特定親族特別控除とは|大学生の子がいるフリーランスの手取り【令和8年分】
最終更新日:2026/10/24
特定親族特別控除とは、19歳以上23歳未満の子など要件を満たす親族の合計所得金額が62万円超123万円以下のときに、最大63万円を所得から差し引ける所得控除です。子の収入増で扶養控除63万円がまるごと消えていた問題を段階的に緩和する仕組みで、フリーランスは確定申告で自分から適用します。 この記事は、令和8年分の所得税(原則として令和9年2月16日から3月15日までに行う確定申告)を前提に解説しています。令和7年分は所得要件の金額が一部異なります。
先に結論
令和8年分では、子の収入が給与のみなら、給与収入136万円以下で扶養控除63万円、136万円超159万円以下で特定親族特別控除63万円。159万円までは親の控除額が63万円のまま維持されます
給与収入197万円を超えると控除はゼロになります。159万円から197万円までは、63万円→3万円へ9段階で減っていきます
控除額63万円がそのまま手取り増になるわけではありません。軽減されるのは63万円×所得税率(+住民税分)で、控除が満額63万円かつ課税所得330万〜695万円の層なら、所得税・住民税を合わせて年17万円前後が目安です
特定親族特別控除だけでは国民健康保険料は下がりません。国保の所得割は総所得金額等から基礎控除額を引いた額をもとに計算され、扶養控除や特定親族特別控除は通常反映されないためです
子に青色事業専従者給与を払っていると、この控除も扶養控除も使えません。学生は原則として「専ら従事」に当たりにくいため、専従者にする設計は慎重な確認が必要です
この記事でわかること
特定親族特別控除の要件と、令和8年分の控除額(合計所得ベース・給与収入ベースの両方)
扶養控除(特定扶養親族)との境目がどこにあるか
フリーランスの税金・社会保険料が実際にいくら動くか
会社員家庭とは前提が違う4つのポイント(年末調整・国保・専従者・予定納税)
確定申告でどこに何を書くか
対象は、19歳から22歳の子を扶養している独立済みのフリーランスエンジニアです。子がアルバイトや業務委託で稼ぎ始め、「扶養から外れるのでは」と気になっている方を想定しています。
目次
特定親族特別控除とは|19歳以上23歳未満の子が対象の新しい控除
令和8年分の控除額早見表|子の給与収入で判断する
フリーランスの手取りはいくら変わるか
会社員家庭と前提が違う4つのポイント
ケース別解説|大学生の子の働き方で判定が変わる
確定申告での書き方と必要書類
よくある失敗と対策
実践チェックリスト
まとめ
よくある質問
特定親族特別控除とは|19歳以上23歳未満の子が対象の新しい控除
結論から言えば、扶養控除の「崖」をなだらかな坂に変えるための控除です。令和7年度税制改正で創設され、所得税では令和8年12月1日施行・令和8年分以後の所得に適用されます(国税庁 No.1177 特定親族特別控除)。
従来の扶養控除は、子の合計所得金額が基準を1円でも超えると63万円の控除が丸ごと消える設計でした。子が年末にシフトを増やした結果、親の税負担が十数万円増える。そんな逆転が起きていたわけです。特定親族特別控除は、この超過分を段階的な控除で受け止めます。
控除額は9段階で減っていく
控除額は、特定親族の合計所得金額に応じて次のとおりです。
特定親族の合計所得金額 | 控除額 |
|---|---|
62万円超 85万円以下 | 63万円 |
85万円超 90万円以下 | 61万円 |
90万円超 95万円以下 | 51万円 |
95万円超 100万円以下 | 41万円 |
100万円超 105万円以下 | 31万円 |
105万円超 110万円以下 | 21万円 |
110万円超 115万円以下 | 11万円 |
115万円超 120万円以下 | 6万円 |
120万円超 123万円以下 | 3万円 |
出典は国税庁タックスアンサー No.1177(令和8年4月1日現在法令等)です。令和7年分は下限が58万円超でしたが、令和8年分から62万円超に変わりました。
「特定親族」に当てはまる人の要件
その年の12月31日時点で、次をすべて満たす人が特定親族です。主なものを挙げます。
