基礎控除 改正 2026|フリーランスの手取りが変わる年収ラインと確定申告実務
最終更新日:2026/07/24
基礎控除の改正2026とは、令和7年度税制改正で導入された、合計所得金額に応じて段階制の控除額(58万円〜95万円)が適用される新しい仕組みです。フリーランスエンジニアは自分の所得区分ごとに手取りが変わるため、令和7年分と令和8年分の確定申告で影響を正確に把握しておく必要があります。本記事では、控除額表・押さえるべき年収ライン・確定申告実務までを整理します。 > ※本記事のタイトルにある「2026」は、2026年(令和8年)に申告する令和7年分の所得税から初回適用されるタイミングを指します。「改正内容が2026年に発表された」という意味ではありません。
先に結論
令和7年度税制改正により、基礎控除は従来の一律48万円から合計所得金額区分ごとの段階制(58万〜95万円)に見直されました(国税庁 No.1199 基礎控除)
令和7年分の改正は令和7年12月1日に施行され、令和7年分の所得税から適用されます(施行日は令和7年12月1日ですが、適用対象は令和7年分の所得税全体です)
合計所得金額132万円以下は95万円、132万円超〜2,350万円以下は原則58万円、そのうち336万円超〜655万円以下のみ令和7年分・令和8年分に限り68万円または63万円へ上乗せされます(居住者の場合。旧48万円との差額は区分ごとに異なります)
中間所得層(132万円超〜655万円以下)に対する上乗せは令和7年分・令和8年分の時限措置で、令和9年分以後は58万円に戻ります
住民税の基礎控除は所得税とは別制度で、本改正は所得税の話です。混同しないよう注意してください
個別のシミュレーションは条件で振れるため、最終判断は税理士・所轄税務署に相談する前提で読み進めてください
この記事でわかること
令和7年度税制改正で変わった基礎控除の全体像と、公式表の正しい読み方
フリーランスエンジニアの合計所得金額の計算方法と、押さえるべき年収ライン
令和7年分・令和8年分と令和9年分以後で扱いが変わる部分の整理
手取りへの影響を確認するためのステップと、確定申告の実務ポイント
混同しやすい論点(住民税の基礎控除・年収の壁・給与所得控除)の切り分け
目次
基礎控除 改正 2026 の全体像
フリーランスエンジニアが押さえる年収ライン
手取りへの影響を試算する
確定申告実務での押さえどころ
ケース別解説:フリーランスエンジニアのパターン
よくある誤解と失敗パターン
実践チェックリスト
まとめ
よくある質問
基礎控除 改正 2026 の全体像
令和7年度税制改正で見直された基礎控除は、合計所得金額に応じた段階制が新設されました。従来は「合計所得金額2,400万円以下なら一律48万円」でしたが、改正後は所得区分ごとに額が変わります。
財務省の令和7年度税制改正資料では「物価上昇局面における税負担の調整の観点から、所得税の基礎控除の控除額及び給与所得控除の最低保障額の引上げを行います」と説明されており、物価高への対応が改正の趣旨とされています(財務省 令和7年度税制改正の概要)。
改正のポイントは3つあります。所得税の基礎控除が段階制になったこと。中間所得層への上乗せが令和7年分・令和8年分の時限措置として盛り込まれたこと。給与所得控除の最低保障額も見直されたこと。フリーランスエンジニアが直接影響を受けるのは1つ目と2つ目です。
従来の基礎控除(〜令和6年分)
令和6年分までの基礎控除は、合計所得金額2,400万円以下なら一律48万円でした。2,400万円を超えると段階的に減り、2,500万円超はゼロ。これが原則です。
一方、住民税の基礎控除は所得税とは別制度で、原則43万円(合計所得2,400万円以下)と定められています。本記事の改正は所得税の話であり、住民税を同時に変更する内容ではありません。
改正後の基礎控除額表(令和7年分以後)
国税庁「No.1199 基礎控除」に掲載された表を整理すると、次のとおりです。
合計所得金額 | 令和7年分・令和8年分 | 令和9年分以後 |
