開業1年目の確定申告|売上規模別の判断と提出書類【令和8年分】
最終更新日:2026/06/14
開業1年目の確定申告とは、独立した年の1月1日から12月31日までの事業所得を翌年2月16日〜3月15日に申告・納税する手続きです。売上規模で必要書類も青色/白色の判断も変わります。「いくらから申告が必要か」「青色申告にすべきか」「インボイスはどうするか」が判断しづらい開業初年度のフリーランスエンジニアに向け、売上規模別に必要な提出書類と選択肢を整理します。
先に結論
1年目の申告対象は 「開業日〜12月31日」までの所得。年の途中開業でも12月で区切る
申告要否は売上ではなく 所得ベース で判定。事業所得・他所得・各種控除を踏まえて課税対象になる場合は申告が必要
控除メリットが大きいので、1年目から青色申告承認申請書を出しておくのが基本
売上1,000万円超の年は、翌々年から消費税の課税事業者になる
開業1年目の主な書類は「開業時:開業届」「青色を選ぶ時:承認申請書」「申告期:確定申告書一式」を時期ごとに分けて押さえる
この記事でわかること
開業1年目に申告が必要かどうかの判定軸
売上規模別(〜100万/100〜500万/500〜1,000万/1,000万超)の判断と提出書類
年の途中で開業した場合の特有の論点
1年目に陥りやすい失敗パターンと回避策
目次
開業1年目の確定申告 基本ルール
売上規模別の判断フロー
売上100万円以下のケース
売上100〜500万円のケース
売上500〜1,000万円のケース
売上1,000万円超のケース
開業1年目に時期ごとに必要な主な書類
年の途中に開業した場合の注意点
開業1年目によくある失敗
1年目の確定申告 実践チェックリスト
まとめ
よくある質問
開業1年目の確定申告 基本ルール
開業1年目の確定申告は、「開業日から12月31日までの事業所得」を翌年に申告するのが原則です。途中開業でも、暦年(1月1日〜12月31日)で区切る点は変わりません。
申告対象は「令和8年分」になる人へ
本記事執筆時点で次に到来する申告シーズンは2027年2〜3月であり、対象は 令和8年分(2026年1月1日〜12月31日) の所得です。2026年に開業した人は、2027年2月16日〜3月15日までに令和8年分の確定申告を行います。期限を過ぎたシーズン(令和7年分)はすでに終了しているため、これから開業する人は令和8年分を基準に準備します。
詳細は国税庁の確定申告特集ページで公式の案内を確認できます。
申告期限は原則3月15日(土日補正あり)
所得税の申告期限は 原則として翌年3月15日です。3月15日が土曜・日曜・祝日にあたる年は翌営業日にずれます。納税も同日が期限となるため、現金の準備も同時並行で進めます。e-Taxを使うと、申告期限ぎりぎりでも電子提出が可能です(システムメンテナンス時間を除く)。
年の途中開業でも12月で締める
「8月に開業したから来年8月までが1年目?」と誤解しやすいですが、所得税は 暦年単位 です。8月開業なら、その年の8月〜12月までの所得が1年目の申告対象になります。翌年1月以降は2年目に入ります。
