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ネットワークエンジニアの年収|会社員とフリーランスの差と上げ方

キャリア・職種

最終更新日:2026/10/29

ネットワークエンジニアの年収|会社員とフリーランスの差と上げ方

ネットワークエンジニアの年収は、調べる統計によって440万円台から889万円まで振れます。職業分類の置かれ方が違うためです。本記事では公的統計の原典と、フリーランスの月額単価を会社員の額面年収に換算した数字を並べ、自分がどの水準にいるかを判断できる状態にします。

先に結論

  • ネットワークエンジニアの年収は、調べる先によって約450万円・約610万円・約889万円の3つの数字が出てきます。どれも誤りではなく、母集団と職業分類が違うだけです

  • 厚生労働省のjob tagでは、ネットワーク管理者は平均年収609.8万円の「運用・管理(IT)」に分類されます。設計・構築まで担うと平均889万円の「システムエンジニア(基盤システム)」側の分布に近づきます

  • フリーランスの月額単価は、フリコン掲載案件で平均76万円、中央値70万円。平均は上振れするため、自分の期待値は中央値で置いたほうが安全です

  • 月70万円は、稼働月数・経費・社会保険の事業主負担分を補正すると会社員の額面年収で約630万円相当にとどまります

  • ネットワーク領域はフルリモート可の案件が5%と少なく、働く場所の制約が単価と生活設計の両方に効いてきます

この記事でわかること

  • ネットワークエンジニアの年収で3つの異なる数字が出回る理由と、どれを自分の基準にすべきか

  • フリーランスの月額単価を会社員の額面年収に換算する4ステップと早見表

  • 平均単価ではなく中央値を見るべき理由と、単価分布の実データ

  • 担当工程・技術領域・リモート条件の3軸で年収を上げる筋道

  • ネットワーク固有の年収が下がるパターン(夜勤手当の誤認、単一ベンダー固定)

対象読者は、実務経験1年以上のネットワークエンジニア、およびネットワーク領域での独立を検討している会社員エンジニアです。仕事内容や必要スキルの全体像はネットワークエンジニアとは?仕事内容・必要スキル・年収と単価相場を解説【2026年版】、レイヤー別の単価レンジの詳細はネットワークエンジニアのフリーランス単価相場|レイヤー別レンジと単価を上げる要件で扱っています。本記事は会社員年収とフリーランス年収の比較に絞ります。

目次

  • ネットワークエンジニアの年収で3つの数字が出回る理由

  • 「ネットワークエンジニアは年収が低い」と言われる構造

  • フリーランスネットワークエンジニアの月額単価はいくらか

  • 月額単価を会社員の額面年収に換算する4ステップ

  • 会社員とフリーランス、どちらが手取りで有利か

  • ネットワークエンジニアが年収を上げる3つの筋道

  • 年収が下がるケースと注意点

  • ケース別・年収の目安(担当工程と技術領域で見る)

  • まとめ

  • よくある質問

ネットワークエンジニアの年収で3つの数字が出回る理由

結論から言うと、ネットワークエンジニアという職種名に対応する単一の公的統計は存在しません。検索して出てくる数字は、それぞれ別の母集団を集計したものです。主要な3つを並べます。

数字の出どころ

平均年収

母集団

job tag「運用・管理(IT)」

609.8万円

賃金構造基本統計調査(令和7年)。別名に「ネットワーク管理者」を含む

job tag「システムエンジニア(基盤システム)」

889万円

同上。別名は「インフラエンジニア」「ITアーキテクト」

転職サービス各社の公開集計

概ね450万〜500万円程度

各社の登録者・求人票。集計時点と職種定義は各社で異なる

job tagは厚生労働省の職業情報提供サイトで、上表の平均年収は令和7年賃金構造基本統計調査を加工した値です。数値は2026年10月29日時点で各職業ページに掲載されているものを参照しました。有効求人倍率と求人賃金は令和7年度の値で、運用・管理(IT)が2.2倍・月額31.8万円、基盤システムが2.24倍・月額35.3万円と記載されています。

なお3行目の転職サービス各社の数字は、特定の調査を指すものではありません。各社が自社の登録者データや掲載求人をもとに公開している集計値で、調査時点・対象者・職種の定義がそろっていないため、本記事では「公的統計より低めに出る傾向がある」という事実の確認にとどめ、具体的な比較には使いません。

