月単価別 手取り早見表|40〜150万でわかるフリーランスエンジニアの手残り
最終更新日:2026/07/24
月単価別の手取り早見表とは、案件単価から社会保険料・税金・経費を引いた月ベースの手残りを一覧化した表です。年収シミュレーションでは掴みにくい「この単価で暮らせるか」「単価+10万で手取りはいくら増えるか」を即座に判断でき、単価交渉や案件選定に使えます。経費率や自治体差、家族構成の変化まで含めて整理しました。
先に結論
月単価60万円(税抜)で年間手取り約493万円、月換算約41万円が目安
月単価100万円で年間手取り約798万円、月換算約66万円が目安
単価を月+10万上げると手取りは月+6〜7万円、上振れするほど税率が上がり伸びは鈍る
独身・扶養なし・東京23区・40歳未満の概算では、会社員額面600万円の可処分所得と釣り合うのは月単価65〜70万円あたりが1つの目安
詳しい計算プロセスはフリーランスエンジニアの手取りはどれくらい?、年収別の税額詳細は税金シミュレーションを参照
※上記の手取り数値は「東京23区・独身・扶養なし・40歳未満・経費率20%・青色申告65万円控除・2割特例適用」の概算です。前提が異なれば実額は変動します。
この記事でわかること
月単価40万円〜150万円の手取り早見表(年間・月換算)
手取りを動かす5つの変数(経費率・自治体・扶養・年齢・課税区分)
単価アップで手取りがいくら伸びるかの逆算
会社員時代の額面年収との等価換算
目次
月単価別 手取り早見表【8段階・2026年版】
手取りを動かす5つの変数
経費率別の手取り一覧|10%と30%でどこまで差がつくか
単価アップで手取りはいくら増える?逆算表
会社員年収との等価換算|額面ではなく手取りで比べる
ケース別の実額|家族構成と年代で手取りはどう変わる
手取りを増やす4つのレバー
まとめ
よくある質問
月単価別 手取り早見表【8段階・2026年版】
結論:月単価40万円で年間手取り約342万円、月単価150万円で年間手取り約1,097万円が目安です。単価が上がるほど税負担率が高くなり、手取り率は下がっていきます。高単価帯は法人化・控除設計で差が開きやすいため、個別試算をおすすめします。
早見表の前提条件
以下の条件で概算した目安です。実際の手取りは自治体・家族構成・経費計上額で数十万円単位で変わります。
単価は税抜表記(受注時の請求は消費税10%が別途上乗せ)
独身・扶養家族なし
40歳未満(介護保険第2号被保険者に該当しない)
東京23区在住(2026年度の国民健康保険料率を目安に概算)
経費率20%(PC・書籍・通信費・自宅按分など)
青色申告65万円控除を適用(複式簿記+e-Tax)
課税事業者としてインボイス登録済み、2割特例で消費税を納税
個人事業税は290万円控除後を目安に計上(請負業に該当する場合5%)
基準時点の内訳:所得税・住民税は2026年時点で確認できる制度に基づく概算、国民健康保険は2026年度の東京23区水準、国民年金は2026年度の月額基準、消費税は「2割特例の適用要件を満たす場合」を前提としています。適用外の場合は手取りが変わります。制度は年度で改定されるため、詳細は必ず最新の一次情報を確認してください。
個人事業税の扱いに関する留保:エンジニア業務は都道府県・業務内容・契約形態により非課税扱いとなる場合もあり、ここでは請負業と判定されて課税されるケースを置いた概算です。実際の判定は自治体窓口・税理士へ確認してください。
2割特例の留保:本記事は「2割特例の適用要件を満たす場合」の早見表として作成しています。2割特例は、インボイス制度開始に伴って免税事業者から課税事業者になった事業者など、一定の要件を満たす場合に限られる制度です。2026年時点でも一律適用ではないため、自分の登録時期・課税期間で対象かは必ず国税庁の最新案内で確認してください。適用外の場合は消費税納税額が変わり、手取りも変動します。詳細はインボイス2割特例を参照してください。
算出ロジック:年間手取り = 年間売上 − 経費 − (国保+国民年金) − (所得税+住民税+事業税) − 消費税(2割特例)
基準時点の追加注記:本表は、2026年7月時点で確認できる2026年度の国民健康保険料・国民年金額、および2026年分の税制を前提にした概算です。
早見表:月単価40万〜150万円
