合同会社と株式会社の違い|設立費用とフリーランスの選び方
最終更新日:2026/10/05
合同会社と株式会社の違いとは、設立費用と機関設計のルールの差です。法人税の扱いも有限責任の範囲も同じなので、社長が自分ひとりの法人では、多くのケースで判断材料は費用・取引先の内規・将来の資金調達に集約されます。フリーランスエンジニアが形態を選ぶ基準を、実額と判断フローで整理します。
先に結論
設立実費の差はおよそ10万円。合同会社は6万円台から、株式会社は16万円台からが下限です
法人税率・社会保険・有限責任の扱いは両者で変わりません。節税目的で形態を選ぶ理由はありません
維持コストで差が出るのは決算公告義務と役員の任期。10年スパンでは数万円から十数万円の開きになります
ひとりで受託を続けるだけなら合同会社で足りるケースが多い。外部出資・株式での事業売却・上場を視野に入れるなら株式会社
合同会社から株式会社への組織変更は後からでも可能です。実費は官報公告・登録免許税ベースでおおむね10万円前後、期間は債権者保護手続を含めて1か月半程度が目安です
この記事は、法人化そのものをするかどうかではなく、法人化すると決めた人が「どちらの器を選ぶか」に絞って書いています。法人化の判断基準やタイミングはフリーランスエンジニアの法人化|タイミング・メリット・手続きを徹底解説を先に読んでください。
この記事でわかること
合同会社と株式会社の制度上の違いと、ひとり法人では差が出ない項目の切り分け
設立費用・維持費用の実額内訳と、10年トータルで見たコスト差
「株式会社でないと取引できない」が本当に起きるのはどの場面か
5つの質問で答えが出る、フリーランスエンジニア向けの形態判断フロー
合同会社で始めて後から株式会社へ組織変更する場合の費用と期間
想定している読者は、すでに業務委託で安定して受注しており、法人化を具体的に検討している段階のエンジニアです。
目次
合同会社と株式会社の違い一覧【比較表】
設立費用の差は約10万円|内訳で見る実額
維持コストの差|決算公告と役員任期で10年を試算
信用力の差は実務のどこに出るか
意思決定と利益配分|ひとり法人で効く違い・効かない違い
フリーランスエンジニアの判断フロー【5つの質問】
ケース別の選び方
合同会社から株式会社への組織変更|費用と期間
よくある失敗と形態選択チェックリスト
まとめ
よくある質問
合同会社と株式会社の違い一覧【比較表】
結論から言うと、両者は「出資者と経営者の関係」をどう設計するかで分かれています。合同会社は出資した人がそのまま経営する前提の器で、株式会社は出資と経営を分離できる器です。ひとり法人ではこの分離が意味を持たないため、残るのは費用と外形の差になります。
比較項目 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|
根拠法 | 会社法(持分会社の一類型) | 会社法 |
出資者の呼称 | 社員 | 株主 |
代表者の肩書 | 代表社員 | 代表取締役 |
出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 |
設立実費の下限 | 約6万円 | 約16万円 |
定款認証 | 不要 | 公証人の認証が必要 |
役員の任期 | 法律上の定めなし | 原則2年(非公開会社は定款で最長10年) |
決算公告 | 義務なし | 義務あり(会社法440条1項) |
利益配分 | 定款で自由に設計できる | 原則として持株数に応じる |
外部からの出資 | 受けにくい | 株式発行で受けやすい |
上場 | できない | できる |
法人税・消費税の扱い | 同じ | 同じ |
ひとりで受託中心なら合同会社が有力です。外部出資・株式での売却・上場を視野に入れるなら株式会社が向いています。
税金の扱いが同じという点は見落とされがちです。法人税法上はどちらも普通法人として扱われ、税率表も同一です。「合同会社のほうが税金が安い」という説明を見かけたら、それは誤りだと思ってください。
ミニFAQ:合同会社は「格下の会社」なのですか
制度上の上下関係はありません。日本国内でもアップルジャパンやグーグルなど、大規模な外資系企業の日本法人が合同会社を選んでいます。意思決定を本国でコントロールしやすく、決算公告の義務もないためです。ただし後述のとおり、取引先の内規レベルでは形態を見られる場面が残ります。