「ネットワーク管理者」が609.8万円側に置かれている事実

ここが実務感覚とのズレを生みます。job tagの職業区分を見ると、「ネットワーク管理者」という別名が明記されているのは、平均年収609.8万円の運用・管理(IT)のほうです。サーバー管理者、システム運用オペレーター、システム保守員と同じ区分に入っています。

一方で、ネットワーク設計やアーキテクチャ策定を担う立場は、基盤システムエンジニア(889万円)側の実態に近くなります。つまり同じ「ネットワークエンジニア」でも、job tag上は2つの区分にまたがるわけです。職種名で統計を引いた瞬間に、運用寄りの数字を掴まされる構造になっています。

転職サービスの450万円前後はなぜ低いのか

転職サービス各社の集計では、450万円台から500万円手前という数字がよく見られます。企業規模が小さいほど低く出る集計もありますが、これらは各社が自社データをもとに公開しているもので、調査名や対象期間が明示されていないケースも少なくありません。数字をそのまま持ち出す前に、出典元のページで集計対象と時点を確認してください。

こうした集計が公的統計より低めに出る理由として考えられるのは、求人票の提示額と、そのサービスに登録している層の構成を反映しているためです。ネットワーク領域は運用・監視の求人件数が多く、母集団が運用側に寄ります。賃金構造基本統計調査が企業規模10人以上の事業所に雇用される常用労働者を広く対象にしているのに対し、転職サービスは「いま転職市場に出ている求人」を集計対象にしている、という違いです。

どの数字を自分の基準にするかは、肩書きではなく担当範囲で決めます。 手順書に沿った監視・一次対応が中心なら609.8万円側、要件を受けてネットワーク構成を設計し、機器選定から構築・移行まで持っていく立場なら889万円側の分布に近づきます。

全職種平均と比べた位置

国税庁の令和7年分 民間給与実態統計調査によると、給与所得者5,163万人の平均給与は487万円、正社員(正職員)に限ると559万円です。

この基準で見れば、job tagの運用・管理(IT)609.8万円でも全体平均は上回っています。「ネットワークエンジニアは年収が低い」という評価は、全職種との比較ではなく、同じIT業界のアプリケーション開発職や上流設計職と並べたときの相対評価として語られているものです。

ミニFAQ:年代別の平均年収はどこで見られますか。 job tagの各職業ページに年齢階級別の賃金グラフがあり、職業区分ごとに確認できます。本記事で年代別の章を設けていないのは、ネットワーク領域では年齢よりも担当工程と扱う技術領域のほうが年収への効き方が大きいと考えられるためです。平均年齢42.2歳の運用・管理(IT)が、平均年齢38.3歳の基盤システムより約280万円低いという並びが、その手がかりになります。

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「ネットワークエンジニアは年収が低い」と言われる構造

この評価には根拠のある部分とそうでない部分が混ざっています。ネットワーク固有の事情として押さえておくべきなのは次の2点です。

監視・運用の比重が他領域より大きい

ネットワークは「止まらないこと」が価値の中心にある領域です。そのため24時間365日の監視体制が組まれ、手順化された定常業務のポジションが構造的に多く生まれます。

手順化が進んだ業務は、担当者が入れ替わっても品質が落ちにくい設計になっています。裏返すと、個人のスキルが給与や単価に反映されにくい。job tagでは運用・管理(IT)の平均年齢が42.2歳でありながら、平均年齢38.3歳の基盤システムより平均年収が低く出ています。これは区分ごとの集計値を並べた結果であって、同一人物の年収推移を追ったデータではありません。ただし年齢を重ねるだけでは年収が上がりにくい領域である可能性を示す材料にはなります。

商流の深さが取り分を削る

ネットワーク構築案件は、エンドユーザー企業から通信キャリア・SIer・一次請け・二次請けと階層を経て現場に届くことが珍しくありません。階層ごとに管理費が抜かれるため、同じ作業でも契約の入り口がどこかで手取りが変わります。

この構造は会社員でもフリーランスでも共通ですが、フリーランスの場合は取引先やエージェントを見直すことで商流を浅くできる余地があります。案件を比較する際の判断軸は案件の選び方|フリーランスエンジニアが単価・稼働・スキルで決める優先順位で整理しています。