月単価(税抜) | 年間売上(税抜) | 経費(20%) | 青色控除 | 国保+国民年金 | 所得税+住民税+事業税 | 消費税(2割特例) | 年手取 | 月手取 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
40万円 | 480万円 | 96万円 | 319万円 | 約56万円 | 約32万円 | 約10万円 | 約342万円 | 約28.5万円 |
50万円 | 600万円 | 120万円 | 415万円 | 約66万円 | 約51万円 | 約12万円 | 約411万円 | 約34.3万円 |
60万円 | 720万円 | 144万円 | 511万円 | 約76万円 | 約72万円 | 約14万円 | 約493万円 | 約41.1万円 |
70万円 | 840万円 | 168万円 | 607万円 | 約84万円 | 約100万円 | 約17万円 | 約571万円 | 約47.6万円 |
80万円 | 960万円 | 192万円 | 703万円 | 約91万円 | 約130万円 | 約19万円 | 約647万円 | 約53.9万円 |
100万円 | 1,200万円 | 240万円 | 895万円 | 約99万円 | 約199万円 | 約24万円 | 約798万円 | 約66.5万円 |
120万円 | 1,440万円 | 288万円 | 1,087万円 | 約104万円 | 約277万円 | 約29万円 | 約942万円 | 約78.5万円 |
150万円 | 1,800万円 | 360万円 | 1,375万円 | 約109万円 | 約398万円 | 約36万円 | 約1,097万円 | 約91.4万円 |
手取り率は月単価40万円で約71%、月単価150万円で約61%と、単価が上がるほど下がります。累進課税と国保上限到達のバランスで、月単価60〜80万円帯は手取り率が極端に落ちにくい目安の帯に当たります。
自分がどのくらいの月単価を狙えるかが気になる方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で市場相場と現在の適正単価の目安を確認できます。
ミニFAQ:早見表の読み方
Q. 表の数字はそのまま自分にも当てはまりますか?
A. あくまで前提条件を満たす場合の目安です。東京23区・独身・経費率20%の前提と比べて、地方在住・扶養あり・経費率が異なるケースでは、条件次第で月数万円手取りが変わることがあります。前提条件と自分の状況の差を確認してから使ってください。
Q. 消費税はどこに反映されていますか?
A. 単価が税抜前提のため、実際の入金は「単価×110%」で受け取り、そこから2割特例で概算納税額を計算しています。免税事業者(消費税を納めない事業者)の場合は消費税納税欄がゼロになる一方、取引先との交渉で単価が下がる可能性があります。詳細はインボイス2割特例を参照してください。
手取りを動かす5つの変数
結論:同じ月単価でも「経費率・自治体・扶養・年齢・課税区分」の5つで手取りは大きく変わります。早見表は代表値で作っているため、以下を確認してから自分の実額に近づけてください。
経費率
事業に必要な支出をどれだけ計上できるかで、課税所得が変動します。専業の個人事業主エンジニアでは、働き方次第で経費率が10〜30%程度になるケースがあります(常駐/リモートの別、機材更新頻度、按分可能な支出の有無で変動)。
10%レベル:常駐案件が中心で、通信費・書籍・小額備品程度
20%レベル:リモート案件中心で、自宅家賃・光熱費の按分と機材更新を含む
30%レベル:出張・研修・広告費・外注費まで含む
経費の判断基準や勘定科目は経費にできるもの一覧、家賃・光熱費の按分は家事按分の計算式と按分例を参照してください。
自治体(国民健康保険料)
国民健康保険料は自治体で保険料率が異なるため、自治体によっては、高所得帯で年10万円前後の差が出ることがあります。以下の数字はイメージしやすさのため「給与所得換算年収」で示していますが、実際の国保料は前年の事業所得や住民票所在地で決まるため、この記事の早見表と完全に一致するわけではない点にご注意ください。目安として、東京23区は2026年度水準で以下のイメージです。
給与換算年収400万円相当:年約35万円
給与換算年収600万円相当:年約56万円
給与換算年収800万円相当:年約78万円
給与換算年収1,000万円相当:年約94万円
給与換算年収1,200万円相当:年約104万円(上限額付近)