開業の手続き全般はフリーランスエンジニアのための開業届ガイドで詳しく解説しています。
ミニFAQ:開業日と申告期間
Q. 開業届を出していなくても申告は必要ですか?
A. 開業届の有無と確定申告の要否は別問題です。事業所得が一定額を超えれば、開業届未提出でも申告義務はあります。ただし青色申告で65万円控除を受けるには事前の承認申請が必要なので、開業届とセットで早めに提出するのが実務的です。
Q. 開業前の準備期間に使った費用も1年目に入れていいですか?
A. 開業前に支出した費用のうち、事業のために直接必要だったものは「開業費」として繰延資産に計上できます。任意償却が可能なため、利益が出た年に経費化することで節税につながります。
売上規模別の判断フロー
申告が必要かどうか自体は売上ではなく所得ベースで判定します。ここでは実務上の論点整理のために売上帯で分けています。 売上規模が大きくなるほど、青色申告のメリットや消費税の判定など、検討すべき論点が増えるためです。下表で全体像を把握してから、自分の帯のセクションへ進んでください。
売上規模(年間) | 申告の要否 | 青色申告の推奨度 | 消費税 | 主な追加論点 |
|---|---|---|---|---|
〜100万円 | 所得が48万円超なら原則必要 | 中(少額でも控除10万円〜は使える) | 不要 | 雑所得との区別 |
100〜500万円 | 原則必要 | 高 | 不要 | 青色65万円控除のフル活用 |
500〜1,000万円 | 必要 | 高 | 1年目は不要・2年目以降に判定 | 国保・国民年金の負担増 |
1,000万円超 | 必要 | 高 | 翌々年から課税事業者 | 法人化・インボイス本格対応 |
「自分はどこの帯か」をまず確認し、該当セクションを読み進めるのがおすすめです。なお、ここでの売上は事業全体の年間総売上を指し、給与所得や雑所得は別に扱います。
入口の判定:申告が必要か不要か
事業所得(売上から必要経費を差し引いた額)と他の所得(給与・雑所得等)を合算した課税所得が、所得控除を差し引いてもプラスになる場合は、所得税の確定申告が原則必要です。令和8年分でも、合計所得金額2,400万円以下なら基礎控除48万円が基本 となります。最新の適用条件は国税庁の基礎控除案内(No.1199)で確認してください。
事業所得が小さい場合でも、住民税の申告が別途必要になる自治体があるほか、源泉徴収された報酬がある人は確定申告で還付を受けられるケースもあります。市区町村の案内と源泉徴収の有無を確認しておきます。
売上100万円以下のケース
売上100万円以下は、開業初年度として 数か月だけ稼働した人や、副業から本格独立に移った人 に多い帯です。
申告は必要?基礎控除との関係
売上から経費を引いた 事業所得が基礎控除を踏まえて課税対象になるか が判断のスタートです。給与所得など他の所得がある人は、合算したうえで判定します。所得が小さくて所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になる場合があります。また、源泉徴収された報酬がある場合は、確定申告で還付を受けられる可能性があるため、所得が少なくても申告したほうが得なケースが多くなります。
1年目から青色申告にする価値はあるか
売上が小さくても、1年目から青色申告承認申請書を出しておく価値はあります。理由は次の通りです。
青色申告特別控除(要件に応じて65万円・55万円・10万円)を翌年以降にすぐ使える
純損失の繰越控除(3年間)が使えるため、1年目の赤字を翌年以降の黒字と相殺できる
家族への給与(青色事業専従者給与)を必要経費に算入可能(届出・適正額が必要)
青色申告特別控除は要件に応じて控除額が3段階あります。65万円控除には 複式簿記での記帳+e-Taxによる電子申告(または優良な電子帳簿保存) などの要件を満たす必要があります。電子申告等の要件を満たさない場合は55万円、簡易簿記なら10万円控除です。制度の詳細は国税庁の青色申告特別控除(No.2072)で確認できます。
提出書類
確定申告書(第一表・第二表)
青色申告決算書(青色申告の場合)/収支内訳書(白色申告の場合)
源泉徴収票(給与所得も併用する場合)
控除証明書(生命保険・国民年金・小規模企業共済等の関連書類)
