電子帳簿保存法とは|フリーランスエンジニアが最低限やるべき対応【2026年版】
最終更新日:2026/05/28
電子帳簿保存法とは、税務関係の帳簿・書類を電子データで保存するためのルールを定めた法律です。フリーランスエンジニアは2024年1月から、メールPDFや会員サイトでダウンロードした請求書・領収書・支払明細などを「電子のまま保存」することが義務化されました。エンジニアが最低限おさえるべき要件と、現実的な進め方を整理します。
先に結論
フリーランスエンジニアにとって中心的な義務は「電子取引データ保存」。電子で受け取った請求書・領収書・支払明細などは電子のまま保存する必要がある
「電子帳簿等保存」と「スキャナ保存」は任意制度で、必須対応とは位置づけが異なる
検索要件は、基準期間(前々年)の売上が一定以下(原則1,000万円以下、令和5年度改正後は条件付きで5,000万円以下まで)であれば、税務調査でのダウンロード対応を条件に免除される
真実性の確保は、無料の「事務処理規程」を備え付けて運用すれば対応しやすい(タイムスタンプは必須ではない)
相当の理由が認められれば「猶予措置」が利用できる場合があるが、データ自体の保存とダウンロード対応は省略できない
この記事でわかること
電子帳簿保存法の3つの保存区分と、フリーランスにとって義務になる範囲
電子取引データ保存で守るべき「真実性」「可視性」「検索要件」の中身
エンジニア特有の取引(クラウド利用料・サブスク・エージェント支払明細など)の扱い
会計ソフト(freee/マネーフォワード/弥生)を使った最短ルート
違反した場合のリスク(青色申告取消・追徴課税)と新しい猶予措置の条件
目次
電子帳簿保存法とは
電子取引データ保存の要件と検索要件の免除
フリーランスエンジニアが対応すべき4つのステップ
フリーランスエンジニアに特有の取引と対応例
会計ソフトを使った現実的な対応
ケース別解説:自分はどう対応すべきか
違反時のリスクと猶予措置
よくある失敗と対策
まとめ
よくある質問
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、所得税法・法人税法上で保存が義務付けられている帳簿や書類を、紙ではなく電子データで保存するためのルールを定めた法律です。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」。1998年の施行以来、何度も改正されてきました。
最新の制度は3つの保存区分に整理されており、フリーランスエンジニアに関係するのは主に3つ目の「電子取引データ保存」です。
3つの保存区分
区分 | 対象 | 任意/義務 | フリーランスへの関係 |
|---|---|---|---|
電子帳簿等保存 | 会計ソフトやExcelで最初から電子作成した帳簿・書類 | 任意 | 青色申告特別控除65万円の優遇要件に関係するため、控除を狙う場合に検討 |
スキャナ保存 | 紙で受領した請求書・領収書をスキャン/撮影して画像化 | 任意 | 紙の領収書をペーパーレス化したい場合に検討 |
電子取引データ保存 | メール添付PDF・ECサイト明細・クラウド請求書など、電子で授受したデータ | 義務 | 取引のほぼ全てが該当。最優先で対応 |
「電子帳簿等保存」と「スキャナ保存」はあくまで任意制度であり、電子取引データ保存のような必須対応とは位置づけが異なります。一方、3つ目の「電子取引データ保存」は2024年1月1日から完全義務化されており、フリーランス・個人事業主・法人を問わず全員が対象です。
フリーランスエンジニアが必ず守るべきは「電子取引データ保存」
電子取引とは、注文書・契約書・領収書・請求書などの取引情報をデータでやり取りするすべての取引を指します。エンジニアが日常的に行う取引のほとんどがここに含まれます。
AWS・Google Cloud・Azureなどクラウドサービスの利用明細
GitHub Copilot・JetBrains・Notionなどサブスクの請求書
フリーランスエージェントが発行する支払明細(マイページからダウンロード)