保険料が家計を圧迫する場合の対策は国民健康保険が高いと感じたときの対策を参照してください。
扶養家族
配偶者控除・扶養控除の対象となる家族がいれば、所得税・住民税・国民健康保険料の3方向で負担が下がります。配偶者控除または配偶者特別控除の適用余地があり、配偶者の合計所得金額と納税者本人の合計所得金額がそれぞれ控除適用要件を満たし、税率帯が近い場合には、月単価80万円クラスで年10万〜15万円前後手取りが増えるケースがあります。控除額・要件は年分で改定されうるため、最新の要件を確認してください。
年齢(介護保険料の有無)
40歳以上65歳未満は介護保険第2号被保険者に該当し、国民健康保険料に介護分が上乗せされます。東京23区の目安では所得400万円クラスで年6〜8万円、所得700万円クラスで年11〜13万円ほど上乗せされる計算になります。早見表は40歳未満基準のため、40代以上の方は月0.5〜1万円ほど下振れさせて読んでください。
課税区分(免税事業者 or 課税事業者)
インボイス登録の有無で消費税納税額が変わります。免税事業者は消費税を納めない代わりに、取引先から「単価を消費税分下げてほしい」と交渉されるケースも見られます。公開案件ベースでは、大手SIer経由案件でインボイス登録を条件に含む募集が見られる傾向があります。詳細はフリーランスエンジニアの消費税を参照してください。
経費率別の手取り一覧|10%と30%でどこまで差がつくか
結論:同じ月単価80万円でも、事業実態のある経費率が10%と30%では年間手取りが約60万円変わります。事業実態のある経費を漏らすと、結果として年数十万円単位で手取り差が出ることがあります。
経費率別・早見表
前提は経費率以外は早見表と同じ条件です。
月単価(税抜) | 経費率10% 年間手取り | 経費率20% 年間手取り | 経費率30% 年間手取り | 10%と30%の差 |
|---|---|---|---|---|
60万円 | 約465万円 | 約493万円 | 約519万円 | 約54万円 |
80万円 | 約616万円 | 約647万円 | 約676万円 | 約60万円 |
100万円 | 約765万円 | 約798万円 | 約829万円 | 約64万円 |
120万円 | 約909万円 | 約942万円 | 約974万円 | 約65万円 |
経費率30%は「事業実態を伴う支出」であることが前提です。プライベート出費を無理に経費化すると、税務調査で否認されるだけでなく重加算税リスクが上がります。適切に計上できる経費を漏らすと、結果として手取り差が大きくなることがあるため、事業関連支出は勘定科目に沿って毎月記帳するのが実務的です。青色申告・帳簿保存の実務は青色申告と白色申告の違い、節税全般はフリーランスエンジニアの節税対策を参照してください。
経費率を無理なく上げるポイント
自宅を仕事場にしている場合の家賃・光熱費・通信費の按分(面積比・時間比で説明できる比率を維持)
業務用PC・モニター・椅子・NAS等の減価償却
カンファレンス参加費・書籍・オンライン学習
事業用クレジットカード・銀行口座の分離で経費把握を漏らさない
単価アップで手取りはいくら増える?逆算表
結論:月単価を10万円上げても、手取りは同額だけ増えるわけではありません。増分にかかる税・社保を差し引いた実効的な手残りは、月+5.5〜7万円が現実的な目安です。
単価+10万円あたりの手取り増効果
単価アップ幅 | 年間売上増 | 増分に対する税・社保 | 年間手取り増 | 月換算手取り増 |
|---|---|---|---|---|
月60万→70万 | +120万円 | 約42万円 | 約78万円 | 約6.5万円 |
月70万→80万 | +120万円 | 約44万円 | 約76万円 | 約6.3万円 |
月80万→90万 | +120万円 | 約48万円 | 約72万円 | 約6.0万円 |
月90万→100万 | +120万円 | 約50万円 | 約70万円 | 約5.8万円 |
月100万→120万 | +240万円 | 約96万円 | 約144万円 | 約6.0万円 |
累進課税で税率が上がるため、単価が高くなるほど「+10万円あたりの手取り伸び」はやや鈍化します。単価を上げるほど税負担が重くなるからと言って、単価アップを諦める理由にはなりません。月単価100万円から120万円に上げれば、年間で140万円以上の手残りが増える計算です。