配偶者以外の親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)または里子であること
納税者と生計を一にしていること
年齢が19歳以上23歳未満であること
青色申告者の事業専従者として給与を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと
年間の合計所得金額が123万円以下であること(給与のみなら給与収入197万円以下。令和7年分は188万円以下)
控除対象扶養親族に該当しないこと
「生計を一にする」は同居が条件ではありません。下宿している大学生の子に仕送りをしている場合も、通常は生計を一にすると扱われます。進学で家を離れていても対象から外れない、という点は押さえておいてください。
注意したいのは要件4と要件6です。4については後ほど詳しく触れます。6は「扶養控除と特定親族特別控除は同時には使えない」という意味で、どちらか一方になります。
扶養控除(特定扶養親族)との関係
19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族は「特定扶養親族」と呼ばれ、扶養控除の額は63万円です(国税庁 No.1180 扶養控除)。扶養親族に該当する合計所得金額の上限は、令和8年分から62万円以下です。
つまり、こう分かれます。
子の合計所得が62万円以下 → 扶養控除(特定扶養親族)63万円
子の合計所得が62万円超123万円以下 → 特定親族特別控除 63万〜3万円
子の合計所得が123万円超 → どちらも使えない
控除額63万円という数字は両者で共通です。制度の名前は変わりますが、62万円のラインをまたいだ直後は親の控除額が変わりません。
ミニFAQ:子が2人とも大学生の場合、控除は人数分使えますか。
使えます。扶養控除も特定親族特別控除も、要件を満たす親族ごとに判定します。長男が扶養控除63万円、次男が特定親族特別控除41万円、という組み合わせも可能です。
令和8年分の控除額早見表|子の給与収入で判断する
国税庁の区分は合計所得金額ベースです。ただ、アルバイトしかしていない子の場合、親が把握しているのは源泉徴収票の「支払金額」、つまり給与収入でしょう。そこで給与収入ベースに引き直した早見表を置きます。
令和8年分の給与所得控除は、給与収入220万円までが74万円です(国税庁 No.1410 給与所得控除)。給与収入が74万1,000円以上219万1,000円未満なら、給与所得は「収入金額−74万円」で求めます。この換算を使った表が次のものです。
子の給与収入(年間) | 子の合計所得金額 | 親が使える控除 | 控除額 |
|---|---|---|---|
136万円以下 | 62万円以下 | 扶養控除(特定扶養親族) | 63万円 |
136万円超 159万円以下 | 62万円超 85万円以下 | 特定親族特別控除 | 63万円 |
159万円超 164万円以下 | 85万円超 90万円以下 | 特定親族特別控除 | 61万円 |
164万円超 169万円以下 | 90万円超 95万円以下 | 特定親族特別控除 | 51万円 |
169万円超 174万円以下 | 95万円超 100万円以下 | 特定親族特別控除 | 41万円 |
174万円超 179万円以下 | 100万円超 105万円以下 | 特定親族特別控除 | 31万円 |
179万円超 184万円以下 | 105万円超 110万円以下 | 特定親族特別控除 | 21万円 |
184万円超 189万円以下 | 110万円超 115万円以下 | 特定親族特別控除 | 11万円 |
189万円超 194万円以下 | 115万円超 120万円以下 | 特定親族特別控除 | 6万円 |
194万円超 197万円以下 | 120万円超 123万円以下 | 特定親族特別控除 | 3万円 |
197万円超 | 123万円超 | なし | 0円 |
給与収入の欄は、上記の給与所得控除74万円で換算した参考値です。国税庁が給与収入で明示しているのは上限の197万円(令和7年分は188万円)で、途中の区分は合計所得金額で示されています。子に給与以外の所得があるときは、この表では判定できません。合計所得金額で確認してください。
