月単価の時給換算と会社員年収の比較|業務委託の実質時給計算式
最終更新日:2026/08/01
月単価の時給換算とは、業務委託の月額報酬を月間稼働時間で割り、1時間あたりの単価に直す計算方法です。稼働幅(140〜180時間)・経費・社会保険の自己負担分・非稼働時間をどう織り込むかで、額面と実質時給の結果は大きく変わります。独立を検討中の会社員エンジニア、既に独立して会社員年収と自分の単価を比較したいフリーランス向けに、月単価と会社員年収を正しく突き合わせる計算式と、比較で外しやすい落とし穴を整理します。読了後には、自分の月単価を「会社員年収でいくら相当か」まで自力で換算できるようになります。 30秒でわかる換算式:月単価の時給換算は「月額報酬 ÷ 月間稼働時間」。月単価80万円・月160時間なら額面時給は5,000円です。ここから社保自己負担・経費・非稼働時間を差し引いたものが実質時給になります。
先に結論
月単価の時給換算の基本は「月額報酬 ÷ 月間稼働時間」。稼働時間の基準は準委任の精算幅(140〜180時間)を採用するのが実態に近い
実質時給は、額面時給から社会保険自己負担分・事業経費・非稼働時間を引いて算出する。会社員側も社保折半・賞与・福利厚生を戻し入れて実質時給を出さないと比較にならない
会社員年収と業務委託月単価を突き合わせる目安は「月単価×12を年商とし、そこから経費と税社保を引いた手取り」で比較する
独身・扶養なし・福利厚生を一定額で見積もる簡易試算では、会社員額面年収の1.4〜1.6倍を業務委託の年商(月単価×12)に置くのがひとつの水準(前提により変動)
単純に「単価×12=会社員の年収相当」と考えるのは危険。福利厚生・退職金・雇用保険まで加味しないと過小評価または過大評価になる
この記事でわかること
月単価から時給への基本換算式と、精算幅を織り込む方法
業務委託の実質時給を出すために引くべき5つのコスト
会社員年収を実質時給に直すときに戻し入れる要素(社保折半・賞与・福利厚生)
月単価60〜130万円と会社員年収500〜1,200万円の比較テンプレート
独立初年度・副業移行期・高単価到達後のケース別注意点
目次
月単価から時給を計算する基本式
実質時給を計算するために引くべき5つのコスト
会社員年収を実質時給に換算する
業務委託月単価と会社員年収の比較テンプレート
ケース別の比較の注意点
よくある失敗と対策
比較前に決める7項目チェックリスト
まとめ
よくある質問
月単価から時給を計算する基本式
月単価から時給を出す基本式は「月額報酬 ÷ 月間稼働時間」です。稼働時間の置き方が結果を左右するため、まず基準の選び方から整理します。
稼働時間の基準は3つある
会社員の労働時間感覚から入ると月160時間を使いがちですが、業務委託では前提が変わります。
稼働時間の基準 | 使いどころ | 特徴 |
|---|---|---|
月140時間 | 精算幅の下限を意識した見積もり | 稼働が少ない月でも下限を割ると控除される |
月160時間 | 会社員時代の労働時間の延長で計算 | 準委任案件では実態と乖離しやすい |
月180時間 | 精算幅の上限で計算 | 上限を超えた稼働は超過精算対象 |
月173時間 | 年間労働時間2,080時間÷12の平均 | 労働時間目安として一般的な計算基準 |
準委任の月額固定案件では、140〜180時間前後の精算幅が設定されるケースが多く見られます。精算幅なし・別レンジ・時給精算の案件もあるため、契約書の記載で確認するのが確実です。精算幅の仕組みや超過・控除の計算については準委任の精算幅とは|140-180hの意味と超過・控除の計算方法で詳しく整理しています。時給換算の基準は、案件の実態に合わせて140〜180時間の中央値(160時間)を初期値にするのが無難です。
時給換算の早見表(額面)
国内フリーランスエージェント各社の公開案件でよく見られる月単価レンジの一例をもとに、月160時間稼働を前提とした額面時給の目安を出しました。以下はあくまで「額面ベース」の時給で、実質時給は次章で計算します。