設立費用の差は約10万円|内訳で見る実額
設立費用の差は、ほぼ「定款認証の有無」と「登録免許税の下限」の2点から生まれます。どちらも法定実費が中心なので、依頼先を変えても大きくは圧縮できません。
費目 | 合同会社 | 株式会社 | 根拠 |
|---|---|---|---|
定款認証手数料 | 0円(認証不要) | 1万5,000円〜5万円 | 公証人手数料令 |
定款の収入印紙 | 紙4万円/電子定款0円 | 紙4万円/電子定款0円 | 印紙税法 |
登録免許税 | 資本金の0.7%(6万円に満たないときは6万円) | 資本金の0.7%(15万円に満たないときは15万円) | 登録免許税法 |
証明書取得等の雑費 | 数千円 | 数千円 | — |
実費の下限 | 約6万円 | 約16万5,000円 | — |
登録免許税の税率は国税庁のタックスアンサーNo.7191に「資本金の額 1,000分の7(15万円に満たないときは、申請件数1件につき15万円)」と明記されています。たとえば資本金300万円で設立する場合、0.7%は2万1,000円にしかならないため、どちらも下限額が適用されます。
株式会社の定款認証は1万5,000円に下がる場合がある
2024年12月1日の改定で、小規模な株式会社の定款認証手数料に軽減区分が設けられました。日本公証人連合会によると、本来は資本金100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、それ以外は5万円です。次の3要件をすべて満たす場合に限り、1万5,000円になります。
発起人の全員が自然人であり、かつ3人以下であること
定款に、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載または記録があること
定款に、取締役会を置く旨の記載または記録がないこと
ひとりで設立し、資本金100万円未満、取締役会を置かない構成なら要件に収まります。この軽減を使えば株式会社の実費下限は約16万5,000円まで下がりますが、それでも合同会社との差は10万円前後残ります。
電子定款にすれば印紙代4万円はかからない
紙で定款を作成すると収入印紙4万円が必要です。電子データで作成し電子署名を付す形式なら、課税文書に当たらないため印紙代はかかりません。これは合同会社・株式会社に共通します。自分で電子署名環境を整えるより、司法書士や会社設立サービスに任せたほうが結果的に安くなることも多いので、見積もりを取って比べてみてください。
ミニFAQ:資本金はいくらに設定すべきですか
形態選びとは別の論点ですが、資本金1,000万円以上にすると設立1期目から消費税の課税事業者になります。インボイス登録の有無とあわせた判断になるため、フリーランスエンジニアの消費税|インボイス・課税事業者判定・簡易課税まで解説を確認してください。
維持コストの差|決算公告と役員任期で10年を試算
維持費で差がつくのは2点だけです。株式会社には決算公告の義務があり、役員には任期があります。合同会社にはどちらもありません。
決算公告は株式会社だけの義務
会社法440条1項は、株式会社に対して定時株主総会の終結後に貸借対照表(大会社は損益計算書も)を公告するよう定めています。合同会社を含む持分会社に同様の規定はありません。公告を怠った場合、会社法976条2号により100万円以下の過料の対象になります。社長ひとりの会社でも義務は免除されません。
官報に掲載する場合の掲載料は行数で決まり、決算公告では数万円程度かかります。自社サイトに貸借対照表を掲載する方法(会社法440条3項)も認められていますが、その場合は掲載先のURLが登記事項になります。どちらを選ぶかで手続きと費用が変わるので、設立時に司法書士へ確認しておくのが無難です。条文はe-Gov法令検索の会社法で確認できます。
役員の任期がある株式会社は重任登記が発生する
会社法332条1項により、取締役の任期は原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までです。ただし同条2項で、全株式に譲渡制限を付けた非公開会社なら定款で最長10年まで伸ばせます。ひとり法人では、定款で任期を10年に伸ばす運用がよく選ばれます。
