税の落とし穴を徹底解説を参照してください。
客先常駐でツールが支給されているとき
常駐先からGitHub Copilotのライセンスが支給されているのに、同じツールを自前でも契約している場合、自前契約分の事業上の必要性を説明できるかが問われます。
説明が立つのは、常駐先のアカウントを社外の自分の案件に使えない場合です。複数の案件を並行していて、常駐先以外の仕事で別途必要になるなら、必要経費として整理できます。なお、客先の環境で生成AIを使うこと自体に制約があるケースも多いため、業務委託で生成AIを使うときの契約・機密情報の注意点|客先案件の実務もあわせて確認しておくと安全です。
クライアントに実費請求する場合
API利用料をクライアント負担とする取り決めがあるなら、請求書に実費として載せます。このとき、契約と請求の形によって処理が分かれます。クライアントに代わって支払っただけで、自分の売上を構成しない形なら立替金として処理します。いったん自分の費用として計上し、精算額を売上に含める両建ての形もあります。どちらになるかは契約条項と請求書の建て方次第なので、契約時に確認しておいてください。
いずれにしても、契約書に実費精算の条項がないと請求段階で揉めます。立替経費の請求実務は業務委託の交通費・立替経費は請求できる?契約明記と請求書実務に整理しています。
よくある失敗と対策
失敗1:年の途中で勘定科目を変えてしまう
1月から6月は通信費、7月以降は支払手数料、といった記帳をすると、前年比較が成立しなくなります。対策は、年初に科目を決めて一覧表にしておくことです。会計ソフトの自動仕訳ルールに登録しておけば、取り違えも減ります。
失敗2:私用アカウントのまま全額を経費にする
家族と共用しているアカウント、もともと趣味で契約したアカウントをそのまま全額計上するパターンです。按分の根拠を聞かれて答えられないと、経費全体の信頼が揺らぎます。事業用アカウントへの移行が最も確実な対策になります。
失敗3:領収書を印刷して満足する
電子取引のデータ保存要件を満たしていない状態です。ダウンロードしたPDFを、検索できる形で保存してください。クラウドストレージに月別フォルダを作り、命名規則を決めるだけでも改善します。
失敗4:12月に年払いへ駆け込み切り替えする
短期前払費用の継続適用という前提を外れると、否認の対象になります。年払いの検討は、その年の最初の請求サイクルで判断するのが安全です。
失敗5:APIキーを使い回して按分できなくなる
私用の実験と案件の実装を同じキーで走らせると、明細を分けられません。案件ごとにキーを発行する運用は、経理だけでなくセキュリティ上も望ましい形です。
AIツール経費の年間チェックリスト
年に1回、確定申告の準備を始める前に次の項目を確認します。所要時間は30分程度です。
契約中のAIツールを棚卸しし、名称・月額・契約経路(ブラウザ/アプリストア)を一覧化したか
使っていないサブスクが残っていないか(解約忘れは経費の無駄打ちになる)
支払いが事業用カードに寄っているか、私用カード決済が混ざっていないか
12か月分の領収書がすべてダウンロード済みか、欠けている月はないか
領収書に登録番号と消費税額の記載があるか、公表サイトで照合したか
勘定科目が前年と揃っているか
按分率を使っている場合、その根拠を説明できる資料が残っているか
年払い契約がある場合、翌年分の処理方針が前年と同じか
案件に紐づくAPI利用料が、該当案件の原価として記録されているか
経費を正しく積み上げることは手取りを守る作業ですが、手取りを大きく動かすのは単価そのものです。自分がどの水準を狙えるか気になる方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で市場単価の目安を確認できます。AIツールを使った開発効率の上げ方はエンジニアの生成AI活用術|ツール使い分けで開発効率化と単価アピールに効く実務にまとめています。
まとめ
生成AIツールの利用料は、事業に使っている分であれば経費になります。つまずくのは経費性そのものではなく、勘定科目の一貫性・私用兼用時の按分・海外事業者への支払いに伴う消費税の3点です。
