フリーランスの配偶者控除・扶養|入る/入れるの判断と手続き【令和8年分】
最終更新日:2026/08/10
配偶者控除とは、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、生計を一にする配偶者の合計所得金額が58万円以下(令和7年分改正)のときに使える所得控除です。フリーランスは事業所得の計算過程が特殊で「収入」と「所得」を取り違えやすく、配偶者を扶養に入れる・自分が扶養に入る双方で判定を誤りがち。制度の骨格と手続きを整理します。
先に結論
令和7年分から配偶者の合計所得金額の上限が48万円→58万円に引き上げられました。給与のみなら年収123万円以下が目安です
税法上の扶養(配偶者控除)と社会保険の扶養(130万円)は別制度。同じ「扶養」でも金額基準・判定タイミングが違います
フリーランス側の事業所得は「総収入−必要経費」から青色申告特別控除を差し引いた後の金額で判定されます。合計所得金額の計算・青色特別控除の適用要件は国税庁の定義に沿って必ず確認してください
納税者本人の合計所得が1,000万円超だと配偶者控除は使えません。900万円・950万円のラインで控除額が段階的に減ります
配偶者に青色事業専従者給与を支払っている、または白色の事業専従者に該当する場合は配偶者控除の対象外です
この記事でわかること
配偶者控除・配偶者特別控除の令和7年分改正の要点(合計所得58万円化・給与123万円化)
自分がフリーランスで配偶者を扶養に入れる場合の判定手順
自分がフリーランスで配偶者の年末調整や配偶者側の申告に入る場合の実務
事業所得の計算式と青色申告特別控除との関係
確定申告書での書き方と、よくある失敗パターン
目次
配偶者控除と配偶者特別控除の基本【令和7年分改正】
税法上の扶養と社会保険上の扶養は別制度
自分がフリーランスで配偶者を扶養に入れる場合
自分がフリーランスで配偶者の控除対象になる場合
配偶者控除・配偶者特別控除の控除額早見表
確定申告書での書き方
よくある失敗と対策
判断フローチャート
まとめ
よくある質問
配偶者控除と配偶者特別控除の基本【令和7年分改正】
結論:配偶者控除は要件を満たす配偶者がいる納税者に一律の控除額、配偶者特別控除は配偶者の所得に応じて逓減する控除です。令和7年12月1日施行の改正で、配偶者の合計所得金額の上限が48万円から58万円に引き上げられました。給与収入換算では103万円が123万円に上がっています。
配偶者控除の要件
配偶者控除の対象となるのは、その年の12月31日時点で次のすべてに当てはまる配偶者です。
民法上の配偶者であること(内縁・事実婚は対象外)
納税者と生計を一にしていること
年間の合計所得金額が58万円以下(給与のみなら123万円以下)
青色申告者の事業専従者として給与を受けていない、または白色の事業専従者でないこと
納税者本人にも要件があります。本人の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件で、超えると控除は受けられません。
一次情報は国税庁のNo.1191 配偶者控除を確認してください。
配偶者特別控除の要件
配偶者の合計所得金額が58万円を超えて配偶者控除が受けられない場合でも、配偶者の所得が58万円超133万円以下なら配偶者特別控除の対象になり得ます。
こちらも納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であることが必要で、控除額は納税者と配偶者双方の所得区分で細かく決まります。詳しくはNo.1195 配偶者特別控除で確認できます。
令和7年分改正で変わったポイント
令和7年12月1日施行の税制改正で、次の基準が引き上げられました。適用は令和7年分以降で、令和8年分にも継続して適用されます。
項目 | 改正前(令和6年分以前) | 改正後(令和7年分以降) |
|---|---|---|
配偶者の合計所得金額の上限(配偶者控除) | 48万円以下 | 58万円以下 |
配偶者の給与収入換算 | 103万円以下 | 123万円以下 |
配偶者特別控除の適用範囲(配偶者の所得) | 48万円超133万円以下 | 58万円超133万円以下 |
基礎控除の額 | 48万円 | 58万円(原則) |
基礎控除の改正は所得区分ごとに複雑な段階制になっています。基礎控除側の詳細は既存記事の基礎控除 改正 2026|フリーランスの手取りが変わる年収ラインと確定申告実務で整理しています。