|---|---|---|
132万円以下 | 95万円 | 95万円 |
132万円超336万円以下 | 58万円 | 58万円 |
336万円超489万円以下 | 68万円 | 58万円 |
489万円超655万円以下 | 63万円 | 58万円 |
655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 58万円 |
2,350万円超2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 | 0円 |
表の読み方の要点:中間所得層(336万円超〜655万円以下)は令和7年分・令和8年分だけ上乗せがあり、令和9年分以後は58万円に戻ります。上乗せは時限措置です。所得132万円以下の95万円は令和9年分以後も継続します。旧基礎控除は合計所得2,400万円以下で一律48万円だったため、上表と比較して増額幅は区分ごとに異なる点に注意してください(例:132万円超336万円以下は48万円→58万円で+10万円、132万円以下は+47万円)。
恒久措置と時限措置の切り分け
改正のうち、恒久的な引上げ部分(例:132万円以下=95万円、132万円超336万円以下=58万円)と、令和7年分・令和8年分の上乗せ特例(336万円超〜655万円以下の68万円・63万円)は扱いが違います。
恒久措置:合計所得金額132万円以下の95万円、132万円超336万円以下の58万円などの引上げ
時限措置(令和7年分・令和8年分のみ):336万円超489万円以下の68万円、489万円超655万円以下の63万円
つまり、中間所得層のフリーランスエンジニアが「所得税が減った」と実感できるのは、令和7年分・令和8年分の2年限定の可能性が高い、という点を最初に押さえておく必要があります。
適用時期の正確な理解
国税庁ページには「令和7年分の上記規定は、令和7年12月1日に施行されます」と記載されています。適用は令和7年分の所得税から。
ここでよくある混同ですが、「令和7年分」とは1年間の所得を集計する対象年のこと。実際に確定申告するのは、翌年(令和8年=2026年)の2月16日〜3月15日です。「基礎控除の改正2026」というテーマ名で語られることが多いのは、令和7年分の確定申告を2026年に行うタイミングで初適用されるためです。
令和7年分 → 2026年に確定申告
令和8年分 → 2027年に確定申告
令和9年分以後 → 上乗せ特例なし、原則58万円へ
年分と申告年を混同すると、シミュレーションで年をずらして計算する事故が起きます。所得税は「令和◯年分」の表記で扱ってください。
ミニFAQ
Q. 令和7年分の年末調整・確定申告に間に合いますか?
A. 令和7年12月1日施行のため、令和7年分の所得税から適用されます。個人事業主の確定申告は令和8年(2026年)2月16日〜3月15日が申告期間の原則で、その申告から反映される流れです。
フリーランスエンジニアが押さえる年収ライン
フリーランスエンジニアが自分の基礎控除額を知るには、まず合計所得金額を把握する必要があります。売上ではなく、必要経費を差し引いた後の金額で判定します。
合計所得金額とは何か
合計所得金額とは、各種の所得を合算した金額(一部の繰越控除などを差し引く前の指標)を指す税務用語です。フリーランスエンジニアの場合、通常は事業所得が中心になります。
フリーランスは売上ではなく、事業所得などを合算した「合計所得金額」で判定します。青色申告特別控除や繰越控除との関係で見方を誤りやすいため、最終的な判定方法は国税庁の資料や税理士に確認してください
合計所得金額:事業所得+雑所得や不動産所得などを合算した金額(一部の繰越控除等を差し引く前の指標)
「所得」と「課税所得」は別物です。フリーランスの事業所得は、一般に売上から必要経費を差し引き、要件を満たす場合は青色申告特別控除を反映して計算します。課税所得は、そこから所得控除(基礎控除を含む)を差し引いた後の金額です。基礎控除の区分判定に使うのは合計所得金額であり、基礎控除を引く前の段階です(正確な計算順序は国税庁資料や税理士でご確認ください)。
