情報処理安全確保支援士|難易度・合格率・3年の維持費とフリーランス案件での評価【2026年度CBT】
最終更新日:2026/10/07
情報処理安全確保支援士とは、IPAの試験に合格し、経済産業大臣の登録を受けた人だけが名乗れるサイバーセキュリティの国家資格です。合格率は直近6回で15〜22%。登録後はIPAの講習なら3年で14万円かかります。2026年度のCBT日程と2027年度の制度変更を踏まえ、フリーランスエンジニアが取るべきかを整理します。
先に結論
情報処理安全確保支援士は名称独占資格。試験に合格しても、登録しなければ名乗れない
合格率はIPA公表値で令和5年度春期〜令和7年度秋期の6回で15.1〜22.3%。受験者は6回で約1.5倍に増えたが、合格率はほぼ横ばい
令和8年度(2026年度)からCBT方式。前期試験の申込は2026年10月24日17時まで、後期試験は2027年1月27日〜2月27日。受験手数料は7,500円
費用は、登録時に19,700円(登録免許税9,000円+登録手数料10,700円)。維持には3年ごとにオンライン講習3回(計6万円)と実践講習1回(IPA実施なら8万円)が必要。2026年4月からは、実務経験の認定を受けると実践講習が不要になる
フリーランス案件では「資格名で単価が決まる」より「セキュリティ実務の担当範囲」で評価される。資格は、金融・重要インフラ・監査支援など要件が厳しい案件で信頼の裏付けとして効く
この記事でわかること
情報処理安全確保支援士の位置づけと、「試験合格」と「登録」の違い
令和8年度のCBT日程、試験時間、合格率の推移、2027年度の制度変更
登録から3年間でかかる費用の総額と、実務経験者向けの新しい講習制度
フリコン掲載のセキュリティエンジニア案件143件から見た、案件と単価の傾向
関連資格との使い分けと、取得すべきかの判断フロー
目次
情報処理安全確保支援士とは
試験概要と難易度
2027年度の制度変更で支援士試験はどう変わるか
登録と更新の仕組み
フリーランスエンジニアにとっての活用価値
取得を目指すべきエンジニア像
学習方法と勉強時間の目安
ケース別の活用例
よくある失敗と対策
関連資格との比較・チェックリスト
まとめ
よくある質問
情報処理安全確保支援士とは
情報処理安全確保支援士は、サイバーセキュリティの専門知識を持つ人材を国が登録する国家資格です。 2016年10月の「情報処理の促進に関する法律」改正で創設されました。通称は「登録セキスペ」です。
試験区分の名称は「情報処理安全確保支援士試験(SC)」、合格後の登録名称が「情報処理安全確保支援士」です。試験合格者には経済産業大臣から合格証書が交付され、所定の登録手続きを経ると資格保持者になります。
資格の位置づけ
情報処理技術者試験と同じ枠組みで実施され、難易度は最上位のレベル4です。応用情報技術者(レベル3)の上に位置し、ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリストなどの高度試験と同じ水準にあたります。
受験資格はありません。年齢・学歴・実務経験を問わず受験できます。
試験合格と登録の違い
ここを混同するとキャリア戦略がぶれます。合格しても、登録しなければ「情報処理安全確保支援士」を名乗れません。
状態 | 名乗れる肩書き | 必要な手続き | 継続コスト |
|---|---|---|---|
試験合格のみ | 情報処理安全確保支援士試験合格者 | 試験合格 | なし(合格は生涯有効) |
登録完了 | 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ) | 試験合格+登録申請 | 講習の受講と3年ごとの更新 |
更新せず失効 | 情報処理安全確保支援士試験合格者 | ― | なし(再登録は可能) |
名称独占資格としての性質
登録していない人が「情報処理安全確保支援士」と名乗ると、罰則の対象になります。登録セキスペには、信用失墜行為の禁止・秘密保持義務・講習の受講義務が課されます。違反すると、経済産業省から名称の使用停止や登録取消しの処分を受ける場合があります(IPA 情報処理安全確保支援士に関するよくあるご質問)。
フリーランスエンジニアがスキルシート・名刺・プロフィールに書くときは、登録を維持していることが前提です。合格のみなら「情報処理安全確保支援士試験 合格」と書き分けてください。
登録者数と、合格者のうち登録している人の割合