ミニFAQ
Q. 「103万円の壁」はもう気にしなくていい?
配偶者控除だけで見れば、給与収入の上限が令和7年分から123万円に上がったため「103万円の壁」の意味は変わっています。ただし社会保険の扶養(原則130万円)や、勤務先の家族手当基準は別に残るため、勤務先の規程を確認してください。
Q. 令和6年分(2024年分)の申告にはこの新基準は使える?
使えません。改正は令和7年分(2025年分)以降の適用です。令和6年分までは配偶者の合計所得48万円以下が上限のままです。
税法上の扶養と社会保険上の扶養は別制度
結論:どちらも「扶養」と呼ばれますが、根拠法令・金額基準・判定タイミングが全く違います。フリーランス周りで最も誤解が多いポイントです。
税法上の扶養は所得税・住民税の話で、その年(1〜12月)の合計所得金額で判定します。一方、社会保険上の扶養(被扶養者)は健康保険・厚生年金の話で、今後の年間見込み収入で判定するのが原則です。年途中で見込みが変われば都度見直します。ただし個人事業・業務委託収入の扱いは保険者ごとの差が大きいため、加入先の健保へ事前確認が必要です。
項目 | 税法上の扶養(配偶者控除等) | 社会保険上の扶養(被扶養者) |
|---|---|---|
根拠法令 | 所得税法・地方税法 | 健康保険法・厚生年金保険法 |
判定単位 | 年間(1〜12月)の合計所得金額 | 今後の年間見込み収入 |
主な基準(配偶者) | 合計所得58万円以下(令和7年分改正) | 年間収入130万円未満(原則) |
フリーランスの「収入」の見方 | 総収入から必要経費を引いた「所得」で判定 | 保険者ごとに運用差があり、必要経費の扱いも一律ではない |
手続きの主体 | 年末調整または確定申告 | 勤務先経由の届出 |
社会保険上の扶養は保険者(協会けんぽ・健康保険組合など)ごとに運用が異なり、フリーランスの収入をどう見るかは保険者次第です。健康保険側の扶養についてはフリーランスエンジニアの健康保険の選び方、副業を含めた社会保険の扶養判定は副業の社会保険はいくらから|会社員エンジニアの加入ラインで解説しています。
ミニFAQ
Q. 税法上は扶養から外れたが、社会保険は入ったままにできる?
それぞれ別判定なので、税法上の配偶者控除の対象から外れても、社会保険の被扶養者要件を満たしていれば健康保険の扶養に残れます。逆もあります。
自分がフリーランスで配偶者を扶養に入れる場合
結論:自分(納税者本人)の合計所得が1,000万円以下、配偶者の合計所得が58万円以下(令和7年分以降)であれば配偶者控除の対象です。配偶者の所得タイプ(給与か事業か)で判定の見方が変わります。
判定の3ステップ
判定は次の順で確認するとミスが減ります。
自分の合計所得金額が1,000万円以下かを確認する
配偶者の合計所得金額を「所得タイプ別」に計算する
配偶者控除(58万円以下)か配偶者特別控除(58万円超133万円以下)かを判定する
自分側の合計所得は、事業所得(青色申告なら青色申告特別控除の適用後)と、他の所得(不動産・給与・雑・株式譲渡等)を合算した金額です。事業所得の判定方法は青色申告特別控除の要件を含めて誤解しやすい領域のため、最終確認は国税庁の定義または税理士への相談を推奨します。
配偶者がパート・アルバイト(給与所得のみ)の場合
給与のみなら給与収入123万円以下で合計所得58万円以下になり、配偶者控除の対象です(給与所得控除の最低額が令和7年分改正で55万円→65万円に引き上げられ、123万円−65万円=58万円のため)。
給与収入ベースでは、配偶者特別控除の対象は一定範囲まで続きます。正確な境目は次章の早見表または国税庁資料で確認してください。
配偶者がフリーランス・個人事業主の場合
配偶者側の事業所得は、簡略化すると次の順で計算されます。
総収入−必要経費(事業所得の計算段階)
青色申告者は上記からさらに青色申告特別控除を差し引き、事業所得の金額を確定する
たとえば配偶者の年間売上が180万円、必要経費が80万円、青色申告特別控除が65万円なら、事業所得は180−80−65=35万円で、配偶者控除の対象(58万円以下)となる目安です。売上が高くても経費と青色特別控除で圧縮できる余地があります。実際の判定は国税庁の定義・申告書上の所得区分で確認してください。
副業・複業がある場合はさらに雑所得等を合算した金額で判定します。
配偶者が会社員+副業をしている場合
配偶者に給与所得と雑所得(副業)がある場合、両方の所得を合算した合計所得で判定します。給与所得控除後の給与所得と、副業の雑所得(総収入−経費)を足した金額が58万円以下になっているかを確認してください。