取引先からメールで届くPDF請求書・領収書
AmazonやヨドバシなどECサイトの注文履歴・領収書
これらは2024年以降、原則として「紙に印刷して保存」だけでは足りず、データのまま要件を満たす形で保存する必要があります(猶予措置の取り扱いは後述)。
ミニFAQ
Q. 紙で受け取った領収書は電子化しないといけませんか?
A. いいえ、紙で受け取ったものはそのまま紙で保存して問題ありません。義務化されているのは「電子で受け取ったデータの電子保存」だけです。
電子取引データ保存の要件と検索要件の免除
電子取引データ保存では「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つを満たす必要があります。条件で対応が大きく変わるため、要件を分けて整理します。
真実性の確保
データが改ざんされていないことを担保するための要件で、以下4つのうちいずれか1つを満たせば足ります。
方法 | 内容 | 個人事業主の現実度 |
|---|---|---|
1. 送信元でタイムスタンプ付与 | 取引先がデータ送信前にタイムスタンプを付ける | 取引先依存。実務的にはほぼ不可 |
2. 受領後にタイムスタンプ付与 | 受け取った側がタイムスタンプを付ける | 有料サービス契約が必要 |
3. 訂正削除の履歴が残るシステムを使う | 会計ソフトの電子帳簿保存機能など | クラウド会計ソフト利用なら現実的 |
4. 事務処理規程を備え付ける | 訂正削除に関する社内ルールを文書化 | 無料・最も手軽 |
多くのフリーランスエンジニアにとって現実的なのは「事務処理規程の備え付け」です。国税庁が個人事業主向けのサンプルを公開しており、ダウンロードして氏名と日付を埋めれば運用を始められます。
参考:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)|国税庁
可視性の確保
保存したデータを税務調査の際に確認できる状態にしておくための要件です。
保存場所にディスプレイ・プリンタ・操作マニュアルを備え付ける
データを画面・書面に整然とした形式で出力できる
一定の検索機能を確保する
「ディスプレイとプリンタの備え付け」は普段使っているPCとプリンタで足ります。難しいのは検索機能の確保ですが、これは次に説明する免除ルールが用意されています。
検索要件の免除ルール
検索機能としてもともと求められるのは以下の3つです。
取引年月日・取引金額・取引先で検索できる
日付や金額は範囲指定検索ができる
2つ以上の項目を組み合わせて検索できる
ただし、検索要件は売上規模に応じて段階的に緩和されています。条件を整理します。
基準期間(前々年)の売上 | 検索要件の扱い | 前提 |
|---|---|---|
1,000万円以下 | 検索要件のすべてが不要 | 税務調査でのダウンロード対応に応じられること |
1,000万円超〜5,000万円以下 | 令和5年度改正により検索要件のすべてが不要 | 同上。改正で対象範囲が拡大 |
5,000万円超 | 検索要件を満たす必要あり | 取引年月日・取引金額・取引先での検索機能 |
従来は1,000万円以下が中心的な目安でしたが、令和5年度改正により条件付きで5,000万円以下まで対象が広がっています。売上規模によってはこの免除に該当するケースが多く、フリーランスエンジニアの個人事業の規模であれば免除の範囲内に収まる方が一定数います。