体系的な単価アップの考え方はフリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方を参照してください。
ミニFAQ:単価アップの限界税負担
Q. 単価をいくら上げても手取りが増えない「壁」はありますか?
A. 課税所得900万円を超えると所得税率が33%(住民税と合算で43%)、1,800万円超で40%(同50%)と段階的に上がります(復興特別所得税や各種控除差を除いた概算の目安)。手取り増分の伸びは鈍りますが、単価アップで手取りが減ることはありません。課税所得や家族構成、社会保険の設計次第では、法人化(マイクロ法人)による所得分散が有利になる場合があります。詳しくはマイクロ法人とはを参照してください。
会社員年収との等価換算|額面ではなく手取りで比べる
結論:独身・扶養なし・東京23区・40歳未満の概算では、会社員時代の額面600万円と釣り合うフリーランスの単価は月65〜70万円あたりが1つの目安です。フリーランスは福利厚生(社会保険料の半額会社負担・退職金・住宅手当等)がない分、額面同額でも実際の手残りは会社員のほうが多くなります。
会社員額面別・フリーランス月単価の等価目安
会社員の額面年収 | 会社員の手取り目安 | フリーランス月単価の目安(税抜) | 想定される読者像 |
|---|---|---|---|
500万円 | 約395万円 | 月55〜60万円 | 実務2〜3年前後・常駐/準委任中心 |
600万円 | 約465万円 | 月65〜70万円 | 実務3〜5年前後・要件定義補助や設計経験あり |
800万円 | 約605万円 | 月85〜90万円 | 実務5〜8年前後・リード経験や上流経験あり |
1,000万円 | 約745万円 | 月100〜110万円 | 実務8年以上・専門特化またはリード/PM経験 |
1,200万円 | 約880万円 | 月120〜135万円 | 上流全般・アーキテクト/CTO級の専門性 |
※会社員の手取り目安は、独身・扶養なし・東京23区在住・40歳未満・協会けんぽ相当の概算です。賞与比率・組合健保・住居地により実額は変動します。
会社員の手取り目安は独身・扶養なし・東京23区在住・40歳未満の給与所得者を想定した概算です。同額の手取りを得たい場合でも、フリーランスは有給・傷病手当・退職金がないため、「額面同水準」ではなく「福利厚生の金銭換算分を上乗せした単価」を狙うのが安全です。企業規模や制度差は大きいものの、本記事の簡易試算では福利厚生を金銭換算すると額面年収の1割前後〜2割程度になるケースがあります。
会社員時代とのより詳しい違いはフリーランスエンジニアと会社員の違いを参照してください。
福利厚生の金銭換算メモ
厚生年金の会社負担分:月2〜5万円相当(老後の年金額に反映される)
健康保険の会社負担分:月2〜4万円相当
有給休暇・慶弔休暇:年10〜15日分の稼働に相当(単価換算で月4〜7万円)
退職金・確定拠出年金の会社拠出:企業によるが月1〜3万円相当
各種手当(住宅・家族・通勤):企業により月0〜5万円
会社員の福利厚生を貨幣価値で見ると、額面年収の10〜20%が上乗せされている計算になります。フリーランスとして同じ生活水準を維持したいなら、この差分を「単価に織り込む」「iDeCo・小規模企業共済・国民年金基金で自前で積み立てる」の両輪で埋めていく必要があります。老後資金の準備手段はフリーランスエンジニアの年金対策、拠出額の設計はiDeCoとは、小規模企業共済とはを参照してください。
ケース別の実額|家族構成と年代で手取りはどう変わる
結論:家族構成と年代で、同じ単価でも年間手取りが10〜30万円変わります。ライフステージが変わるタイミングで単価目標を見直すのが実務的です。
ケース1:20代単身・月単価60万円
経費率20%、東京23区、40歳未満、扶養なし
年間手取り約493万円、月換算約41万円
早見表の代表値と同じ条件
生活防衛資金・iDeCoへの拠出を先に確立するのが優先です。実務経験3年前後以上で常駐・準委任案件を想定するなら、月単価60万は独立初期の現実的なラインになりやすい水準です。
ケース2:30代既婚・扶養1人・月単価80万円
経費率20%、東京23区、40歳未満、配偶者控除あり
年間手取り約660〜670万円、月換算約55〜56万円
配偶者控除38万円により、税率帯によっては所得税・住民税が年10万円前後軽減されるケースがあります
子育て前の貯蓄フェーズに当たる方が多い時期です。iDeCoと小規模企業共済を併用しながら、翌年の税負担を平準化する動きが効きます。