それでも任期が切れれば重任登記が必要で、登録免許税は資本金1億円以下の会社で1件1万円かかります。合同会社の業務執行社員には法律上の任期がないため、この登記自体が発生しません。
10年トータルの維持コスト試算
東京23区内・資本金300万円・社長ひとり・任期10年設定という前提で並べると、次のようになります。自治体や公告方法で変わるため、幅のある概算として読んでください。
項目 | 合同会社(10年) | 株式会社(10年) |
|---|---|---|
設立実費 | 約6万円 | 約16万5,000円 |
法人住民税の均等割 | 70万円(年7万円×10年) | 70万円(年7万円×10年) |
決算公告 | 0円 | 数十万円(官報掲載の場合) |
役員の重任登記 | 0円 | 1万円(任期10年なら1回) |
概算の差 | — | 合同会社より十数万円以上 高い |
均等割の年7万円は、23区内にのみ事務所がある資本金等1,000万円以下・従業者50人以下の法人の金額です(東京都主税局)。形態では変わりません。自治体によって金額が異なるので、本店所在地の自治体サイトで確認してください。
決算公告を官報で毎期行うと10年分でまとまった額になります。実務上は対応が漏れやすい論点でもありますが、過料のリスクを抱えたまま運営する前提で形態を選ぶのは本末転倒です。コストを織り込んだうえで判断してください。
なお、法人の決算そのものの流れと税理士の使いどころは一人法人の決算の流れ|マイクロ法人の申告スケジュールと税理士の使い方にまとめています。
信用力の差は実務のどこに出るか
ここがエンジニアにとって一番気になる論点でしょう。先に答えを書くと、契約可否が形態だけで決まることは多くない一方、取引先の社内規程や与信審査で形態を見られるケースはあります。法人格としての有限責任や登記の公示性は制度上まったく同じです。つまり差が生まれるのは会社法のルールではなく、取引相手の内規の側になります。
取引・審査の場面 | 形態が問われるか | 実務的な対策 |
|---|---|---|
エージェント経由の準委任・請負 | 問われにくい(形態より契約可否・実績確認が優先されやすい) | 法人名義で契約できるかを事前に確認する |
事業会社との直接契約 | 問われにくい | 登記事項証明書の提出を求められることがある |
大手SIer・金融系の一次請け | 購買規程で条件が付くことがある | 取引口座開設の要件を先に確認する |
官公庁・自治体の入札参加資格 | 形態要件は通常ないが審査項目は多い | 決算書・納税証明の準備期間を見込む |
法人口座の開設 | 形態より事業実態を見られる | 事務所・契約書・取引実績を揃える |
法人カード・融資の審査 | 形態より決算内容を見られる | 設立初年度は代表者の信用情報が影響しやすい |
上の表は、取引先の審査基準が公開されていない領域についての整理です。各社の内規によって結論は変わるため、確定情報ではなく確認すべき観点のリストとして使ってください。
エージェント経由の案件では、合同会社であること自体が大きな障害になりにくい傾向があります。一方で、一次請けとして大手の購買システムに取引先登録する段階では、形態や資本金額が審査項目に含まれることがあります。自分が今後どちらの立ち位置で仕事を取るのかで、気にすべき度合いが変わります。
法人口座や法人カードの実務的なつまずきは法人クレジットカード|個人事業主・マイクロ法人のフリーランスエンジニア向け選び方・年会費・会計ソフト連携を解説で扱っています。
ミニFAQ:採用の場面では不利になりますか
将来エンジニアを雇う計画があるなら、候補者の受け止め方は考慮に入れる価値があります。求人を見る側が「合同会社=小規模」という印象を持つことはあり得ます。ただし採用の決め手になるのは事業内容・報酬・開発環境であって、形態そのものではありません。雇用まで視野に入れた法人運営はエンジニアの受託法人を設立して事業拡大する道|準備・受注・雇用までを参照してください。
意思決定と利益配分|ひとり法人で効く違い・効かない違い
比較記事でよく強調される「意思決定が速い」「利益配分が自由」という合同会社のメリットは、社員がひとりの法人ではほぼ意味を持ちません。ここを混同すると判断を誤ります。