IPAの公表では、2026年4月1日時点の登録者は26,453名、平均年齢は44.3歳です。同日付の新規登録は1,859名でした(IPA 登録者情報)。
同じ資料には、登録者が何年度の試験に合格したかの内訳があります。各回の合格者数と並べると、次のとおりです。
合格した試験 | 合格者数 | 2026年4月1日時点の登録者 | 割合 |
|---|---|---|---|
令和5年度春期 | 2,394人 | 947名 | 39.6% |
令和5年度秋期 | 3,284人 | 1,300名 | 39.6% |
令和6年度春期 | 2,769人 | 1,052名 | 38.0% |
令和6年度秋期 | 2,615人 | 1,002名 | 38.3% |
令和7年度春期 | 3,134人 | 1,237名 | 39.5% |
令和7年度秋期 | 4,199人 | 1,395名 | 33.2% |
登録者数は2026年4月1日時点で登録が残っている人の数で、更新せず失効した人は含まれません。登録はいつでも申請できるため、直近の回ほど今後の登録で割合が上がる可能性もあります。
それでも、合格者の6割前後は2026年4月時点で登録していないことが読み取れます。維持費や講習の負担、業務上の必要性、申請時期の違いなどから、登録しない・後回しにする人が一定数いると考えられます。費用対効果の判断は後述の「登録と更新の仕組み」で整理します。
ミニFAQ:試験に合格すれば「セキスペ」を名乗れる?
名乗れません。合格後に登録を申請し、登録日(4月1日または10月1日)を迎えてはじめて「情報処理安全確保支援士」と名乗れます。登録前は「情報処理安全確保支援士試験合格者」と表記してください。
試験概要と難易度
結論:令和8年度からCBT方式で前期・後期の年2回。科目A-1・A-2・Bの3科目すべてで100点満点中60点以上を取れば合格で、合格率は20%前後です。
令和8年度(2026年度)の日程とCBT移行
令和7年度までは春期・秋期に紙で一斉実施されていました。令和8年度からはCBT方式に移り、実施期間内に全国の会場から日時を選んで受験します(IPA 令和8年度 申込受付期間及び試験実施期間)。
項目 | 前期試験 | 後期試験 |
|---|---|---|
申込受付 | 2026年10月6日10時〜10月24日17時 | 2027年1月27日〜2月27日 |
科目A-1・A-2 | 2026年10月17日〜10月27日 | 2027年2月20日〜3月2日 |
科目B | 2026年11月11日〜11月23日 | 2027年3月16日〜3月28日 |
合格発表 | 2027年2月頃 | 2027年6月頃 |
科目名が変わりました。午前Ⅰ→科目A-1、午前Ⅱ→科目A-2、午後→科目B。問う知識・技能の範囲、出題形式、出題数、試験時間は変わりません(IPA CBT方式での実施について)
申込は前期・後期それぞれ1回のみ。申込時に科目A群と科目B群をまとめて予約します
受験手数料は7,500円(情報処理安全確保支援士試験は非課税)
画面上のメモ機能・電卓機能に加えて、入室時にメモ用紙1枚と筆記用具が配布されます。当初は配布なしと案内されていましたが、2026年9月17日に方針が変わりました。メモ用紙は試験後にすべて回収されます(IPA メモ用紙の配布について)
CBT方式の試験問題は非公開で、第三者への開示は禁止されています
日程はいずれもIPAの2026年9月時点の公表に基づきます。前期試験の準備が間に合わない場合は、後期試験(科目Bは2027年3月)を狙う計画に切り替えるのが現実的です。
試験時間・出題形式・出題数
科目 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数・解答数 | 基準点 |
|---|---|---|---|---|
科目A-1(旧 午前Ⅰ) | 50分 | 多肢選択式(四肢択一) | 30問・全問解答 | 60点/100点 |
科目A-2(旧 午前Ⅱ) | 40分 | 多肢選択式(四肢択一) | 25問・全問解答 | 60点/100点 |
科目B(旧 午後) | 150分 | 記述式 | 4問中2問を選択 | 60点/100点 |
出典はIPA 情報処理安全確保支援士試験と試験要綱です。採点は素点方式で、3科目すべてが基準点以上で合格です。1科目でも基準点を下回ると不合格になります。問題の難易差が大きい回は、基準点が変更されることがあります。
合格率の推移(IPA公表値)
試験 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