押さえるべき合計所得ライン
改正の区分は次のラインを覚えておくと判断しやすくなります。
132万円以下:基礎控除95万円ゾーン
336万円:ここを超えると、令和7・8年分は68万円区分が適用される
489万円:ここを超えると上乗せは63万円に減少
655万円:ここを超えると58万円に戻る
2,350万円:ここを超えると48万円以下へ段階的減額
2,500万円超:基礎控除ゼロ
このラインは合計「所得」金額であり、売上とは違います。売上ベースで見誤らないよう、必ず経費差引後で判定してください。
売上ベースに置き換えると
売上ベースだと経費率で変動します。公開統計ではなく、経費が比較的少ない個人フリーランス(PC・通信費・家賃按分・書籍代などが中心)を想定した便宜的な試算として、必要経費が売上の20〜30%程度でざっくり換算すると、次のようなイメージです(実際の経費率は個々のケースで大きく異なるため、あくまで感覚値)。下表は青色申告特別控除を加味しない単純換算です。青色申告特別控除(最大65万円)を考慮すると、売上目安はさらに高めにずれる点にご注意ください。
合計所得金額 | 経費率25%想定の売上目安 | 経費率30%想定の売上目安 |
|---|---|---|
132万円 | 約176万円 | 約189万円 |
336万円 | 約448万円 | 約480万円 |
489万円 | 約652万円 | 約699万円 |
655万円 | 約873万円 | 約936万円 |
上記はあくまで必要経費を売上の一定割合と仮定した概算例です。実際には青色申告特別控除(最大65万円)や個別の経費構造で数値が変わるため、自分の直近の確定申告書を確認するのが最短です。
自分がどのレンジで働けているかの単価感を把握したい方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で市場単価の目安を確認できます。単価を体系的に上げる考え方は「フリーランスエンジニアの単価相場と単価を上げるのに重要なこと」も参考にしてください。
ミニFAQ
Q. 給与所得と事業所得が両方ある場合、どのラインで判定しますか?
A. 合計所得金額は両方を合算した金額で判定します。会社員と兼業のフリーランスエンジニアは、給与所得(給与収入−給与所得控除)と事業所得(売上−経費)を合算し、その金額で区分を確認します。
手取りへの影響を試算する
今回の改正で直接変わるのは所得税です。住民税の基礎控除は別制度のため、この改正による減税試算はまず所得税ベースで考えます。ざっくり見積もる方法を整理します。
影響の基本式
概算では、(新基礎控除額 − 旧48万円)× その人の課税所得に対応する所得税率で目安を見ます。復興特別所得税や他控除の影響は別途あるため、あくまで方向性を掴む式です。所得税は累進課税で、5%・10%・20%・23%・33%・40%・45%の税率区分があります(税率は合計所得金額ではなく課税所得で決まります)。
合計所得金額132万円以下:新95万円 − 旧48万円 = 47万円の控除増加
合計所得金額336万円超489万円以下(令和7・8年分):新68万円 − 旧48万円 = 20万円の控除増加
合計所得金額489万円超655万円以下(令和7・8年分):新63万円 − 旧48万円 = 15万円の控除増加
税率を掛けたおおよその減税額(所得税ベース、住民税は含まず)は、以下のイメージです。旧基礎控除48万円との差額は区分ごとに異なる点に注意してください(例:58万円区分は+10万円、95万円区分は+47万円)。
減税額の概算(前提条件あり)
以下は独身・扶養なし・青色申告特別控除65万円を適用済みなど、条件を単純化した想定ケースでの例です。実際の税率は課税所得(合計所得から所得控除を差し引いた後)で決まるため、区分の見た目とは一致しないことがあります。
合計所得金額の区分 | 控除増加額(旧48万円との差) | 想定ケースでの税率例 | 減税額の概算 |