ひとり法人では差が出ない項目
意思決定のスピード:株主総会といっても出席者は自分ひとりです。合同会社の社員総会も同じで、実態は変わりません
利益配分の自由度:会社法622条は、損益分配の割合を定款で定められるとしています。分ける相手がいなければ使いどころがありません
所有と経営の分離:株式会社でも、自分が100%株主かつ代表取締役なら分離していません
共同で立ち上げるなら差が出る
複数人で法人を作る場合は話が変わります。合同会社なら、出資額と利益配分の比率を定款でずらせます。「資金は片方が多く出したが、開発工数はもう片方が多い」というエンジニア同士の共同創業では、この柔軟性が効きます。
株式会社でこれをやるには種類株式の設計が必要で、定款も登記も複雑になります。逆に、将来ベンチャーキャピタルから出資を受ける可能性があるなら、株式会社のほうが話が早く進みます。投資契約の雛形が株式会社を前提に作られているためです。
議事録はどちらも必要
合同会社だから書類が要らないわけではありません。役員報酬を決める、本店を移す、事業年度を変えるといった場面では、合同会社でも同意書や決定書を残します。役員報酬の決め方と手続きは役員報酬の決め方|一人法人・マイクロ法人の目安額と手続きで解説しています。
フリーランスエンジニアの判断フロー【5つの質問】
上から順に答えてください。1つでも「はい」が付いたら株式会社を検討する価値があります。すべて「いいえ」なら合同会社で十分です。
3年以内に外部から出資を受ける可能性がありますか(自社プロダクトやSaaSの構想がある/エンジェル投資家と話したことがある)→ はいなら株式会社
株式の譲渡による事業売却を出口として想定していますか(M&Aでのイグジットを考えている)→ はいなら株式会社
大手SIerや金融機関と一次請けで直接取引する予定がありますか(取引先登録の審査を通す必要がある)→ はいなら要確認。先方の購買担当に形態要件を聞くのが確実です
3年以内に正社員を雇う計画がありますか(採用広報で形態の印象を気にする)→ はいなら株式会社も選択肢
設立費用の10万円差が資金繰り上まったく問題になりませんか(初期投資に余裕がある)→ いいえなら合同会社
受託中心で、当面ひとりで回し、出資も売却も想定していない。このパターンに当てはまるエンジニアは多く、その場合は合同会社を選んで浮いた10万円を機材やクラウド費用に回すほうが合理的です。
自分の売上規模から法人化の是非そのものを見直したい方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で現在の市場単価の目安を確認したうえで、フリーランスエンジニアの法人化|タイミング・メリット・手続きを徹底解説の判断基準と突き合わせてみてください。
ケース別の選び方
ケース1:ひとりで受託開発を続ける
合同会社が向いています。設立費用が安く、決算公告も重任登記も発生しません。エージェント経由の案件でも法人契約は問題なく通るケースが大半です。取引の幅を広げたくなったら、そのときに組織変更すれば済みます。
ケース2:将来エンジニアを雇って受託会社にしたい
どちらでも成立しますが、採用や取引先拡大を本格化させる時期に株式会社化を検討する流れが自然です。最初から人を集める前提があるなら、組織変更の手間を省くために株式会社で始める判断もあります。
ケース3:社会保険料の最適化が主目的
いわゆるマイクロ法人の運用です。この目的では、設立費用と維持負担の軽さから合同会社が有力候補になりやすいでしょう。ただし社会保険の適用関係や税務上の適法性は事業実態によって判断が分かれるため、税理士・社会保険労務士に確認してください。制度の全体像とリスクはマイクロ法人とは?フリーランスエンジニアの節税戦略・メリット・デメリット・設立手順を徹底解説と、国民健康保険が高いと感じたフリーランスエンジニアの対策|組合健保・任意継続・マイクロ法人まで解説で確認してください。
ケース4:自社プロダクトで出資を受ける可能性がある
株式会社を選んでください。投資契約・株主間契約の実務はすべて株式会社前提で組まれています。合同会社で始めてから組織変更すると、資金調達の交渉と登記手続きが同時進行になり、スケジュールが窮屈になります。
ケース5:会社員の副業として法人を持つ