令和5年度春期 | 12,146人 | 2,394人 | 19.7% |
令和5年度秋期 | 14,964人 | 3,284人 | 21.9% |
令和6年度春期 | 14,342人 | 2,769人 | 19.3% |
令和6年度秋期 | 17,324人 | 2,615人 | 15.1% |
令和7年度春期 | 16,526人 | 3,134人 | 19.0% |
令和7年度秋期 | 18,816人 | 4,199人 | 22.3% |
出典はIPA 統計情報の推移表(令和7年度版)です。合格率は合格者数を受験者数で割った値です。
受験者は令和5年度春期から令和7年度秋期で約1.55倍に増えました。一方で合格率は15〜22%の幅に収まっています。受験者が増えても、少なくとも合格率で見る限り、難易度の傾向は大きく変わっていないと見られます。応用情報技術者試験(令和7年度23.4%)と近い数字ですが、受験者層は応用情報合格者が中心になるため、体感の難しさは一段上と考えたほうが安全です。
出題範囲
科目Bでは、Webアプリケーションのセキュリティ、ネットワーク監視、インシデント対応、暗号、認証・認可、セキュアプログラミング、法令・ガイドラインが横断的に問われます。
実務経験のあるエンジニアなら、技術系の設問は手早く解けることが多いです。ガバナンス・法令・リスク管理の設問は腰を据えた対策が必要になりがちです。
科目A-1の免除
応用情報技術者試験・高度試験・支援士試験に合格した人や、高度試験・支援士試験で旧午前Ⅰの基準点を取った人は、おおむね2年間、科目A-1が免除されます。令和8年度の対象は次のとおりです。
前期試験:令和6年度春期〜令和7年度秋期の合格者、または同期間の高度試験・支援士試験の午前Ⅰ通過者
後期試験:令和6年度秋期〜令和8年度前期の合格者、令和6年度秋期〜令和7年度秋期の午前Ⅰ通過者、令和8年度前期の科目A-1通過者
科目A-2にも、IPAが認定した学科等の修了者向けの免除制度があります。
ミニFAQ:科目A-1免除を狙う順番は?
初学者〜中級者には、応用情報技術者→情報処理安全確保支援士の順が取り組みやすいルートです。応用情報の合格から約2年は科目A-1が免除されるため、その期間内に支援士を受けると負担が軽くなります。応用情報の詳細は『応用情報技術者試験』で整理しています。
2027年度の制度変更で支援士試験はどう変わるか
結論:支援士試験は2027年度以降も続きます。ただし試験時間と科目Bの出題形式が変わる予定です。現行制度の試験は2026年度(令和8年度後期)で終了する見込みです。
IPAは2027年度から新試験制度に移る予定を公表しています。2026年4月28日更新の検討状況では、支援士試験は次のように示されています(IPA 試験の見直しの検討状況について)。
項目 | 現行(令和8年度まで) | 新試験制度(予定) |
|---|---|---|
開始時期 | ― | 2027年度夏頃から秋頃 |
科目A-1 | 50分・30問 | 45分・30問 |
科目A-2 | 40分・25問 | 35分・25問 |
科目B | 150分・4問中2問(記述式) | 120分・12問 |
出題範囲 | 現行シラバス | 科目Bでマネジメント分野を強化するなど一部変更 |
科目Bは、公開されたサンプル問題で「1問1答を8問、1問3答を4問」という構成が示されています(IPA 新試験制度のサンプル問題について)。サンプルは解答群から選ぶ形式の問題で、現行の記述式とは解き方が変わります。
もう1つの変化は、応用情報技術者試験と高度試験が「プロフェッショナルデジタルスキル試験」(仮称)に再編されることです。「応用情報→支援士」という受験ルートは、2027年度以降は区分名と中身が変わります。
科目A-2の免除制度は変更しない予定です。現行の免除要件を満たした人が一定期間、新制度でも一部科目を免除される経過措置も検討されています。いずれも検討段階の情報で、今後変わる可能性があります。
現行の記述式で準備を進めてきた人は、令和8年度の前期・後期のどちらかで受けきるほうが、教材の選び直しが少なく済みます。
登録と更新の仕組み
結論:登録時に19,700円、維持には3年でオンライン講習6万円+実践講習(IPA実施は8万円)がかかります。実務経験の認定を受ければ、実践講習は免除されます。
登録までの流れ
登録日は年2回、4月1日と10月1日です。申請の受付期限は、4月1日登録分が2月15日、10月1日登録分が8月15日(いずれも当日消印有効)です(IPA 新規登録を検討する方へ)。
