基礎控除 改正 2026|フリーランスの手取りが変わる年収ラインと確定申告実務
最終更新日:2026/10/16
基礎控除の改正2026とは、令和8年度税制改正で所得税の基礎控除が引き上げられたことを指します。令和8年分と令和9年分は合計所得金額489万円以下なら104万円になり、令和7年分(95万〜58万円の段階制)からさらに増えます。フリーランスエンジニアは合計所得金額の区分ごとに手取りへの影響が変わるため、2027年に行う令和8年分の確定申告に向けて、控除額表・押さえるべき年収ライン・確定申告実務を整理します。記事タイトルの「2026」は、令和8年(2026年)度の税制改正と、2026年の所得(令和8年分)から適用されることを指しています。
先に結論
令和8年度税制改正で、所得税の基礎控除は令和8年分・令和9年分が合計所得金額489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超2,350万円以下で62万円になりました(国税庁 No.1199 基礎控除)
改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。令和8年分の確定申告(2027年2〜3月)から反映されます
前年の令和7年分は、132万円以下95万円・132万円超336万円以下88万円・336万円超489万円以下68万円・489万円超655万円以下63万円・655万円超58万円の段階制でした
令和10年分以後は、132万円以下が99万円、132万円超2,350万円以下が62万円になります。令和8・9年分の104万円は2年間の扱いです
令和8・9年分は合計所得489万円を境に控除が37万円下がる段差があります。所得が1万円増えただけで所得税が5万円ほど増える場合があります
住民税の基礎控除は43万円のままで、本改正は所得税の話です。個別の判断は税理士・所轄税務署に確認してください
この記事でわかること
令和6年分以前・令和7年分・令和8・9年分・令和10年分以後の基礎控除額の違い
フリーランスエンジニアの合計所得金額の考え方と、押さえるべき年収ライン(特に489万円の段差)
手取りへの影響の目安と、ケース別の試算
年の途中で会社員から独立した人が確定申告で注意すること
混同しやすい論点(住民税の基礎控除・年収の壁・給与所得控除)の切り分け
目次
基礎控除 改正 2026 の全体像
フリーランスエンジニアが押さえる年収ライン
手取りへの影響を試算する
確定申告実務での押さえどころ
ケース別解説:フリーランスエンジニアのパターン
よくある誤解と失敗パターン
実践チェックリスト
まとめ
よくある質問
基礎控除 改正 2026 の全体像
基礎控除は、2年続けて引き上げられました。令和7年度税制改正で「一律48万円」から合計所得金額に応じた段階制になり、令和8年度税制改正でその金額がさらに引き上げられています。
令和7年度の改正について、財務省は「物価上昇局面における税負担の調整の観点から、所得税の基礎控除の控除額及び給与所得控除の最低保障額の引上げを行います」と説明しています(財務省 令和7年度税制改正の概要)。令和8年度の改正では、所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正が行われました(国税庁 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A)。
フリーランスエンジニアに直接関係するのは、基礎控除の引上げです。会社員と兼業している人や、年の途中で独立して前職の給与がある人は、給与所得控除の改正も関係します。
従来の基礎控除(〜令和6年分)
令和6年分までの基礎控除は、合計所得金額2,400万円以下なら一律48万円でした。2,400万円を超えると段階的に減り、2,500万円超はゼロです。
一方、住民税の基礎控除は所得税とは別制度で、原則43万円(合計所得2,400万円以下)です。本記事の改正は所得税の話で、住民税の基礎控除は43万円のまま据え置かれています。
改正後の基礎控除額表(令和7年分以後)
国税庁「No.1199 基礎控除」(令和8年4月1日現在法令等)に掲載された表を整理すると、次のとおりです。
合計所得金額 | 令和6年分以前 | 令和7年分 | 令和8年分・令和9年分 | 令和10年分以後 |
|---|---|---|---|---|
132万円以下 | 48万円 | 95万円 | 104万円 | 99万円 |
132万円超336万円以下 | 48万円 | 88万円 | 104万円 | 62万円 |
336万円超489万円以下 | 48万円 | 68万円 | 104万円 | 62万円 |