ミニFAQ
Q. 配偶者の年間の稼働状況が読めない。どのタイミングで最終判定する?
最終判定はその年の12月31日時点で確定します。年途中の見込みが変動しても、確定申告時に1〜12月の実績で判定し直す形が原則です。
自分がフリーランスで配偶者の控除対象になる場合
結論:配偶者側(納税者)の合計所得が1,000万円以下、自分(フリーランス)の合計所得が58万円以下なら、配偶者側の年末調整または確定申告で配偶者控除を受けてもらえます。事業所得の計算式と青色特別控除の順序を間違えないことが最重要ポイントです。
事業所得の計算式を厳密に
自分側の合計所得は次の順で計算します。
事業収入(総売上)を確定する
必要経費を差し引く
青色申告特別控除(65万円/55万円/10万円のいずれか)を差し引く
その他の所得(雑所得・給与所得等)があれば合算する
売上が仮に180万円、必要経費が60万円、青色特別控除が65万円なら、事業所得は180−60−65=55万円と計算され、合計所得58万円以下となる目安です。青色特別控除を引く前(180−60=120万円)で判定してしまうと、本来対象になる人まで外す可能性があります。実際の判定は国税庁の定義・申告書上の所得区分で確認してください。
青色申告特別控除65万円の要件
65万円控除には次の要件が必要です。複式簿記での記帳とe-Taxによる電子申告(または優良な電子帳簿保存)などが揃わないと55万円または10万円に下がります。
適用要件の全体像は国税庁のNo.2072 青色申告特別控除で確認してください。要件を1つでも欠くと合計所得の金額が変わり、配偶者控除の可否まで動くため、記帳の質と申告方法まで含めて設計します。
年途中に独立した場合の判定
会社員から年途中で独立した場合、その年の合計所得は「独立前の給与所得(給与所得控除後)+独立後の事業所得(総収入−経費−青色特別控除)」の合計になります。
給与収入が5〜6月まで発生しているケースでは、たとえ独立後の事業所得が赤字でも給与所得分で合計所得が58万円を超えることが多く、独立初年度は配偶者控除の対象外になりがちです。
単価と手取りへの影響
配偶者控除の適用可否は、配偶者側の所得税・住民税の負担額を左右します。フリーランス側の稼働配分を検討する材料になるため、自分の市場単価も併せて把握しておくと判断材料が増えます。
自分がどのくらいの単価を狙えるか気になる方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で現在の市場単価の目安を確認できます。年収から手取りへの落とし込みはフリーランスエンジニアの税金シミュレーションや月単価別 手取り早見表も参考にしてください。
配偶者控除・配偶者特別控除の控除額早見表
結論:控除額は納税者本人の合計所得金額(3区分)と、配偶者の合計所得金額(配偶者特別控除は逓減)の組み合わせで決まります。ここに掲載する早見表は令和7年分以降の金額です。
配偶者控除の控除額
納税者本人の合計所得金額 | 一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者(70歳以上) |
|---|---|---|
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
1,000万円超 | 適用なし | 適用なし |
老人控除対象配偶者はその年の12月31日時点で満70歳以上の配偶者が対象です。
配偶者特別控除の控除額(抜粋)
配偶者の合計所得金額に応じて逓減します。以下は主要区分のみで、詳細は国税庁のNo.1195で確認してください。
配偶者の合計所得金額 | 納税者900万円以下 | 900万円超950万円以下 | 950万円超1,000万円以下 |
|---|---|---|---|
58万円超95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
100万円超105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
105万円超110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
110万円超115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
115万円超120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
120万円超125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
125万円超130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
130万円超133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
配偶者特別控除は、配偶者の所得58万円超95万円以下までは満額の38万円(納税者900万円以下)が受けられ、そこから徐々に減っていきます。「58万円のライン」を少し超えても急に控除がゼロになるわけではない設計です。