控除63万円が維持されるのは給与収入159万円まで
控除額63万円が維持される上限は、令和8年分では給与収入159万円です(子の収入が給与のみの場合)。かつて語られていた103万円、改正直後の123万円という数字とは前提が違います。
一方で、197万円を超えると控除はゼロです。段差が完全に消えたわけではなく、3万円から0円に落ちる最後の一歩は残っています。とはいえ、63万円が一度に消える旧制度と比べれば影響は小さくなりました。
基礎控除そのものの改正や、手取りが変わる年収ラインの全体像は「基礎控除 改正 2026|フリーランスの手取りが変わる年収ラインと確定申告実務」で整理しています。本記事は19歳から22歳の子に対象を絞って扱います。
ミニFAQ:子の年齢は、いつの時点で数えますか。
その年の12月31日時点です。年の途中で23歳になった子は、その年分は対象外になります。逆に12月に19歳になった子は、その年分から対象です。
フリーランスの手取りはいくら変わるか
控除額と減税額は別物です。特定親族特別控除は所得控除なので、軽減される税額は「控除額×税率」になります。63万円の控除がそのまま63万円戻ってくるわけではありません。
税率別の軽減額(概算)
所得税の税率は課税所得に応じて5%から45%まで変わります。復興特別所得税(所得税額の2.1%)を加えた実効税率で計算すると、軽減額の目安は次のとおりです。
課税所得(所得税) | 所得税率 | 所得税の軽減額 | 住民税の軽減額(参考) | 合計の目安 |
|---|---|---|---|---|
195万円以下 | 5% | 約3.2万円 | 約4.5万円 | 約7.7万円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 約6.4万円 | 約4.5万円 | 約10.9万円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 約12.9万円 | 約4.5万円 | 約17.4万円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 約14.8万円 | 約4.5万円 | 約19.3万円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 約21.2万円 | 約4.5万円 | 約25.7万円 |
前提:控除額が満額63万円(子の合計所得62万円超85万円以下)のケースです。所得税分は63万円×税率×1.021で算出しました。住民税分は、個人住民税の控除額を45万円、税率を10%と仮定した概算です。実際の控除額・適用年度・料率は自治体の最新案内を確認してください。実際の税額は他の所得控除や税額控除によっても変わります。金額が大きいケースでは税理士に確認することをおすすめします。
個人住民税にも特定親族特別控除が設けられており、控除額は所得税と別建てです。自治体の案内では、令和8年度分(令和7年分の所得に対応)について最大45万円とする説明が見られます(町田市 特定親族特別控除の創設)。令和8年分の所得に対応する令和9年度の住民税については、お住まいの自治体の最新の公表内容を確認してください。
自分の課税所得がどのあたりかを把握したい方は「フリーランスエンジニアの税金シミュレーション|年収500万〜2000万の手取り・計算方法を解説」が参考になります。
特定親族特別控除だけでは国民健康保険料は下がらない
ここがフリーランスの落とし穴です。特定親族特別控除を適用しても、それだけで国民健康保険料が下がるわけではありません。
多くの自治体では、国保の所得割は「総所得金額等−基礎控除額」をもとに計算されます。基礎控除額は前年の合計所得金額に応じて変わり、2,400万円以下なら43万円とする例が一般的です。社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除といった所得控除は、この計算に反映されません(刈谷市 国民健康保険税の概要と算定方法)。特定親族特別控除も同じ扱いです。料率・均等割・軽減判定などは自治体ごとに異なるため、金額はお住まいの市区町村の案内で確認してください。