489万円超655万円以下 | 48万円 | 63万円 | 67万円 | 62万円 |
655万円超2,350万円以下 | 48万円 | 58万円 | 62万円 | 62万円 |
2,350万円超2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 | 48万円 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 | 32万円 | 32万円 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 | 16万円 | 16万円 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
表の読み方の要点:令和8年分・令和9年分は、合計所得金額489万円以下なら区分にかかわらず104万円です。令和7年分から見た増加幅は、336万円超489万円以下で36万円と最も大きく、489万円超では4万円にとどまります。令和10年分以後は、132万円以下の99万円を除いて62万円にそろいます。
年分ごとの違いの整理
改正の前後で、控除額は年分ごとに次のように動きます。
令和7年分:一律48万円から段階制(58万〜95万円)へ
令和8年分・令和9年分:489万円以下を104万円に引き上げ。489万円超も4万円ずつ増える
令和10年分以後:132万円以下は99万円、132万円超2,350万円以下は62万円
つまり、中間所得層のフリーランスエンジニアが最も大きく減税されるのは令和8年分・令和9年分の2年間です。令和10年分以後は、合計所得132万円超の人の控除が62万円になるため、令和8・9年分より控除は減ります。
適用時期の正確な理解
国税庁ページには「令和8年分の上記規定は、令和8年12月1日に施行されます」と記載されています。改正後の基礎控除が適用されるのは令和8年分以後の所得税です。
「令和8年分」とは、1年間の所得を集計する対象年(2026年1月〜12月)のことです。実際に確定申告するのは、翌年(2027年)の2月16日〜3月15日です。
令和7年分 → 2026年に確定申告(95万〜58万円の段階制)
令和8年分 → 2027年に確定申告(104万円・67万円・62万円)
令和9年分 → 2028年に確定申告(令和8年分と同じ表)
令和10年分以後 → 99万円・62万円
年分と申告年を混同すると、シミュレーションで年をずらして計算する事故が起きます。所得税は「令和◯年分」の表記で扱ってください。
ミニFAQ
Q. 会社員の年末調整では、いつから反映されますか?
A. 国税庁のQ&Aでは、令和8年12月に行う年末調整で改正後の基礎控除を使って1年分の税額を計算し、精算するとされています。11月までの毎月の給与の源泉徴収は変わりません。フリーランスの事業所得は、令和8年分の確定申告で反映されます。
フリーランスエンジニアが押さえる年収ライン
フリーランスエンジニアが自分の基礎控除額を知るには、まず合計所得金額を把握する必要があります。売上ではなく、必要経費などを差し引いた後の金額で判定します。
合計所得金額とは何か
合計所得金額とは、各種の所得を合算した金額(一部の繰越控除などを差し引く前の金額)を指す税務用語です。フリーランスエンジニアの場合、通常は事業所得が中心になります。
事業所得は、売上から必要経費を差し引き、要件を満たす場合は青色申告特別控除も差し引いて計算します
給与所得や雑所得などがあれば、それらも合算します
最終的な判定方法は国税庁の資料や税理士に確認してください
「所得」と「課税所得」は別物です。課税所得は、合計所得金額から所得控除(基礎控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除など)を差し引いた後の金額です。基礎控除の区分判定に使うのは合計所得金額で、所得控除を引く前の段階です。
ここから大事な違いが出てきます。経費と青色申告特別控除は合計所得金額を下げますが、iDeCoや小規模企業共済の掛金(所得控除)は合計所得金額を下げません。区分の境目をまたぐかどうかは、経費と青色申告特別控除で決まります。
押さえるべき合計所得ライン(令和8年分・令和9年分)
令和8・9年分は、次のラインを覚えておくと判断しやすくなります。
489万円以下:基礎控除104万円
489万円超655万円以下:基礎控除67万円
655万円超2,350万円以下:基礎控除62万円
2,350万円超:48万円以下へ段階的に減額し、2,500万円超はゼロ
このラインは合計「所得」金額で、売上とは違います。売上ベースで見誤らないよう、必ず経費などを差し引いた後で判定してください。