控除額や帳簿要件の差は青色申告と白色申告の違いで整理しています。
売上100〜500万円のケース
開業1年目で最も多い帯がこのレンジです。実務経験が浅めのエンジニア、副業から本格移行した人、家庭の事情で稼働を抑えた人などが該当します。
青色申告特別控除をフル活用する
この帯では、要件を満たせば青色申告特別控除65万円のメリットが大きく効きます。要件を満たさない場合でも55万円または10万円の控除が選択肢になります。所得が300万円なら、65万円控除によって所得税・住民税・国保の課税ベースが大きく下がります。
控除額 | 必要な要件 |
|---|---|
65万円 | 複式簿記+e-Tax電子申告(または優良な電子帳簿保存) |
55万円 | 複式簿記での記帳のみ(e-Tax未使用) |
10万円 | 簡易簿記での記帳 |
会計ソフト(freee/マネーフォワード/弥生など)を使うと、要件対応(複式簿記での記帳・電子申告など)を進めやすくなります。ただし、ソフト導入だけで65万円控除の要件が満たされるわけではなく、帳簿付け・申告方法・保存要件などの実務運用も必要です。簿記の経験がなければ初年度は会計ソフトを使い、運用面まで含めて条件を確認するのが現実的です。
経費計上のポイント
エンジニア特有の経費は、案件獲得から納品まで広く認められるものがあります。
開発機材(PC・モニター・キーボード等)
通信費(自宅Wi-Fi・モバイル回線)
サブスクリプション(GitHub Copilot・ChatGPT・JetBrains等)
書籍・オンライン学習
コワーキングスペース利用料
自宅兼事務所の家賃や通信費は 家事按分 が必要です。業務時間や使用面積を根拠に按分割合を説明できるようにしておきます。具体例は家事按分の計算式と按分例で整理しています。
提出・準備しておく書類
確定申告で税務署に提出するものと、手元で保管するものを分けて整理しておきます。
確定申告書(第一表・第二表)
青色申告決算書(4ページ:損益計算書・内訳・貸借対照表)
控除証明書(国民年金・国民健康保険・生命保険等)
源泉徴収票(給与所得を含む場合)
開業届の控え(提出物ではなく手元保管。屋号付き口座開設や補助金申請で必要)
経費の根拠資料(請求書・領収書・銀行口座の取引履歴)は 原則として複数年の保存義務 があり、青色申告では7年保存が必要になる書類もあります。保存年数の詳細は書類の種類で分かれるため、国税庁の帳簿書類等の保存義務で確認します。電子データで受け取った請求書は電子帳簿保存法の対応も必要です。
ミニFAQ:100〜500万円帯のよくある疑問
Q. 売上300万円・経費80万円なら、青色申告でいくら手取りが変わりますか?
A. 課税所得ベースで65万円下がるため、所得税・住民税の合算税率を仮に20〜25%とすると、年13〜16万円の節税効果が見込めます。会計ソフト費用(年1〜3万円)を引いてもプラスです。
売上500〜1,000万円のケース
実務経験のあるエンジニアが独立した1年目で見られる帯です。公開案件でよく見られる月単価帯や稼働率によっては到達しうるレンジで、案件種別・稼働率・商流によって変動します。
消費税は1年目は基本不要・2年目以降に判定
開業1年目の個人事業主は、原則として前々年の売上がないため免税事業者 です。例外として、次のいずれかに当てはまる場合は1年目から課税事業者となります。
適格請求書発行事業者(インボイス)として登録した
「課税事業者選択届出書」を提出した
インボイス登録の判断は、取引先(クライアント企業)の意向によって変わります。クライアントがインボイス登録を求めるケースも多いため、契約時に確認しておきます。制度の詳細は国税庁の消費税の納税義務(No.6501)で確認でき、フリーランス向けの整理はフリーランスエンジニアの消費税を参照してください。
国保・国民年金の負担増
売上500万円を超えると、所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金(含む付加年金)の合計が手取りに大きく影響します。国保は所得連動で算定されるため、申告した所得がそのまま翌年の保険料に響きます。
概算例(所得600万円・独身・扶養なし・東京都の一例)
負担項目 | 概算 |
|---|---|
所得税 | 約77万円 |