月単価 | 月160h基準の時給 | 月180h基準の時給 | 月140h基準の時給 |
|---|---|---|---|
60万円 | 3,750円 | 3,333円 | 4,285円 |
80万円 | 5,000円 | 4,444円 | 5,714円 |
100万円 | 6,250円 | 5,555円 | 7,142円 |
130万円 | 8,125円 | 7,222円 | 9,285円 |
150万円 | 9,375円 | 8,333円 | 10,714円 |
同じ月単価でも稼働時間の置き方で時給が2〜3割変わります。会社員年収と比較する場面では、稼働時間の基準を先に決めるのが出発点になります。
ミニFAQ
Q. 月160時間と月140時間、どちらで計算するのが正しいですか?
A. 案件の契約書に精算幅が書かれているならその中央値を使うのが実態に近いです。精算幅が明記されていない完全月額固定なら、実際の平均稼働時間を数か月分平均して基準にします。
Q. 週2〜3日稼働の副業案件はどう換算しますか?
A. 週3日案件は月120時間前後、週2日は月80時間前後で計算するケースが多く、月額報酬をその稼働時間で割ればざっくりの時給が出ます。ただし打ち合わせや準備の時間を含めるかで結果が変わるので、契約上の稼働範囲を確認しておく必要があります。
実質時給を計算するために引くべき5つのコスト
額面時給から実質時給を出すには、フリーランス側だけが負担する5つのコストを差し引きます。ここが会社員時代との比較で最も見落としやすい部分です。
1. 社会保険料の自己負担分
会社員時代は社会保険料の半分を会社が負担していますが、フリーランスは国民健康保険料・国民年金保険料を全額自己負担します。
国民年金:月額17,510円(令和8年度、日本年金機構公表値)
国民健康保険料:前年の所得・自治体・世帯構成・加入者の年齢で大きく変動。独身・扶養なしの一例として、事業所得500〜600万円クラスでは年間50〜70万円程度になることがある
事業所得500〜600万円想定で年間の社保自己負担を70〜90万円と置くと、月あたり6〜7万円が単価から差し引かれる計算になります。実際の金額は自治体・年齢・扶養状況・国保組合の選択で数十万円単位で動くため、正確な数字は自治体窓口や税理士・社労士に確認してください。手取り計算の詳細はフリーランスエンジニアの手取りはどれくらい?計算方法と年収別目安にまとめています。
2. 事業経費
業務で使う支出は経費計上できますが、支払った現金は戻ってきません。時給換算では「経費として支出したキャッシュ」を差し引く必要があります。
PC・モニター・周辺機器:年間10〜30万円程度
通信費(自宅回線・モバイル):年間5〜10万円
書籍・オンライン学習:年間5〜15万円
会計ソフト・請求ツール:年間2〜5万円
交通費・交際費:案件により変動
年間で概算50〜80万円が「実質時給から抜ける」ラインになります。案件参画直後は経費が跳ね上がるため、初年度はやや厚めに見積もっておくと安全です。
3. 非稼働時間
案件探索・スキル学習・営業・請求書処理・確定申告など、直接請求できない時間もフリーランスの労働時間です。
案件探索・面談:月10〜20時間
スキル学習・情報収集:月10〜30時間
事務作業(請求・経費・確定申告):月5〜10時間
月に25〜60時間程度の非稼働時間を実質稼働の分母に足すと、時給は10〜20%下がる計算になります。案件のブランクが挟まる年は非稼働時間の比率がさらに上がります。
4. 空白期間と稼働率
契約更新の合間や急な終了で稼働ゼロの月が発生することがあります。年間で1〜2か月の空白を織り込むと、年間実質稼働率は83〜92%程度に下がります。時給換算の分子(年商)にこの稼働率を掛けると、より現実的な数字になります。
5. 事業リスクと機会損失
賠償責任保険料・案件トラブル対応・体調不良時の収入停止など、会社員時代には会社が引き受けていたリスクが自分の負担になります。金額に置き換えるのが難しい項目ですが、月1〜2万円のバッファを織り込んでおくと過大評価を防げます。
実質時給の月次簡易式(フリーランス側)
実質時給 =(月額報酬 − 月あたり社保自己負担 − 月あたり経費)÷(実稼働時間 + 月あたり非稼働時間)
月単価80万円・月160時間稼働・社保月7万円・経費月5万円・非稼働30時間を代入すると、(80万円−7万円−5万円)÷(160+30)= 約3,579円になります。稼働率は月次ではなく年ベース(年商側に掛ける/年間総労働時間に空白月を含める)で反映する方が再現しやすく、稼働率90%を年商側に反映すると同条件の実質時給は約3,221円まで下がります。額面5,000円から3〜4割の目減りです。