所得税と住民税は下がるのに、国保料だけは据え置き。「所得控除を積めば社会保険料も下がる」と考えていると、手取りの見込みがずれます。国保料を動かしたいなら、経費計上や小規模企業共済など、そもそも所得を下げる方向の手段が必要です。この違いは「国民健康保険が高いと感じたフリーランスエンジニアの対策|組合健保・任意継続・マイクロ法人まで解説」でも扱っています。
自分の単価水準を把握したうえで税負担を見積もりたい方は、無料のフリーランスエンジニア単価診断で現在の市場単価の目安を確認できます。
ミニFAQ:控除が増えると、翌年の国保料も下がりませんか。
通常は下がりません。翌年度の国保料は前年の総所得金額等をもとに算定され、人的控除は差し引かれないためです。所得税・住民税と国保料は別の計算式だと理解しておくと混乱しません。
会社員家庭と前提が違う4つのポイント
同じ制度でも、フリーランスと会社員では運用が変わります。大学生の子を持つエンジニアが押さえておきたいのは次の4点です。
年末調整がないので確定申告で自分から適用する
会社員は、勤務先に年末調整関係書類を提出して適用を受ける流れになります。フリーランスにはその経路がありません。確定申告書に自分で記載しなければ、控除は適用されないままです。
申告を忘れた場合でも、更正の請求で取り戻せる余地はあります。手順は「修正申告・更正の請求のやり方|確定申告の間違いに気づいたら」にまとめています。制度差の全体像は「年末調整と確定申告の違い|独立エンジニアがつまずく制度差【令和8年分】」が参考になります。
国民健康保険には「扶養」という仕組みがない
会社員家庭で話題になる「130万円の壁」は、健康保険の被扶養者から外れるかどうかの話です。親が国民健康保険に加入しているフリーランスの場合、そもそも被扶養者という区分が存在しません。世帯の全員がそれぞれ被保険者になります。
したがって、子のアルバイト収入が130万円を超えても「扶養から外れて保険料が発生する」という事態は起きません。ここは会社員家庭より気楽です。
ただし別の影響があります。国保料は世帯単位で算定され、世帯内の加入者それぞれの所得が所得割に反映されます。子の収入が増えれば世帯の国保料は上がるわけです。逆に、子が勤務先の社会保険に加入すれば国保から抜けるため、世帯の保険料は下がります。会社員家庭とは影響の向きが違う点に注意してください。
子を青色事業専従者にしていると使えない
特定親族の要件には「青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと」が含まれます。子に専従者給与を払っていれば、特定親族特別控除も扶養控除も適用できません。
そして、より根本的な論点があります。所得税法施行令では、学校教育法に定める学校の学生・生徒である期間は、原則として「専ら従事する期間」に含めないとされています(夜間に授業を受けながら昼間に事業へ従事する場合などは例外)。大学に通いながら専従者に該当するかは授業形態や従事実態で判断されるため、要件を満たしにくいケースが多いと考えておくべきです。
青色事業専従者給与には、事前の届出や労務の対価として相当な金額であることなどの要件もあります(国税庁 No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除)。制度の全体像は「専従者給与とは|フリーランスエンジニアの要件・届出・節税効果」で確認できます。
配偶者を専従者にしている場合も、同じく配偶者控除・配偶者特別控除の対象から外れます。配偶者側の判定は「フリーランスの配偶者控除・扶養|入る/入れるの判断と手続き【令和8年分】」を参照してください。
予定納税は自動では減らない
予定納税額は前年の実績をもとに計算されます。今年から特定親族特別控除が使えるようになっても、納付書の金額は自動で調整されません。
控除が増えて年税額が大きく下がる見込みなら、予定納税額の減額申請を検討します。対象基準や申請の流れは「予定納税とは|フリーランスエンジニアの対象基準・計算・減額申請」にまとめました。放置しても確定申告で精算されますが、資金繰りの面では先に手を打つ意味があります。