免除に該当する場合、保存方法は次のいずれかでも実務的に運用しやすい方法とされています(税務調査時にダウンロードの求めに応じられる前提です)。
「2026年4月_株式会社○○_55000円.pdf」のようにファイル名を整える
フォルダを年・取引先で分けて入れておく
Excelで索引簿を作っておく
参考:電子帳簿保存法の内容が改正されました(令和5年度税制改正)|国税庁
ミニFAQ
Q. タイムスタンプを契約しないと違反になりますか?
A. いいえ、なりません。事務処理規程を備え付ければ真実性の要件は満たせます。タイムスタンプは選択肢の1つにすぎません。
フリーランスエンジニアが対応すべき4つのステップ
ここまでの要件を踏まえ、エンジニアが実際にやることを4段階で整理します。
ステップ1:対象となる電子取引を洗い出す
普段の取引のうち、どれが電子取引に該当するかを棚卸しします。
報酬の支払明細:エージェントのマイページからダウンロードしているもの
クラウド利用料:AWS・GCP・Azureのコンソールから発行されるInvoice
業務サブスク:GitHub Copilot・JetBrains・Figma・Notionなど
機材購入:Amazon・楽天・ヨドバシなどECサイトの領収書
通信費:自宅回線・モバイル回線のWeb明細
銀行・カードの取引明細:Web上でダウンロードした明細
紙で受け取ったものは対象外なので、紙のままファイリングして問題ありません。
ステップ2:保存場所とフォルダ構造を決める
電子取引データは1か所に集約しておくと税務調査時の対応がスムーズです。
保存場所の例:PCローカル+クラウド(Google Drive・Dropbox・OneDriveなど)の二重保存
フォルダ構造の例:「電帳法/2026年/04月/受領/○○商事_55000.pdf」
ファイル名の例:「日付_取引先_金額.pdf」のように後から探せる名前にする
保存期間は所得税法上、原則7年間(青色申告で欠損金繰越控除を使う場合は10年間)です。
ステップ3:事務処理規程を整える
国税庁が個人事業主向けのサンプル(電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程)を公開しています。サンプルをダウンロードし、氏名・施行日・適用範囲を埋めれば運用を始められます。
ポイントは「ルールを作って、それに従って運用する」点です。厳格なシステム導入までは不要ですが、規程を備え付けるだけでなく、規程に沿った継続運用が前提になります。
ステップ4:会計ソフトの設定を見直す(任意)
freee・マネーフォワードクラウド・弥生などのクラウド会計ソフトを使っている場合、電子取引データを直接アップロードして仕訳と紐付ける機能があります。確定申告の手間を減らす意味でも、ステップ1で洗い出したデータを会計ソフトに集約する運用が便利です。
ただし、会計ソフトの電子帳簿保存機能を使わなくても、ステップ1〜3の運用で電帳法の義務は果たせます。
ミニFAQ
Q. 事務処理規程を作らずに電子データを保存していたら、ただちに違反ですか?
A. ただちに違反というよりは、要件を満たしていない保存になります。税務調査で指摘されると、青色申告承認取消などのリスクが生じます。早めに規程を整備するのが安全です。
フリーランスエンジニアに特有の取引と対応例
エンジニアの取引は他職種と比べてペーパーレスで完結するものが多く、電子取引の比率が極めて高いという特徴があります。代表例を整理しました。
エージェント経由の支払明細
フリーランスエージェント(フリコンなど)から月次で発行される支払明細は、マイページからPDFをダウンロードする形が一般的です。
推奨運用:明細が発行されたタイミングでダウンロード→「2026年04月_エージェント名.pdf」のように保存
注意点:マイページの保存期間が限られている場合があり、サービス側のサーバに置いたままでは自分で継続的に閲覧・提示・保存管理できる状態とは言いにくいため、手元または管理可能な保存先への保存が無難です
エージェント経由の取引については、契約・報酬の流れもあわせてフリーランスエンジニアのスキルシートの書き方やエージェントとの面談の内容と必要な準備で整理しておくと、保存対象が把握しやすくなります。
クラウド・サブスクの利用明細
AWS・GCP・Azureなどのクラウド請求書、GitHub・JetBrains・Cursorなどのサブスク領収書は典型的な電子取引です。