ミニFAQ
Q. 実質時給の分母に非稼働時間を含めない計算式もありますが、どちらが正しいですか?
A. どちらも用途があります。案件単価の比較には額面時給が便利ですが、「会社員年収と自分の労働対価を比べたい」場合は非稼働時間まで含めた分母で計算する方が実態に近くなります。
会社員年収を実質時給に換算する
比較を成立させるには、会社員側の年収も「実質時給」に直す必要があります。額面年収の裏側に隠れている要素を戻し入れる作業です。
会社員年収に戻し入れる4つの要素
会社員の額面年収は、企業が本人のために負担している金額を含んでいません。以下を戻し入れると、会社員側の「実質年収」が見えてきます。
戻し入れ項目 | 金額の目安 |
|---|---|
社会保険料の会社負担分 | 概算で額面年収の約14〜15% |
退職金積立(将来受給の按分) | 大企業で年収の5〜8%、中小で0〜3%程度 |
賞与(額面に含まれている場合は再計上不要) | 契約による |
福利厚生(住宅補助・健康診断・研修・食事補助等) | 企業規模・制度内容で差が大きく、年10〜80万円程度の幅が出ることがある |
年収500万円の会社員で社保会社負担70万円・退職金積立20万円・福利厚生30万円を戻し入れる一例では、実質620万円前後で見る考え方もあります。企業規模・業種・退職金制度で戻し入れ額の幅は大きく、あくまで概算の枠組みです。
会社員の「見えない稼働時間」
会社員側も稼働時間の見直しが必要です。給与に対応する労働時間は所定労働時間だけではありません。
通勤時間:往復1〜2時間(都心通勤で月20〜40時間)
残業(サービス残業を含む):職場により月10〜40時間
持ち帰り・自宅対応:月5〜20時間
社内研修・強制参加のイベント:月5〜10時間
通勤が長く、残業や持ち帰り対応が多い職場では、月160時間の所定労働時間に月40〜100時間の付帯時間が乗り、実質労働時間が月200〜260時間になるケースもあります。時給換算の分母をここに合わせないと、フリーランス側だけが分母を膨らませた比較になります。
会社員側の実質時給の計算例
年収500万円・実質年収620万円・実質労働時間月220時間の会社員を想定します。
実質時給 = 620万円 ÷(220時間 × 12か月)= 約2,348円
同じ人が年収700万円のミドル層なら、実質年収は約860万円・実質時給は約3,258円になる計算です。会社員側の実質時給を出しておくと、業務委託の月単価が「本当に得か」を判断できるようになります。
業務委託月単価と会社員年収の比較テンプレート
ここまでの計算式を使って、月単価と会社員年収を直接比較するテンプレートを整理します。
単純換算:月単価×12=年商
まず月単価から年商を出す単純換算です。稼働を年11か月と置くと、月80万円で年商880万円。月100万円で年1,100万円。ただしこの数字は経費と税社保を引く前の額であり、そのまま会社員年収と比べると過大評価になります。
手取りベースの比較
年商から経費・税社保を引いた手取りが、会社員年収の手取りと直接比較できる数字です。月単価別の手取り目安は月単価別 手取り早見表|40〜150万でわかるフリーランスエンジニアの手残りで整理しています。
逆算:会社員年収を月単価に直す
「会社員時代と同じ手取りを維持したい」目線での逆算では、以下の簡易試算がひとつの起点になります。
独身・扶養なし・福利厚生を一定額で見積もる簡易試算では、会社員年収 × 1.4〜1.6倍 ÷ 12 が目安月単価になりやすい枠組みです。年収500万円なら月58〜67万円、年収700万円なら月82〜93万円が損益分岐点に近いラインの一例になります。倍率が幅を持つのは、会社側負担の社保・退職金・福利厚生・稼働時間の見立てで結果が大きく変わるためです。企業の福利厚生が厚いほど倍率は上振れする傾向があり、逆に外資系の裁量労働で福利厚生が薄い場合は下振れします。同一手取りを狙う考え方はフリーランスエンジニアと会社員の違い|手取り・働き方・リスクを徹底比較にも整理があります。