ケース3:40代既婚・扶養3人(配偶者+子2人)・月単価100万円
経費率25%、東京23区、40歳以上(介護保険料上乗せあり)、扶養控除の対象年齢に該当する子2人分
年間手取り約830〜850万円、月換算約69〜71万円
介護保険料で年約10万円上乗せ、扶養控除で年約20万円軽減、経費増でさらに手取り確保(扶養控除は所得税法上の年齢要件を満たす扶養親族のみが対象。16歳未満は児童手当が優先され所得税・住民税の扶養控除対象外)
住宅ローン・教育費のピークが重なる時期です。課税所得や事業利益が高くなってきた場合は、マイクロ法人による所得分散も検討対象になります。
手取りを増やす4つのレバー
結論:手取りは「単価・経費・税・稼働」の4方向から動かせます。単価アップだけを狙うのではなく、経費計上と税制活用を組み合わせるほうが再現性の高い増収につながります。
レバー1:経費計上を漏らさない
事業実態のある支出は、勘定科目に沿って全て経費化します。プライベート出費を経費に混ぜるのは重加算税リスクがありますが、事業用途の支出を「面倒だから計上しない」のは単純な機会損失です。事業用口座・クレジットカードを分離すると、期末の集計工数が大きく下がります。
レバー2:青色申告と各種控除の活用
青色申告65万円控除(複式簿記+e-Taxが要件)
小規模企業共済(掛金全額が所得控除、月最大7万円)
iDeCo(掛金全額が所得控除、フリーランスの拠出限度は月最大6.8万円)
国民年金基金(掛金全額が所得控除、月最大6.8万円)
経営セーフティ共済(掛金全額が経費、月最大20万円)
iDeCoと国民年金基金は両制度の合算上限が月6.8万円となる関係にあり、各制度単独の上限額をそのまま合算できるわけではありません。加入状況や他制度の掛金額で拠出可能額が変わるため、制度設計時に必ず現在の合算枠を確認してください。これらを併用すると、年間で数十万〜100万円以上の税負担を圧縮できます。それぞれの制度比較はフリーランスエンジニアの節税対策を参照してください。
レバー3:単価交渉と案件のリプレース
同じ現場でも、契約更新のタイミングで単価改定を打診できます。実務では「新規案件のオファーを1件持った状態」で交渉に臨むと、交渉材料を提示しやすく話が進めやすい傾向があります。単価を10万円上げると手取りが月5〜7万円増える計算のため、面倒でも半期に1回は市場相場と自身の単価を照合するのが効きます。
レバー4:稼働の最適化
月180時間稼働で月単価80万円と、月160時間稼働で月単価70万円では、時給換算が近くなる場合があります。時給ベースで比較して、稼働を落として単価を上げる(もしくは副業を挟む)判断も選択肢に入ります。稼働時間と単価の関係は案件の読み方で整理しています。
まとめ
月単価別の手取り早見表を頭に入れておくと、「今の単価を維持していいか」「単価を上げると生活がどう変わるか」を秒で判断できるようになります。要点は次の5つです。
月単価60万円で年間手取り約493万円、月100万円で約798万円が目安(東京23区・独身・経費率20%・青色65万控除の前提)
手取りを動かす変数は経費率・自治体・扶養・年齢・課税区分の5つ
単価+10万円で手取りは月+5.5〜7万円、単価が高いほど税率上昇で伸びは鈍化
会社員額面600万円と釣り合うフリーランス単価は月65〜70万円あたり
単価アップだけでなく経費・税制活用・稼働最適化の4レバーを併用すると再現性が高い
より正確なシミュレーションが必要なときは、フリーランスエンジニアの手取りはどれくらい?で計算プロセスを確認し、税金シミュレーションで年収別の詳細税額を照合してください。単価そのものを引き上げたい方はフリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方と併せてフリーランスエンジニア単価診断で現在の適正単価を確認してみてください。
参照した一次情報は以下です。
よくある質問
Q1. 早見表の消費税納税額はどのように算出していますか?
A. インボイス登録済みの課税事業者を前提に、2割特例で「受け取った消費税額×20%」を納税する概算です。免税事業者の場合は消費税納税がゼロになる一方、取引先から単価引き下げを打診されるケースもあります。現行制度では2割特例の対象期間に上限が設けられているとされていますが、制度は改正されうるため、実際の適用可否と期限は必ず最新の国税庁案内で確認してください。
Q2. 地方在住だと手取りはどれくらい変わりますか?