合格証書を受け取る
登録申請書など6点の提出書類をそろえる
登録免許税(収入印紙)と登録手数料(銀行振込)を納付する
IPAへ郵送で申請する(次回の締切は2027年2月15日)
登録日付で登録され、後日、登録証が届く
申請方法と様式は登録セキスペ公式サイト(IPA)で更新されます。書類に不備があると次の登録日に回ることがあるため、最新の「登録の手引き」を確認してから準備してください。
登録時の費用
費目 | 金額 | 納付方法 |
|---|---|---|
登録免許税 | 9,000円 | 収入印紙を申請書に貼付 |
登録手数料 | 10,700円 | IPA指定口座へ振込 |
合計 | 19,700円 | ― |
金額はIPAのよくあるご質問に基づきます(2026年10月時点)。登録免許税の領収書はIPAでは発行されません。経費処理に備えて、収入印紙を買ったときの領収書と申請書の控えを保管しておくと安心です。
講習の種類と費用
登録セキスペには、登録日(更新日)から3年以内に講習4回を受ける義務があります。
講習 | 回数 | 費用 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
オンライン講習 | 1年に1回(3年で3回) | 1回2万円 | 法令・最新動向・倫理など |
実践講習(IPA実施) | 3年に1回 | 8万円(非課税) | グループ討議を中心とした演習(標準9〜10時間) |
実践講習(民間事業者) | 3年に1回(IPA実施と選択) | 講習ごとに異なる | 事業者が定める内容 |
IPAの実践講習は、登録1回目がA、更新1回目がB、更新2回目がCと、更新回数に応じてコースが分かれます(IPA 実践講習)。受講料は3年分の一括払いではなく、各講習を受けるときに支払います。
3年間でかかる費用の総額
IPAの講習を受ける場合の試算です。民間の実践講習を選ぶと、その差額だけ総額が変わります。
ケース | 登録費用 | オンライン講習 | 実践講習 | 3年間の合計 |
|---|---|---|---|---|
新規登録の最初の3年 | 19,700円 | 60,000円 | 80,000円 | 159,700円 |
更新後の3年(2サイクル目以降) | なし | 60,000円 | 80,000円 | 140,000円 |
実務経験の認定を受けた3年 | なし | 60,000円 | 不要 | 60,000円 |
1年あたりに直すと、通常は約4.7万円、実務経験の認定を受けると2万円です。フリーランスにとっては「資格を持ち続けるだけで年に数万円」という固定費になるため、案件の単価や受注機会でこれを回収できるかが判断の軸になります。
2026年4月からの「実務経験者に対する講習制度」
2026年4月に、日常の実務で実践講習と同等以上の力を身につけている人向けの制度ができました。IPAの認定を受けると、受講する講習がオンライン講習のみになります(IPA 実務経験者に対する講習制度)。
対象となる実務 | 認定基準 |
|---|---|
セキュリティ監査、脆弱性診断・ペネトレーションテスト、セキュリティ監視・運用など、ITSS+(セキュリティ領域)の7分野 | 従事期間6か月以上 |
デジタルプロダクト開発・運用など、担当業務にセキュリティが含まれる5分野 | 従事期間1年以上 |
中小企業向けのセキュリティマネジメント支援 | 支援者リストに掲載され、支援業務3件以上 |
実践講習の講師 | メイン講師として登壇2回以上 |
フリーランスに関係が深いのは証明者の扱いです。 会社員として担当した業務は社内の上長が、個人として受けた委託業務は顧客が実務経験を証明します。業務委託で参画しているなら、契約先の担当者に証明を依頼することになります。
実務経験は、登録日(更新日)から申請受付期間の終わりまでの2年3か月で数えます。2026年10月1日〜12月28日の受付は、2024年・2021年・2018年の10月1日に登録した人が対象です。
更新サイクルと失効
登録の有効期限は、登録日または更新日から3年
更新申請は、更新期限の60日前までに情報処理安全確保支援士ポータルサイトから行う
申請には、3年分の講習4回(認定者はオンライン講習3回)をすべて修了している必要がある
更新手数料はかからない
期限までに更新しないと、更新期限の翌日付で資格が失効する。試験の合格は有効なままで、再登録もできる
ミニFAQ:登録しないと試験合格は無効になる?