フリーランスネットワークエンジニアの月額単価はいくらか

掲載案件で見る単価の分布

フリコンがネットワークエンジニア職種で掲載している案件は、2026年10月時点で1,904件です。この母集団での月額単価は次のとおりでした。

項目

値

平均単価

76万円/月

中央値

70万円/月

最多価格帯

70〜80万円(660件・全体の約35%)

月100万円以上の案件比率

約9%

この数字の母集団は、2026年10月29日時点でフリコンに掲載中の公開案件のうち、職種ファセット「ネットワークエンジニア」に該当する1,904件です。性質を4点補足します。第一に、掲載時の提示単価であって成約金額ではありません。第二に、単価はいずれも税別の月額表記で、幅のある提示(例:70〜80万円)は帯の集計に含めています。第三に、単価非公開の案件は平均・中央値の算出から除いています。第四に、稼働条件(週5日常駐/週3日/一部リモート)や精算幅が案件ごとに異なる状態での単純集計であり、市場全体の平均ではありません。

同じ理由で、他社メディアが出している単価平均と直接比較することもできません。掲載サービスごとに扱う案件のレイヤーが違うためです。

平均ではなく中央値を自分の期待値に置く

ここが本記事で強調したい点です。平均単価76万円に対し、中央値は70万円。6万円の差は、少数の高単価案件が平均を引き上げていることを意味します。

分布を帯ごとに見ると次のようになります。

月額単価帯

件数の目安

50万円以下

約55件

50〜60万円台

約450件

70〜80万円台

約1,030件

90〜100万円台

約260件

110万円以上

約110件

件数が最も厚いのは70〜80万円の帯です。一方で月100万円以上の案件は全体の約9%にとどまります。「平均76万円だから自分も76万円」ではなく、「中間層は70万円前後、そこから上に行くには条件が要る」と読むのが実態に近いわけです。

掲載案件のタイトルを見る限り、ネットワーク設計・構築、運用保守、機器刷新・更改、Cisco機器対応、セキュリティ対策、クラウドネットワークといった領域に分かれています。レイヤー別の単価レンジと、どの要件が単価を押し上げるかはネットワークエンジニアのフリーランス単価相場|レイヤー別レンジと単価を上げる要件に詳しくまとめました。

リモート条件が他領域より厳しい

ネットワーク固有の制約として、フルリモート可の案件は全体の約5%、一部リモートを含めても約27%です。機器の設置・結線・現地切り替え作業が発生する以上、物理的にリモート化できない工程が残ります。

これは年収の話と無関係ではありません。居住地から通える範囲に案件がなければ、単価帯の選択肢がそのまま狭まるためです。リモート案件の実態はフリーランスエンジニアのリモート案件の実際|フルリモート・一部リモート・常駐の割合と条件の違い、常駐とリモートの比較は客先常駐とフルリモート案件の違い|単価・働き方・向いている人で選ぶで扱っています。

「単価×12」が年収として出回る理由

フリーランス向けの記事では、月額単価を単純に12倍した数字が「年収」として提示されがちです。平均月単価62万円で年収約744万円、といった形です。会社員の平均と並べると、独立するだけで年収が跳ね上がるように見えます。

しかしこの数字には3つの要素が入っていません。稼働していない月、事業の経費、そして会社が払っていた社会保険料の事業主負担分です。順に補正していきます。

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月額単価を会社員の額面年収に換算する4ステップ

ここが本記事の中心です。月額単価は、そのままでは会社員の額面年収と比較できません。 比較可能な数字に直す手順を示します。

先に用語を揃えます。本記事では「月額単価」は税別の契約単価、「売上」は月額単価に稼働月数を掛けた金額、「会社員の額面年収」は税金と社会保険料を引く前の給与・賞与の合計を指します。手取りはここからさらに税・社会保険料を引いた金額で、別の数字です。

ステップ1:稼働月数を12か月で見ない

契約は3か月更新が一般的で、更新されなければ次の参画まで空白が生まれます。案件探しから参画までは、面談と条件調整を含めて2週間から1か月程度かかるケースが多くなります。

初年度や案件を切り替えた年は、年間11か月稼働で見積もるのが現実的な線です。月70万円なら、年間売上は840万円ではなく770万円になります。

ステップ2:消費税を年収から切り離す

提示単価が税別の場合、消費税は別途受け取ります。ただし課税事業者であれば納付義務があり、手元には残りません。免税事業者や2割特例の適用があれば一部が残りますが、金額は事業者ごとに変わります。