489万円の段差に注意
令和8・9年分は、合計所得金額489万円を1万円でも超えると、基礎控除が104万円から67万円へ37万円下がります。社会保険料控除を約80万円と仮定して試算すると、所得税(復興特別所得税を含む)は次のようになります。
合計所得金額 | 基礎控除 | 課税所得 | 所得税の目安 |
|---|---|---|---|
489万円 | 104万円 | 305万円 | 約21.2万円 |
490万円 | 67万円 | 343万円 | 約26.4万円 |
所得が1万円増えただけで、所得税は約5.2万円増える計算です。合計所得がこのラインの近くにある人は、計上漏れの経費がないか、青色申告特別控除(最大65万円)を受けられる要件を満たしているかを先に確認しておくと、区分が変わることがあります。経費の水増しは論外なので、あくまで漏れの確認として行ってください。
売上ベースに置き換えると
売上ベースでは経費率によって変わります。公開統計ではなく、経費が比較的少ない個人フリーランス(PC・通信費・家賃按分・書籍代などが中心)を想定した便宜的な試算として、必要経費が売上の25〜30%程度で換算すると、次のようなイメージです。下表は青色申告特別控除を加味しない単純換算です。青色申告特別控除(最大65万円)を受ける場合、売上目安はその分だけ高くなります。
合計所得金額 | 経費率25%想定の売上目安 | 経費率30%想定の売上目安 |
|---|---|---|
489万円 | 約652万円 | 約699万円 |
655万円 | 約873万円 | 約936万円 |
実際には青色申告特別控除や個別の経費構造で数値が変わるため、自分の直近の確定申告書を確認するのが最短です。
自分がどのレンジで働けているかの単価感を把握したい方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で市場単価の目安を確認できます。単価を体系的に上げる考え方は「フリーランスエンジニアの単価相場と単価を上げるのに重要なこと」を、募集中の高単価案件は高単価の案件一覧を参考にしてください。
ミニFAQ
Q. 給与所得と事業所得が両方ある場合、どのラインで判定しますか?
A. 合計所得金額は両方を合算した金額で判定します。年の途中で会社員から独立した人は、給与所得(給与収入−給与所得控除)と事業所得(売上−経費−青色申告特別控除)を合算し、その金額で区分を確認します。
手取りへの影響を試算する
今回の改正で直接変わるのは所得税です。住民税の基礎控除は43万円のままなので、減税の試算はまず所得税ベースで考えます。
影響の基本式
概算では、(新しい基礎控除額 − 比べたい年分の基礎控除額)× その人の課税所得に対応する所得税率で目安を見ます。所得税は累進課税で、5%・10%・20%・23%・33%・40%・45%の税率区分があります(税率は合計所得金額ではなく課税所得で決まります)。
令和7年分から令和8年分への控除の増加額は、区分ごとに次のとおりです。
合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8年分 | 増加額 |
|---|---|---|---|
132万円以下 | 95万円 | 104万円 | 9万円 |
132万円超336万円以下 | 88万円 | 104万円 | 16万円 |
336万円超489万円以下 | 68万円 | 104万円 | 36万円 |
489万円超655万円以下 | 63万円 | 67万円 | 4万円 |
655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 | 4万円 |
たとえば336万円超489万円以下で課税所得が10%の税率帯にある人なら、36万円×10%で約3.6万円、20%の税率帯なら約7.2万円の減税が目安です。正確な数字は所得控除や税額控除の状況で変わるため、自分の確定申告書か税金シミュレーションで個別に確認してください。
令和10年分以後に注意
令和8・9年分の104万円は2年間の扱いで、令和10年分以後は132万円超の人の基礎控除が62万円になります。合計所得132万円超489万円以下の人は、令和10年分で控除が42万円減ることになります。令和8・9年分の減税額を前提に毎月の固定費を増やす判断は、慎重にしたほうが安全です。
住民税との切り分け
住民税の基礎控除は原則43万円(合計所得2,400万円以下)です。所得税の基礎控除が104万円でも、住民税は43万円で計算します。所得税がゼロになる人でも、住民税はかかる場合があります。住民税と所得税を合算した手取りを出したい場合は、住民税を43万円で計算してください。