無効にはなりません。合格は生涯有効で、登録申請も後からできます。ただし名乗るには登録が必要です。案件で資格名を使う予定が立ってから登録すれば、使わない期間の維持費を抑えられます。
フリーランスエンジニアにとっての活用価値
結論:資格の有無だけで単価が決まるわけではありません。効くのは、セキュリティ要件の厳しい案件で「担当範囲を任せられる根拠」として示したときです。
案件獲得への影響
フリコンに掲載されているセキュリティエンジニア案件143件(2026年10月7日取得・募集終了分を含む)の案件名を、キーワードで数えると次のとおりです。1件が複数に該当する場合があります。
案件名に含まれる領域 | 件数 |
|---|---|
金融(銀行・証券・保険・カード) | 12件 |
SOC・監視・EDR | 12件 |
脆弱性診断・ペネトレーションテスト | 10件 |
CSIRT・インシデント対応 | 10件 |
クラウドセキュリティ(AWS・Azure等) | 8件 |
コンサル・ガバナンス・監査・リスク評価 | 6件 |
官公庁・公共 | 1件 |
フリコン掲載分を対象に、案件名ベースで数えた参考値です。要件欄までは集計しておらず、市場全体の需要構成を示すものではありません。また、少なくとも公開された案件名と一覧の概要文では、資格名の明記は確認できませんでした。面談や元請けの体制要件で資格を確認される場合はあります。
金融や重要インフラの案件では、参画者のスキルを顧客に説明する場面があります。そこで登録セキスペの肩書きは、知識水準を示す材料になります。一方、官公庁・公共の名を冠した案件は143件中1件でした。公共系は元請けの体制要件として資格を求める例がありますが、フリーランスが直接受ける公開案件は多くありません。公共系の商流は『官公庁・公共系のフリーランスエンジニア案件』で整理しています。
一般的なWeb・SaaS開発案件では、業務経験が優先される傾向です。資格は付加要素として見られることが多くなります。
単価への影響
以下は同じ143件の単価分布です。帯も平均も、各案件の募集単価レンジの上限値で集計した掲載単価で、成約単価ではありません。
募集単価(上限) | セキュリティエンジニア(143件) | 全掲載(65,534件) |
|---|---|---|
70万円未満 | 11件(7.7%) | 22.3% |
70万円以上〜90万円未満 | 61件(42.7%) | 52.7% |
90万円以上〜100万円未満 | 22件(15.4%) | 12.2% |
100万円以上 | 49件(34.3%) | 12.9% |
平均 | 92万円 | 80万円 |
セキュリティエンジニア案件は、上限100万円以上の比率が全掲載の約2.7倍です。募集中の69件に絞っても平均は93万円で、傾向は同じでした。ただし「全掲載」には職種・経験帯の異なる案件が広く含まれるため、セキュリティ職種の単価水準を大づかみに見るための参考値です。
この集計は職種で絞ったもので、資格の保有有無とは関係がありません。 単価には診断・設計・運用設計などの担当範囲や経験年数が反映されていると考えられます。支援士を取れば高単価帯に届く、という関係を示すものではありません。
最新の掲載状況はセキュリティエンジニアのフリーランス案件一覧で確認できます。職種全体の単価の見方は『セキュリティエンジニアのフリーランス単価相場』にまとめています。
自分の経験でどのくらいの単価を狙えるかは、無料のフリーランスエンジニア単価診断で市場単価の目安を確認できます。資格と実務をどう積むかは『フリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方』も参考になります。