年収として会社員と比べるなら、消費税は計算から外すのが筋です。判定方法はフリーランスエンジニアの消費税|インボイス・課税事業者判定・簡易課税まで解説を参照してください。

ステップ3:経費を引く

検証用の機器やライセンス、書籍、通信費、交通費、会計ソフト、資格の受験・更新費用。ネットワーク領域はベンダー資格の維持コストが継続的に発生する点が特徴です。

ここでは年間40万円を置いて計算します。実際の金額は働き方で変わるため、自分の実績値に置き換えてください。

ステップ4:会社員側の「見えない人件費」を足し戻す

ここが抜けやすいところです。会社員の額面年収には、会社が別途負担している社会保険料(事業主負担分)が含まれていません。健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の事業主負担を合計すると、おおむね額面の15%前後になります。料率は年度・都道府県・業種によって変わります。

フリーランスの売上には、この事業主負担に相当する部分も含まれています。つまり売上と額面年収を直接並べると、フリーランス側が15%ほど過大に見えます。会社員の額面年収に換算するには、経費を引いた金額を1.15で割り戻すという操作が必要です。

計算式にすると次のとおりです。

会社員の額面年収への換算額 =(月額単価 × 稼働月数 − 年間経費)÷ 1.15

これを単価帯ごとに当てはめた早見表が以下です。稼働11か月・年間経費40万円・事業主負担相当15%を置いた概算である点を押さえたうえで読んでください。

月額単価(税別)

単価×12(よく見る数字)

会社員の額面年収に換算した目安

差

50万円

600万円

約440万円

−160万円

60万円

720万円

約540万円

−180万円

70万円(掲載中央値)

840万円

約630万円

−210万円

76万円(掲載平均)

912万円

約690万円

−222万円

90万円

1,080万円

約830万円

−250万円

100万円

1,200万円

約920万円

−280万円

120万円

1,440万円

約1,110万円

−330万円

前提条件は、稼働11か月・年間経費40万円・事業主負担相当15%です。独身・扶養なし、消費税は手元に残らない想定で計算しています。退職金や企業年金がない分は含めていないため、長期で見るとさらに差は縮まります。

この表はあくまで比較用の概算です。 実際の金額は、扶養の有無、自治体、加入している保険制度、消費税の課税区分、経費の実績で大きく変わります。独立するかどうかを金額で判断する段階では、税理士や社会保険労務士に自分の条件で試算してもらってください。

この表を公的統計と並べると位置関係がはっきりします。掲載中央値の月70万円は換算で約630万円。job tagの運用・管理(IT)609.8万円をわずかに上回る程度で、基盤システムの889万円には届きません。独立すれば自動的に上流職の年収を超える、という構図ではないわけです。889万円の水準に並ぶには、月額単価で105万円前後が必要になります。これは掲載案件の上位9%の帯です。

手取りベースでの比較や税額の目安はフリーランスエンジニアの税金シミュレーション|年収500万〜2000万の手取り・計算方法を解説、時給に直した比較は月単価の時給換算と会社員年収の比較|業務委託の実質時給計算式で扱っています。

自分がどの単価帯を狙えるのかを先に知りたい場合は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で市場単価の目安を確認できます。

ミニFAQ:経費を引く前の売上と、会社員の額面年収を比べてはいけないのですか。 比べること自体は可能ですが、意味のある比較にはなりません。売上には会社が負担していた保険料分と事業の原価が混ざっているためです。「自分の労働に対していくら払われているか」を見たいなら、ステップ3と4の補正を入れてください。

会社員とフリーランス、どちらが手取りで有利か

本記事の換算で見ると、月額単価が90万円を超えるあたりからフリーランス側の額面換算額が会社員の上流職の水準に近づきます。 ただし手取りで有利になるかは別の問題です。扶養の有無、加入する健康保険、経費の実績、退職金制度の有無で結果が変わるため、単価だけでは決まりません。稼働が年間を通して埋まることも前提になります。