単価と会社員年収の比較テーブル
以下は、月単価と会社員年収を並べた際に「同等の手取り」に近づく水準の一覧です。前提は独身・扶養なし・青色申告65万円控除・経費年80万円・年間フル稼働(11か月)を想定した簡易概算で、社会保険料は令和8年度の東京都内の自治体水準を参考にしています。
月単価(業務委託) | 年商 | 手取り目安 | 同等手取りの会社員年収 |
|---|---|---|---|
45万円 | 540万円 | 約380万円 | 年収480〜520万円 |
60万円 | 720万円 | 約500万円 | 年収650〜720万円 |
80万円 | 960万円 | 約640万円 | 年収850〜950万円 |
100万円 | 1,200万円 | 約780万円 | 年収1,100〜1,200万円 |
130万円 | 1,560万円 | 約990万円 | 年収1,400〜1,600万円 |
自治体、年齢、家族構成、加入する健康保険(協会けんぽの任意継続や国保組合を選ぶかどうか)で数十万円単位で変動します。上記はあくまで簡易試算の枠組みで、正確な金額は税理士や社労士に確認してください。
自分がどのくらいの単価を狙えるか気になる方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で現在の市場単価の目安を確認できます。単価を体系的に上げる考え方はフリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方に整理があります。
ミニFAQ
Q. 月単価を12倍した数字を「業務委託の年収」と呼んでいいですか?
A. 会話上は年収と呼ばれますが、税務上は「事業収入」または「売上」と呼ぶのが正確です。会社員年収と直接比較したい場合は、経費と税社保を引いた手取りを比べるのが誤解を生まない伝え方です。
Q. 損益分岐点の1.4〜1.6倍は誰の計算ですか?
A. 会社員側の社保折半分(額面の約15%)・退職金積立・福利厚生・見えない労働時間を戻し入れると、フリーランス側は同じ手取りを維持するために額面ベースで1.4〜1.6倍が必要になる計算です。企業の福利厚生の厚さ次第で倍率は変動し、大企業からの独立なら上振れするケースが多い傾向があります。
ケース別の比較の注意点
比較テンプレートは前提条件で結果が変わります。独立フェーズ別に押さえておきたい注意点を整理します。
ケース1:独立初年度(社保切替直後)
前年の所得が住民税と国保料の計算基礎になるため、独立初年度は税社保が特に重くなります。前年に会社員年収600万円だった人が独立初年度に月単価70万円で稼働しても、住民税と国保料は会社員時代の所得をもとに算定されます。時給換算を初年度の実績で判断すると過度に低く見えるため、2年目以降の見通しも並べておくのが実務的です。独立1年目の判断はフリーランス確定申告が初めての人向け完全ガイドに手続きの流れを整理しています。
ケース2:副業から独立への移行期
副業案件の月数万円〜数十万円は、時給換算では会社員時代の時給を大きく上回るケースが多く見られます。ただしそれは会社員の給与という固定収入があるからで、副業単価をそのまま独立後の時給として扱うと落差に驚くことがあります。副業から本業移行の稼働設計はエンジニアの副業から独立への稼働設計、判断基準は副業から独立するタイミングを参考にできます。
ケース3:高単価(月100万円超)に到達したケース
月100万円を超える単価帯では税負担が増えやすくなるため、額面ほど手取りや実質時給が伸びにくくなる傾向があります。月単価×12を単純比較すると得に見えても、追加の単価アップに対する手取り増は逓減するため、時給比較よりも「稼働時間の削減」に軸を移す判断が実務的です。手取りを増やす方向性はフリーランスエンジニアが手取りを増やす5つのレバーにまとめています。
ケース4:稼働幅が広い準委任案件(140〜180h)