評価されやすい案件カテゴリ
金融・保険系のセキュリティ要件レビュー、監査支援
重要インフラ事業者向けのセキュリティ運用(SOC・CSIRT)
脆弱性診断・ペネトレーションテスト(診断の実情は『ペネトレーションテスト案件の実情』)
ISMS・SOC2などの認証取得支援(『ISMS・SOC2取得支援案件』)
大手SIerのセキュリティコンサルティング
スタートアップのSaaS開発や受託Web制作では、資格より実装スキルや診断経験が優先される場面が目立ちます。資格が案件獲得にどう効くかの全体像は『フリーランスエンジニアの資格は案件獲得に効くのか』も参照してください。
取得を目指すべきエンジニア像
費用と学習時間に見合うかどうかは、キャリアの方向で決まります。
セキュリティ専門の業務委託を狙う人
監査支援・脆弱性診断・SOCなどの専門領域へ移りたい
金融・重要インフラの案件にステップアップしたい
セキュリティコンサルとして上流の担当範囲を広げたい
登録セキスペの肩書きが面談と契約条件の両方で効きやすい層です。本業がセキュリティ実務なら、前述の実務経験者制度で維持費を年2万円に抑えられる可能性もあります。
開発案件にセキュリティの役割を足したい人
開発案件にセキュリティレビューの役割を加えたい
顧客折衝や提案で、知識水準を示す材料がほしい
開発実務と組み合わせる前提で検討するのが現実的です。この層は、まず合格だけを取り、登録は資格名を使う案件が見えてから、という順番も選べます。
登録までは必須でない人
フロントエンド中心で、セキュリティ要件に踏み込まない案件が多い
海外案件が中心で、CISSPなど国際資格が要件になる
年4.7万円前後の維持費を回収できる見込みが立たない
この場合は、別の自己投資を優先する判断もあります。
学習方法と勉強時間の目安
結論:IPAは勉強時間の公式な目安を出していません。本記事では、過去問の演習量から見積もった実務上の目安として、応用情報合格済みで150〜250時間、応用情報なし・実務ありで250〜400時間を置きます。
推奨学習時間
受験者の前提 | 目安学習時間 |
|---|---|
応用情報合格・科目A-1免除あり | 150〜250時間 |
応用情報なし・セキュリティ実務あり | 250〜400時間 |
実務経験が浅い | 400時間以上 |
この時間は統計に基づく値ではなく、科目A-2の知識整理と科目Bの過去問演習(5年分以上)をこなす前提で見積もった本記事の想定です。実務領域と出題範囲の重なり具合で前後します。
教材
IPAの試験要綱・シラバス
過去問題(令和7年度までの紙の試験はIPA 過去問題で問題・解答例が公開されている)
市販テキスト(年度版で、CBT移行後の科目名に対応したもの)
ベンダー研修(実践寄りの内容に強い)
令和8年度のCBT試験は問題が非公開のため、今後は令和7年度までの過去問が演習の中心になります。2027年度の新制度で受ける場合は、新シラバスとサンプル問題で出題形式の差を確認してください。
学習スケジュール例(後期試験の科目Bを2027年3月に受ける場合)
2026年11月〜:科目A-2の知識領域をインプットし、用語を整理する
2026年12月〜:科目Bの過去問で解法パターンをつかむ
2027年1月:科目Bを年度別に演習する(最低5年分)。申込は1月27日から
2027年2月:科目A-1・A-2を受験(2月20日〜3月2日)。並行して科目Bの時間配分を詰める
2027年3月:苦手領域を復習し、科目B(3月16日〜28日)を受験
科目A群と科目B群は申込時に同時に予約します。科目Bの受験日を遅めに取ると、科目A受験後の演習期間を確保できます。
ミニFAQ:CBTになって勉強法は変わる?