ケース別解説|大学生の子の働き方で判定が変わる
ケース1:アルバイト(給与)だけの子
もっとも判定が簡単なパターンです。年末に子の源泉徴収票を集め、支払金額を前述の早見表に当てはめます。
複数のバイトを掛け持ちしている場合は、すべての支払金額を合算してください。1枚だけ見て136万円以下だと判断すると、合算で159万円を超えていた、ということが起こります。
子自身も、合計所得が89万円以下なら勤労学生控除27万円を使えます(令和8年分。国税庁 No.1175 勤労学生控除)。親の控除とは別枠なので、子の側でも確認しておきましょう。
ケース2:子が業務委託でエンジニア案件を受けている
エンジニアの家庭では、子が学生のうちから受託開発やWeb制作の案件を受けているケースがあります。この場合、判定の難易度が一段上がります。
報酬が給与ではなく事業所得または雑所得になるため、給与所得控除74万円が使えません。同じ年間150万円でも、給与なら合計所得76万円、業務委託なら経費を引いた残りがそのまま所得です。経費が20万円なら合計所得130万円となり、123万円を超えて控除がゼロになります。
なお、事業所得になるか雑所得になるかは、継続性・規模・帳簿の整備状況などの実態で判断されます。学生の副業的な受託では雑所得と扱われることもあります。
対処の方向は2つです。ひとつは、必要経費を漏れなく計上すること。開発用PC、クラウド利用料、通信費などの按分を含め、業務実態に応じて合理的に計算します。考え方は「フリーランス経費率の目安|エンジニアの妥当水準と税務署の見方【令和8年分】」が参考になります。
もうひとつは、子自身が青色申告を選ぶことです。事業所得として認められる実態があり、要件を満たせば青色申告特別控除を適用でき、合計所得金額を圧縮できます。要件と金額の分かれ目は「青色申告特別控除75万円|令和9年分の要件と65万・10万の分かれ目」で確認してください。ただし開業届や記帳の負担が発生するため、年間の報酬額とのバランスで判断することになります。
ケース3:親の所得が大きく変動した年
フリーランスは年によって所得が動きます。控除の価値も、それに応じて変わります。
同じ63万円の控除でも、課税所得が330万円を超える年なら約17万円、200万円台の年なら約11万円の軽減です。単価の高い案件が続いた年ほど、この控除の効き目は大きくなります。逆に、収入が落ちて課税所得がもともと少ない年は、控除しきれずに効果が小さくなることもあります。
案件が途切れた年は、控除を積むより所得を確保するほうが先、という判断もあり得ます。年収と手取りの関係は「フリーランスエンジニアの手取りはどれくらい?計算方法と年収別目安」で整理しています。
ケース4:子に家業の開発を手伝わせている
繁忙期に子へテスト作業やコーディングを手伝ってもらい、対価を払うケースです。この扱いは慎重に考える必要があります。
生計を一にする親族への給与は、原則として必要経費になりません。専従者給与として経費にするには届出と「専ら従事」の要件が必要で、前述のとおり学生は原則として該当しません。
結果として、大学生の子については特定親族特別控除を使うほうが現実的な場面が多くなります。どうしても業務として依頼するなら、生計を別にしているかどうかも含めて税理士に相談してください。税理士費用の目安は「フリーランスエンジニアの確定申告|税理士費用の相場と依頼するかの判断基準」にあります。
確定申告での書き方と必要書類
記載する場所
現行の申告書の考え方では、親族に関する事項として特定親族の氏名・個人番号・続柄・生年月日などを記載し、別の欄で控除額を記載する流れになります。実際の記載欄の位置や名称は、令和8年分の最新様式で確認してください。令和8年分の申告では、国税庁が公表する最新の申告書様式や確定申告書等作成コーナーの案内に従って入力します。
確定申告書等作成コーナーを使う場合は、画面の案内に従って子の合計所得金額を入力すると、控除額が自動計算されます。手計算で表に当てはめるより確実です。
申告の全体の流れは「フリーランスエンジニアの確定申告|やり方・必要書類・期限をわかりやすく解説」にまとめています。
子の所得をどう把握するか