ミニFAQ
Q. 手取りが「毎月」増えるイメージですか?
A. フリーランスの所得税は確定申告で精算する仕組みです。会社員の源泉徴収のように毎月の手取りが増えるわけではなく、翌年の確定申告で納税額の減少(または還付)として反映されます。予定納税をしている人は、前年の税額で計算された予定納税額との差額が申告で精算されます。
確定申告実務での押さえどころ
改正が入っても、フリーランスエンジニアの確定申告の流れそのものは大きく変わりません。ただし、いくつかチェックすべき論点があります。
令和8年分の申告書での確認事項
基礎控除額欄が自動計算される会計ソフトを使っている場合、令和8年分の改正後の金額に対応しているかを、各社のヘルプページ・リリースノート・申告書作成画面の基礎控除欄で確認する
e-Taxで申告する場合、令和8年分の申告書で基礎控除欄が合計所得金額に応じた額になっているかを確認する
合計所得金額の欄と基礎控除額の欄の整合性を確認する(特に489万円・655万円の前後)
初めての確定申告なら「フリーランス確定申告が初めての人向け完全ガイド」、必要書類は「確定申告に必要な書類まとめ」を参照してください。
年の途中で会社員から独立した人
国税庁のQ&Aでは、令和8年の途中で退職して年末調整を受けていない人は、改正後の基礎控除等が適用されていないため、適用を受けるには確定申告が必要とされています。会社員から独立した年は、前職の源泉徴収票の給与と、独立後の事業所得を合算して確定申告をすれば、改正後の基礎控除が反映されます。前職の源泉徴収票は、退職後に会社から届いたものを保管しておいてください。
会計ソフト・freee・マネーフォワード・弥生の対応
主要な会計ソフトは一般に税制改正へ順次対応しますが、対応時期・範囲は各社で異なります。確定申告シーズンに入る前に、対応状況を各社のリリースノートで確認しておくと安全です。
e-Taxで申告する場合
e-Taxを使う場合の実務手順は「e-Taxで確定申告するやり方(フリーランスエンジニア向け)」を参照してください。開業初年度で戸惑いやすいポイントは「開業1年目の確定申告ガイド」に整理しています。
押さえるべき他の控除・特例
基礎控除だけを見て試算すると全体像を見誤ります。フリーランスエンジニアが並行で使う主な控除・特例には次のようなものがあります。
青色申告特別控除(最大65万円):複式簿記による記帳+e-Taxによる電子申告等の要件を満たすこと。事業所得の計算で差し引くため、合計所得金額も下がる
社会保険料控除:国民健康保険料・国民年金保険料の全額
小規模企業共済等掛金控除:iDeCo・小規模企業共済の掛金(合計所得金額は下がらない)
医療費控除:一定額を超えた医療費(医療費控除の解説)
住宅ローン控除:住宅ローン利用者は税額控除(住宅ローン控除の解説)
損益通算・繰越控除:赤字が出た年の繰越(損益通算・繰越控除)
家族を扶養している人は、令和8年度改正で扶養親族等の所得要件が58万円から62万円に引き上げられた点も確認してください。確定申告の全体の流れは「確定申告のやり方」で通しの手順を確認できます。