A. 国民健康保険料は自治体で保険料率が異なるため、同じ所得でも年10万円以上変動するケースがあります。東京23区より保険料率が低い自治体(例:一部の地方都市)では、月単価80万円クラスで年5〜10万円ほど手取りが増える計算になります。住民税の均等割の差は年数千円で軽微なため、影響は国保料が主です。
Q3. 個人事業税はエンジニアもかかりますか?
A. 地方税法上、エンジニア業務が「請負業(法定業種)」に該当すると判定されれば、事業所得290万円超の部分に5%課税されます。都道府県の判断で扱いが分かれるため、開業届・確定申告の内容によって課税・非課税が分かれるケースがあります。詳細は個人事業税はかかる?を参照してください。
Q4. 独立初年度は住民税の負担が軽いと聞きましたが本当ですか?
A. 住民税は前年所得に対して課税されるため、独立1年目は「会社員時代の給与所得」に対する住民税を払います。独立2年目に「独立1年目の事業所得」に対する住民税が来るため、実は独立2年目のほうが住民税負担が重くなるケースがあります。1年目に住民税分の資金を確保しておくと、2年目の資金繰りが安定します。
Q5. 月単価150万円を超えると法人化したほうが得ですか?
A. 一律ではありません。月単価150万円でも、経費率や家族構成、社会保険設計によって法人化の有利不利は変わります。目安としては、課税所得ベースで年1,000万円を超えるあたりからマイクロ法人による所得分散のメリットが出やすくなる傾向があります。ただし法人設立・社会保険・法人税・税理士費用など固定コストが年30〜50万円かかるため、単純な税額比較ではなく総コストで判断する必要があります。詳細はマイクロ法人とはを参照してください。
Q6. 単価が同じでも手取りが人によって違うのはなぜですか?
A. 経費率・自治体・年齢・扶養家族・課税区分(免税か課税か)・青色控除の適用可否など、複数の変数で結果が変わります。特に経費率10%と30%では、月単価80万円で年間手取りが約60万円変わります。まず経費計上を見直し、次に自治体差・扶養控除で調整するのが実務順です。
Q7. 早見表の数字を鵜呑みにしても大丈夫ですか?
A. 実額の目安を掴む用途には使えますが、正確なタックスプランニングには税理士確認をおすすめします。特に扶養家族が変わる年・住所を変える年・法人化を検討する年は、シミュレーションを税理士に依頼するとコストパフォーマンスが高くなります。
Q8. 稼働日数を減らして単価を維持するのは損ですか?
A. 時給ベース(単価÷稼働時間)で比較すると、稼働日数を減らしても時給が上がっていれば損ではありません。むしろ余った時間を副業・スキルアップ・別案件の並行受注に振ることで、年間手取りを増やせるケースがあります。稼働時間の最適化は手取りアップの重要レバーの1つです。
Q9. 会社員から独立するとき、単価いくらから始めれば損しないですか?
A. 実務上の簡易目安としては、会社員時代の額面年収を12で割った金額の1.3〜1.5倍程度から検討するケースが多いです。額面600万円の会社員なら月50万〜62.5万円以上、額面800万円の会社員なら月67万〜83万円以上を目安にすると、福利厚生の差分を吸収しても手取りが維持しやすい計算になります。ただし独立初年度は経費計上や青色申告の準備で予想外の時間を取られるため、生活費6か月分の資金を持って独立するのが安全です。
Q10. 家族の扶養に入っているとフリーランスは不利ですか?
A. 一概に不利とは言えませんが、税法上の扶養と社会保険上の扶養は別制度なので分けて確認が必要です。税法上の扶養判定は合計所得金額など複数要件で決まるため、ここでは一般的な目安を示します。合計所得金額が要件内であれば税法上の扶養に留まる可能性がありますが、青色申告特別控除の適用可否や事業所得の計算方法によって判定が分かれるケースがあるため、詳細は税理士確認をおすすめします。一方、社会保険(健康保険)の扶養は「年間収入130万円未満」等の別要件があり、税法上の扶養より厳しいケースがあります。副業レベルの受注で扶養を維持したい場合は、税法上と社会保険上の扶養要件を分けて確認してください。