比較軸

会社員

フリーランス

収入の安定性

稼働がなくても給与が出る

契約が切れれば収入はゼロ

社会保険

保険料の半分を会社が負担。厚生年金に加入

国民健康保険・国民年金。保険料は全額自己負担

退職金・企業年金

制度がある会社では上積みになる

iDeCo・小規模企業共済等で自分で積む

夜勤・待機の扱い

手当として給与に加算される

単価に織り込まれる形が中心

資格の取得費用

会社負担のケースが多い

原則として自己負担(経費算入は可能)

単価の上げ方

評価制度と昇給幅に依存

契約更新のたびに交渉の余地がある

下振れリスク

減給は限定的

案件終了・更新見送りで一気に落ちる

ネットワーク領域で見落とされやすいのが、ベンダー資格の取得・更新費用です。会社員であれば受験料や更新費用を会社が負担する例が多い一方、フリーランスは自己負担になります。経費には算入できますが、キャッシュアウトは発生します。資格の実務的な位置づけはCCNAとは|難易度・受験料・勉強法・案件への影響をフリーランスエンジニア視点で解説で整理しています。

社会保険料の自己負担も独立後に効いてくる差です。負担感の下げ方は国民健康保険が高いと感じたフリーランスエンジニアの対策|組合健保・任意継続・マイクロ法人まで解説、年金の積み増しはフリーランスエンジニアの年金対策|国民年金・iDeCo・小規模企業共済・国民年金基金の違いと選び方にまとめました。

独立の判断材料をそろえたい場合は、フリーランス独立の判断チェックリスト|年収・貯蓄・スキル・案件で診断も合わせて確認してください。

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ネットワークエンジニアが年収を上げる3つの筋道

筋道1:運用・監視から設計・構築へ工程を動かす

609.8万円と889万円を分けているのが工程である以上、年収を動かす一番太い筋道は担当工程の移動です。

現実的な進め方は、今の現場で設計側の業務を部分的に引き受けることです。構成変更時のパラメータシートを自分で書く、機器更改の移行手順を組む、トラフィック見積もりから帯域設計を出す。こうした実績が1つでもあると、次の案件で設計工程に応募できます。

実績は「監視対応」ではなく「拠点30箇所のWAN更改で移行手順を設計し、無停止で切り替えを完了」のように、規模と結果を数値で書けるかどうかで提示単価が変わります。上流工程の証明材料として、ネットワークスペシャリスト試験|難易度・合格率・勉強法とフリーランスへの活用を解説で扱っている高度資格が機能する場面もあります。

筋道2:クラウドネットワークとセキュリティ領域に軸足を広げる

掲載案件を見る限り、従来型の機器構築・運用に加えて、クラウド間接続、SD-WAN、ゼロトラスト前提の構成といった案件が一定数あります。オンプレ機器の設定のみを守備範囲にしていると、応募できる案件の母数が小さくなります。

ただし資格を取れば単価が上がる、という単純な話ではありません。評価されるのは本番環境での設計・移行の経験です。資格は書類選考を通過しやすくする材料として機能します。

領域の前提知識はゼロトラストとは|境界型との違い・主要技術・案件動向を解説とSASEとは|構成5要素とSSE・SD-WANの違い、案件と必要スキルで整理しています。通信キャリア側の案件に広げる選択肢は通信キャリア案件のフリーランス単価相場|5G案件で必要なスキルと参入手順を参照してください。

筋道3:場所の制約を単価交渉の材料に変える

フルリモート可が5%という数字は制約ですが、裏を返せば現地対応ができる人材の希少性でもあります。データセンター作業や拠点切り替えを引き受けられることは、交渉材料になります。

逆に、リモート前提で働きたい場合は、設計・ポリシー策定・自動化といった現地作業を伴わない工程に寄せる必要があります。どちらを選ぶかで狙うべき案件が変わるため、先に働き方を決めてから単価帯を見るのが順序として正しくなります。

単価交渉のタイミングには適期があります。単価改定の相談は契約更新の1〜2か月前です。更新月に入ってから切り出しても、先方はすでに次期の予算を固めています。体系的な上げ方は【2026年最新版】フリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方とは?にまとめました。

年収が下がるケースと注意点

年収の話は「上げ方」に偏りがちですが、下がる方向の動きも把握しておいたほうが安全です。ネットワーク領域で特に起きやすい3つを挙げます。

夜勤・待機の対価を「高単価」と誤認する

ネットワーク案件には、深夜帯の切り替え作業や当直・オンコールが含まれるものがあります。これらは拘束時間の対価として単価が上乗せされるため、月額の額面だけ見ると高く見えます。