勘定科目は通信費・支払手数料・消耗品費のいずれでも可。毎年同じ科目を使い続けることが重要
私用と兼用するなら按分が必要だが、事業用アカウントに分ければ按分の論点自体をなくせる
AIツールは利用ログで按分根拠をつくれる。家賃より説明しやすい支出
海外サービスでも国内取引として消費税の課税対象。控除には適格請求書が必要
リバースチャージは、課税売上割合95%以上・簡易課税・2割特例のいずれかに該当すれば申告不要
領収書はデータのまま保存する。印刷だけでは要件を満たさない
次のステップは、契約中のAIツールの棚卸しです。名称・月額・契約経路・登録番号の有無を一覧にすれば、申告時の迷いはほぼ消えます。経費全般の判断基準はフリーランスエンジニアが経費にできるもの一覧|勘定科目・判断基準・仕訳例を徹底解説、申告手続きの流れはフリーランスエンジニアの確定申告|やり方・必要書類・期限をわかりやすく解説で確認してください。案件探しやキャリアの相談はフリコンから行えます。
個別の判断に迷う場合や、売上規模が大きくなってきた場合は、税理士への相談を検討してください。本記事は一般的な取り扱いを整理したもので、個別の事情によって結論が変わることがあります。
参照した一次情報は次のとおりです。
よくある質問
ChatGPT PlusとGitHub Copilotを両方契約していますが、両方とも経費にできますか
用途が重複していても、それぞれ業務で使っている実態があれば両方とも経費になります。コード補完はCopilot、設計や調査はChatGPTというように使い分けの実態を説明できる状態にしておくと確実です。
勘定科目は「新聞図書費」でもいいですか
情報収集が主目的であれば説明は可能ですが、ソフトウェアの利用料という実態からはやや離れます。通信費・支払手数料・消耗品費のいずれか、または青色申告決算書の空欄に独自科目を設定する方法のほうが実態に合います。
法人成りした場合、個人で契約していたAIツールはどうなりますか
契約名義を法人に切り替えるのが基本です。個人契約のまま法人の経費にすると、名義と支出の実態がずれます。切り替え時期を期首に合わせると処理が整理しやすくなります。
売上がゼロの年でもAIツール代を経費にできますか
事業として継続する意思と活動実態があれば、経費として計上できます。ただし売上がない状態が続くと事業性そのものを問われやすくなります。営業活動や受注に向けた動きの記録を残しておいてください。
アプリストア経由で課金した分は控除できますか
プラットフォーム課税の対象になる場合、適格請求書の発行者はプラットフォーム事業者です。アプリストアの購入履歴から領収書を取得し、登録番号を確認してください。ブラウザ契約とは発行元が異なります。
按分率は何パーセントが妥当ですか
公式な基準はありません。業務利用の実態を示せる数字であれば、割合そのものは問われません。利用履歴の件数比やプロジェクト分けなど、算定根拠を文書で残しておくことのほうが重要です。
クレジットカードの為替手数料も経費になりますか
事業のための支払いに伴う手数料であれば、支払手数料などで計上できます。カード明細の円貨額に含まれている場合は、まとめて処理して問題ありません。
2割特例を使っている場合、AIツールのインボイスは集めなくていいですか
消費税の計算には使いませんが、所得税の必要経費の証憑としては必要です。消費税の計算方式とは別に、領収書の保存義務は残ります。
無料枠のAPIを使った案件でも何か計上できますか
対価の支払いがなければ計上するものはありません。無料枠を超えた分から経費になります。従量課金は利用月と請求確定月がずれることがあるため、計上時期に注意してください。
AIツールで作ったコードを納品した場合、税務上の扱いは変わりますか
変わりません。制作手段が何であれ、受け取った報酬は事業所得です。ただし成果物の権利関係は契約で確認が必要です。
従量課金のAPI利用料が月10万円を超えました。処理は変わりますか
金額が大きくなっても、役務の提供を受けた費用であることは同じで、資産計上は不要です。ただし案件原価としての性格が強くなるため、案件別に紐づけて記録しておくと採算管理に役立ちます。