勤務先の副業規程と、社会保険の二重加入の扱いを先に確認するのが先決です。形態の選択はその次の話になります。設立費用を抑える意味では合同会社が無難でしょう。
合同会社から株式会社への組織変更|費用と期間
合同会社で始めても、後から株式会社に変えられます。会社法上は「組織変更」と呼ばれる手続きで、法人格は維持されたまま形態だけが切り替わります。許認可や契約の巻き直しが不要なケースは多いものの、契約先の内規や許認可ごとの届出要件、口座名義の変更手続きは個別に確認が必要です。
実費の目安は次のとおりです。
組織変更による株式会社の設立登記:資本金の額の1,000分の1.5(3万円に満たないときは3万円)
合同会社の解散登記:3万円
官報公告(債権者保護手続):掲載料は行数で決まり、組織変更公告では3万円台後半になることが多い
司法書士報酬:依頼する場合は別途
登録免許税の税率区分は前述の国税庁タックスアンサーNo.7191に記載があります。実費の合計はおおむね10万円前後で、設立をやり直すよりは安く収まります。
期間は最低でも1か月半程度を見込んでください。債権者保護手続として1か月以上の公告期間が必要になるためです。「来月から株式会社として契約したい」という急ぎの要望には応えられません。登記申請の書式は法務局の商業・法人登記の申請書様式で確認できます。
逆方向、つまり株式会社から合同会社への変更も可能です。維持コストを下げる目的で実行する例があります。
よくある失敗と形態選択チェックリスト
失敗1:節税目的で形態を選んでしまう
法人税の税率は形態で変わりません。節税効果は「個人か法人か」で生まれるものであって、「合同会社か株式会社か」では生まれません。ここを混同した状態で相談に来るケースは珍しくありません。
失敗2:決算公告のコストを計算に入れていない
株式会社を選んだあとで公告義務に気づき、結局やらないまま運営する。これが一番よくないパターンです。義務と費用を認識したうえで形態を決めてください。
失敗3:資本金を1,000万円以上にしてしまう
形態とは別の話ですが、設立1期目から消費税の課税事業者になります。「資本金は多いほうが信用される」という理由だけで1,000万円に設定すると、初年度から納税義務が生じます。
形態選択チェックリスト
法人化すべきかどうかの判断は済んでいるか(形態選びはその後の話)
外部出資・株式での売却・上場の可能性を5年スパンで検討したか
主要クライアントの取引先登録要件に形態の条件がないか確認したか
決算公告の方法とコストを試算に含めたか
資本金額が消費税の課税事業者判定にかからないか確認したか
役員の任期を定款で何年に設定するか決めたか(株式会社の場合)
電子定款に対応した依頼先を選んだか
本店所在地の自治体の均等割の金額を調べたか
まとめ
ひとりで受託を続けるフリーランスエンジニアなら合同会社、外部出資や株式での事業売却を視野に入れるなら株式会社。判断はこの一行にほぼ集約されます。
設立実費の差はおよそ10万円。定款認証の有無と登録免許税の下限額から生じる
法人税・消費税・社会保険の扱いは形態で変わらない。節税目的の形態選択は成り立たない
維持費の差は決算公告義務と役員任期。10年では十数万円以上の開きになる
「株式会社でないと取引できない」が起きるのは、大手の購買規程など限られた場面
意思決定の速さや利益配分の自由度は、社員ひとりの法人では差にならない
合同会社から株式会社への組織変更は実費10万円前後・期間1か月半ほどで可能
迷ったら合同会社で始める選択は有力。ただし近い将来に出資・採用・大手直取引を予定しているなら、最初から株式会社も検討する
次のステップとして、本店を置く予定の自治体の均等割額を調べ、主要クライアントの取引先登録要件を確認してください。この2点が揃えば判断材料はほぼ出そろいます。法人として受けられる案件の幅を見ておきたい方はフリコンの案件一覧もあわせてご覧ください。
税務・登記の個別判断は、事業内容や売上規模によって結論が変わります。設立前に税理士・司法書士へ相談し、自分のケースに当てはめて確認することをおすすめします。
参照元・一次情報
よくある質問
合同会社と株式会社で税金に違いはありますか
ありません。法人税法上はどちらも普通法人として扱われ、税率も同じです。消費税・法人住民税・事業税の扱いも変わりません。差が出るのは税金ではなく、設立費用と維持にかかる登記・公告のコストです。