ミニFAQ
Q. 青色申告特別控除65万円と基礎控除は併用できますか?
A. 併用できます。青色申告特別控除は事業所得の計算段階で、基礎控除は所得控除の段階で差し引きます。順序が違うため、要件を満たせば両方を適用できます。
ケース別解説:フリーランスエンジニアのパターン
自分のケースを想定して見てみると、影響の大きさがつかみやすくなります。前提の数値はあくまで例示で、所得税は復興特別所得税を含めた概算です。実際は個々の経費・所得控除で変動します。
ケース1:単価60万円の常駐案件・独身・青色申告(実務経験3〜5年で常駐中心の人の例)
年間売上:約720万円
経費:約120万円(家賃按分・通信費・機材・書籍等の合計と仮定)
青色申告特別控除:65万円
事業所得(合計所得金額):約535万円
社会保険料控除:約80万円と仮定
合計所得金額が489万円超655万円以下の区分に入るため、基礎控除は令和7年分63万円、令和8年分67万円です。所得税は令和7年分の約36.4万円から、令和8年分は約35.6万円になります(約0.8万円の減少)。このケースは489万円の段差を超えているため、改正の恩恵は小さめです。
ケース2:単価80万円のフルリモート案件・扶養1名・青色申告(上流工程や高単価案件を継続受注している人の例)
年間売上:約960万円
経費:約200万円
青色申告特別控除:65万円
事業所得(合計所得金額):約695万円
社会保険料控除約100万円・配偶者控除38万円と仮定
合計所得金額655万円超のため、基礎控除は令和7年分58万円、令和8年分62万円です。所得税は約58.3万円から約57.4万円になります(約0.8万円の減少)。令和10年分以後も62万円のままなので、このケースは改正による変動がほとんどありません。
ケース3:年の途中で会社員から独立した年(1〜6月は会社員、7月から独立)
会社員の給与収入(1〜6月):300万円
給与所得(給与所得控除後):202万円
独立後の事業所得:235万円(売上360万円−経費60万円−青色申告特別控除65万円)
合計所得金額:437万円
社会保険料控除:約60万円と仮定
給与と事業の合算で判定するため、合計所得金額は489万円以下の区分に入り、令和8年分の基礎控除は104万円です。令和7年分の同じ区分(68万円)より36万円多く、所得税は約21.6万円から約17.9万円になります(約3.7万円の減少)。年末調整を受けずに退職しているため、改正後の基礎控除を受けるには確定申告が必要です。
ケース4:開業初年度で売上200万円・経費50万円(独立直後で稼働が段階的に立ち上がる人の例)
事業所得:約85万円(青色申告特別控除65万円適用後)
合計所得金額:85万円
合計所得金額132万円以下のため、令和8年分の基礎控除は104万円です。所得より基礎控除の方が大きいため、このケース単体では所得税は生じません。ただし住民税の基礎控除は43万円なので、住民税はかかる場合があります。