|---|---|---|---|
132万円以下 | 47万円 | 5% | 約2.35万円 |
132万円超336万円以下 | 10万円 | 5〜10% | 約0.5〜1万円 |
336万円超489万円以下(時限) | 20万円 | 20% | 約4万円 |
489万円超655万円以下(時限) | 15万円 | 20% | 約3万円 |
655万円超2,350万円以下 | 10万円 | 23〜33% | 約2.3〜3.3万円 |
税率は合計所得金額ではなく課税所得で決まるため、あくまで概算イメージです。 実際の減税額は所得控除(社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・扶養控除等)や税額控除の状況で大きく変わります。正確な数字は自分の確定申告書か税金シミュレーションで個別に確認してください。
令和9年分以後に注意
先ほど整理したように、中間所得層(336万円超〜655万円以下)の上乗せは令和7年分・令和8年分だけの時限措置です。令和9年分以後は58万円に戻ります。
つまり令和9年分の確定申告(2028年に提出)以降は、この層の減税インパクトが小さくなります。たとえば、令和7・8年分の減税額を前提に毎月の固定費を増やす判断は慎重にしたほうが安全です。
住民税との切り分け
住民税の基礎控除は原則43万円(合計所得2,400万円以下)です。本改正で見直されたのは所得税の基礎控除であり、住民税の基礎控除は別枠で扱われる制度です。住民税と所得税を合算した「実効的な手取り」を出したい場合は、住民税は現行制度前提で計算する必要があります。
ミニFAQ
Q. 手取りが「毎月」増えるイメージですか?
A. フリーランスの所得税は確定申告時に精算する仕組みです。会社員の源泉徴収のように毎月手取りが増えるわけではなく、翌年の確定申告で還付または納税額の減少として反映されるのが原則です。
確定申告実務での押さえどころ
改正が入っても、フリーランスエンジニアの確定申告の流れそのものは大きく変わりません。ただし、いくつかチェックすべき論点があります。
令和7年分の申告書での確認事項
基礎控除額欄が自動計算される会計ソフトを使っている場合、令和7年分以降の様式に対応しているかを、各社のヘルプページ・リリースノート・申告書作成画面の基礎控除欄で確認する
e-Taxで申告する場合、令和7年分対応の申告書フォームで基礎控除欄がどう表示されるかを事前チェックする
合計所得金額の欄と、基礎控除額の欄の整合性を確認する(区分ごとに額が変わるため)
初めての確定申告なら「フリーランス確定申告が初めての人向け完全ガイド」、必要書類は「令和7年分の確定申告に必要な書類まとめ」を参照してください。
会計ソフト・freee・マネーフォワード・弥生の対応
主要な会計ソフトは一般に税制改正へ順次対応しますが、対応時期・範囲は各社で異なります。リリースタイミングやアップデート内容はソフトにより異なるため、確定申告シーズンに入る前に対応状況を各社のリリースノートで確認しておくと安全です。
e-Taxで申告する場合
e-Taxを使う場合の実務手順は「e-Taxで確定申告するやり方(フリーランスエンジニア向け)」を参照してください(対応年分は記事内でご確認ください)。開業初年度で戸惑いやすいポイントは「開業1年目の確定申告ガイド」に整理しています。
押さえるべき他の控除・特例
基礎控除だけを見て試算すると全体像を見誤ります。フリーランスエンジニアが並行で使う主な控除・特例には次のようなものがあります。
青色申告特別控除(最大65万円):複式簿記による記帳+e-Taxによる電子申告等の要件を満たすこと
社会保険料控除:国民健康保険料・国民年金保険料の全額
小規模企業共済等掛金控除:iDeCo・小規模企業共済の掛金
医療費控除:一定額を超えた医療費(医療費控除の解説)
住宅ローン控除:住宅ローン利用者は税額控除(住宅ローン控除の解説)
損益通算・繰越控除:赤字が出た年の繰越(損益通算・繰越控除)