多くは月次でメール通知+管理画面からPDFダウンロードの形式
海外通貨で請求されるサービスは、為替レートと税区分(消費税の課税/不課税)の整理が必要
フリーランスエンジニアが経費にできるもの一覧で経費区分と合わせて確認すると保存後の処理が楽になる
外注先・委託先への支払い
エンジニアが他のフリーランスに外注したり、デザイナーに依頼したりするケースでは、自分が「受け取った請求書」を保存する必要があります。請求書をメールPDFやChatworkで受領した場合は電子取引です。
請求書の発行側の話は別記事で扱っているため、フリーランスエンジニアの請求書の書き方も参照してください。
銀行・クレジットカードの明細
ネットバンキングやクレジットカードのWeb明細は、月次でダウンロードして保存するのが基本です。郵送で届く紙明細を選択している場合は紙保存で問題ありません。
インボイス制度との関係
電帳法とインボイス制度(適格請求書等保存方式)はそれぞれ別の制度ですが、保存義務という点で連動します。インボイスの保存要件もあわせて【インボイスとは?】フリーランスエンジニアが知るべきポイントと対策で確認してください。
会計ソフトを使った現実的な対応
クラウド会計ソフトは電帳法対応の機能を備えており、ステップ1〜4の運用を1つにまとめられます。エンジニアが選びやすい3つを整理します。
ソフト | 電帳法対応の特徴 | 料金プランの位置づけ |
|---|---|---|
freee会計 | 「ファイルボックス」に電子取引データをアップロードしてAI仕訳。初心者向けの解説が手厚い | 個人事業主向けに「スターター」プランあり |
マネーフォワードクラウド | 銀行・カード連携が強力。「電子取引」フォルダにアップロードして仕訳と紐付け | 個人事業主向けに「パーソナルミニ」「パーソナル」プランあり |
弥生会計オンライン | 老舗で利用者数が多く、税理士の対応実績も豊富 | 個人事業主向けに「セルフプラン」「ベーシックプラン」あり |
※料金は変動するため、最新プラン・金額は各社公式サイト(freee/マネーフォワード/弥生)で必ず確認してください。
会計ソフトを使うと、青色申告特別控除65万円の電子申告要件もあわせて満たしやすくなり、節税面でもメリットがあります。ただし、65万円控除を受けるには、複式簿記での記帳とe-Taxによる電子申告(または電子帳簿等保存の要件充足)が必要です。控除の詳細は青色申告と白色申告の違いで整理しています。
ケース別解説:自分はどう対応すべきか
専業フリーランスエンジニア(売上1,000万円以下)
検索要件は免除対象
事務処理規程+フォルダ分け保存で要件を満たせる
会計ソフトを使うなら、ファイルアップロード機能で完結
確定申告との連動を意識し、フリーランスエンジニアの確定申告を踏まえて運用設計するのが効率的
副業エンジニア
副業の収入と本業の給与は別で管理。副業分のみ電帳法の対象
メール添付PDFやサブスク領収書を専用フォルダで保存しておく
雑所得か事業所得かで保存義務の重さが変わるという誤解が多いが、電帳法は所得区分にかかわらず適用される
副業全体の整理は副業エンジニアの確定申告を参照
開業初年度のエンジニア
開業届を出した時点から電帳法の保存義務が発生する
開業前の支出(開業費)も電子で受け取った領収書は対象になる
最初に保存ルールを決めておくと、後から遡って整理する手間が省ける
開業手続きはフリーランスエンジニアのための開業届ガイドを参照
売上1,000万円超〜5,000万円以下のエンジニア
令和5年度改正で5,000万円以下まで検索要件免除の対象が拡大
「ダウンロードの求めに応じる」前提を満たしていれば、検索要件免除を引き続き使える
ただし基準期間(前々年)の売上で判定するため、年によって免除可否が変動する点に注意
売上5,000万円超のエンジニア(法人化検討層)
検索要件免除の対象外。検索機能を備える必要がある
会計ソフトの電子取引機能でファイル名と検索インデックスを自動付与するのが現実的
法人化の判断と合わせて検討すると経理体制を整理しやすい。詳細はフリーランスエンジニアの法人化で確認
違反時のリスクと猶予措置
違反した場合の主なリスク
リスク | 内容 |
|---|---|
青色申告承認の取消 | 帳簿書類の備付け・保存が著しく不十分な場合、税務署長の判断で青色申告の承認が取り消される可能性がある |
追徴課税 | 保存状況や調査時の対応次第で、経費として認められず追加納税が発生する場合がある |