添付書類として子の源泉徴収票を提出する必要はありません。ただし、合計所得金額を正しく把握していないと記載できません。年明けの早い段階で、子から次を集めておくと作業が楽になります。
アルバイト先すべての源泉徴収票(支払金額を合算する)
業務委託報酬がある場合は、支払調書や請求書の控え、入金記録
経費の領収書(子が事業所得または雑所得で申告する場合)
子が自分で確定申告をするなら、その申告書の合計所得金額欄を確認するのが確実です。
住民税と国民年金の扱い
個人住民税にも同じ名称の控除があり、翌年度の住民税に反映されます。控除額は所得税と別建てで、最大45万円です。手続きは所得税の確定申告をすれば連動するため、別途の申告は原則不要です。
子が20歳以上で学生なら、国民年金の学生納付特例も確認しておきましょう。前年所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下であれば申請できます(日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度)。税の控除とは別の基準なので、混同しないようにしてください。
よくある失敗と対策
失敗1:源泉徴収票を1枚しか確認していない
掛け持ちバイトの合算漏れは定番です。支払金額を全部足してから判定します。12月のシフト次第で区分が変わることもあるため、年末に一度確認しておくと安全です。
失敗2:控除額63万円が戻ってくると思い込む
戻るのは63万円×税率分です。課税所得330万円以下なら10万円前後。この認識がずれていると、資金計画も狂います。
失敗3:国保料も下がると期待する
所得割の計算に人的控除は入りません。所得税・住民税と国保料は別物だと分けて考えてください。
失敗4:子を専従者にしたまま控除を申告する
専従者給与を受けている年は対象外です。どちらか一方しか使えません。学生の子については、専従者の要件を満たしにくい点も含めて見直しが要ります。
失敗5:年齢判定を誕生日基準で考える
判定はその年の12月31日時点です。年度でも、誕生日の時点でもありません。所得税は「令和8年分」のように年分で数えます。
失敗6:子が業務委託で稼いだ分を給与と同じ感覚で見る
給与所得控除74万円が使えないため、同じ金額でも合計所得は大きくなります。経費の計上状況まで確認してから判定してください。
実践チェックリスト
申告前に次を確認しておくと、記載漏れと判定ミスを防げます。
[ ] 子の12月31日時点の年齢が19歳以上23歳未満か
[ ] 生計を一にしているか(別居でも仕送りがあれば該当することが多い)
[ ] アルバイト先すべての源泉徴収票を集め、支払金額を合算したか
[ ] 業務委託報酬がある場合、経費を引いた所得金額を確認したか
[ ] 合計所得金額を早見表に当てはめ、控除額を特定したか
[ ] 子に専従者給与を払っていないか
[ ] 扶養控除と特定親族特別控除のどちらに該当するか整理したか
[ ] 確定申告書の第二表に特定親族の情報を記載したか
[ ] 控除増加分を見込んで、予定納税の減額申請を検討したか
[ ] 国保料は下がらない前提で、翌年の資金計画を立てたか
節税手段を体系的に見直したい方は「フリーランスエンジニアの節税対策|青色申告・経費・iDeCo・小規模共済の実践テクニックを徹底解説」もあわせてご覧ください。
まとめ
令和8年分は、子の収入が給与のみなら、給与収入159万円まで親の控除額63万円が維持され、197万円を超えるとゼロになります。 扶養控除から特定親族特別控除へ切り替わるだけで、控除額自体は途中まで変わりません。
要点を整理します。
対象は19歳以上23歳未満で、合計所得62万円超123万円以下の親族。判定は12月31日時点
控除額は63万円から3万円まで9段階。給与収入ベースなら136万円超197万円以下の帯
手取りへの影響は控除額×税率。課税所得330万〜695万円なら年17万円前後が目安
この控除だけでは国民健康保険料は下がらない。所得割の計算に人的控除は反映されない
子を青色事業専従者にしていると使えず、学生は専従者の要件自体を満たしにくい
フリーランスは年末調整がないため、確定申告書に自分で記載する必要がある