しかし時給換算では必ずしも有利になりません。月単価だけでなく、稼働時間の精算幅(140〜180時間など)と、深夜作業が月何回発生するかをセットで確認してください。実質時給の出し方は月単価の時給換算と会社員年収の比較|業務委託の実質時給計算式で扱っています。

単一ベンダーの機器運用だけで年数が積み上がる

誤解のないように書くと、特定ベンダー機器の深い知識は評価されます。大規模ネットワークの更改案件では、そのベンダーの実務経験が応募要件になることも珍しくありません。

問題になるのは、1社の機器のCLI操作と定常運用だけを守備範囲にしたまま年数が積み上がるパターンです。構成設計の判断経験が積まれないため、工程を上げる際の説明材料が不足します。前述のとおり運用・管理(IT)は平均年齢42.2歳で平均年収609.8万円という並びになっており、この区分で年数がそのまま収入に反映されるとは限りません。

今後について断定はできませんが、クラウド接続やSD-WANのように設計判断を伴う案件に関われるかどうかが分かれ目になりやすい状況です。現在どのような案件が出ているかはネットワークエンジニアの案件一覧で確認できます。

稼働の谷を計算に入れていない

フリーランスで年収が想定より下がる原因の多くは、単価ではなく稼働月数です。月単価100万円でも年間8か月しか稼働できなければ売上は800万円。月75万円を11か月続けた825万円を下回ります。

単価を10万円上げる交渉よりも、空白期間を1か月減らすほうが効く場面は珍しくありません。契約更新の見込みは、更新月の2か月前には確認しておいてください。

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ケース別・年収の目安(担当工程と技術領域で見る)

以下はフリコン掲載案件の単価帯をもとに、前述の換算式を当てはめた目安です。掲載単価からの試算であり、成約を保証する金額ではありません。

ケース1:運用・監視が中心/経験3年

手順書に沿った一次対応、定常監視、障害時のエスカレーション、ベンダー調整を担当。CCNA相当の知識があり、機器の設定変更を指示書どおりに実施できる段階です。

掲載帯は月45〜60万円。会社員の額面年収に換算すると約400〜540万円です。job tagの運用・管理(IT)609.8万円には届かず、独立による上積みはあまり期待できません。この段階では単価より、構築・設計業務に触れられる現場かどうかを優先したほうが後で効きます。

ケース2:設計・構築まで担当/経験5年

要件を受けてネットワーク構成を設計し、機器選定からコンフィグ設計、構築・移行まで完結できる。複数拠点のWAN構成や冗長設計の経験があり、移行計画を自分で引ける。この人物像が想定です。

掲載帯は月70〜90万円。換算すると約630〜830万円。掲載案件の中央値から中上位にあたる帯で、件数としても最も厚い層です。

ケース3:クラウド・セキュリティ設計リード/経験8年

クラウド間接続やSD-WANを含む全社ネットワークのアーキテクチャ設計、ゼロトラスト方針の策定、コスト最適化、ベンダー折衝までを担当。技術的な意思決定に関与する立場です。

掲載帯は月100〜120万円。換算すると約920〜1,110万円。この帯は掲載案件全体の約9%で、公開案件として出る数が限られ、非公開で打診されるケースもあります。公開案件の相場と非公開案件の条件は性質が異なるため、同じ基準では見ないでください。

まとめ

ネットワークエンジニアの年収は、職種名ではなく担当工程と扱う技術領域で決まります。job tag上で「ネットワーク管理者」は平均609.8万円の運用・管理(IT)に分類され、設計・構築まで担うと889万円側の分布に近づきます。

  • 450万円台・609.8万円・889万円という3つの数字は、母集団と職業分類が違うだけで、どれも誤りではない。自分の担当範囲で選ぶ

  • フリーランスの月額単価は掲載平均76万円・中央値70万円。期待値は中央値で置く

  • 月額単価を12倍した数字は会社員の年収と比較できない。稼働月数・経費・事業主負担相当の3点を補正する

  • 補正後の換算式は「(月額単価 × 11か月 − 年間経費)÷ 1.15」。中央値の月70万円は額面年収で約630万円相当

  • 年収を動かす主因は資格でも年齢でもなく、運用から設計・構築への工程移動とクラウド・セキュリティ領域への拡張

  • フルリモート可は約5%。働く場所の制約を先に決めてから狙う単価帯を見る

次のアクションとしては、まず自分のスキルシートを更新し、現在の経験で応募できる案件の単価帯を確認することをおすすめします。市場単価の目安はフリーランスエンジニア単価診断で確認できます。