精算幅がある案件は、上限稼働と下限稼働で実質時給が2〜3割変わります。月180時間稼働した月と月140時間稼働した月を平均して初めて実勢の時給が出るため、単月の数字で早合点しないのが安全です。
よくある失敗と対策
比較の場面で繰り返し見かける落とし穴を挙げておきます。
失敗1:稼働時間を月160時間固定で計算する
会社員時代の労働時間感覚のまま時給を出すと、精算幅上限まで稼働した月の実質時給を過大評価しがちです。契約書に精算幅がある案件は、その中央値と上限の両方で時給を出しておくと判断ミスが減ります。
失敗2:非稼働時間を含めない
「請求できる時間だけ」を分母にすると時給は高く見えますが、実際の労働対価はもっと低い水準になります。会社員年収と比較する場面では、必ず非稼働時間を分母に加えた実質時給で並べます。
失敗3:福利厚生を金額換算しない
住宅補助・退職金・健康診断・研修費用・慶弔金など、会社員側だけが受けている経済的価値を金額化しないと、フリーランス側が有利に見えます。企業規模と業種で戻し入れ額の幅が大きい点は都度確認します。
失敗4:単価「額面」と「振込額」を混同する
エージェント経由の月単価は、一般にフリーランス本人に支払われる金額として表示されることが多い水準です。ただし源泉徴収の有無や消費税の内税/外税の扱いで手取り時期のキャッシュフローが変わるため、契約書の記載を確認しておく必要があります。エージェントのマージン構造はエージェントのマージン相場と手数料の仕組みにまとめています。
失敗5:会社員側の残業代を計算に入れていない
会社員年収から所定労働時間の時給を出すときに、みなし残業や実残業込みの年収を所定160時間で割ってしまうと、会社員側の時給が過大に見えます。実労働時間で割る、もしくは残業代を除いた基礎年収で割るのが妥当です。
比較前に決める7項目チェックリスト
月単価と会社員年収を比較する前に、以下の7項目を先に決めておくと結論のブレを抑えられます。
月間稼働時間の基準(140h/160h/173h/180hのいずれか)
月あたりの非稼働時間(案件探索・学習・事務)
年間稼働率の見立て(何か月分の空白を織り込むか)
経費の年間見積もり(PC・通信・書籍・交通費・保険料)
社会保険料の想定(自治体・扶養状況・任意継続の有無)
会社員側の福利厚生の金額換算(住宅・退職金・研修・健康診断)
会社員側の実労働時間(通勤・残業・持ち帰り含む)
7項目を数値化してから比較テンプレートに当てはめると、恣意的に有利/不利どちらかに寄せた計算になりにくくなります。
まとめ
月単価の時給換算と会社員年収の比較は、稼働時間の基準と「見えないコスト」の扱いで結論が変わります。ここまでの内容を短くまとめます。
月単価の時給換算は「月額報酬 ÷ 月間稼働時間」を基本に、精算幅(140〜180時間)を意識して基準を決める
実質時給を出すには、社会保険自己負担・経費・非稼働時間・稼働率・事業リスクの5項目を差し引く
会社員年収を比較対象にする場合は、社保会社負担・退職金・福利厚生・見えない労働時間を戻し入れる
簡易試算では、会社員額面年収の1.4〜1.6倍程度を業務委託年商(月単価×12)の目安として置く考え方がある
独立初年度は税社保が重く、副業移行期は副業時給を独立後にそのまま当てはめない
稼働時間・非稼働時間・稼働率・経費・社保・福利厚生・実労働時間の7項目を先に数値化する
次のステップとして、自分の想定単価を市場相場と突き合わせるところから始めるのが実務的です。無料のフリーランスエンジニア単価診断で市場単価の目安を確認したうえで、税社保を含めた手取りはフリーランスエンジニアの手取りはどれくらい?計算方法と年収別目安、月単価別の詳細な手取りは月単価別 手取り早見表で確認していくと、比較の精度が上がります。
参考リンク(一次情報):
税務・社会保険の個別判断は、社会保険労務士や税理士など専門家に確認することを推奨します。
よくある質問
Q1. 月単価60万円は会社員の年収でいうといくら相当ですか?