出題形式と出題範囲は変わらないため、過去問中心の勉強法は基本的に有効です。変わるのは解答の書き方です。記述はキーボード入力になるため、手書きより速く書ける反面、字数を意識せずに長くなりがちです。演習でも文字数を数えながら書く練習をしておくと安心です。
ケース別の活用例
Webアプリ開発者がセキュリティ系へ広げる
既存スキル:脆弱性対策、認証・認可、セキュアコーディング
取得後の動き方:Webアプリ診断、開発兼セキュリティアドバイザリー
適した案件:金融系のWeb開発、脆弱性診断会社の業務委託、元請けの体制に入る公共系案件
開発実務の延長でセキュリティ視点を売れるため、案件の幅を広げる手段になりやすい組み合わせです。
クラウド・インフラ系から拡張する
既存スキル:IAM、ネットワーク、ログ監視、ゼロトラスト周辺
取得後の動き方:SOC運用、クラウドセキュリティ設計、ISMS構築支援
適した案件:AWS認定資格と組み合わせたクラウドセキュリティ案件
ゼロトラストやSASEの導入案件は、ネットワークとセキュリティの両方を求めることが多い領域です。基礎は『ゼロトラストとは』で整理しています。
既存案件にプラスする
すでに開発案件で稼働している
セキュリティレビューを兼務し、担当範囲を広げる
営業で「セキュリティ視点を持つエンジニア」として提示する
案件を切り替えずに肩書きを足せるパターンです。この場合も、担当範囲が広がったことを契約更新時の単価交渉材料にするのが現実的です。
よくある失敗と対策
合格後に登録の締切を逃す
登録日は年2回で、申請締切はその1か月半前です。前期試験の合格発表は2027年2月頃のため、4月1日登録の締切(2月15日)に間に合わない可能性があります。その場合は10月1日登録(締切8月15日)になります。案件で肩書きを使う時期から逆算して、申請時期を決めておきましょう。
講習の期限を忘れて失効しかける
オンライン講習は毎年、実践講習は3年以内に受ける必要があります。カレンダー登録だけでなく、会計ソフトに年2万円の講習費を予定として入れておくと、経費計上と期日管理を同時に回せます。
科目A対策に時間を使いすぎる
科目Bの記述で基準点を取り切れずに不合格になるケースは多いです。科目Bの過去問演習に十分な時間を割き、答案の書き方を体得しておきましょう。
2027年度の制度変更を見ずに長期計画を立てる
2027年度以降は、試験時間と科目Bの出題形式が変わる予定です。記述式の教材で1年以上かけて準備する計画は、令和8年度のうちに受けきる前提で組み直すのが安全です。
関連資格との比較・チェックリスト
関連資格との違い
資格 | 主な対象 | 維持の負担 | 評価される場面 |
|---|---|---|---|
情報処理安全確保支援士 | 国内のセキュリティ実務 | 3年で講習4回(オンライン6万円+実践講習) | 国内の金融・重要インフラ・監査支援 |
CISSP(ISC2) | グローバルのセキュリティ管理 | 3年ごとのCPE取得+年会費 | 外資系・グローバル案件 |
CompTIA Security+ | 入門〜実務基礎 | 3年ごとのCE(継続教育) | グローバルで広く認知 |
CISA(ISACA) | 情報システム監査 | 年次CPE+年会費 | 監査・コンサル |
情報セキュリティマネジメント試験 | セキュリティ管理の基礎(レベル2) | なし | 支援士への足場 |
海外案件の比率が高いならCISSP、国内案件が中心なら情報処理安全確保支援士を優先する、という選び方が現実的です。各資格の難易度と案件での評価は『セキュリティ資格おすすめ|支援士・CISSP・CEHの難易度と案件影響』で比較しています。入門のレベル2試験は『情報セキュリティマネジメント試験』を参照してください。
セキュリティ案件は規模が大きくなるほどPM要素が増えます。管理側に伸ばしたい場合はPMP資格との組み合わせも候補です。
取得すべきかの判断フロー
国内案件が中心か? → Yes:候補に残す/No:CISSPなどを優先検討
セキュリティ専門の案件で稼働したいか? → Yes:優先度高/No:合格だけ取り、登録は後で判断
年4.7万円前後(実務経験の認定を受ければ年2万円)の維持費を、単価や受注機会で回収できそうか? → Yes:登録まで進む/No:合格のみで止める
応用情報技術者は取得済みか? → No:応用情報を先に取り、科目A-1免除を狙う
令和8年度のうちに受けきれるか? → No:2027年度の新制度の出題形式を確認してから教材を選ぶ
上から順に判定すると、「受けるか」と「登録するか」を分けて決められます。資格試験全体の順番は『情報処理技術者試験の順番と選び方』でも整理しています。
まとめ
情報処理安全確保支援士は、合格率20%前後の国家試験に合格し、登録してはじめて名乗れるセキュリティの名称独占資格です。フリーランスなら「受けるか」と「登録を維持するか」を分けて判断すると、費用対効果が見えやすくなります。
試験は令和8年度からCBT。科目A-1・A-2・Bすべて60点以上で合格。合格率は直近6回で15.1〜22.3%
前期試験の申込は2026年10月24日17時まで。後期は2027年1月27日〜2月27日
登録に19,700円、維持にIPAの講習なら3年で14万円。実務経験の認定を受ければ6万円
合格者のうち、2026年4月時点で登録しているのは各回33〜40%
フリコン掲載のセキュリティエンジニア案件は上限100万円以上が34.3%。ただし資格ではなく担当範囲の差が反映された数字
2027年度に試験時間と科目Bの出題形式が変わる予定。記述式で準備中なら令和8年度で受けきる
次のステップとして、初学者〜中級者で応用情報が未取得なら、まず応用情報から着手して科目A-1免除を狙う進め方が取り組みやすいです。応用情報を持っているなら、科目Bの演習量で合否が決まります。フリコンに登録しておくと、セキュリティ専門案件の公開状況を継続的に確認でき、資格を取ったあとの案件選びに役立ちます。
金額・日程・講習制度は改定されることがあるため、申込や登録の前に公式サイトで最新情報を確認してください。
参考情報
よくある質問
受験料はいくらですか?