参照した一次情報は以下のとおりです(参照日:2026年10月29日)。

単価に関する数値は、フリコン掲載中の公開案件のうち職種ファセット「ネットワークエンジニア」に該当する1,904件を集計したものです(集計日:2026年10月29日/税別の月額表記/単価非公開案件は平均・中央値の算出対象外)。

社会保険料・税額の具体的な試算は、加入制度や自治体によって変わります。独立の可否を金額で判断する段階では、税理士や社会保険労務士に個別の条件で確認してください。

よくある質問

AnswerMark

全職種平均(487万円・国税庁 令和7年分)と比べれば低くありません。job tagの運用・管理(IT)でも609.8万円です。ただし運用・監視中心のポジションは年数に対する伸びが緩やかで、「低い」と語られる場合は比較対象がIT業界内の上流職であることがほとんどです。

AnswerMark

本記事の換算式では、月額単価110万円前後が会社員の額面年収1,000万円に相当します。単純12倍で計算すると84万円で足りるように見えますが、稼働月数と事業主負担分を補正するとこの水準が必要になります。掲載案件では上位約9%の帯です。

AnswerMark

資格単体で単価が上がるケースは限定的です。書類選考の通過率を上げる、未経験領域への応募で説得材料になる、といった間接的な効果が中心になります。単価に直結しやすいのは本番環境での設計・構築・移行の実績です。詳細はCCNAとは|難易度・受験料・勉強法・案件への影響をフリーランスエンジニア視点で解説を参照してください。

AnswerMark

job tagでは「運用・管理(IT)」の別名にネットワーク管理者・サーバー管理者の両方が含まれ、統計上は同一区分です。差が出るのは職種名ではなく担当工程と扱う技術領域です。個別の整理はインフラエンジニアの年収|会社員とフリーランスの差と上げ方とサーバーエンジニアの年収|会社員とフリーランスの差・年収換算と上げ方で扱っています。

AnswerMark

掲載案件の帯で見ると、運用・監視中心であれば月45〜60万円に届く人が出てくる時期です。ただし到達時期は、現場で構築や設計補助に触れられたかどうかに左右されます。同じ3年でも、監視専任だった場合と構築を任された場合で差が開きます。

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額面が同じなら、社会保険料の自己負担と経費の扱いによって手取りは変わります。減るとは限りませんが、健康保険料の負担増は確実に発生します。金額の目安はフリーランスエンジニアの手取りはどれくらい?計算方法と年収別目安で確認してください。

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深夜の切り替え作業や当直が含まれる案件では、拘束時間の対価として単価が上乗せされることがあります。ただし時給換算では必ずしも有利になりません。月単価と合わせて、精算幅と深夜対応の頻度を確認してください。

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ネットワーク領域はフルリモート可の案件が約5%と少なく、他領域より制約が大きくなります。機器の設置・結線・現地切り替えが発生するためです。地方で単価帯を維持したい場合は、設計・ポリシー策定・自動化といった現地作業を伴わない工程に寄せる必要があります。

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契約更新の1〜2か月前が目安です。更新月に入ってからでは先方の予算が固まっています。交渉材料は稼働開始直後から積み上げておき、削減できた工数や引き受けた追加業務を数値で示せる状態にしておいてください。

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あります。社内でネットワーク更改や全社基盤刷新のプロジェクトにアサインされる、クラウド接続の設計に手を挙げる、といった工程の移動が基本線です。転職する場合も、年収交渉の根拠になるのは担当した工程と規模です。年代別の選択肢はフリーランスエンジニアのキャリアパス|年代別の選択肢・年収推移・必要スキルを徹底解説で整理しています。

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会社員でも、上流設計やアーキテクト職であれば到達例はあります。job tagの基盤システムの平均が889万円であることを踏まえれば、その分布の上側に入れば視野に入ります。フリーランス側の到達条件はフリーランスエンジニアで年収1千万円を稼ぐ方法と手取りの目安にまとめました。

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