ミニFAQ
Q. 配偶者が130万円を超えたら控除は完全にゼロ?
133万円までは配偶者特別控除の対象で残ります(3万円〜1万円)。133万円を超えると税法上は完全にゼロですが、社会保険の扶養(130万円)はそれとは別基準です。
確定申告書での書き方
結論:フリーランスが自分の申告書で配偶者控除を書く場合は、確定申告書第一表の「配偶者(特別)控除」欄と、第二表の「配偶者や親族に関する事項」欄の両方に記載します。マイナンバーの記載も必須です。
記載箇所
第一表:「所得から差し引かれる金額」の中の「配偶者(特別)控除」欄に金額を記入
第二表:「配偶者や親族に関する事項」欄に配偶者に関する必要事項を記載
e-Tax:入力画面のガイドに沿って進めれば計算式は自動処理されます
申告書の作成画面・様式に従って、本人および配偶者に関する必要事項を記載します。配偶者側が会社員で年末調整を受ける場合は、勤務先に「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出します。フリーランス側は自分の確定申告書で処理する形が基本です。
必要書類
通常、配偶者控除だけのために追加で添付する書類は多くありませんが、国外居住配偶者など例外では確認書類(親族関係書類・送金関係書類等)が必要です。合計所得金額の判定根拠となる帳簿・源泉徴収票・請求書・領収書・支払記録などは自分の申告書類として保存しておきます。青色申告なら決算書もセットで作成します。
年間の申告スケジュール
確定申告の期限は原則として翌年2月16日から3月15日です。3月15日が土日祝に当たる年は翌営業日にずれます。全体の税金・保険料の月別スケジュールはフリーランスエンジニアの税金・保険料カレンダーで確認できます。
よくある失敗と対策
結論:フリーランスの配偶者控除で失敗しやすいのは、①合計所得の計算順、②青色事業専従者給与を払っているケース、③社会保険の扶養との混同の3つです。
失敗1:青色特別控除を引く前で判定してしまう
事業所得の計算は「総収入−必要経費−青色申告特別控除」の順で、この控除後の金額が合計所得金額です。青色特別控除を引く前の数字(総収入−経費)で「所得60万円だから対象外」と判断してしまうと、本来は58万円以下になっているのに見送るケースが生まれます。
対策:確定申告書の作成過程で、決算書の数値だけでなく、他の所得も含めた合計所得金額で最終確認してください。青色決算書の事業所得の金額は第一表の該当欄に転記されます。
失敗2:配偶者に青色事業専従者給与を払っている
配偶者に青色事業専従者給与を1円でも支給していると、その配偶者は配偶者控除・配偶者特別控除の対象外になります。給与を払った上で配偶者控除も受けることはできません。
対策:専従者給与を出すか、配偶者控除を取るかは事前にシミュレーションが必要です。給与額の水準や配偶者の他の所得によって、どちらが節税効果が大きいかは変わります。年間トータルで比較してから決定してください。
失敗3:社会保険の130万円基準と混同する
税法上の配偶者控除は令和7年分から給与123万円以下ですが、社会保険の扶養は原則として今後の年間見込み収入130万円未満です。「130万円を超えなければどちらも大丈夫」という理解は今後は成り立ちません。
対策:年間の給与収入が123万円と130万円の間に入る場合、税法上は配偶者控除の対象外だが社会保険の扶養には残れる、というねじれが起きます。それぞれ別に判定してください。
失敗4:内縁・事実婚を配偶者控除の対象にしてしまう
配偶者控除の対象になる「配偶者」は民法上の婚姻関係にある人です。事実婚・内縁関係は税法上の配偶者控除の対象外で、これは令和7年分改正後も変わりません。