住民税 | 約60万円 |
国民健康保険 | 約65〜90万円(自治体差大) |
国民年金 | 約20万円 |
※独身・扶養なし・各種控除を一定額計上したケースの概算です。自治体や年齢、加入制度(組合健保・任意継続等)で大きく変わるため、詳細は税理士・社労士等にご確認ください。具体的なシミュレーションはフリーランスエンジニアの税金シミュレーションで確認できます。
提出書類
確定申告書(第一表・第二表)
青色申告決算書
控除証明書一式
源泉徴収票(給与所得を含む場合)
適格請求書発行事業者の登録通知書のコピー(インボイス登録済みの場合)
売上1,000万円超のケース
1年目から年商1,000万円を超えるケースは少数派です。上流工程・PM/テックリード経験がある人や、専門性の高い案件を複数持てる人では到達する可能性があります。
翌々年から消費税の課税事業者になる
1年目の課税売上高が1,000万円を超えると、翌々年(3年目)から消費税の課税事業者 となります。2026年に1,000万円超なら、2028年から課税事業者です。インボイス登録済みであれば、登録時点から課税事業者になる点に注意します。
法人化の検討タイミング
売上規模が大きくなると、法人化(株式会社・合同会社)の検討が現実的になります。法人化のメリットは「役員報酬の給与所得控除」「経費の幅」「対外的な信用」などですが、社会保険料の負担増・事務コスト増もあるため、税理士に試算を依頼するのが安全です。
法人化の判断軸はフリーランスエンジニアの法人化・マイクロ法人とはで詳しく整理しています。
提出書類
確定申告書(第一表・第二表)
青色申告決算書
控除証明書一式
適格請求書発行事業者の登録通知書のコピー
翌々年からの消費税申告に備えた帳簿の整備(区分記帳・適格請求書の保存)
開業1年目に時期ごとに必要な主な書類
開業届・青色申告承認申請書・確定申告書は、提出タイミングも提出先での扱いも異なります。「申告期に3点まとめて出す」と誤解しないよう、時期ごとに整理します。期限を逃すと、その年は青色申告が選択できないなどの不利益が出ます。
開業時:開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)
事業の開始等の事実があった日から原則1か月以内 に税務署へ提出します。提出が遅れても罰則はありませんが、屋号付き銀行口座の開設や各種補助金の申請で控えを求められるため、早めに出します。国税庁の新たに事業を始めたときの届出(No.2090)で正式な手続き要件を確認できます。
青色申告を選ぶとき:青色申告承認申請書
青色申告を選択するには、対象年分の 3月15日まで に承認申請書を提出します。1月16日以降に新たに事業を始めた場合は、事業開始日から 2か月以内 が期限です。期限を逃すとその年は白色申告となり、翌年から青色申告に切り替えるかたちになります。65万円控除を受けるには、申請に加えて複式簿記・電子申告などの要件も満たす必要があります。
申告期:確定申告書一式
翌年2月16日〜3月15日に税務署またはe-Taxで提出します。e-Taxでの提出はe-Taxで確定申告するやり方で操作手順を整理しています。
その他、給与所得との合算がある場合は 源泉徴収票、社会保険料控除を受ける場合は 国民年金・国民健康保険の控除証明書 を準備します。
年の途中に開業した場合の注意点
会社員から独立したケースでは、開業前の給与所得・退職金との合算が必要になります。
給与所得との合算
退職前に受け取った給与は、勤務先が交付する 源泉徴収票 に基づいて確定申告書に記載します。給与所得と事業所得を合算した課税所得に対して、所得税が計算されます。住民税は前年(独立前)の所得を基準に翌年6月から徴収されるため、独立直後は住民税の現金準備も必要です。
退職金の扱い
退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出していれば、多くの場合は源泉徴収で課税関係が完結します。申告書を提出していないまま退職金を受け取った場合などは、確定申告で精算が必要になることがあります。
開業前経費(開業費)の整理
開業準備期間の支出のうち、開業準備のために直接かかった費用は 開業費 として繰延資産に計上できることがあります。任意のタイミングで償却できるため、1年目で利益が出なかった場合は翌年以降に経費化することで節税に活用できます。具体例:
開業前の名刺・印鑑作成費
開業前に購入した書籍・スクール代
開業の打ち合わせのための交通費
ただし、開業前に購入したPCなど 10万円以上の固定資産 は減価償却資産として、仕入や前払費用は別の処理として扱うのが基本です。支出ごとに処理が分かれるため、領収書を整理する段階で分類しておきます。
勘定科目別の判断基準はフリーランスエンジニアが経費にできるもの一覧で整理しています。
開業1年目によくある失敗
実務でつまずきやすいポイントを3つに絞って解説します。
失敗1:青色申告承認申請書の期限切れ
「とりあえず開業届だけ出して、青色申告は来年から」と考えてしまうケースが多いです。1月16日以降の開業なら 開業日から2か月以内、それ以前の事業者なら 3月15日まで に申請しないと、その年は白色申告になります。65万円控除を1年逃すと節税効果も1年遅れます。
開業届と同時に承認申請書も提出するのが最も確実です。
失敗2:開業前経費を全部その年の経費に入れてしまう
開業前の支出は、開業費にできるものと、固定資産・仕入・前払費用など別処理になるものを分けて整理するのが基本です。すべて1年目の必要経費に入れてしまうと、税務調査で否認される可能性があります。請求書・領収書の日付と、開業日との関係を整理しておきます。
失敗3:赤字を給与所得と相殺できないと諦める
1年目が赤字で、同年に給与所得(前職分)がある場合、事業所得の赤字を給与所得と 損益通算 できるケースがあります。ただし、適用には事業としての実態(帳簿、営利性、継続性、独立性など)が認められることが前提です。雑所得扱いだと損益通算できないため、事業所得としての要件を満たす運用と、税理士への相談が安全です。
1年目の確定申告 実践チェックリスト
開業から確定申告までの流れを時系列で整理しました。年内にできることを早めに片付けるのが、申告期に慌てないコツです。
開業時(〜開業後2か月)
[ ] 開業届を税務署へ提出
[ ] 青色申告承認申請書を提出
[ ] 屋号付き銀行口座を開設(任意)
[ ] 事業用クレジットカードを準備
[ ] 会計ソフトを契約
開業中(毎月)
[ ] 請求書を発行・保存
[ ] 領収書・レシートを月次でデータ化
[ ] 会計ソフトに取引を入力
[ ] 銀行口座・カード明細を会計ソフトと連携
年末(12月)
[ ] 12月末で帳簿を締める準備
[ ] 国民年金・国民健康保険・生命保険の控除証明書を整理
[ ] 経費の漏れがないか月次データを確認
[ ] 来年のインボイス登録・課税事業者選択の判断
申告期(翌年1〜3月)
[ ] 1月:青色申告決算書を作成
[ ] 2月:確定申告書を作成・記入
[ ] 2月16日〜3月15日:e-Taxまたは税務署窓口で申告
[ ] 納税(口座振替の場合は4月引落)
まとめ
開業1年目の確定申告は、「申告対象期間(開業日〜12/31)」「申告期限(翌年3/15)」「青色申告承認申請書の早期提出」の3つを押さえれば全体像が見えます。
売上規模で論点が変わる:〜100万・100〜500万・500〜1,000万・1,000万超の4帯で判断する
1年目から青色申告承認申請書を出しておくと、控除メリット・赤字繰越メリットが翌年以降にすぐ効く
開業届・青色申告承認申請書・確定申告書一式の3点セットを期限内に提出する
売上1,000万円超なら翌々年から課税事業者、法人化検討は税理士相談が前提
開業前経費(開業費)と1年目の必要経費は分けて整理する
開業初年度は不安が大きい時期ですが、シンプルなケースなら会計ソフトと一次情報の活用で独力でも対応可能です。一方で、消費税・損益通算・法人化判断は税理士に確認してから動くのが安全です。まずは記帳と書類保存を毎月継続することが、翌年以降の節税効果にもつながります。
次のステップとして、青色申告の手続きは青色申告と白色申告の違い、e-Tax操作はe-Taxで確定申告するやり方、独立全般の流れはフリーランス確定申告が初めての人向け完全ガイドを参考にしてください。
参照元・一次情報リンク
※本記事は情報提供を目的としており、個別の税務判断は税理士等の専門家にご相談ください。
よくある質問
Q1. 開業1年目で売上ゼロでも、開業届を出していれば申告は必要ですか?