確定申告の全体の流れは「確定申告のやり方」で通しの手順を確認できます。
ミニFAQ
Q. 青色申告特別控除65万円と基礎控除は併用できますか?
A. 併用できます。青色申告特別控除は事業所得の計算段階で控除、基礎控除は所得控除の段階で控除です。順序が違うため、要件を満たせば両方を適用できます。
ケース別解説:フリーランスエンジニアのパターン
自分のケースを想定して見てみると、影響の大きさがつかみやすくなります。前提の数値はあくまで例示で、実際は個々の経費・所得控除で変動します。
ケース1:単価60万円の常駐案件・独身・青色申告(実務経験3〜5年で常駐中心の人の例)
年間売上:約720万円
経費:約120万円(家賃按分・通信費・機材・書籍等の合計と仮定)
青色申告特別控除:65万円
事業所得:約535万円
このケースでは、合計所得金額が489万円超655万円以下の区分に入り、令和7年分・令和8年分は基礎控除63万円が適用される計算になります。旧48万円との差15万円を課税所得から追加控除できるイメージです。
ただし、令和9年分以後は58万円に戻るため、この差分効果は縮小します。
ケース2:単価80万円のフルリモート案件・扶養1名・青色申告(上流工程や高単価案件を継続受注している人の例)
年間売上:約960万円
経費:約200万円
青色申告特別控除:65万円
事業所得:約695万円
合計所得金額655万円超のため、基礎控除は58万円。改正の効果としては旧48万円から10万円分の控除増となります。ただし扶養控除・小規模企業共済等の他の控除が別枠で効きます。
ケース3:副業フリーランス(会社員兼業)で事業所得100万円(会社員をしながら週末に副業案件を回す人の例)
会社員給与収入:600万円
給与所得(給与所得控除後):約436万円
副業事業所得:100万円
合計所得金額:約536万円
給与と事業の合算で判定するため、合計所得金額が489万円超655万円以下の区分に入り、令和7・8年分は63万円が適用されます。副業の税務は会社の扶養・住民税の手続き等でも判断が必要になるため、確定申告時の住民税徴収方法などは自治体・税理士に個別確認してください。
ケース4:開業初年度で売上200万円・経費50万円(独立直後で稼働が段階的に立ち上がる人の例)
事業所得:約85万円(青色特別控除65万円適用後)
合計所得金額:85万円
合計所得金額132万円以下のため、基礎控除95万円ゾーン。所得よりも基礎控除の方が大きいため、このケース単体では所得税額が生じにくい試算です(他の所得・要件・住民税は別途確認してください)。
ミニFAQ
Q. 事業所得と雑所得の判定が曖昧な場合はどうなりますか?
A. 事業として社会通念上認められる規模・継続性・帳簿記帳の有無などが判断要素になります。単発の副業で帳簿がない場合は雑所得として扱われる可能性があり、その場合は青色申告特別控除は使えません。個別事情が絡むため、判断が難しい場合は所轄税務署か税理士に確認してください。
よくある誤解と失敗パターン
改正の情報が広まる過程で、いくつかの典型的な誤解が発生しやすいポイントがあります。
誤解1:「基礎控除が95万円に一律引上げ」ではない
「基礎控除が95万円になった」だけを聞くと、全員が95万円と誤解しやすいですが、実際は合計所得金額132万円以下だけが95万円です。中間層は58〜68万円、高所得層は段階的に減少します。
誤解2:「令和8年分から改正」と誤って覚える
令和7年12月1日施行のため、令和7年分の所得税から適用されます。テーマ名や記事タイトルに「2026」とあるのは、確定申告を行うのが2026年(=令和8年)だからで、対象は令和7年分の所得です。
誤解3:住民税も同じ金額になると思い込む
住民税の基礎控除は原則43万円(合計所得2,400万円以下)と定められており、本改正の対象外です。所得税と住民税を混同してシミュレーションすると、手取りの見積もりがズレます。