年商720万円から経費と税社保を引いた手取りベースで、会社員の年収650〜720万円と近い水準になります。ただし会社員側の福利厚生や退職金がどの程度あるかで、手取り面での差は変わってきます。
Q2. 業務委託の年収は「月単価×12」で計算していいですか?
売上ベースの計算としては正しいですが、それを会社員の年収とそのまま比較するのは避けます。会社員年収は税・社保・福利厚生控除前の額面を指すのに対し、月単価×12は「事業売上」で、経費や税社保を引く前の数字です。手取り同士で比較するか、額面年収×1.4〜1.6倍で業務委託年商と比べるのが実務的です。
Q3. 副業の時給と本業の時給を同じ基準で比べていいですか?
副業は会社員給与という固定収入があるため、副業案件の時給はそのまま独立後の時給として使えません。独立後は非稼働時間・空白期間・経費が本業として発生するため、これらを織り込むと結果的に副業時給より下がるケースが多い傾向です。副業時給の1〜3割低い水準を独立後の実質時給の初期想定に置くのは一例で、実際は経費構成や案件密度で変動します。
Q4. 稼働時間の基準は160時間と173時間のどちらが正しいですか?
どちらも用途があります。準委任の月額固定案件で「140〜180時間」の精算幅がある場合は、その中央値である160時間を基準にするのが実態に近くなります。年間労働時間の平均で議論したい場合は173時間(年間2,080時間÷12)を使います。
Q5. 会社員の福利厚生をいくらで換算すればいいですか?
企業差が大きいため一概には言えませんが、住宅補助や食事補助がある企業では年数十万円規模になることがあります。住宅補助・退職金積立・健康診断・研修費用・食事補助を項目別に金額化して合算するのが確度の高い方法です。企業の給与規定・福利厚生一覧が入手できるならその値を優先します。
Q6. 損益分岐点の1.5倍という数字はどこから来ていますか?
会社側の社会保険料負担(額面の約15%)・退職金積立・見えない福利厚生を戻し入れると、フリーランスは同じ手取りを維持するために額面ベースで1.4〜1.6倍が必要になるという試算からです。フリーランスの必要経費や税負担の増減次第で倍率は変わり、企業側の福利厚生が厚いほど倍率は上振れする傾向があります。
Q7. フリーランスと会社員のどちらが手取りは高くなりますか?
同じ時間働くという前提なら、月単価が会社員年収を月換算した金額の1.5倍以上あるとフリーランス側の手取りが上回るケースが多い傾向です。ただし退職金・厚生年金・失業保険を考慮した「生涯手取り」で比べると差はもう少し狭まります。
Q8. 時給換算に「有給休暇がない分」を織り込むべきですか?
織り込む考え方が実態に近くなります。会社員は年10〜20日の有給休暇で年収は変わりませんが、フリーランスはその日数の稼働がゼロ売上になります。年20日の休暇を織り込む場合、稼働率を92%程度に下げて計算すると実態に近い時給が出ます。
Q9. 消費税は時給換算に含めますか?
含めません。消費税は預かり金で最終的に納税するため、時給換算では税抜の月額報酬を分子に置きます。免税事業者の場合も、経理上は消費税相当額を売上に含めますが、時給比較の場面では税抜で扱う方が誤解が少なくなります。
Q10. 会社員から独立するときの「目安単価」はどう決めればいいですか?
会社員時代の額面年収 × 1.4〜1.6倍 ÷ 12を目安に、案件市場での自分の想定単価と突き合わせます。想定単価が目安を下回るなら、独立後1〜2年で単価を上げる道筋が現実的に描けるかを検討します。市場相場はフリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方で確認できます。