対策:住民票の続柄が「妻(未届)」等になっているケースは対象外です。健康保険の被扶養者としては認められる場合があるため、税と社会保険で扱いが分かれます。
失敗5:年途中の独立で控除の見積もりを外す
会社員から年途中で独立したとき、独立前の給与所得と独立後の事業所得を合算して合計所得を計算します。独立後の事業所得が赤字でも、独立前の給与所得が積み上がっていれば合計所得は58万円を超えることが多く、独立初年度は配偶者控除の対象から外れがちです。
対策:独立年は「合計所得=給与所得(給与収入−給与所得控除)+事業所得」で見積もる習慣をつけてください。翌年以降は事業所得のみでの判定になります。独立2年目以降の税金・住民税の動きは独立2年目の税金ショックにまとめています。
判断フローチャート
結論:以下の順に確認していくと、配偶者控除・配偶者特別控除の適用可否を短時間で判定できます。
配偶者は民法上の配偶者か?(内縁・事実婚は対象外)
生計を一にしているか?(別居でも仕送り等で維持していればOK)
配偶者に青色事業専従者給与を支払っていない、または白色の事業専従者でないか?
自分(納税者本人)の合計所得金額は1,000万円以下か?
配偶者の合計所得金額は58万円以下か?(令和7年分以降)
- 58万円以下 → 配偶者控除の対象
- 58万円超133万円以下 → 配偶者特別控除の対象
- 133万円超 → 税法上は対象外(社会保険の扶養は別判定)
自分と配偶者の所得区分から、早見表で控除額を確定する
このフローで「対象」と判定できたら、確定申告書または配偶者側の年末調整書類に必要事項を記入します。
まとめ
フリーランスの配偶者控除・扶養判定は、①令和7年分改正で配偶者の合計所得上限が58万円(給与123万円)に上がったこと、②税法上と社会保険上の扶養が別制度であること、③フリーランスの合計所得は青色申告特別控除を引いた後の金額で判定すること、この3点が実務の核です。
判定は「その年の12月31日時点」で確定します。年途中の見込みブレは確定申告で修正します
配偶者に青色事業専従者給与を支払っている場合は対象外です
納税者本人の合計所得が1,000万円超だと配偶者控除は使えません
配偶者特別控除は58万円超133万円以下の範囲で逓減しながら残ります
単価・稼働の設計は税と社会保険を両にらみで組み立てるのが安全です
参照した一次情報は次のとおりです。
税制の適用や個別事情の判断が難しいときは、税理士に相談してください。特に青色事業専従者給与と配偶者控除の選択、年途中の独立、海外案件の扱いは個別最適の余地が大きい領域です。
よくある質問
Q1. 配偶者もフリーランスで、青色特別控除65万円を使えば所得を58万円以下にできます。この場合、配偶者控除は使えますか?
使えます。事業所得は「総収入−必要経費−青色申告特別控除」で計算した金額が合計所得金額に反映されるため、青色特別控除65万円を差し引いた後で58万円以下になっていれば配偶者控除の対象です。ただし65万円控除は複式簿記記帳+e-Tax申告等の要件を満たしている必要があるため、要件を欠くと55万円または10万円に下がり判定結果も変わります。
Q2. 事実婚のパートナーは配偶者控除の対象になりますか?
なりません。税法上の配偶者控除は民法上の婚姻関係にある配偶者が対象で、事実婚・内縁関係は含まれません。この点は令和7年分改正後も変わりません。ただし健康保険の被扶養者としては、保険者の運用によって認められる場合があります。
Q3. 妻が扶養から外れると自分(フリーランス)の住民税はどう変わりますか?