売上ゼロで事業所得がマイナス(経費のみ)の場合、申告義務はありませんが、青色申告で純損失を翌年以降に繰り越したい場合は申告したほうが有利です。3年間繰越控除ができるため、翌年以降の黒字と相殺できます。
Q2. 会社員時代の副業所得(雑所得)と、独立後の事業所得は合算できますか?
同じ「令和8年分」の中で、副業期間の雑所得と独立後の事業所得は別の所得区分として申告します。雑所得は損益通算の対象外ですが、事業所得は給与所得との損益通算が可能です。所得区分の判定は実態(継続性・反復性・収益性)で判断されます。
Q3. 開業届を出さずに開業1年目を過ごしましたが、青色申告は使えますか?
新たに事業を始める場合は、通常、開業届とあわせて青色申告承認申請書を提出します。承認申請書を期限内に出していなければ、その年は白色申告のみとなります。翌年以降の青色申告を目指すなら、3月15日までに承認申請書を提出します。
Q4. インボイス登録は1年目から必要ですか?
必須ではありません。取引先がインボイス(適格請求書)を求めるかどうかで判断します。エージェント経由の案件ではインボイス登録を推奨されるケースが多く、直案件では取引先の意向を確認するのが実務です。
Q5. 開業1年目に税理士に依頼すべきですか?
売上規模・帳簿の複雑さ・本業の忙しさで判断します。地域・売上規模・業務範囲により費用は大きく異なるため、複数の税理士に見積りを依頼するのが基本です。会計ソフトで完結できる規模なら、初年度は自力で挑戦する選択肢もあります。
Q6. 売上が振り込まれるのは年明けですが、12月の請求はどの年の売上ですか?
原則は 発生主義 で、役務提供の完了時点や契約上の計上基準で判断します。請求書発行月と必ずしも一致せず、検収日や契約条件で計上タイミングが分かれる場合もあります。12月に作業が完了している契約であれば、12月の売上として計上するのが基本です。判断に迷う場合は税理士に相談してください。
Q7. 開業1年目の赤字を翌年に繰り越すには?
青色申告で確定申告書を提出すると、純損失を 3年間繰り越し て翌年以降の黒字と相殺できます。白色申告では原則として繰越できません。1年目が赤字でも、青色申告で申告するメリットは大きくなります。
Q8. 開業1年目に消費税の還付を受けたい場合はどうしますか?
機材購入などで大きな設備投資があり、消費税の還付を受けたい場合は「課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になる選択肢があります。ただし、一定期間は免税事業者に戻れないなどの制約があるため、長期視点での試算が必要です。適用時期や届出の取りやめ要件の詳細は国税庁の消費税の課税事業者選択(No.6629)で確認できます。
Q9. 開業1年目から法人化したほうが得になるケースはありますか?
売上規模・経費構造・社会保険の状況により異なります。目安として言われることが多い年商800万〜1,000万円ラインも、役員報酬・社会保険・事務コスト等で大きく変わります。短期的な税負担だけでなく、信用力・取引先の要件まで含めて判断するため、税理士相談が前提です。
Q10. 確定申告を3月15日までに間に合わせられない場合はどうなりますか?
期限後申告となり、無申告加算税・延滞税が課されるケースがあります。詳細は期限後申告とはで計算式とリカバリ手順を整理しています。e-Taxを使えば申告期限ぎりぎりでも提出可能なので、書類が揃った時点で早めに動きます。