重加算税の加算 | 改ざんや隠蔽と判断された場合、本来の重加算税にさらに10%が上乗せされる可能性がある |
推計課税 | 帳簿の信頼性が著しく失われた場合、推計で課税される可能性がある |
個別事情によって対応は異なるため、保存不備がある場合は早めに是正しておくのが安全です。最低限の運用を整えておけば、税務調査でも落ち着いて対応できます。
新しい猶予措置(2024年1月以降)
2024年1月の義務化と同時に、新しい「猶予措置」が用意されました。
対象:相当の理由(システム整備が間に合わない、人的・資金的余裕がない等)があると認められる事業者
要件:
1. 税務調査でデータのダウンロードの求めに応じられる
2. 出力した書面の提示・提出の求めに応じられる
特徴:要件を満たしていれば、検索要件や真実性確保の措置を講じていなくても認められる
「相当の理由」に該当するかは個別判断であり、最終的には所轄税務署長が判断します。事前の届け出は不要ですが、一般的な恒久対応として前提にするより、例外的な救済措置として理解するのが安全です。また、紙保存だけで終わらせるのではなく、電子データそのものは保存しておく必要があります。
なお、2023年12月末まで適用されていた「宥恕措置」とは別の制度です。宥恕措置は2023年末で完全に終了しています。
参考:電子帳簿保存法の内容が改正されました(令和5年度税制改正)|国税庁
ミニFAQ
Q. 猶予措置を受けるための申請書類はありますか?
A. 申請や届出は不要です。税務調査で「相当の理由」が認められれば適用されます。ただし、データの保存自体は省略できません。
よくある失敗と対策
失敗1:メール添付PDFを印刷して、原本データを削除してしまう
電子で受け取ったデータは電子のまま保存することが原則です。印刷した紙は補助的なメモにとどめ、元データは必ず保存してください。
失敗2:マイページでの確認だけで満足してしまう
エージェントやクラウドサービスのマイページに支払明細が表示されていても、サービス側のサーバに置いたままでは保存要件を満たしているとは言えません。月次でダウンロードして自分の保存先に移すのが安全です。
失敗3:事務処理規程を作らず、タイムスタンプもなしで運用してしまう
真実性の確保にはいずれかの方法が必要です。最も簡単なのは事務処理規程の備え付け。国税庁のサンプルをダウンロードして整えるだけなので、最初に必ず対応してください。
失敗4:検索要件免除の判定を売上1,000万円固定で覚えている
令和5年度改正で5,000万円以下まで拡大されました。基準期間(前々年)の売上で判定するため、年によって扱いが変わる場合があります。
失敗5:紙の領収書まで電子化しなければと思い込む
スキャナ保存は任意制度です。紙のまま保存して問題ないため、無理にペーパーレス化する必要はありません。
まとめ
電子帳簿保存法は、エンジニアの実務面で押さえるべきポイントが意外と少ない制度です。要点を1つに絞ると、電子で受け取った請求書・領収書・支払明細などを電子のまま保存し、無料の事務処理規程を備え付けて運用する——多くのフリーランスにとって、まずはこの対応が実務上の中核になります。
最後に要点を整理します。
「電子取引データ保存」が必須対応。電子帳簿等保存・スキャナ保存は任意制度
真実性は事務処理規程の備え付け+規程に沿った運用で対応可能(タイムスタンプは必須ではない)
検索要件は条件付きで売上5,000万円以下まで免除対象(基準期間の売上で判定)
違反した場合は青色申告承認取消などのリスクがある。保存状況や調査対応次第で扱いが変わる
「相当の理由」があれば猶予措置を利用できる場合がある。データ保存自体は省略不可
次のアクションとしては、まず国税庁の事務処理規程サンプルをダウンロードし、保存先フォルダを作るところから始めてください。会計ソフトを既に使っている場合は、電子取引データのアップロード機能を有効にすると運用が一気に楽になります。
なお、税務・法令の詳細判断や個別事情への適用については、必要に応じて税理士への相談を検討してください。最新の制度改正は国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトで随時公開されています。
確定申告全体の流れや経費の整理は、次の記事もあわせて参考にしてください。
よくある質問
Q1. 個人で副業をしているだけでも電子帳簿保存法の対象になりますか?