配偶者控除が受けられなくなると、所得税と住民税の課税所得が増えます。所得税と住民税では控除額が異なるため、住民税分の増加額は一律ではなく、自治体の課税ベースで別途試算する必要があります。所得税は累進課税で税率次第、住民税は所得割の原則税率が10%です。配偶者特別控除の対象範囲内であれば控除は逓減しながら残ります。
Q4. 配偶者が海外在住の場合はどうなりますか?
一定の要件(国外居住親族に係る扶養控除等の適用要件)を満たせば対象になりますが、送金関係書類・親族関係書類の提出が必要です。生計を一にしていることの証明が実務上のポイントで、単に扶養手当を書類上支給しているだけでは不十分な場合があります。国税庁のNo.1191を参照するか、税理士に確認してください。
Q5. 特定親族特別控除は配偶者にも使えますか?
使えません。令和7年分から新設された特定親族特別控除は19歳以上23歳未満の親族が対象で、配偶者は対象外です。配偶者は引き続き配偶者控除・配偶者特別控除で判定します。
Q6. 年の途中で配偶者が退職・独立した場合、判定タイミングはいつですか?
最終判定はその年の12月31日時点の状況と、1〜12月の合計所得金額で行います。年途中で予測が変わった場合、翌年の確定申告時に実績値で判定し直せば足ります。年途中に会社に提出する扶養控除等申告書は見込みベースで書きますが、確定した金額と乖離があれば申告時に修正されます。
Q7. 配偶者控除の申請を忘れて確定申告してしまいました。どうすればいいですか?
更正の請求という手続きで還付を受けられる可能性があります。原則として法定申告期限から5年以内なら請求可能です。税務署または税理士に相談し、必要書類を揃えて提出してください。青色事業専従者給与を配偶者に払っていたケースなど、そもそも対象外だった場合は還付されないため、まず要件を再確認してから請求します。
Q8. 配偶者が失業給付を受けています。合計所得金額に含めますか?
雇用保険の失業給付(基本手当)は非課税所得のため、税法上の合計所得金額には含めません。ただし社会保険の扶養では、失業給付の日額が3,612円以上(原則)だと扶養から外れることがあります。税と社会保険で扱いが違う代表例です。
Q9. 配偶者特別控除は自分(納税者)の年末調整でも申請できますか?
はい、給与所得者の場合は「給与所得者の配偶者控除等申告書」を勤務先に提出することで年末調整に反映できます。ただしフリーランス(給与所得なし)の場合は自分の確定申告書で処理します。フリーランスに勤務先はないため年末調整は自分では受けられません。
Q10. 配偶者に払った青色事業専従者給与を今年から止めたい。すぐに配偶者控除に切り替えられますか?
その年のどこかで青色事業専従者給与を支給していた場合、その年は配偶者控除の対象外です。翌年から給与を支払わずに、生計を一にする配偶者として要件を満たすなら、翌年分から配偶者控除に戻れます。「青色事業専従者に該当しないこと」および「青色事業専従者給与の支払いを受けていないこと」が要件のため、支給の有無で切り替わります。
Q11. iDeCoやふるさと納税で自分の所得を下げれば配偶者控除の1,000万円ラインに入れますか?
入れる場合があります。iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)は所得控除ですが、配偶者控除の判定は合計所得金額(各種所得控除を引く前の金額)で行います。iDeCoは合計所得金額を下げないため、この用途では効きません。一方、事業所得の必要経費や青色申告特別控除は事業所得の計算段階で反映されるため、合計所得金額を下げる効果があります。判定基準が「合計所得金額」か「課税所得金額」かを都度確認してください。
Q12. 住民税の配偶者控除も所得税と同じ58万円基準ですか?
住民税でも配偶者の合計所得金額の判定は所得税と同じ基準に揃っていますが、控除額は住民税独自の金額(配偶者控除33万円等)が適用されます。所得税と住民税で控除額が違うため、実際の税額差は所得税と住民税で別々に確認してください。
Q13. 配偶者が外貨で収入を得ています。円換算はどう扱いますか?
外貨収入の円換算方法は取引時点の考え方や継続適用が関わるため、実務上は税理士確認を推奨します。海外案件の税務全般は海外案件の税金|フリーランスエンジニアの外貨受取・二重課税・消費税で扱っています。