受験手数料は7,500円で、情報処理安全確保支援士試験は非課税です。前期・後期それぞれ1回ずつ申し込めます。
前期試験と後期試験は両方受けられますか?
受けられます。申込の制限は「前期・後期それぞれで1回のみ、1区分のみ」です。前期で不合格だった場合、後期に再挑戦できます。科目A-1の免除は、前期の科目A-1を通過していれば後期で使えます。
合格までにどれくらいの期間がかかりますか?
個人差が大きく、実務経験と科目Bの演習量で変わります。応用情報合格済みで150〜250時間という本記事の目安なら、1日2時間で3〜4か月程度です。科目A-1免除の有効期間内に合格を狙う進め方が現実的です。
維持費を抑える方法はありますか?
2026年4月に始まった実務経験者向けの講習制度で、IPAの認定を受けると実践講習が不要になり、3年の講習費はオンライン講習の6万円だけになります。セキュリティ実務6か月以上などの基準があり、業務委託の場合は顧客の証明が必要です。
講習費や登録費用は経費にできますか?
業務との関連性が認められる場合は、必要経費として扱える可能性があります。判断は事業との関連性や記帳の状況で変わります。領収書を保管し、独立前後など扱いが分かれやすい時期の支出は、最終判断を税理士に確認してください。登録免許税の領収書はIPAが発行しないため、収入印紙の購入時の領収書が必要です。経費の考え方は『フリーランスエンジニアが経費にできるもの一覧』で整理しています。
「情報処理安全確保支援士」と「セキュリティエンジニア」はどう違いますか?
情報処理安全確保支援士は資格名、セキュリティエンジニアは職種名です。資格は知識の認定、職種は担当する業務範囲を表します。案件では両方が別々に見られるため、資格と実務経験をセットで示すのが基本です。
監視や分析の実務だけでも評価されますか?
評価されます。SOCでのアラート分析やログ調査の経験は、資格がなくても案件で評価される実務です。仕事内容は『セキュリティアナリストとは』で解説しています。支援士は、その実務に体系的な知識の裏付けを加える位置づけです。
名刺やスキルシートに書けるのはいつからですか?
登録日を迎え、登録を維持している間だけ「情報処理安全確保支援士」と書けます。合格のみなら「情報処理安全確保支援士試験 合格」と書き分けます。失効後に資格名を使うと罰則の対象になります。
CISSPと両方持つ意味はありますか?
国内と海外の両方の案件に応募したい場合や、コンサル・PM領域へ広げたい場合は意味があります。ただし維持費と継続教育の負担が二重になるため、3年分の費用を事前に試算しておきましょう。
取得後の単価アップは確実ですか?
確実ではありません。案件単価は職種・担当範囲・経験の組み合わせで決まり、資格は交渉の裏付け材料の1つです。実務の実績と組み合わせて示すのが現実的です。
2027年度の新制度を待ってから受けたほうがよいですか?
すでに現行の記述式で学習しているなら、令和8年度の前期か後期で受けきるほうが無駄がありません。これから学習を始めて令和8年度後期に間に合わない場合は、新シラバスとサンプル問題を確認してから教材を選ぶのが安全です。
試験会場にメモ用紙は持ち込めますか?
持ち込みはできません。代わりに、入室時にメモ用紙1枚と筆記用具が配布されます(2026年9月17日発表・前期後期共通)。メモ用紙は試験後に回収され、持ち出しや撮影は失格の対象です。
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