誤解4:中間所得層の上乗せが恒久措置と思い込む
336万円超489万円以下の68万円、489万円超655万円以下の63万円は、令和7年分・令和8年分の時限措置です。令和9年分以後は58万円に戻る前提で長期の資金計画を立てておくのが無難でしょう。
誤解5:「年収の壁」の議論と混同する
「年収の壁」議論(103万円・106万円・130万円等)は、配偶者控除・社会保険の扶養など複数制度が絡む話題であり、本改正の基礎控除引上げそのものではありません。混同しないよう切り分けて情報を追ってください。
実践チェックリスト
令和7年分の確定申告に向けて、フリーランスエンジニアが確認すべき項目をチェックリスト形式で整理しました。
[ ] 自分の合計所得金額のレンジ(令和7年分見込み)を把握したか
[ ] 該当する基礎控除額区分を国税庁 No.1199 基礎控除で確認したか
[ ] 令和7年分と令和9年分以後で自分の区分が変わるか(中間層かどうか)を確認したか
[ ] 使用中の会計ソフトが令和7年分様式に対応しているか確認したか
[ ] 青色申告特別控除の要件(複式簿記・e-Tax等)を満たしているか
[ ] 他の所得控除(社会保険料・小規模企業共済等・医療費・住宅ローン等)の適用予定を洗い出したか
[ ] 副業兼業の場合、給与所得と事業所得の合算で判定しているか
[ ] 住民税の基礎控除は別制度と理解した上で、手取りシミュレーションを組んだか
[ ] 個別ケースの最終判断について税理士・所轄税務署への確認先を決めたか
まとめ
基礎控除の改正2026は「令和7年度税制改正で導入された合計所得金額区分ごとの段階制」であり、フリーランスエンジニアの手取りは自分の所得区分によって影響が変わります。
要点を整理すると次のとおりです。
基礎控除は従来の一律48万円から、原則58万円をベースに、低所得層は95万円、高所得層は段階的減額、中間所得層は令和7・8年分のみ上乗せありの段階制へ見直された
適用は令和7年12月1日施行、令和7年分の所得税から。確定申告は2026年に実施する
中間所得層(336万〜655万円)の上乗せは令和7・8年分の時限措置で、令和9年分以後は58万円に戻る
住民税の基礎控除は所得税とは別制度で、本改正の対象外
個別のシミュレーションは条件で振れるため、最終判断は税理士・所轄税務署に確認する
まずは自分の合計所得金額の見込みを確認し、区分表と照らし合わせるところから始めましょう。手取りの試算は税金シミュレーションで、確定申告実務は確定申告のやり方やe-Tax 令和8年分で通しの手順を確認できます。単価面で狙える市場感を知りたい方は無料のフリーランスエンジニア単価診断で確認してください。
参照した一次情報:
本記事は税制改正の概要をフリーランスエンジニア視点で整理したものです。個別ケースの税務判断は事情によって結論が変わるため、最終的な適用可否は税理士または所轄税務署にご相談ください。
よくある質問
Q1. 令和7年分の確定申告はいつ提出しますか?
原則として翌年(令和8年=2026年)の2月16日から3月15日までです。土日祝に当たる場合は翌営業日にずれるため、最新日程は国税庁の案内で確認してください。個人事業主の確定申告は原則この期間内で提出します。
Q2. 令和7年分と令和8年分で基礎控除額は変わりますか?
令和7年分と令和8年分は同じ額の表が適用されます(時限措置分を含む)。令和9年分以後は中間所得層の上乗せがなくなり、原則58万円に戻る内容が国税庁ページで公表されています。
Q3. 給与所得控除の最低保障額も引上げられたと聞きましたが、フリーランスに影響はありますか?
給与所得控除は給与収入がある人が対象なので、専業フリーランスには影響しません。ただし、会社員と兼業しているフリーランスや、開業年に前職給与がある人には関係する可能性があります。詳細は国税庁の給与所得控除の解説を確認してください。
Q4. 「合計所得金額」と「総所得金額等」の違いは何ですか?