合同会社だと銀行から融資を受けにくいですか
形態そのものより決算内容と事業実績で判断されるのが基本です。少なくとも日本政策金融公庫の主要な創業融資制度の案内では、合同会社であることのみを理由に対象外とする記載は確認できません。むしろ設立直後は代表者個人の信用情報や自己資金の有無が影響しやすい点に注意してください。
ひとりでも株式会社は作れますか
作れます。取締役1名のみ、取締役会を置かない構成で設立できます。この構成であれば定款認証手数料の1万5,000円区分の要件にも収まります。
合同会社の代表の肩書は名刺にどう書きますか
登記上の肩書は「代表社員」です。名刺では「代表」「CEO」を併記する例も見られますが、契約書や金融機関へ出す書類では登記どおり「代表社員」を使うのが安全でしょう。なお「代表取締役」は株式会社の機関の名称なので、合同会社で使うのは不適切です。
社名に「合同会社」と入るのは避けられますか
避けられません。会社法で商号に種類を示す文字を入れることが求められています。「合同会社○○」と前に付けるか「○○合同会社」と後ろに付けるかは選べます。英語表記では「GK」「G.K.」「Godo Kaisha」などが使われます。
あとから社名を変えずに株式会社にできますか
組織変更の手続きのなかで商号も「株式会社○○」に変わります。「○○」の部分は維持できるので、屋号としてのブランドはそのまま引き継げます。ドメインやサービス名に影響はありません。
組織変更すると銀行口座や契約名義はどうなりますか
法人格は継続するため、契約を結び直す必要がないケースが多いでしょう。ただし商号が変わる以上、銀行口座の名義変更、請求書・契約書の表記修正、取引先システムへの登録情報の更新は実務として発生します。金融機関によって必要書類が異なるので、組織変更の登記完了後すぐに取引銀行へ連絡してください。
法人を作る前にクライアントへ確認しておくべきことはありますか
主要な取引先には、法人名義への契約切り替えが可能か、切り替えに何か月かかるかを事前に聞いておくのが安全です。個人事業主としての契約が年度単位で結ばれている場合、期中の名義変更を受け付けない取引先もあります。設立日を次の契約更新のタイミングに合わせられると、二重に手続きする手間を避けられます。
決算公告をしないとどうなりますか
会社法976条2号により100万円以下の過料の対象です。実際に過料が科される例は多くないとされますが、義務であることに変わりはありません。負担を避けたいなら、そもそも公告義務のない合同会社を選ぶのが筋です。
許認可が必要な事業でも合同会社で取得できますか
多くの許認可は形態を問いません。ただし業種によっては要件が異なる場合があるため、所管官庁の要件を事前に確認してください。エンジニアの場合、労働者派遣事業を行うなら資産要件があり、形態より財務内容が問題になります。
合同会社でも社会保険には加入しますか
加入します。法人は代表者1名であっても健康保険・厚生年金の適用事業所になるのが原則です。形態による違いはありません。
ひとり法人の決算は自分でできますか
できなくはありませんが、法人税の申告は個人の確定申告より複雑です。初年度は税理士に依頼し、2期目以降に自分でやるか判断する進め方が現実的でしょう。法人決算の進め方は一人法人の決算の流れ|マイクロ法人の申告スケジュールと税理士の使い方を参照してください。依頼するかどうかの考え方自体は、個人向けの記事ですがフリーランスエンジニアの確定申告|税理士費用の相場と依頼するかの判断基準も参考になります。
設立を自分でやるか専門家に頼むか、どちらが得ですか
合同会社なら自分で登記申請する人も一定数います。株式会社は定款認証が入るぶん手間が増えます。電子定款の印紙代4万円が浮く点を考えると、報酬が4万円前後のサービスなら実質負担はほぼ変わりません。時間単価の高いエンジニアであれば、外注して開発時間に充てるほうが合理的なことも多いはずです。
将来フリーランスをやめる場合、法人はどうなりますか
休眠か解散かを選ぶことになります。解散・清算には登記費用と官報公告が必要で、設立より手間がかかるケースもあります。出口まで含めた考え方はフリーランスエンジニアの出口戦略|法人化・再就職・セミリタイアの選び方で整理しています。