次のステップとしては、年明けに子の源泉徴収票をすべて集め、支払金額を合算して早見表に当てはめるところから始めてください。業務委託報酬がある場合は、経費を確定させてから判定します。税額が大きく動く見込みなら、予定納税の減額申請もあわせて検討しましょう。
特に、子に業務委託収入がある場合、専従者給与を払っている場合、住民税の非課税判定や各種手当に影響しそうな場合は、税理士や自治体窓口に確認してください。制度の詳細は国税庁の案内を参照してください。
参照した一次情報
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よくある質問
子が大学院生でも対象になりますか
年齢が19歳以上23歳未満で、ほかの要件を満たせば対象です。学校の種類や在学の有無は要件に含まれていません。浪人中の子や、就職せずにフリーランスとして活動している23歳未満の子も、所得要件を満たせば該当します。
離れて暮らす子に仕送りをしています。生計を一にすると言えますか
進学のために別居していて、常に生活費や学費を送っている場合は、通常は生計を一にすると扱われます。仕送りの事実を説明できるよう、振込記録を残しておくと安心です。送金の実態がまったくない場合は該当しません。
親が2人とも働いています。どちらが控除を取るべきですか
同じ子について、父と母の両方が控除を受けることはできません。一般に、所得税率が高いほうが適用したほうが世帯の税負担は小さくなります。ただし住民税の非課税判定や各種手当の所得制限に影響することもあるため、税額だけで決められないケースもあります。
子の合計所得が123万円をわずかに超えました。何かできることはありますか
その年分については、原則として控除は使えません。子が事業所得や雑所得で申告しているなら、計上漏れの経費がないかを確認する余地はあります。給与のみの場合、年が明けてから金額を変えることはできません。翌年のシフト計画で調整することになります。
子にiDeCoや国民年金保険料を払わせています。合計所得は下がりますか
合計所得金額は所得控除を引く前の数字なので、社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除を適用しても下がりません。判定に影響するのは、収入から必要経費や給与所得控除を引いた段階の金額です。
子の国民年金保険料を親が払った場合、親の控除になりますか
生計を一にする親族の国民年金保険料を親が実際に負担した場合、その金額は親の社会保険料控除の対象になります。特定親族特別控除とは別枠なので、両方を適用できます。支払った事実がわかる書類を保管しておいてください。
年の途中で子が就職しました。扱いはどうなりますか
判定は12月31日時点の状況と、その年の合計所得金額で行います。就職して給与収入が197万円を超えれば控除は使えません。超えなければ、金額に応じた控除が適用されます。年の途中で生計が別になった場合は、その時点の実態で判断します。
子が結婚しました。対象から外れますか
子自身が結婚しても、親と生計を一にしていて要件を満たすなら対象になり得ます。ただし、配偶者の扶養に入るなど生計の実態が変わっていれば外れます。実態で判断する部分なので、迷うときは税務署に確認してください。
住民税の非課税判定にも影響しますか
扶養親族の人数は住民税の非課税限度額の計算に使われます。扶養控除から特定親族特別控除に切り替わると、扶養親族の数え方が変わる場合があります。影響の有無は自治体により扱いが異なることもあるため、気になる場合は市区町村の住民税担当に確認するのが確実です。
令和7年分の申告でも使えますか
特定親族特別控除は令和7年分から適用が始まっています。ただし、所得要件の下限や給与収入の上限は令和8年分と異なります。令和7年分は合計所得58万円超123万円以下(給与のみなら給与収入188万円以下)です。過去分の申告を見直す際は、年分ごとの数値を確認してください。
エンジニアの親がこの控除で得をしやすいのはどんなケースですか
課税所得が330万円を超える水準で、子がアルバイトを年間160万円前後まで増やしているケースです。旧制度なら扶養控除63万円が消えていた金額帯で、控除が61万円前後残ります。差額としては十数万円の違いになります。