合計所得金額は各所得を合算した金額(一部の繰越控除等を差し引く前)、総所得金額等は繰越控除等を差し引いた後の金額です。基礎控除の区分判定に使うのは「合計所得金額」です。用語の違いは国税庁の各タックスアンサーで確認できます。
Q5. 住民税の基礎控除も95万円になりますか?
住民税の基礎控除は原則43万円(合計所得2,400万円以下)と定められており、本改正の対象外です。住民税の取扱いは自治体の案内や地方税制度の公表資料で個別確認してください。
Q6. 青色申告特別控除65万円と基礎控除は同時に使えますか?
併用できます。青色申告特別控除は事業所得の計算段階、基礎控除は所得控除の段階で適用されるため、順序が異なります。ただし65万円控除の適用には複式簿記による記帳+e-Taxによる電子申告等の要件を満たす必要があります。
Q7. 副業で年間20万円以下の場合、基礎控除は関係ありますか?
給与所得者の副業で、一定の前提を満たす場合は、給与以外の所得が年間20万円以下なら所得税の確定申告は原則不要ですが、住民税の申告が必要になるケースがあります。ただし、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合や、他の所得がある場合は扱いが変わることがあるため、個別のケースは所轄税務署や税理士に確認してください。住民税の扱いは自治体で異なるため、居住地の役所で確認してください。
Q8. 開業初年度で赤字の場合、基礎控除の恩恵はありますか?
事業所得が赤字なら課税所得もマイナスになり、基礎控除の効果はその年に発揮されません。ただし、青色申告なら赤字を繰り越して翌年以降の所得と相殺できる制度があります(損益通算・繰越控除)。
Q9. 令和7年分の申告で医療費控除も使う予定です。順序はどうなりますか?
医療費控除も基礎控除も所得控除の一種で、順番に控除して課税所得を算出します。基礎控除だけを個別に見るのではなく、他の控除と合わせて計算するのが原則です(医療費控除の解説)。
Q10. 令和9年分以後、私(中間所得層)はどう備えればよいですか?
令和9年分以後は58万円に戻るため、時限措置による減税分を恒常収入と見込まないほうが安全です。iDeCo・小規模企業共済・付加年金・国民年金基金などの所得控除枠を並行で使い、控除の総額で調整する発想が有効でしょう。
Q11. 単価アップと基礎控除、手取りへの寄与はどちらが大きいですか?
本記事で想定している、合計所得が数百万円台のフリーランスエンジニアでは、改正による減税額は数万円程度にとどまるケースが多いです。一方、単価が月5万円上がると年60万円の売上増となり、経費や税負担を差し引いても、基礎控除改正の減税額より手取りへの影響が大きいケースが多い傾向があります。市場単価の目安は無料のフリーランスエンジニア単価診断で確認できます。
Q12. 会計ソフトの基礎控除欄が自動で切り替わるか不安です。
主要な会計ソフト(freee/マネーフォワード/弥生)は税制改正への対応をアップデートで反映するのが通例です。確定申告シーズン直前に各社リリースノートで対応バージョンを確認し、必要ならソフトを最新版に更新してから申告書を作成してください。
Q13. 個人的なシミュレーションを税理士に依頼するときの費用感は?
税理士費用は地域・売上規模・業務範囲により大きく異なります。単発のシミュレーション相談で対応してくれる税理士もいれば、顧問契約前提のところもあります。相談前に見積もりを取り、範囲と料金を確認してから依頼するのが安全です。
Q14. 令和7年分の途中で開業したらどう判定しますか?
合計所得金額は暦年(1月〜12月)ベースで集計します。年途中の開業でもその年の12月31日までの所得を集計し、区分判定に使う流れです。開業1年目の実務は開業1年目 令和8年分を参照してください。
Q15. 情報の一次ソースはどこで確認できますか?
所得税の基礎控除は国税庁 タックスアンサー No.1199 基礎控除、税制改正全体は財務省 令和7年度税制改正の概要で公表されています。個別ケースの最終判断は税理士・所轄税務署への確認を推奨します。