ミニFAQ
Q. 事業所得と雑所得の判定が曖昧な場合はどうなりますか?
A. 事業として社会通念上認められる規模・継続性・帳簿記帳の有無などが判断要素になります。帳簿がない場合は雑所得として扱われる可能性があり、その場合は青色申告特別控除は使えません。判断が難しい場合は所轄税務署か税理士に確認してください。
よくある誤解と失敗パターン
改正が2年続いたため、古い情報と新しい情報が混ざりやすくなっています。典型的な誤解を整理します。
誤解1:令和8年分も令和7年分と同じ表で計算する
令和7年度改正の時点では「令和7年分・令和8年分は同じ表」と説明されていましたが、その後の令和8年度改正で令和8年分の金額が引き上げられました。令和8年分は、489万円以下104万円・489万円超655万円以下67万円・655万円超62万円で計算します。
誤解2:「令和9年分以後は58万円に戻る」と覚えている
これも令和7年度改正の時点の説明です。令和8年度改正後は、令和9年分は令和8年分と同じ表、令和10年分以後は132万円以下99万円・132万円超62万円です。
誤解3:住民税も同じ金額になると思い込む
住民税の基礎控除は43万円のままです。所得税と住民税を混同してシミュレーションすると、手取りの見積もりがずれます。
誤解4:iDeCoや小規模企業共済で489万円のラインを下回れる
区分の判定に使う合計所得金額は、所得控除を引く前の金額です。iDeCoや小規模企業共済の掛金は課税所得を下げますが、合計所得金額は下げません。区分に影響するのは、経費と青色申告特別控除です。
誤解5:「年収の壁」の議論と混同する
「年収の壁」の議論(103万円・106万円・130万円など)は、配偶者控除・社会保険の扶養など複数の制度が絡む話題で、本改正の基礎控除引上げそのものではありません。切り分けて情報を追ってください。
実践チェックリスト
令和8年分の確定申告に向けて、フリーランスエンジニアが確認すべき項目を整理しました。
自分の合計所得金額の見込み(令和8年分)を把握したか
該当する基礎控除額を国税庁 No.1199 基礎控除で確認したか
合計所得が489万円・655万円の近くにある場合、経費の計上漏れと青色申告特別控除の要件を確認したか
使用中の会計ソフトが令和8年分の改正後の金額に対応しているか確認したか
年の途中で退職した場合、前職の源泉徴収票を保管し、確定申告で合算する準備をしたか
他の所得控除(社会保険料・小規模企業共済等・医療費・住宅ローン等)の適用予定を洗い出したか
住民税の基礎控除は43万円のままと理解した上で、手取りの試算をしたか
令和10年分以後に控除が減ることを、資金計画に織り込んだか
まとめ
基礎控除の改正2026は、令和8年度税制改正で所得税の基礎控除が引き上げられたことを指します。令和8年分・令和9年分は合計所得金額489万円以下で104万円になり、フリーランスエンジニアの手取りは自分の所得区分によって影響が変わります。
令和8年分・令和9年分は、489万円以下104万円・489万円超655万円以下67万円・655万円超2,350万円以下62万円
令和8年12月1日施行、令和8年分以後の所得税に適用。確定申告は2027年に行う
489万円を超えると控除が37万円下がる段差があり、境目の近くでは経費と青色申告特別控除の確認が効く
令和10年分以後は、132万円以下99万円・132万円超62万円
住民税の基礎控除は43万円のままで、所得税とは別に計算する
個別のケースの最終判断は、税理士・所轄税務署に確認する
まずは自分の合計所得金額の見込みを確認し、区分表と照らし合わせるところから始めましょう。手取りの試算は税金シミュレーションで、確定申告実務は確定申告のやり方やe-Taxで確定申告するやり方で通しの手順を確認できます。単価面で狙える市場感を知りたい方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で確認してください。
参照した一次情報:
本記事は税制改正の概要をフリーランスエンジニア視点で整理したものです。個別ケースの税務判断は事情によって結論が変わるため、最終的な適用可否は税理士または所轄税務署にご相談ください。
よくある質問
令和8年分の確定申告はいつ提出しますか?
原則として翌年(2027年)の2月16日から3月15日までです。最新の日程は国税庁の案内で確認してください。
令和7年分と令和8年分で基礎控除額は変わりますか?
変わります。令和7年分は95万〜58万円の段階制でしたが、令和8年度税制改正により、令和8年分は合計所得金額489万円以下104万円、489万円超655万円以下67万円、655万円超2,350万円以下62万円になりました。令和9年分も令和8年分と同じ表です。
給与所得控除の最低保障額も引上げられたと聞きましたが、フリーランスに影響はありますか?
給与所得控除は給与収入がある人が対象なので、専業フリーランスには影響しません。ただし、会社員と兼業しているフリーランスや、独立した年に前職の給与がある人には関係する可能性があります。詳細は国税庁の給与所得控除の解説を確認してください。
「合計所得金額」と「総所得金額等」の違いは何ですか?