A. はい、対象です。雑所得・事業所得を問わず、電子で受け取った請求書・領収書がある場合は電子のまま保存する必要があります。給与のみで副業がない場合は対象外です。
Q2. PDFをスマートフォンで撮影した画像で代用してもいいですか?
A. 電子で受け取ったPDFは、そのPDFを保存することが原則です。スマホ撮影で代替するのは要件を満たさない可能性があります。元データ(PDF)が手元にある以上、それを保存してください。
Q3. 領収書を紙で受け取った場合、スキャンしないと違反になりますか?
A. なりません。紙で受け取ったものは紙のまま保存して問題ありません。スキャナ保存は任意の制度です。
Q4. クラウドストレージ(Google Drive・Dropboxなど)に保存しても要件を満たしますか?
A. 真実性・可視性・検索要件のいずれも満たせる運用であれば問題ありません。フォルダ構造を整えて事務処理規程を備え付けるなど、運用設計が重要です。
Q5. 売上1,000万円を超えたら検索要件を必ず満たさないといけませんか?
A. 令和5年度改正で5,000万円以下まで免除対象が拡大されました。基準期間(前々年)の売上で判定するため、すぐに検索機能の整備が必要になるとは限りません。
Q6. 会計ソフトを使えば事務処理規程は不要ですか?
A. 訂正削除の履歴が残るシステムを使っている場合、真実性要件は満たせます。ただし、ソフトの仕様によっては事務処理規程と併用する運用が推奨されることもあります。利用中のソフトのヘルプを確認してください。
Q7. 過去にメールで受け取ったPDFを紙で保存していました。今からどう対応すべきですか?
A. 2023年末で宥恕措置が終了し、2024年1月以降は原則として電子データの電子保存が必要になっています。可能であればメール本文や送信元から元データを取り戻し、電子で保存しなおすのが安全です。難しい場合は新しい運用ルールを整備し、今後の取引から確実に電子保存する流れに切り替えてください。
Q8. インボイス制度の保存要件と何が違いますか?
A. 電帳法は「電子取引データを電子で保存すること」を求める制度で、インボイス制度は「適格請求書を発行・保存して仕入税額控除を受けるための制度」です。両方に保存義務がありますが、目的と対象範囲が異なります。詳細は【インボイスとは?】フリーランスエンジニアが知るべきポイントと対策を参照してください。
Q9. 海外のSaaSの請求書(英語・外貨建て)も電帳法の対象ですか?
A. はい、対象です。日本の所得税法上の経費として計上する以上、保存義務があります。請求書の原本(PDF)を保存し、為替レートを記録して帳簿に反映してください。
Q10. 「相当の理由」で猶予措置を使う場合、いつまで使えますか?
A. 一律の期限は設けられていませんが、相当の理由の有無は個別に判断されます。税務調査の際にダウンロードの求めには必ず応じる必要があり、また書面の提示・提出も求められます。長期的にはシステム整備か事務処理規程の備え付けに切り替えるのが安全です。
Q11. 経費精算アプリ(楽楽精算など)を使えば電帳法対応になりますか?
A. 多くの経費精算サービスは電帳法対応をうたっています。ただし、サービスの保存機能だけで完結するか、エクスポート後の保存運用まで整える必要があるかは契約プランによって異なります。利用前に各社のサポートページを確認してください。
Q12. 税理士に依頼している場合、自分は何をすればいいですか?
A. 税理士に丸投げしても、データそのものを保存する義務は事業者本人にあります。最低限、受け取った電子データを所定のフォルダにまとめておき、税理士に渡せる状態を保つ運用が必要です。