合計所得金額は各所得を合算した金額(一部の繰越控除等を差し引く前)、総所得金額等は繰越控除等を差し引いた後の金額です。基礎控除の区分判定に使うのは「合計所得金額」です。用語の違いは国税庁の各タックスアンサーで確認できます。
住民税の基礎控除も104万円になりますか?
なりません。住民税の基礎控除は原則43万円(合計所得2,400万円以下)のままです。住民税の取扱いは自治体の案内で確認してください。
青色申告特別控除65万円と基礎控除は同時に使えますか?
併用できます。青色申告特別控除は事業所得の計算段階、基礎控除は所得控除の段階で適用されます。65万円控除の適用には、複式簿記による記帳とe-Taxによる電子申告等の要件を満たす必要があります。
令和8年の途中で会社を辞めて独立しました。改正後の基礎控除は受けられますか?
受けられますが、確定申告が必要です。国税庁のQ&Aでは、令和8年の途中で退職して年末調整を受けていない人は、改正後の基礎控除等が適用されていないため、確定申告で適用を受けるとされています。前職の源泉徴収票の給与と独立後の事業所得を合算して申告してください。
開業初年度で赤字の場合、基礎控除の恩恵はありますか?
事業所得が赤字ならその年の課税所得はゼロになり、基礎控除の効果は発揮されません。ただし、青色申告なら赤字を繰り越して翌年以後の所得と相殺できる制度があります(損益通算・繰越控除)。
医療費控除も使う予定です。順序はどうなりますか?
医療費控除も基礎控除も所得控除の一種で、合計所得金額から順に差し引いて課税所得を出します。基礎控除だけを個別に見るのではなく、他の控除と合わせて計算するのが原則です(医療費控除の解説)。
令和10年分以後に備えて、何をしておけばよいですか?
令和10年分以後は、合計所得132万円超の人の基礎控除が62万円になります。令和8・9年分の減税分を恒常的な収入と見込まず、iDeCo・小規模企業共済・付加年金・国民年金基金などの所得控除枠を並行して使い、控除の総額で調整する発想が有効です。
単価アップと基礎控除、手取りへの寄与はどちらが大きいですか?
合計所得が数百万円台のフリーランスエンジニアでは、改正による減税額は数千円〜数万円程度のケースが多くあります。一方、単価が月5万円上がると年60万円の売上増になり、経費や税負担を差し引いても、基礎控除改正の減税額より手取りへの影響が大きいケースが多い傾向があります。市場単価の目安は無料のフリーランスエンジニア単価診断で確認できます。
会計ソフトの基礎控除欄が自動で切り替わるか不安です。
主要な会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生)は、税制改正への対応をアップデートで反映するのが通例です。確定申告シーズン直前に各社のリリースノートで対応状況を確認し、必要ならソフトを最新版に更新してから申告書を作成してください。
個人的なシミュレーションを税理士に依頼するときの費用感は?
税理士費用は地域・売上規模・業務範囲により大きく異なります。単発のシミュレーション相談で対応してくれる税理士もいれば、顧問契約前提のところもあります。相談前に見積もりを取り、範囲と料金を確認してから依頼するのが安全です。
年の途中で開業したら、区分はどう判定しますか?
合計所得金額は暦年(1月〜12月)で集計します。年の途中の開業でも、その年の12月31日までの所得を合算して区分を判定します。開業1年目の実務は開業1年目の確定申告ガイドを参照してください。
情報の一次ソースはどこで確認できますか?
所得税の基礎控除は国税庁 タックスアンサー No.1199 基礎控除、令和8年度の改正の適用時期や年末調整・確定申告の扱いは国税庁 令和8年度税制改正Q&Aで公表されています。個別ケースの最終判断は税理士・所轄税務署への確認を推奨します。
